緋月の夜叉姫 ログ6



ルドゥラ「……――――(とある一室。アヤセの情報によれば今夜刺客が送り込まれてくるとのこと。最初の仕事として刺客の一掃を命じられたこの男は、真っ暗な寝室にある椅子に腰かけ、目を閉じながら刺客が来るのを待った) 」

麻統「小腹空いたな……僕ァこのまま愛想も何もねぇ鬼いさんを最後に見るものとして膝枕以外の場所で華やぐはずの人生を終えるんだろうか…… カタカタカタカタ… カタカタ…(自身を含め三人以上、大所帯にして数名を抱き込む気満々の豪華絢爛なキングサイズのベッドの上にこじんまりと掛け布団でテントを作りラプトップパソコンでFPSに勤しみ、死んだ魚のような目でうわ言を囁く。悲しいかな、これが今宵の護衛対象である) 」


ピシッ――――――ッ――――     (瞬間、何の前触れもなく麻統亭寝室のガラス張りの壁からカーテン越しにガラス片が擦れるような高音が響く) ―――――ィィィィィィイイイイ(密閉しているにも関わらず、カーテンは隙間風でも入り込んだのか翻り、その際に小さな亀裂の走った窓ガラスが晒し出された。亀裂の中心には縫い針が貫通したような穴が空いており、月光に晒されるとピアノ線が外へ続いているのが視認でき―――――) 」


黒装束の男「ッッッッパァァァ―――――ンッッ!!(そのピアノ線を、腕に装着した巻き取り具でたぐり寄せるようにして自らを引っ張り上げた黒装束に身を包む遥か遠方から、さながらジェット機のような加速と遠心力を乗せ麻統亭寝室に殴りこんくる)―――― タンッ  キィンッッ!!    ヒュ   ォ   ッ  キィィィィィエェェ――――ッッ!! (ルドゥラには目もくれず真っ先に手にした仕込み杖を抜刀、任務遂行を優先とし奇襲における最大のメリットを利用した見的必殺とせんばかりの勢いのままに寝そべる麻統へ斬りかかる) 」

ルドゥラ「――――カッ!(その動作は黒装束の男と比べると圧倒的に遅い。――――が、常人からすればどちらも早い。動作における無駄をゼロにすることにより、椅子に座っている状態から流れるように、体勢を上げて後ろに振り替えると疾走しながらの抜刀斬りを黒装束の男に浴びせる。それは練達の師匠が見せるような、お手本とも言えるほどに見事な横薙ぎだった) 」

黒装束の男A「(切っ先は一寸のブレもなく、マシーンが如く正確に麻統の脳天を割るようにして振り下ろされようとしていた。彼の最善だった、あくまでそれは彼に可能な範囲でという話で―――――)   パ   ァ ァ   ン  (およそ薪でも割ったかのように、横一文字に胴体をルドゥラの抜刀術はすり抜け、胴は半身と別れさながらかちあげられた駒のように刀を握ったまま回転し、鮮血の赤でアーチを描いて床へ転がり落ちた) 」

麻統「うーん……結奈たそ……スケール1/7フィギュアでも海洋堂作ってくれないかな……やっぱりアイドルばかりはいくら僕でも自由にはできnnnnn――――― ビシャァッッ(液晶の向こうの今時の現役アイドルにうつつを抜かしていると顔半分が返り血で赤く染まりデフォルト調にきょとんとしたまま石のように固く冷たくなる)ファッ!!!? う~ん……( 卒 倒 ) 」

ルドゥラ「ようやく来たか……待ちくたびれたぞ(ブンッと血ぶりをして納刀。ゆっくりと窓の方へ振り向きながら周囲の気配を察知していく。たったひとりで来るとは思えない。ここまで手際よく暗殺へ来る連中がそこまで間抜けではないことは理解していた。)……フゥゥウウウ……ッ!(呼吸を整え、周囲にその眼光を走らせる。みなぎる剣気、しかして心は決して揺るがず。一刀振るえばたちまち術理は叶う。心の赴くままに待ち、あるがままに振るうことこそが最善にして最短) 」

黒装束の男B/C「 ピ  ン  ッ (続けてルドゥラを挟むようにして窓ガラスを貫通したピアノ線が貼られ)  ッガァァァンッ  (続けざまに二人の黒装束の男がAと同じ手順で館内へ突入、今度は部屋奥に張ったアンカーに向けて全く同じ速度で地面すれすれに滑走するようにして移動しつつ……)  チャキッッ   ゴガギィンッツ!!!(二人同時にルドゥラへ二丁の自動小銃の銃口を向けすかさず引き金を繰り返し引き、両サイドから複数の弾丸がルドゥラへ差し迫る) 」

ルドゥラ「―――シャキン! グルングルンッ! ガキン! ガキン!(銃声とほぼ同時に素早く抜刀。そして素早く回転させながら弾丸を弾いていく。運動エネルギーを失った弾丸は床へと堕ち、ただの鉄くずへと変わっていく。)―――フンッ!!(急速な剣捌き。無数の弾丸の内の2発をBとCにそっくりそのまま剣で弾き返した) 」

黒装束の女A/B/C「――――ッ!(男ABCに対して凄まじい剣捌きを見せるルドゥラに驚愕の表情を。しかしここは暗殺者らしく、すぐに切り替えて自分達も暗殺行動へと移る。AとBはルドゥラに近づき、Cは遠距離からのスナイピング) 」

