–––悪魔城––– 【戦闘ログ①】


––– 寄宿舎前 公園入口 –––







ニオ「ガコン…ッ(無残に焼け焦げた倒木にドアノブらしき突起物が出現し、それを本物のドアのように切り開けて中からのそりと顔を出し)揃いも揃って……(大きく ため息を吐き零し消し炭を踏みつけながらその場に降り立ち焼け野原を見渡しながら)全くもって、手心というものを知らないわね。ここは冥土喫茶って奴かしら 」

リズ「(更地となった焼け野原の中心、旋風を背に浴び肩から腕まで焼け 爛れ負傷した彼女の姿があり、ニオへ振り返ることなく前方のある一点のみを見据えてい る)死人にクチナシ。残念ながら足もあるしこうして憎まれ口を零す悪友もいる、地獄には程遠くも近い場所だろうよ ––––––そうだろう、キャロル

キャロル「か……ぁ"……ハ"…ァ"…… ヒ…ック…カハ……ァ..(問いかけに対しうわごとのように何かを囁きながらリズへ黒ずんだ腕を伸ばすも届かない。仰向けに崩れ、灰を吸 い込んだためか、それとも戦闘で深手を負ったのか指先を動かすことすら難しく)––––– コトン(弦が切れるかのように意識が途絶え、手の甲が地の上に落ちる) 」


        Round0
     ― 月夜に舞う ―


華峰「一体何事でしょう・・・、斯様な場所でバーベキューでもしてその 不始末が起きたというわけでもあるわけでもないでしょうに。(歩いてくる) 」

リズ「……(表情一つ変えずその始終を見届け静かに目を伏せる)ニオ、手 筈通りに回収。土曜に回収車は来るまいがいらん世話を入れられるかもわからん、お人好しばかりだからね 」

龍司「………な、なんだ……!?なんで、火事が…!?(歩いてくる) 」

コンキリオ「はいよーッ!パカラッパカラッパカラッ―――(首無しナイトメアを駆 り、焼け野原の中心へ辿り着く)こっちに出てから、こんな濃い死の香りを嗅いだのは久々 だ・・・本能的に疼くな。 」

ニオ「(首を横に振りながら肩を竦め、皮表紙の分厚い本を開き掌をキャ ロルへ向け)寝ぬるに尸せず。居るに容づくらず。 よく言ったものだよ、当人の鼓膜もキ チンと潰したんだろうね、フラれたくなきゃキチンと言葉を選ぶべきだと思うよ(人差し指 を右に二回、縦に10回振り魔道書に刻まれた文字が光を放ち始める) 」

ニオの術式が発動し、打ち捨てられた人形のように動かなくなったキャロ ルを囲むように、10という数の杭が降り注ぎ、先端を結ぶ鉄の輪が生成され、瞬く間に彼 女を生け捕りにする鳥カゴが生成された

華峰「魔術・・・ですね。あなた方、これは一体どういった訳でしょうか?(二オとリズに) 」


リズ「大方噓偽りということはあるまい、事実-–––––(首をクイと捻 り、その場に集まった面々へニオの視線を誘導し)この界隈の者共は己の住む世界と、知っ てはならない世界の境目というものを、さながら恐怖という本能が欠落しおめおめと火へ身 を放るハエのように集ってくる。そう––––(状態を捻り、足音の聞こえた方向へ闇夜に冷 徹に輝く紅い双眼を向ける) 虫 ケ ラ 共 が な。 」

イナ「タッタッタッタッタ…… ……―――――寄宿舎の近くで火事だと思って来てみりゃ あ―――(公園入口の車止めポールに手をついて飛び越え、)―――リズ!!(着地と同時にた だリズを睨みつける) テメーどういうつもりだ、キャロルに何してやがる!! 」

ラウニ「(自動車の運転席から、煮え切らない表情で経緯を見守ってい る)……ボス、此処までは作戦通りだよな 」


コンキリオ「相変わらず見事な術式だ―――ほんとは今すぐにでも洗ってや りたいが、これも任務だしな。(鳥籠の中のキャロルを、というよりはその頭髪を一瞥し、 名残惜しそうにするも首を横に振る)やはり死の匂いに集ってきたハエは、俺だけじゃない らしいな。 」

