Judgement Of Kings 第終戦 過去ログ

幸一郎「(高台から、広大な海を眺めて)………遂に、始まるのか…………  この美しい夕日を拝めるのも、これで最後になるのかもしれないね…………。  ヂャラッ…(コートの中から、綺麗なピンク色の宝石をあしらった、金色のネックレスを取出し、眺める)―――――ミッちゃん……… 君とも、ぶつからなければいけないのかな――――――――――――――― 」


夕日の光を受けて、一層美しさを増す宝石の輝きを目に焼き付ける彼の脳裏には、掛け替えの無い仲間達、家族、そして、゛彼女゜との記憶がよぎっていた――――――――――


幸一郎「…………考えていても、仕方ない………今の僕に出来るのは、散って行った仲間たちの無念を晴らす事………もう、戻れはしないんだ―――――――――――――――(そう呟き、ネックレスを懐にしまう)………機関が何だ、誰にも邪魔なんてさせるものか………仲間たちの無念を晴らせるなら、僕は…………(そう言って、高台を後にする)…………結局、アイツとは仲直りできないままか…………それだけが、心残りかな。 」


~その頃、とある街中の路地裏にて~


ガッッ ドゴッッ バキッッ…(人気の少ない路地裏に、生々しい打撃音が響く)


構成員(緑)「ぐぉっっ………(口や鼻から血を流しながら、その場に倒れ込み)………お、おのれ………クソガキ…………ただで……済むとでm………ゲホッ!ゴホッ………!! 」

×××「ガスッッ(構成員の頭を踏みつけ)……ただで済むとでも、って言いたいわけ?………馬鹿じゃないの?そのクソガキに負けた雑魚のクセしてさぁ………(そう言って、禍々しいデザインの斧を構成員に突き付け)良い感じの斧だね、これ………あんたみたいなクソ雑魚には勿体無いんだけどー………  丁度、切れ味確かめたかったんだよね?先に襲い掛かって来たのあんたなわけだし―――――――――――――――   正当防衛って事で、良いよね?(笑みを浮かべた後、構成員に向けて、斧を振り下ろそうとする 」

構成員(緑)「――――――――――――――――――!!  く…………クソォォォッ――――――――――――――――(唇をかみしめ、蹲りながら、死を覚悟した 」


ガキィィィィンッッッ!!!(次の瞬間、振り下ろされた斧の刃が、何処からともなく現れた゜何か゜によって防がれる)


×××「なっ――――――――――――――!?(突然の妨害と、妨害した゜何か゜を見て、驚きを隠せない様子 」

構成員(緑)「―――――――――――――――ん……?い、生きて、いる………?い、一体………(恐る恐る顔を上げ、自信を守った者の姿を見る 」

ミオリ「(倒れている構成員の前に立ち、鋼鉄のガントレットで斧の刃を防ぎながら)…………早く行って!!(構成員に向けて強く言い放つ 」

×××「………どういうつもりよ………何しに来たわけ!?(ミオリを睨み付けて 」

構成員(緑)「!!……く………クソ………覚えて、いやがれ…………!!(ヨロヨロと立ち上がり、片足を引きずりながらも、急いで路地裏から立ち去って行く 」

ミオリ「別に、たまたま通りかかっただけ………そっちこそ、どういうつもり?傷だらけで、武器も持たない相手に対して………  まだこんな事を続けてるの、アッちゃん? 」

×××→アキラ「……! カチャッッ…(斧をガントレットから離し、肩に担いで)先に襲ってきたのはあっちよ?私はそれを返り討ちにして、とどめを刺そうとしただけでしょ、何が悪いの?……てか、私らの国の事情知ってるよね?あのクソ兄貴と密かに付き合ってんだったらさ………たまたま通りかかったとか言ってさ、本当は私の事つけてたんじゃないの? 」