黒装束の男B/C「  ビ   ス    ッ    ドゴッ ガッ!!(跳ね返された弾丸は狙ったデモ言わんばかりに正確に眉間に埋め込まれ、あまりに正確だったのか出血もなく両者はピアノ線に引かれるまま黒装束の女達とすれ違い壁に衝突しそのまま貼り付けられたように動かなくなる) 」 」

ルドゥラ「(再度納刀。B,Cの撃破の中、更なる気配を感じとる。微量にまで抑え込まれているが、こちらに対してすさまじい敵意と殺気が向けられているのがわかる。)……(3人。……2人はもすうでにこの部屋に、そしてひとりは外か)(納刀したばかりの刀の鯉口を再び切って襲撃に備える)ピ ィ ィ ィ ン……(空気が張り詰め、その場には殺しの臭いが広がっていく) 」

黒装束の女A/B「――――グァアアッ! シャキン! シュバァアッ!!(Aは頭上から、Bは背後からルドゥラに斬りかかる。双方二刀流で、刀は通常のものより頑丈な部類の物を使っている。交差する剣閃が舞い踊りながらルドゥラへと襲い掛かる) 」

麻統「 僕は 正気に 戻った ! (次々と大の大人が倒れては物音で満足に気絶もできず枕をメット代わりに被ったまま上体を起こす)おいおいおい……なんの冗談だいこれはァー!?雇ったゴロツキが寝返るならまだしも!どうして……どうして『公安』が僕んとこに殴り込みに来てるのよォォォ~~~――――― っっ!!? 」

ルドゥラ「ン゛ ン゛ ラ゛ ァ゛ ア゛ ッ!!(抜き際の一閃が、まず頭上の敵に向かって振るわれる。Aの剣が彼の刀身とぶつかる。通常ならここで弾かれるか、ほんの一瞬の鍔迫り合いになる。だが…それは彼女等の予想を遥かに越えたものだった。)――――Die! 」

黒装束の女A「―――ッ!!?(刃と刃がぶつかった直後、まるでビスケットでも砕くように彼女の持っていた刀の刀身が粉々に砕け散った。一瞬の防御すら貫通し一刀にて相手を葬る彼の剣腕に、まっさきに死を直感した。)あ゛ぁ゛あ゛ア゛ッ!!(矯声にもにた断末魔を上げ、25kgという規格外の日本刀によってその身を斬り裂かれ、部屋中に赤い花を散らしていった) 」

黒装束の女B「(若くともいくつもの死線を潜り抜けてきた身。しかし、まるで自分達の知る剣術とは違う次元の威力を誇るルドゥラの一撃に、彼女の本能が強制的にブレーキを掛けた。――――あれは刀の形をした、剣士の形をした死だ、と)――――ぐわぁああっ!?(ほんの一瞬の硬直を見逃してくれるはずもなく、ルドゥラの超人的な剣捌きによる切上からの横一閃により、その身体は軽々と薙ぎ払われてしまった。)――――ガンッ!! ドサァッ…ばふん(震えて動けない麻統にそのまま激突し、まるで押し倒したかのように脱力状態で彼に覆いかぶさる。黒装束で闇に紛れて見えなかったが、相当に実った女性の胸の部位が彼の顔面を圧迫し…… 彼の顔面を圧迫し、かつて生きていた頃の柔らかさと薫りで包み込む。しかし、その表情は恐怖で歪み、腹からはおびただしい血が流れ出ている 」

麻統「         ジュッ…  (自身の頭上で赤い花が咲き、今度は屋内の鉄臭い雨にさらされ白目を向いたままその様を見上げる。股上は熱を帯びて湿っており)    僕は正気に戻った!!!!!   (黒装束Bの臀部に覆われ、肉体は素直に正常に反応、顔面は完全に赤で染まった) 」

ルドゥラ「(最後、ルドゥラは納刀した後、弾丸だった鉄くずを拾い上げ、それを窓の外に向かって勢いよく弾く。)――――ビンッ!(鉄くずは勢いをつけ、窓の外にある高台へと飛ぶ、そこに控えていたAに向かって飛ばしたのだ) 」

黒装束の女A「――――い゛ッ!?(今まさにライフル銃で狙いを定めていた頃、鉄くずがこちらに飛来してきたのを見て、逃げ出そうとしたがそれも間に合わず)バチュンッ!!(心臓部を撃ち抜かれる。そして……)あ……ぁ……。――――ア゛ ア゛ ア゛ア゛ッ!!(バランスを崩し、そのまま下へ下へと絶叫と共に落ちていく) 」

ルドゥラ「……フゥ、これで全員か? ウォームアップにもならんな(部屋の惨状を見て、歯ごたえの無さに辟易としながらも麻統に歩み寄る)貴様いつまで寝ている? 敵は全て殲滅したぞ? 」

麻統「ふ、ふへ……本当に人間かよお前……。仮にも大和公安部、その実働部隊『出店』だぞ? ガンッッ (黒装束の女Bの体を足で乱暴に蹴りどかし、よたよやとおぼつかない足取りで、しかもガニ股でベットから立ち上がり横たわるBを見やる) へっ、へへ……生きてたら治療して遊女に売り込んでやるよ……っ(カタカタ)(小刻みに震えながらも悪意たっぷりの引きつった笑みを浮かべつつ、ルドゥラに向かって歩き出そうとするが――――) 」