華峰「虫けら、えぇ、きっと火の光に儚く集る蜻蛉でしょうね私たちは。 ―――なるほど、その口ぶりからして・・・・ギャング、でしょうか? 」

龍司「……あんたら、何か知ってそうだな……何をした…!?(リズとニオを 見る), 」


リズ「協会のシスター….はは、これはこれはこの場に不釣り合いな、返 って絵になるなァ?地獄の食卓を飾る羊の代わりぐらいにはなるだろう(忌むべき者を見るかのように華峰を見据え、眼を細めて言葉とは裏腹に愉快そうに笑む)それで?お前にそれ を説明して–––––(両腕を広げ、問いを投げかけそうとしたところにイナが駆け込み)…… (以前イナが見たリズとは似ても似つかない、妖艶ながらも血を啜る化け物が人の皮を被っ たかのような顔を向け)気安くその名を呼んでくれるな、カザマ。例えそれが我が愚妹で も……だ。 ……(ラウニコンキリオ……いいや、"まだ"使うべき駒ではないな)……(ニオ、 の更に奥の茂みに視線を向け) 」

ボウデン「……(花火にしてはド派手だねぇ…(自動車横の木にもたれかか りながら経過を見ている) 」


ニオ「ば……だ、だから程々にしておけとあれほど… 部外者の手は借りま いと言った奴が必要以上に巻き込んでどうすんのよ(額に手を当て心底呆れ返ったように首 を横に振り) 私は責任者でも無いしあなた達の処遇をどうこうすると言えた身じゃぁない けど……(パチンと指を鳴らし、キャロルを捉えた鳥カゴを"一瞬"で自身の隣に呼び寄せ、 底の見えない深さを湛えた瞳でその場の全員を見渡す)好奇心にせよ正義感にせよ……この 場においてはそのようなものは犬や猫にでも食わせておきなさい。命は投げ捨てる者じゃ無 い」


コンキリオ「藪をつついて蛇を出すとはよく言ったものだが―――つついて 出るのが蛇だけとぁ限らねぇ、この場合は・・・(首のない漆黒の馬の上で、漆黒の鎧で身 を固めた異形が。睥睨し、滾々と『死』の気配を放ち続けている―――) 」

華峰「そうですか、ではその食卓には是非ともおいでくださいな、持て成 しは地獄の沙汰にもよりますが(ニコニコ) さて、こうも人が集まってくるとなる と・・・穏やかじゃなくなってきますね。 」


イナ「…… …… ……っ(リズのあまりにも前回の印象と違いすぎる表情を見 て、思わずたじろぐ)あ ゙ァ……なぁリズよォ… テメーが、テメーらがそのつもりなら、オ レにも考えがあるぞ(青筋を立て、一切の『喜』『楽』の感情が入らないひくついた笑みを リズやニオに向ける) 」

リズ「……(コンキリオに目配せし、鳥かごの側に立つニオの方へ首を捻り 視線を誘導する)任せた、特急料金は弾むぞ もともと悪魔と呼ばれた身だ、私にはあつ らえ向きだろうよ、是非ご賞味させていただきたいものだ……最も、貴様が食材として原型 を留めていたなら、な。(腕を組み自虐的な発言とは裏腹に余裕の笑み)まぁ、その通り だ……。人の口には戸は立てられん、ともなれば……さて、どうしたものだろうな? ––––ほ う?(物理的には見上げる側でこそあるものの、頬に指を添えて道化を見下ろす客のように 微笑み)それはそれは……是非”示して”貰いたいものだな、いいさ……”やれよ。” 」

ラウニ「(今は私の出番じゃない…って訳か……)っと、忘れてた(鶏のマ スクを頭から被り、自動車のエンジンを掛ける) 」


コンキリオ「―――あいよ、頼むからこの子の頭一つぐらい後で洗わせてく れよな・・・!(グイッ、と手綱を引き、ナイトメアを駆り、鳥籠のすぐ隣まで移動する) 」

華峰「ふふ、その時は、ぶぶ漬けにでもして食してくださいな。――――さ て、そろそろ刃を向けられますかな? 」


ラング「ちょおっと待ったあ!!(大声が響く)ご近所さんから連絡があ って、何が起きたかと来てみれば…!(鳥籠に閉じ込められたキャロルを見る)何をやって るんだ、お前達はッ!!キャロルに……何を、どうして!! 」