ミオリ「そんなんじゃないよ!たまたま通りかかったのは本当だし、コウ君とはあれから連絡も取れてないし………   そ、そんな事より、国の事情がどうであれ、こんなことしてちゃダメよ!次から次へと、憎しみの連鎖を生むだけ………貴方も聞いたでしょ?あの報道を………エヴァドって人が言ってる事が確かなら、もうこんな事続けるべきじゃない………争いなんて止めて、それぞれの国なんて関係なく力を合わせるべきだよ! 」

アキラ「はぁ………  あんたも変わってないね?そうやって綺麗事ばかりほざいてさ、同じ様な感性のクソ兄貴と気が合うのも分かるわ………  エヴァドって奴が何?執行機関が何だっての?ただ偉そうにふんぞり返って、上からモノ言ってるクソ虫に、国同士力を合わせて会いに行って、「私達はもう戦争なんてしませーん、だからリセットなんて止めて下さーい!」って、頭下げてお願いするわけ?………バ  カ  か ! ?  あんたバカか!?そんな事、今更不可能に決まってるでしょ?この世から争いをなくすとか、どんだけ使い古された綺麗事だと思ってんの?前から頭おかしい奴だと思ってたけどさ、ここまで来るともうね………。 」

ミオリ「そ、そんなの………やってみなくちゃ分からないよ!あの人達は結局のところ、戦争を根絶したいんでしょ?だから、私達が止めれば世界のリセットだって止まるはず………同じ人間同士、分かりあえないわけが………! 」

アキラ「無理だって言ってんでしょ、黙れよこの脳内花畑クソ女がよ………確かに奴ら、「すべての国々が戦いを放棄し、我々と共に一つになるのか」とも言ってし、あんたはそうする事が一番平和的な解決法だと思ったわけだ?でもね、今更無理なもんは無理なの、いい加減現実を受け入れろよ?今まで散々殺し合って来て、いきなり仲良くしましょうとか、絶対無理だってそこらのガキでも分かるよ? 」

ミオリ「で、でも……私達が生き残るには、そうするしか無いよ!このまま争って、多くの無駄な血を流して、滅ぼされるのを待つよりも………!私は信じるよ、絶対国同士が力を合わせられるって!そうなる様に、私も出来る限りの力を尽くす………コウ君だってきっと………! 」

アキラ「はいはいはい、そうなると良いですねー?じゃぁ精々頑張れば?クソみたいな綺麗事をバカみたいに触れ回ってさ……あー、哀れだこと。(そう言って、歩き去って行く 」

ミオリ「あっ……! ………信じる……私は信じる………変われないわけ、無いもの………!(青い宝石のついたネックレスを握りしめて 」



構成員(緑)「(足を引きずりながら、人気の無い道を歩いて)…………クソ………あの黒のクソガキめ………次は……ただじゃおかねぇぞ…………徹底的にいたぶり、辱めて………想像を絶する苦痛と絶望を、味あわせてやる…………!! 」

ルナール「おやぁ………カカカ……そんなに慌てて、どこへ行く……(構成員の前方にて)(声-子安武人) 」

構成員(緑)「!!………あ、あんたは………  ちょ、調度良かった、これから本部の方に戻ろうと………と、その前に………さっき、向こうの路地裏に黒の組織の奴がいたんです…………それもメスのガキが………! 」

ルナール「―――――――ほう……メスのガキがねぇ………そりゃあツイてない、災難だったなぁ…?災難……そう……災難。(徐々に構成員のほうに近づいている) ――――――――――― 死.ね (…や否や、ルナールの腕が構成員の体を貫く)(声-子安武人) 」

構成員(緑)「え―――――――――――――――――――(一瞬何が起こったのか理解が出来ぬまま、衝撃と激痛が走った自らの腹部に目を向けて)―――――――――――――――――何故………? 」

ルナール「ズブッ(貫いた腕を抜く)ガキ一人に手こずりやがって………女のガキ一人仕留められなかった時点で、お前はこうなる………悪く思うなよ……ククク、カカカカ さぁて………ジュルリ......(声-子安武人) 」