黒装束の男D「 トンッ (恐らく最後の一人、この者だけはフォーマルなスーツを装備の上に着込んでおり指揮官と思われる。既にその男は破格の気配遮断を駆使したのか麻統の首根っこを背後から捉え、もはや人ではなく藁の束のように持ち上げて見せた)――――ルドゥラ・ヤマトだな。大人しく麻統招二を引き渡していただこう。貴様の斬首は任務に含まれていない。この状況下において、抵抗は無意味と理解できん愚か者ではあるまい 」

ルドゥラ「……ほう(Dの暗殺者としての腕前、そして見ただけで認識できるほどの強者としての風格に関心を抱く)やっと骨のあるやつが来たな(首根っこを掴まれた麻統をチラリとみやるや、口角を吊り上げ、鯉口を切る)抵抗は無意味だと? ハンデとして考えるなら、これで丁度いいくらいだ。……俺に殺されんうちにそいつを殺したいのなら、――――殺してみろ(挑発にもききとれる発言。だが、これは挑発ではない。彼は心の底からこう言い放ったのだ。どのような状況になろうとも揺るがない強さと力を求め続けるルドゥラには、これもまた"少しは愉しめそうな戦闘"に過ぎない) 」

黒装束の男D「―――――フン(予想はしていた。とでも言わんばかりに口角を釣り上げ)俺は、少々任務外の殺生にこそ生きがいを見出す節がある。故に上からは『監視』として部下を任されていたのだが……(『お前を殺してから奪えばいい』という挑発返しと取れるかのように麻統をかなぐり捨て、腰に帯びた『柄が血を帯びて黒済んだ打刀』に手をかける)礼を言うぞ……。これで『試し切り』が”ッ―――――― 」


そう、男が啖呵を切ろうとした刹那であった。抜刀術の構えを取るまでに0.03秒、達人にしても充分な速さだが、それは彼の意思なのかそれとも『別の意思』が介在したのか――――― 」


黒装束の男D「  ギュルッ   ゾ  プ   (刀を握る腕が異様な角度にねじれ、自ら禍々しい邪気を帯びる刀を、胸部へ突き刺し、何が起きたのかも理解できないままに口元から赤を絶えず溢れさせ硬直していた) 」


ルドゥラ「なに……?(突然の自害に怪訝な表情を浮かべる。なにかの能力かなにかの前触れかと思ったが……)これは一体……。 」


――――足りない


―――――ォ ォ ォ ォ ォ ォ  オ   オ   オ   (事切れる黒装束男Dの顛末を見届けることなく、その肉体を容易く貫通した刀に異変が起きる。最初はそれを軸に黒い瘴気が、地を這って纏わりつくだけだったが)   オ    オ  ォ   オ    オ   (それはかつて、ルドゥラが『体験』したことのある『ゼロリア』の『邪気』にも酷似した血の通わない冷徹さを秘めていた。瘴気は横たわる黒装束達の流血と混ざり合いながら刀に吸収され、徐々に『人の手の形』を形成し……―――――)


 ―――――足りない


黒装束の男D「あが……が  ガガガ…ガ……(白目を剥き、『既に致死量に匹敵する量』の流血を流しながらも尚、悶え苦しみ、天井を仰ぎ見て泡を吹き……そして) ―――――足”り”な”い” も”っと”(何かに呼応するように、『死に切る』間際、そう言い残した) 」


 ――――――モット『力(殺意)』ヲ……


???「ゾゾ ル ル  ゥ ン ・ ・ ・ (それは完全に形を成した。元々そこにいて、他者に認識される形を得ていなかっただけとでも言いたげに)ヒタ…………… (流血の池で染め上げられた床を草鞋で 踏みしめる。そこらに横たわる尸の遺品よりも醜悪に擦り切れ、さながら悪魔の体毛のような有様である血塗られた漆黒の和装、一本結びにし腰まで伸ばした赤髪、そして頭部に黒笠を被り、黒装束男Dから抜き取った『妖刀』を斜めに一振り。露払いしルドゥラへ黙して背を向けている) 」


ルドゥラ「ほう……。これはこれは……。(???の姿を見て、どこか自分と近しい物を感じた)中々に面白いものが出てきたな。……力を求めるならば、俺を斬ってみるか?(背を向ける???にほくそ笑みつつ、わざとらしく鯉口を切る音を鳴らして見せる) 」

???「  ォ  ォ  ォ  オ ォ   オ   ォ ・・・・……(ゆっくりと、それはさながらに生気を感じさせない所作で上体をひねり『黒帯で顔を前面に覆われ、節々に闇そのものである肌かどうかも怪しい黒く染まった顔と、赤い発光体と化した眼と思わしき部位』を向け)――――――ソウアレカシ ト サケバネバ オノレ ニ ナレン (それは男とも女とも判別のつかない合成音声のような声をたどたどしく発し、踵を返し、一歩…また一歩とルドゥラへ距離を縮め間合いを図)   キ   ン   ッ   (かつてルドゥラがそうしていたように、左手に魔素を凝縮させ生成した鞘に妖刀を納刀、無行の構えを取った) 」

ルドゥラ「ほう、それは……(???の構えを見、それが自分のソレであることを瞬時に理解する)俺と同じ剣を用いてみるか? いいだろう、好きにやれ。(おなじみの無行の構え)全部使え。貴様の持てる手段全てを使って俺を越えて見せろ。……力を手にして見せろ。 」


【VS:目覚めし魔剣・■■】


BGM : DmC Devil May Cry - Empty (Vergil Battle Theme)