構成員(緑)「ぐ………が…………ぁっ  ドサァッッ(その場に倒れ込み)……………だ………たずっ……ぇ………………(恐怖と絶望で震え、声にならない声で助けを乞う 」

ルナール「残念だなぁ…… お前の助けは……………―――――――――― こ゛ な゛ い゛ (なんと、構成員を捕食しはじめ、やがて跡形もなくなってしまう)(声-子安武人) 」

ルナール「おっと……つい夢中になるばかりかガキの情報を聞きそびれちまった。まあいい……組織の情報は掴めた。 あとは……………(フェードアウト)(声-子安武人) 」

ケント「(付近の建物の屋上からルナールを見下ろして)おやおや…………相変わらず、野蛮な人だ………しかしまぁ、面白くなってきたじゃありませんか………  さてと―――――――――――――――――― 僕らもそろそろ、暴れちゃいますかね?(笑みを浮かべ、その場を後にする」






––––––––––––人は愛するべき者を失った時、不幸たり得るのだろうか

––––––––––––それは違う。その者の善性を信じたにせよ、悪性に酔いしれたにせよ、人を愛した以上、また誰かを愛せるはずだ。愛という人間の性を見失わない以上、何も見失わない、違う誰かにその面影を重ねるはずだ

––––––––––––なれば、この世の地獄とは何か。希望に勝る幸福、対なる絶望とは何か

––––––––––––その解を求め、私は100、200……いや、それ以上の演算を果てなく続けた

「違う」

––––––––––––間違いだ、破綻している。私が愛した全ては、僕が愛した全ては、ただ代えようもない一は……もはや『ヒト』などではない。彼女は生まれる存在を間違えた

「違う」

––––––––––––間違いだ、破綻している。この世界に善性も悪性も存在しない。永遠に解のない問いかけを続け、そもそも存在しない解を自らに、子孫に、呪いとして受け継がせ争い、傷つき、そして苦悩する

「違う、違う違う違う!!」

––––––––––––間違いだ、破綻している。全ては己が業に意味をもたせんがためのまやかしだ

「違うッ!!」

––––––––––––間違いだ、破綻している。ただ存在しない、ただその笑みが、その涙が、その怒りが、伝える術もなく絶たれたのが許せないから

––––––––––––本当に許せないのは……愛すら必要のなくなったこの世界だ。本当に救えないのは、本当に救われたかったのは……

––––––––––––本当に許せないのは………………





––––––Chess VS Onyx “エゼキエル戦線”より七日経過……白の仮装国 Chess 謁見の間




Night「時は来たれり。最早猶予は要らず。卿よ、今こそ忠義を示せ、今こそ資格を提示せよ。サングル卿の亡きこの座に貴殿がある意味を、陛下にその忠を示せ」「––––––ブラックアウトによる失脚。あのような舞台にまで御膳たてされて逃げ帰ったなどとは申すまい」「示せ、示せ!

アルヴィス「–––––––(怒号に等しい指弾が飛び交う円卓。彼は『喪服』にすら見える、純白の空間には凡そ似つかわしくない黒衣をまとい目を伏せ沈黙を守り)––––––––– トンッ(一つのジェラルミンケースを棺のように冷たく床に横たわらせ、くるりと回転させ、蓋を開ける)–––––––然り。我こそは女王に忠を示し、我等が偉大なる帝国の正義に証を立てる。ご笑覧あれ–––––––––––––––




–––––遡ることChess VS Onyx “エゼキエル戦線”より五日経過……


––––Onyxis♞ 戦没者慰霊碑前–––





炬「暁、火咎病、イナ、桜庭、レオハルト、ギコ侍、スカーフィ…… お師匠様(一言一句、全てが己に降りかかる呪いのように重くそれでいて空虚に感ぜられた。先立った者の名がこうも重苦しく感ぜられるのは彼、彼女らに酬いる術をいよいよ見失ったからなのだろうと自覚する)俺、俺達……結局何を目指していたんだろうな? 普通に作物を育て、日々の恵みに感謝して、隣人と喜びを分かち……元はと言えば、それだけで生きていけたはずなんだ。それだけでよかったんだ………でも、こうして駆け抜けて、あんたらを据え置いて走り続けて……結局どこへ向かいたかったんだろうな

炬「–––––––お前は……そこから見える景色は違うのか、アル(慰霊碑を囲む常緑樹の暗がりへ、傘越しに流し目をやり囁く)

アルヴィス「––––––––いいえ、何も(暗がりに溶けるような黒衣、喪服にも見えるそれの背びれは尾のように揺らめき、歩を進め炬と並び立つ)結局、ヒトはヒトでしかありません。結局、今日まで生き残った仮想国も同じでしょう。滅びるわけにはいかなかった、譲れない信念が、いいえ……残すべきミームがあった。故に侵攻を許すわけにはいかず、ミームを残すため我武者羅に駆け抜け、結局その果は、戦いによってしか今を残せなかったという現実でしかないのですか

炬「なら、なんで今更ここに来たんだ。もはや帰るべき場所でもないはずだろ、だってお前にとっては…… 白も黒も、最早色すらも意味をなさないんだから

アルヴィス「––––––––––そうだね、決して分かりあうことはなかった。炬、君とも……それでも––––––(慰霊碑を見上げ、そこに刻まれた名、そ子に連なる名の一点のみを見据え、酷く懐かしむように口元を綻ばせた)お別れはしておきたかったんだ。仲間でも同胞でもなく、大切な友人だったのだから

炬「––––––(自分には目もくれないアルヴィスの横顔をじっと訝しげに見据え沈黙を守るが)––––––––ぶっ、あはははっ。お前って昔っからそういう奴だよな。物腰柔らかいっていうか……気弱そうに見えて頑固でさ(腰に手を当て歯を覗かせ、日常が帰って来たかのように笑う)な、アル、”帰ってこいよ”。お前がこの国をどう思っているのか知らねーけどさ。少なくとも”俺”は、またお前とただのダチでいたいんだ。どうせこんな大ごとになったら立場とかそんなちっせえこと気にしてられねぇだろ?

アルヴィス「炬……優しいんだね、君は。 僕が”組織”を取り入れるきっかけをくれたのも君だったっけ……いやまさか、あの主我さんがね(コートのポケットに手を突っ込み、彼もまた日常に帰ったかのように、ただの友人同士に戻ったかのように、伏見がちに微笑を浮かべる)

炬「––––––。………。(その名を耳に入れ、白の仮装国との戦闘において死闘を演じた一つの太陽が脳裏を過る)アル、お前––––––

アルヴィス「炬、僕はお別れに来たんだ。君達との思い出とも、僕がここにいたという記憶さえも、それらすべてを捨て去らなければ僕は己になれない、––––––––己に帰ることができない(慰霊碑から逃れるように目をそらし、先のような日常にあるような彼のそれではない、目の前で起きる『これからの事象』を見据えるかのように、悲痛に嘆き叫び出しそうな弱々しい微笑を浮かべ)

アルヴィス「–––––––––––僕は、君が憎かった。槭が疎ましかった、イナが煩わしかった、お師匠様が邪魔で仕方なかった、暁の愚かさには呆れた––––––––––– 僕は……”ヒト”が、ヒトの持つ悪性が憎くて憎くて仕方がない

炬「………ずっと、ずっと前から『それ』を伝えたかったのか

アルヴィス「この戦いが問いたのは『この戦争にではなく、永劫戦い終止符を打てるか』……ということだろう。そんなの問いかけるまでもない、不可能だ

––––––––眼前に広がる墓標達。それはさながらに死の畑だ。収穫される益は歴史。人類の転換期とは、無数の『死』を媒介とするものであり、大多数の幸福を優先とするため、従来死として恐れられたものは犠牲と意味付けされ、人々の悲哀という認識からは度外視される