???「 ヒタ… ヒタ…  ―――――――――――――――――- (一歩、二歩、横目でルドゥラの様子を観察しながら回り込むようにしてさらに移動。黙したまま動かずにいたが、これ以上の『学習』は望めないと判断したのか、無行の構えを崩し、僅かに体制を低くし……)    フォン  ッ    (赤黒い霧を残し、『消滅』)    オ  ォッ   (そして既に刀を直角に立てた状態で納刀する???の存在がルドゥラと背中合わせに出現し……) 」


 オ ン   ッ    キィンッ!!  ズガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!!(コンマ1秒のズレを残して無数の赤黒く発行する直線上の軌跡が無数に出現、全て『既に振るわれた』斬撃の残像がルドゥラを襲った) 」


ルドゥラ「(それはまさしく己の技の模倣。しかしてなおそれは一刀にて必殺の念を孕んだ一撃であった。それが凄まじい速度で、鋭い軌跡となって彼に襲い掛かった)……速いが、――――全然ダメだな。遅すぎるッ!!!(???が斬撃を放つ前に、すでにルドゥラは目にもとまらぬ速さで無数の斬撃を放ち、???の斬撃全てをその一刀にて打ち消していた。)――――You shall dieッ!!(ルドゥラの眼光が赤黒い敵を射抜く。そして、超重量の刀から放たれる斬撃が横一文字となって???の背中に振るわれる) 」

???「  ク ン  ッ   (納めた刀を再び抜刀……するや否や――――)  ギ   ィンッ!!  ギャリリリィィィ……!!(器用に鞘を持つ左手、刀を持つ右手を背に回し、ノールックにして自身の背中に水平になるようにして再び納刀。ルドゥラの技術とは違うそれだったが――――妙な林至涵があった) ブオンッ  トッ(斬撃は防ぎつつもあえて抵抗はせず吹っ飛ばされ、窓枠上の壁に靴底をつけ体をくの字に曲げ)――――― D i e (複合音声だがルドゥラのイントネーションと近しいそれを囁き、錐揉み回転しつつ落下を遠心力を乗せた振り下ろしを行い接近を図る) 」

ルドゥラ「ほう……(目を細め、敵の身のこなしに感心する。そして自分と似て非なる戦い方の中から徐々に技巧の進化を見出す???に口角を緩める)フンッ! ゼァ゛ア゛ア゛ッ!! ―――シュバババ!!(振り下ろしを鞘で防ぎ、ほんの一瞬宙に浮いた状態にさせて)――――見切れるか?(手の内で返して逆手に持ち、そのまま腹部に横薙ぎ、振り抜いた後通常の持ち方に瞬時に直すや、八の字を描くようになだらかに、且つ力強く、――――まるで龍が蠢くが如き軌道で斬撃を放つ) 」

???「――――― !!? ――――(最初の一撃は左手の鞘を充てがうことで防いだつもりでいたが、ワンテンポ遅れ鞘は両断され、腹部に決して浅くない切れ込みが走り)  ガァッ   グ ェ ア”ァ”ア”ア” (ルドゥラの思い描いた通りに斬撃は命中。空中腕なすすべもなく胸から顔面にかけて一太刀、肩に深い二撃目をもらい、およそ人とは思えない悍ましい、合成音声とはいえ息遣いの伝わる生々しい悲鳴をあげ地に叩き伏せられる――――が) 」

???「  ビシャァッ!!  (叩きつけられた位置は丁度黒装束が血溜まりを作った位置。体は血の池に解けるようにして消滅し)  ヒ  タ  ッ  ……   (ラグは少なく、ほぼ同時に、別の血溜まりの上に赤黒い霧が???の形を成した。だが一撃は確かに入っているのか、顔面の包帯に切れ込みが走り)―――――。シュッゥゥ……フシュゥ……(包帯が外れる。だがそこに『人らしき』面影はなく、ただの人の顔を模したような造形の、赤く光る瞳だけが唯一人らしさを成す黒いだけの顔がそこに存在し、絶えず黒い瘴気を吐き出していた) 」

ルドゥラ「……このまま朽ちるか?(素早い動作で納刀し)化け物染みているのは見た目だけではあるまい。……立て、俺が引導を渡してやる(地響きが聞こえてきそうなほどの闘気を出しながら???を睨みつける) 」





 ――麻統亭 B5――



比較的若輩に当たる華族の『麻統家』は旧大和の主流たる屋敷とは異なり、洋館に近い外装、及び内装をしていた。しかし今現在、等の当主が降る階段はそれらとはかけ離れ、パイプや動線が露出した『軍事施設』に近しい空気を匂わせるそれ。地上階の華やかさとはかけ離れた暗がりへまっしぐらに麻統招二は駆け下りていた


麻統「ぜぇ……っ!ぜぇ…ッ! ばっ、馬鹿にしやがってあの用心棒……ッ!僕がお前みたいな浪人を好き勝手させるしか術がないと思ったら大間違いだぞ……ッ ふへ!ふへへっ!(手すりを杖代わりにしながらも地下への螺旋階段を降り続け、辿り着いたのは……――――)」 」


ゴウン……  ゴウンゴウンゴウン(絶えず駆動音が鳴り響き、一帯に『零戦』から『F2』まで、旧式から最新鋭の兵器が収まる格納庫だった。その最奥、複数のパイプが一箇所に収束する場所には『それ』が眠っていた。重厚な鎧に『拘束された』恐らくは人型と思しき巨体が)