炬「–––––––そんなことはない(アルヴィスと同じ墓標を力強く見据え、躊躇いがちながららも実体のある確信を持ってして否定する)俺達には……俺達には時間がなかっただけだ。アル……お前が俺達から多くを奪った奴らの元に降っていたとしても、その志は普遍だって信じてる。お前はそういう奴だったじゃないか……。だからこれは一つの『起点』なんだ。この戦争が暴力による対話の終止符なんだ……きっとこれが終われば––––––

アルヴィス「––––––––“僕達”は常に搾取される側だった(炬と全く同じ方向を向きながらも、彼が見据えるそこに光源はない。ただそこに夜が有るかのような瞳が、そこにある照らされない真実を正確に見据え–––––)『これが終われば太平の世が訪れる』か。なら……僕達はなんだ、何者なんだ。未来において名も顔も知らぬ、この悲劇の経験もない誰かがその世で日向に舞ったとして僕等には何が残る……これまで、原点から今に至るまで、そこに辿り着けたなかった者達、失われた者に報いなど有るだろうか

炬「–––––– ……ッ(戦いの果てに得たのはただの生存。そこに得たものはなく、そこに至ることができず失われたものばかりが脳裏に蘇る。思い出などではなく、遺産でもなく、ただた流血も伴わない冷たい傷跡だけが胸の内に刻まれ痛みが幻視と共に去来した)アル……ッ(それでも。)俺達は生きてるだろ、俺達にはこれからがあるだろ……(彼女(ツララ)は、失うだけのこの戦いから”何か”を得た。だから前に進んだ。その後ろ姿だけが、彼を奮いたたせ)傷の数を数えるだけじゃダメだ、足跡を数えを、道を振り返るんだ。決して綺麗なだけじゃない、それでも、それでも俺達が歩んできた道は、歴史は先に続いてるはずだろ……ッ(虚栄<墓標>ではない、確かにここに生きてる今も尚親友で有る青年、アルヴィスへまだ熱を失わない瞳で強く訴えかける)

アルヴィス「–––––––––––そうだね、相対的に見て……歴史とはそうあるだろう。だから(『それ』は届かない、彼は依然として失われたものを見据えた。何故なら)–––––––––僕には先を見据える理由も、生きる理由もない。あるとしたら……『今』に至るまでを『書き換える』だけだ

–––––––––号令。彼は人の内に秘めた潜在性が形作った殺意を還元させた。手を空高く掲げる。天上に聳えるは恵みの雨ではない、それはただ人を殺すためだけに存在する雨だった


アルヴィス「–––––––––『エターナル・オーダー』(無数に円を描くように、宙空に無数の黒剣が浮かぶ。一振りそれぞれが、黒点が如く熱を帯び雨水は霧へ、霧は雲へとホワイトアウトし、矛先を炬へ向けていた)–––––––––––先に逝け、親友。そうあれかしと存在する世界で……存続すべき歴史の中で、また巡り合うまで–––––––(腕を下ろす。黒い雨は新たに墓標を築く、赤い雨は滴り落ちる別れに返答は不要ず、彼はそうすると決めた時点で慈悲もなく、当たり前のように執行される)







–––––––––––アタッシュケースの内には、あたかもそれがあるべき場所へ、必然的にかつ機械的に納められたかのように収まっていた。凡そ死には程遠い若させあるはずの青年の首が、死に飾り添えられていた


「”剣山の炬”……」「『唯一無地の友』……否、『義兄』であったであろう男と聞き及んでいたが……」「笑止、笑止笑止!かような凶行を認められようか、かような狂気を受諾できようものか!卿よ、貴殿は破綻しているッ!」

「義兄を、まかりなりとも絆があった者を『敢えて』『必然と』選ぶような者を、惜しげなくその首を晒せる者に『親愛』などあろうものか!それは最早『兵器』だ!意志を持って動くただの殺意に他ならないッ!」

アルヴィス「………私に(ただ伏していた瞳を開き、あたかも今ある世界にない者の持つそれを覗かせ、冷淡な口を開く)いえ、この世界に『親愛』など存在したでしょうか。今あるこの歴史は親愛によって動いたものでしょうか。ここに至った歴史の原動力には慈悲というものは存在したでしょうか

アルヴィス「まさか、微塵も存在しません。人類相対的に前だけを向く生き物だからです。その先に向かうべき場所もなく、ただただ屍を並べながら、あたかも死を、犠牲を、殺戮痛みを尊いもののように賛美し、ごまかしたからこそ過度な繁栄が存在し我々はここに立つのでしょう。そう

アルヴィス「”私”は、私の意志でここに立っている、親愛や慈悲といった思想のためではない。私はアルヴィスという一つの武器としてここに立っている。陛下にとっての剣であればいい、陛下にとっての銃であればいい。照準が私が定めましょう、セーフティも私も外しましょう、トリガーは私が引きましょう、血の雨に濡れるのは私だけでいい……罪も業も私が道連れとしましょう。だから、陛下はそれとは無縁であればいい、何故なら人を殺す意思決定をするのは人であれど実行するのは武器であるのだから

「 承 認 」

「卿……!」ザワ…「いやしかし約定は果たされている…」ザワ……「……っ それが、私を滅し公に身を捧げんとする覚悟であらんとするなれば是非もなし……」ザワ……

「卿を正式に『Night』へ任命とする……ッ」

NightS「……–––––––––––––––––––––ニヒる(謁見の間、各々が各々の思いを胸に円を描き座す。その中に一人だけ、明確に悦を抱いて薄く笑む男が在り)–––––––ゼペット爺さんもまた操り人形だ。舞台の上でくるくる、与えられたロールを繰り返す」


–––––––––––

–––––––Chess 王宮の一室 最終決戦開戦より一夜が明けた頃–––––––

メイド「ルームサービスどぇーす!!!!!!!!!!(頭の天辺に指先をつけハートマークを形作り、開戦の余波により余すとこなく張り詰めたそれに覆われた空気をぶち壊すようにしてその一室のドアを蹴破る)卿の今日のお食事が驚愕のメニュー!キョウだけに、キョウだけに!!ヨジデーでござ––––––––

アルヴィス「 ペプシッ (かの……彼が現れるや否やメイドの顔の皮ノータイムで鷲掴みに文字通りに引き千切る)朝食は間に合ってます、ついでに言うとコーヒーも新聞も全て自分で取り寄せる主義です。小間使いは従えておりません(にっこり)

メイド→サイラス「(手の込んだマスクをひっぺがされおよそその服装には相応しくない髭面が現れる)あぅぅんひどぅんぃ……(指を一つ鳴らすと足元から伸びる影が刹那的に全身を覆い、元のスーツ姿を形作る)なぁぁぁかまはずれはないんんじゃァないのアルたん!俺も朝ごはんにお招きしてくれないと

アルヴィス「–––––––(深く重いため息を零し、入口の周囲に誰もいないことを確認してからドアを閉め鍵を二重にかける)–––––何の用です(背をドアに預け投げやりな視線を向ける)


サイラス「いやいやちょっとお手伝いをね!疲れるだろ少年、中間管理職の中の最高クラスのお仕事!おじさん”弟弟子”の就職と出世ほど嬉しくて心配なものはなくってございましてよ(屈折のない笑みを浮かべ、人形のように整った歯並びを覗かせ、目を少年のように輝かせた)]