アヤセ「――――お待ちください~~~総督ぅぅぅ~~~~(チュッパチャップスを舐めながらその巨漢の傍、手を胸の高さまで上げこれでもかと危機感のない声を上げる)おおよその検討は付きますけど、コレは迎撃兵器や、ましてや護衛として機能しませんからね?」 」

麻統「る”っさ”ぃ”な”ァ”退けよこの木偶の坊ッ!!(もはや人か爬虫類か分別のつかないほどにひんむいた三白眼一杯に水滴を浮かべんがら、錯乱した勢いに任せ小銃を抜きアヤセへ発)BUNG!!BUNG!! 」

アヤセ「―――――えぇっ!?ちょっと待って幾ら何でも無茶振りがすぎるのでは”ッッッ(弾丸は腹部に命中、くの字によろめくと今度は二発目が肩に命中しショックのあまり失神し血反吐の混ざった泡を吹いて動かなくなる) 」

麻統「ひ……ひひっ!もう怒ったからな……僕ァ悪かねぇ……! 理解のねぇ父も母も、兄も!誰も僕を見なかった!ああっ!そのざまがこれだよォ!! 最初から僕に任せとけばよかったんだッ!!(立てかけてあった手斧でおもむろに殴りつけるようにして目の前の巨漢を繋ぎ止める足枷を砕き)おらアヤセェ!早く輸送機にこの肉ダルマぶっこめよァ!! 」

麻統「――――――明日を楽しみにしてろよ徒紀和のババァ……いいや、いいや天下の大悪党さんよぉ……!目にもの見せてやるぜェ……! 出番だ、『バーサーカー』 」

アヤセ「いでで……あのこれ、あれ、労災おろさなきゃ………いやその前に『失業保険』かしら…… 」





――――麻統邸3F―――


???「――――――― ヒュオッッ (ルドゥラの声掛けに呼応し、手に持った紅の妖刀を斜めに人振り払うことで無言の返答とし……)―――――モッ  ト  モッと  もッと チカラ を……ッ!(たどたどしかった言葉を繰り返すことで赤子がそうするように『学習』し言葉を『習得』したのか、加工されたような声を発し、赤黒い瘴気を発しながら身構えルドゥラの攻撃を待つ) 」

ルドゥラ「まだ俺の真似をするか影法師(氷のように冷たい視線のなかに鋭い剣気を帯びさせながら)……いいだろう。全て真似して見せろ。模倣だろうがなんだろうが一瞬にして砕くのが"真の力"だ。(指ぬきグローブをグッと締めて気合を入れる)来い。――――まずはお前の全てを否定してやる。(莫大な魔力を以て編み出された幻影剣。それが円盤のように円陣を組み、高速回転し始める) 」

???「―――――クンッッ!!(円陣に配置された幻影剣を見るや、赤く燃ゆる瞳を大きく見開き、切っ先を床に向け、常人ならば『そこから動かなかった』と錯覚する速度の回転斬りで床に転がる刺客達の刀を一斉に宙に浮かし) シィィィィェェヤァッツ!!! (大きく扇状に軌跡を描く横薙ぎで浮いた刀の柄頭を捉え、一斉にルドゥラへ弾き飛ばす。剣技のみで成す幻影剣の模倣と言ったところか) 」

ルドゥラ「――――ほうッ!(???の技巧による再現を目視し、彼奴の持つ才能と可能性に目を付ける。だがそれでも尚一切の容赦なし。)シャシャシャシャシャッ!!(幻影剣の射出による迎撃。ふんだんに威力をまとった一振り一振りは、???の飛ばす剣を突き破りながら???の方へと高速で飛ぶ。自動追尾が付いているかの如く縦横無尽に飛び回るソレの切っ先が???の方へ) 」

???「―――――フッ(それは錯覚か否か、目以外はのっぺらぼうの『クチナシ』であったはずにも関わらず、僅かに口元に裂け目が走ったように見え……) トンッ!!  ┣¨ウ ン (大気に風穴を開けるように、前方のルドゥラへ俯せに近しいほどに上体を傾け疾走。『それが追尾する』と瞬時に認識しルドゥラの懐へ間合いを詰め)――――Yeahhh!!!!(左手で床を殴りつけ、バネがわりにし地面に接触するスレスレで上体を倒したまま錐揉み回転し丸ノコさながらの回転斬りをルドゥラの顎めがけ迫らせ……)ギュオッ!!(さらには???を追尾していた幻影剣が差し迫ってくる) 」

ルドゥラ「――――ッ!(???の急激な変化、状況の急変における迅速な対応。それら全てを加味しても異常と言わざるを得ないほどの進化に思わず息を飲んだ。)ぬぅううんッ!!(回転切りをしてくる???の攻撃を鞘で防ぎ、迫ってくる幻影剣を首を勢いよく左に傾けることにより躱す。これらも彼のとっさの判断だが、この咄嗟の判断さえも全て記憶するともなれば、目の前にいる化け物が如何に悍ましいかが見て取れる。さが、そんな中でもルドゥラは鋭い眼光を緩めない)―――シィイイッ!(ガードしたまま抜刀。その勢いのまま???に三連斬りを見舞う) 」

???「 ニ ン ッ (状況は好転はしていない。しかし今度は明確に『口元』に裂け目を作り人の『悦』を模倣した) ギィンッッ   クンッ (そしてルドゥラの反撃を見越して回避するかと思えば、逆に回転斬りの勢いを緩めず落下、咄嗟に刀を返し『峰』で床を殴りつけ自らがベイゴマか何かのように床の上を跳ねルドゥラより頭上へ。この間0.02秒) 」

???「――――― カァンッ!! ギィンッ!  キ  ィ   ィ   ン  !!  (そして今度は回転によって生じる斬撃の輪の角度を自らの身体の角度を新体操さながらに変えることで、真円状の斬撃を三回発生させルドゥラの迎撃を相殺、回転の勢いを殺されたことでラグを小さくし無駄なく着地する。『咄嗟の判断すら学習るする』というルドゥラの読みは的を射ていた)」 」

ルドゥラ「……フゥゥゥウウッ。(つい先ほどまでこちらに追いつくだけでも精一杯だった存在が、たったの数分でここまで成長したことに一種の敬意のようなものを感じる)……いいぞ影法師。よくぞここまで練り上げた。で、あるからこそ、俺の本気を見せてやろう。(ルドゥラ特有の居合の構え。しかし、その闘気は先ほどまでとは尋常ではない)―――――……Don't Move(そこを動くな)!! 」


???「――――――その 技 は ”覚えた”(たどたどしさは残るが、明確に言葉を発すると、同様に『形』は全く同一の構えを取り、瘴気は???を中心にして真円を描いた)ビリビリ――――? ―――――(同時に違和感を覚える。すでに模倣した技にも関わらず『何か』が違う。決定的な何かが違うことに…) 」



それは世界全てが疑似的な時間停止に陥るまでに匹敵するほどの"神速"。空間を歪めながそのらその神速で次元の狭間を切り、無数の斬撃の渦に巻き込む。まさに絶界と呼ぶに相応しい、何人たりとも生存を許さぬ鋭利な世界を作り出す



???「       ――――――――――――――― 。  ―――――――?  ―――――――――!!? (そう、それを模倣したなどとは奢り、いやそも???はルドゥラの剣の、その居合の真髄を片鱗すら見ていなかったことを思い知らされる。認識を得た頃には咄嗟に迎撃しようと放った斬撃は掻き消え、自らに無数の太刀傷などでは生ぬるい、『抉れた』ような『欠損』を抱いて中空に投げ飛ばされていた) 」

ルドゥラ「ズザザザザザ―――ッ!! ふぅぅう……(???が立っていた場所より後方に位置するところで止まり、ゆっくりと納刀、そして残心)……フンッ!(マントのように長いコートをはためかせ、乱れた髪型を元の通りにかき上げる) 」

???「――――――。認識、肯定……。力=殺意、殺意=極意……ワタシ には、それが……欠如……――――やはり私は、『彼女』は間違って……なカ―――――――(斬撃の余波のみで和装は幽霊船の帆のように千切れ、肉体を構成するあらゆる部位が両断されたことにより身動きはできず、天井を仰ぎ見ながらおの状況下においても『学習』し、『演算式』に溺れるようにしてルドゥラの背後へ落下していき……) 」

ルドゥラ「……Huh。(鞘に納めた刀を逆手で振り上げ、タイミングよく背後へと振る。そして……)グヂャァアッ!! べき、めきぃ……ッ!(鈍い音を立てて???に鞘の鏢が貫通し、かの串刺し公よりも凄惨な状態にする)……(その間、???に見向きもせず、じっと正面を向いていた) 」

???「――――   ポツ……  ポツ…… (もはや人型を保っているのかさえ一眼では判別の難しい醜態を晒し、ルドゥラの用意した墓標に貫かれ、ダラリと垂らした腕からは『黒い』流血が床に滴り落ちる)――――― 。――――――力(殺意)  を ・・・ (暫くそのまま、既に死に体であるかのように動かなかったが……) 」


『そうあれかしと叫ばねば、己になれぬ』

『そあれかしとただ斬らねば、己を護れぬ』

『斬れ、ただ斬り開け』

『そこにこそ■■■は――――――』



???「―――――――ブシッ  (瞬間、ルドゥラの首筋へ冷水を浴びせたかのような感触が走った) 力(殺意)  を  ……否。 殺意(ワタシ)を……!もっと…モットッ!!  ブシッ!!  ギュシュッッ!!!(突如として様子が豹変、鬼気迫るどころでは生ぬるい、『生存』へ『自己保存』への執念なのか自らを貫く鞘を両手で押さえ、穴を広げ肉体を『抉ることで』脱出しようとしていた) 」

ルドゥラ「……貴様ッ! ―――――ブォンッ!(急激な情動変化を感じ取った直後に、殴りつけるようなスイングで、愛刀を振り、無理矢理抉らせて???とを切り離す) 」

???「 ビシャァァァッッ!!!  ビシッ  ビチャビチャ……ボドッ  ビチ……  (最早頭部、胴体、四肢があること以外人の証明にはならない程に半壊した状態で黒い泥のような鮮血を扇状に広げ床にボロ雑巾のように転がり、肉片が散らばる。最早それが人であるなら既に生きているはずがない。それでも、ソレは野に忘れられた案山子のように立ち上がり、開け放された窓から差し込む月光を背に立ち上がる)モット”……殺意(ワタシ)を”…!! モット……   モット…………ッッ!!!!(壊れかけの蓄音機のように、嘆きにも似た切実な叫びを発した) 」

ルドゥラ「(???の悲鳴にも似た叫びを聞き、目を細める。そして、鋭く言い放った。)――――くだらん。実にくだらん。お前の剣に一縷の期待を寄せた俺が大馬鹿であった(それはこれまでの斬撃以上に鋭い言葉)貴様の言葉は全て"過去の遺物"からだ。過去から出でて過去に還ることしか出来ん者に、どうして力などが手に入る? 俺の技を模倣できても俺に及ばないのはそれが理由だ。……お前は虚無を恐れている。俗に言うのならば、人生の価値というものに振り回されている。……斬り捨てろ、そんなものッ! どんな生であれ、この世に生まれた以上、己は己でしかない。 」