サイラス「ほらぁ、大変だったろぉ〜〜……?ここまで来るのにぃ……信用できる人もいない、愛すべき人も……あとぉ……そうそう、この座に着くまでにぃ……君を信用してたお兄ちゃんをぶっ殺しちゃったぁ……(先までの嬉々とした模様は瞬く間に暗転し、ひどく悲哀に満ちた声色で、常にアルヴィスを中心に円を描くようにして歩を進め)ほとけさんみてきたよ、バラッバラのおせんべ焼けちゃったネ

アルヴィス「”世間話”なら他所で聞いてもらってください(あくまで世間話、その程度のものでしかないと言う認識を明確に示し)忙しいんですよ、ご存知の通り中間管理職ですからね

サイラス「あ、そう。で……それが何か問題?(オフィスチェアに勢いよく自らの背を投げて寄りかかり勢い余って背もたれが壁にぶつかるまで移動)べっつにどうでもいいんでしょー?本当のところはサ。戦争とか平和とか……おじさん知ってるんだからネ

アルヴィス「(サイラスの問いかけに眉がピクリと動き)––––––(全く心当たりもなく、何も言い当てられているわけでもない、少なくとも自己認識の範囲ではそうであるにもかかわらず、何かを的確に見抜かれているかのような感覚が胸を刺しナイフのように目を鋭くしサイラスへ一瞥をやる)

サイラス「––––––––世界平和。手段として国家という基盤<マニュアル>からの解放<レボリューション>、人民達の精神<Sense>を解き放て! いやぁ、まるで洗剤のCMみたいなセールス文句だぁ……–––––––(時にはリンカーンが如くあらぬ方へ指をさし、時にはサムズアップをし、両腕を広げ演説然とした仕草で語りかけ……)––––––––あのさ……そういう”嘘”って楽しいワケ。俺にはわかんねーわ–––––––【Ark gear】ってそんな簡単なことのために必要なの?

アルヴィス「––––––––紛れもなく世界平和も、国家という概念からの思想解放もまた、僕の求めるところですが。そのための地位だった、その為の虚偽だった、その為の手駒だった………。あなたの発言は上っ面だけが難解な、そもそも機能を果たさないパズルのようだ。地下には【Ark gear】は存在する……。僕は取り戻す、歴史から、人類による人類の破滅から、矛盾から……。現在の人に可能性は存在しない、だからこそ人ならざる力で囚われた精神を解き放つ。そこに何の矛盾がある

サイラス「いやいやそりゃないだろ。かくして少年は『イナたそ』を救いましたとさってかァァァ〜〜〜……?アルたん、それは『浮気』だァ。 再三言ったろォ?君に愛は必要ないって、もう愛すべきものはないってさァァ?あるのは破滅だ、忿怒だ、『闘争』と『破滅』だ。君が慈しむ世界というのは、今ある世界をぶち壊すための比較対象だよ。『不正解』を定義するには『正解』がないといけない。だからさ、君は用意したんだ(アルヴィスの瞳の奥へ指差し、彼の深層心理へ問いかける)君の『闘争』の『理由』を。それは用意された解であってカバーストーリー、君の真意はそこに存在しない

アルヴィス「–––––––––––––茶番だ(あたかも鏡と向き合うように、酷く見慣れた物を見据えるかのように冷淡な目を向け)根本を書き換えればそおもそも闘争も破滅も存在しない。その修正を成すことは即ち、それらに対する明確な否定の意だ。僕に……あなたの期待するような潜在意識は存在しない

サイラス「ふぇぇぇ……? まぁいっか。やるんなら本気でやろうか。嘘だろうが何だろうがその方がそこに”至るまで”は愉しいだろ。ハハハハハハハハ八!(くるりと椅子を回転させ壁を蹴りそのまま出口付近まキャスターを転がせる)––––––––––楽しみだなぁぁ『最奥』にある者を見た時君は–––––––––


『愛せる』かなァァァ『平和』をォォォァァァアァァ–––––––ッハハハッハハハッッハハハハハァァァハハハハ!!!!






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最終更新:2019年06月26日 20:12