???「――――。―――――(まだ『ヒト』に成り果てていないソレに、ルドゥラの言葉は『斬撃』に等しく、それ以上でも以下でもなかった、そのようにしか認識ができず)   ボツ…  ボツ……ボツポツポツ……(雨だれのように、絶えず『血の色』をした液体が発光体でしかない眼球から流れ落ち)……ガウ……チガウ……!殺意こそが俺だ、我が、私が”殺意”だ……!誰だ、何者だ……カエリタい 還りたィ……!!!!(最早思考が機能を失い、ただ内なる悲哀を闇雲に嗚咽し、自己矛盾により内部から壊れかけているのか一歩、また一歩、窓枠からテラスへと後退し始める)   」

ルドゥラ「…愚か者が。ならば教えてやる。――――なぜ貴様は自分の事がわからないのか、なぜ戻れもしない過去を求めるのか。――――貴様が、『弱い』からだ。貴様が今嘆き苦しんでいるのは、力が無いからだ。弱者は皆そうする。弱者はそうやって本来あるはずの力を失い死んでいく。(ルドゥラの瞳に映るものは、弱さへの果てしない憎悪と限りない力への意志)生まれが呪われているだの、生き方が歪つだの……そんなものはまるで関係がない。……――――『弱いから悪いんだ!!』 」

???「――――――――!!(同じ単語を繰り返す蓄音機は言葉の刃で電源をたたれたかのようにして止まった)……。…………(芽生えた自我に、芽生えたばかりで右も左も分からない自我が初めて”何か”確信を得たのか、暴走にも近い殺意は収まり) ……トッ………トトッ………(今度は体の制御を失いテラスの手すりに背を密着させ項垂れる) 」

???「――――――。(何かを訴えようと、もしくは伝えようとしたのか『何者か』の面影を宿し『人のソレ』を形成し始めた顔で、瞳でルドゥラを真っ直ぐに見据え、ようやく輪舞を得ようとした刹那) 」


┣¨ ォ オ ォ  ォォ ン  ……  (それは館という箱を持ち上げ、裏から側面を殴りつけたかのような衝撃だった。麻統亭庭の床からなんの前触れもなく火柱が登り、建物全体が大きく揺れた) 」 


ルドゥラ「なにぃ!?(建物全体が大きく揺れたことで、自身のバランスを保とうと身を動かす)これは一体……あの馬鹿め、なにをしようとしている。(瞬時に麻統の仕業と理解したルドゥラは空間を睨みつける) 」

???「――――――――――――――――――    (ルドゥラがその形作られた顔を見ることも、それがルドゥラへ伝えかけた言葉が何だったのかもわからぬまま、衝撃で崩れたテラスから投げ出され、館を囲むようにして流れる運河の暗がりへ飲み込まれた) 」

ルドゥラ「―――!(落ちていく???を見る。だが、駆け寄ったり手を伸ばすと言ったことはしなかった。もしもあれで死ねばそこまで。生きていれば、また相まみえることとなるだろう、と)……それよりも、この衝撃は一体。 」

「HEEEEeeeeeelllllllPmeeeeeeeeeeeeeeeee―――――――ッッ!!!!(聞けば『飽きれ』のあまり頭を抱えそうな間抜けな悲鳴が麻統亭一帯に響き) ナニモノダッ!! テイトク!!ナニヲ!!グァー!! (続いて銃声、悲鳴と続き敷地一帯が騒々しくなる) 」


バーサーカー?「ガァァァ――――八ッハッハッハァ―――――!!!んだよ『枢』の野郎!俺をハメたとか抜かしやがったかと思えばやっぱり戦場じゃねぇか!南も賑やかになったなぁえぇぇェェェんん!!!?(それは彼以外の言の葉がかき消えるほどの雄叫びにも近い高笑い。腰まで伸びる藁の束のような頭髪をなびかせ、顔と節々を拘束具で隠された筋骨隆々の巨漢の男が、薙刀に酷似している出刃包丁のような獲物を術理も何もかも無視して力任せに振るい、立ち塞がる麻統邸の警備を細切れにしながら爆炎の中心から出現し、全速前進していた。『麻統招二』を軽々と鷲掴みにして) 」

麻統「助けてくれえええええええええええええエエエエェェェェェェ――――――――――!!!!! 」

ルドゥラ「……――――――(恐らくここへ来て初めて見せるであろう仏頂面以外の表情。"面倒くさいから関わりたくない"という思いがひしひしと伝わってくるような無表情でバーサーカーに連れ回される麻統を見ていた) 」

バーサーカー?「聞けばお前天下取りたいんだってなァ!!!?んじゃぁお前!!!うだうだ言ってねぇで奪いに行けばいいんだろうが!!!!持ってるやつから!!!!ハッッハッハァァァ!!!俺を海でとっ捕まえたんだ!!!!んじゃぁお前の勝ちだ!!!!!半分以上俺のもんだけどな!!!!天下がなんだかはしらねぇがァァァ!!!!!(これでもかと馬鹿でかい声で体操愉快そうに高笑いし、麻統を抱えたまま)ハッハァァァ―――――!!!!!(たった一度の蹴りで麻統亭を軽々と超える高さまで飛翔。大和の城下町へ駆けていく) 」

麻統「やだあああああああ逆賊になううううううううううううううぅぅぅぅぅーーーーーーーーーー‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 」


ルドゥラ「一気に統制がなくなったか……まともな奴がまるでいない陣営に来てしまったようだ(やれやれと言いたげに) 」

アヤセ「うぅ‥‥ゲホッゲホッ‥‥酷い目にあった‥‥責任問題追求されるし労災おりませんわこれ‥‥あっ(下層から上がってきたにか、銃弾を受けた部位を手で押さえながら糸目で足を引きずりルドゥラと並ぶ)追わなくて……追わないですね。知ってた。 ――――― 見ました?『魔剣』 」

ルドゥラ「……(アヤセが魔剣と口にして一瞬眉を反応させる)さてな。妙な奴が多すぎてどれがどれだかわからん(目を伏せ腰に手を当てながらため息交じりに) 」

アヤセ「――――――ああ、まぁ多すぎますからね。あれといい……(遥か彼方へ飛び去った麻統達を指差してがっくりと肩を落とす)ぶっちゃけた話すると。私はあの大坊ちゃんの面倒を見ろだなんて無理難題は言いませんよ。あくまで私は『大和全体』の安定を切に願う市民ですからね。その上で依頼したんですよ。『出店』が掘り出したアレの破壊をねー。今だから懺悔しますが、最初からそれ目的でした 」

ルドゥラ「破壊、か。(そう呟いた後、???のこれまでの太刀筋を脳裏にて浮かべる)……お前の目的がどうであれ、斬るべき者がいるならば如何様にも斬ってやる。――――が、『アレ』はまんまと俺から逃げおおせた。……答えろ、あれはなんだ? 貴様の言うあの魔剣とは? 」

アヤセ「―――――気になります?まだまだ『強くなります』からね、あれ(ニッコリと自らの主人が拉致されたにも関わらず、それ以前にそもそんなこと眼中にもなかったかのように微笑みで返し。月下にて語り部のように唄を紡ぎ出す)―――――その昔か最近か、『四季崎記紀』といふ男がおりました。その男の作る刀は『完成形変体刀』と呼ばれ、武力を求める剣客やら将軍やらが大層『ソレ』を求めたそうです 」


――――時は流れ現代。嘘か誠か、ある変体刀を手に入れたと豪語していた男がぽっくりと死にました。『わっちは無敵じゃ。この刀がありゃ”全ての剣術が思いのままぜよ”』と酒の席で唄った矢先、自らがバッサリと『腹を切って』無くなったのです 」

――――以降、立て続けに自らを無敵の剣客と豪語したり、どんな剣も思いのままと歌い出す剣士が次々とぽっくりとお亡くなりになりました。お奉行は困り果てておりましたが、ある日共通点に気付くのです 」

―――――死の直前、彼らは『完成形変体刀・「鏡」』を手にしていたと。以後、この完成形変体刀は『初秋者を殺 す刀』として恐れられ、将軍様は『直ちにそれを封じよ』と命じました 」

――――――しかし、手掛かりを文献を読み漁っても『四季崎記紀』の伝記やら何やらを読み漁ってもそのような刀の存在はありませぬ。し仕方なく将軍様はその刀を『魔剣・月虹<ゲッコウ>』と定義し、渓谷を促したのです 」

――――――それから更に時は流れ……その怪事件はぱったりと起きなくなり、誰からも魔剣・月虹の存在は忘れ去られたのでした………… 」


アヤセ「―――――――とまぁ、これが完成形変体刀なのか?それとも別の何かなのか?謎が謎を呼ぶ魔剣のお話です。ままっ、『あれ』がどうかはさておいて。あくまで参考までにドーゾ(そう告げると、再び雅な笑みを浮かべ、首をかしげた) 」

ルドゥラ「参考にはしておく。四季崎のことは耳にしたことはあるが……色々と逸話の多い変人だそうだしな。……もっとも、アレが月紅であれなんであれ、次に出会えば斬るだけだ。……出会う頃にはそれ相応に力も増しているだろうて(案の定戦うこと以外に頭に無い。ダメージを与えられるのなら殺せるはずだと、これまでのルドゥラの直感が告げている) 」

アヤセ「ふふっ、頼もしいことで。不要でしょうが報酬は弾みますよー(腕を広げやれやれと言いたげに肩をすくめる)私は明日、麻統の坊っちゃまの代わりにことのあらましを説明に向かわねばなりませんがあなたはこれからどうなさるんです? 」

ルドゥラ「……あのガキにはバーサーカーとやらがいるんだろう? なら心配はあるまい。あぁいう奴は痛い目に遭っても大抵死なん(なぜかわかりかけてる自分に嫌気がさしながらも)……どうもこうもあるか。俺は雇われ人だ。俺の使い道を検討するのもお前達の仕事だ。どこかを斬りに行けというならそうしてみせよう。護衛をしろというのならそうしよう。……オレを上手く扱って見せろ。 」

アヤセ「どうでしょうね?私はどちらでも困りませんがー(そう返すとひらりと手を振り踵を返す)まっ、雇い入れた以上は責任がありますからね。口座には既に前金を振り込んでありますので当面は生活の心配は無用です、存分にあなたの『求道』をお行きなってくださいまし~~(雲のつかみどころのない声色でそう告げると、足音もなく、何の予備動作もなくさもなくそこから消えていた) 」







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最終更新:2019年05月16日 21:04