ニオ「ああ!ああ本当にこいつら本当にもう!坊やといいエリザベスとい い脳筋ばかりか!(やってられねーよと言いたげに魔道書を床に投げ捨て地団駄を踏み)一 応私にとっても大事な積荷よ、ワレモノ扱いよろしく(指先一本の挙動だけで鳥かごを浮か せ、コンキリオの方へ飛ばし)私はお姫様扱いでね、しっかりエスコートなさい(続けざま にコンキリオの肩に魔法を駆使して飛び乗る) 」


コンキリオ「うおっと!(鳥籠をがっしりと掴み、抱える)お姫様っ て・・・あんた、俺でよかったな・・・俺以外の同族だったらもれなく―――いや言わんと こ・・・俺そういうのしないし・・・!(ぶんぶんと首を振る)っしゃぁ、飛ばすからしっ かり掴まっとけよな!(グイッと手綱を引き、首のない『ナイトメア』を勢い良く走らせる)」

イナ「―――――――――― ズ ゥ サ ァ ア ッ !! (リズ の声が合図となり、常に持ち歩いている竹刀を抜刀し、次の瞬間にはリズの正面へ肉薄し竹 刀を振り被っていた) あんま…ナメんじゃねーぞ…!(イナの眼光はリズの双眸を射抜き ―――) ヴ ゥ ン ッ !! (厚みのある風切り音を立て、リズの肩を目掛けて溜めた竹 刀を解き放つ) 」

龍司「……あんたも来たか、よろず屋さんよ(ラングの方を向く) 」

ラウニ「籠大丈夫か? …いや大丈夫だよな、これ……(車を発進させ、コ ンキリオの後ろに付く) 」


華峰「あら、あの方随分と血気盛んな・・・。(おかしい、いくらギャン グの実力者とはいえ・・・一人で?) 」

ラング「あっ、龍司さん!龍司さんも来てたんだn……(コンキリオとニオ が去っていくのを見る)……いやちょっと待ったって言ったでしょおおおおおおおおおおお おおおおおおお!!? 」

リズ「便利屋––––(ラングの叫びを耳に入れ、一瞥もやらず心なしか先ほ どよりも狡猾な声色と表情に変わり)全く運命という物は憎んでも憎み切れんな。あの愚図 もお前のような地雷を残していくとは…… なぁに、そう構えずとも私はそうそうカタギの 者に牙は向くまいさシスター(両腕を組んで伏見がちに笑み)ただ––––––(空を切り目前 まで迫るイナの一閃に対し、髪が風圧でなびくも涼しい表情を浮かべ)私の右腕とやらは、 肉体の一部でありながらも勝手に動くものらしい 」


––––


ジゼル「 ヴ ォ ン ッ (あたかもそこに既にいたかのように、リズと イナの間に割って入り)–––––私怨はありませんが(その言葉がまるで意味をなさないよう に、眼前の敵を、敵である以上に憎むべき存在のように殺気を湛えた眼で居抜き) ズ ァ オ ォッ ッ (刃が3本に増えたかのように見える三つの斬撃が、風車のように渦を巻いて同時 に繰り出され、火花を散らして竹刀とぶつかりあい刀身が深く食い込み鍔迫り合いになる) 御 命 令 で す の で 」

ボウデン「……さて、俺も籠をまもりますかね……?(コンキリオの後ろに着 いたラウニの横でセグウェイに乗りながらトンファーを構える) 」


龍司「とりあえず、どんなわけがあろうと……自然を破壊するやつぁ気にく わんね(レーザーガンを2本発生させる) 」

華峰「あら、それは恐ろしい。血を吸い過ぎた者の因果が作り出した魔物 でしょうね。―――――おや。(ジゼルが瞬時に現れたのを見て) 」


ニオ「いいや!待てないねッ!この空気の悪い空間に小一時間入れただけ で褒めて欲しいというものd ボロレッ(走り去る直前吐血しラングと龍司の足元に血が滴 りおちる)ケホッ……だから嫌だって言ったのよ……損な役回りよほんとに…… ご心配なく、ア ンタが文字通りのオークならあっちの王子様とドライヴデートに変更するから(ラウニに後 ろ指を指し)……バッ(二度見)あれ、女か。 」

イナ「ギギッ……ギチッ ギチギチ……!!(驚きと苛立ちが混じった表情をし、 ジゼルと鍔迫り合いに) ヤケに余裕かと思えば…仕事熱心な右腕をお持ちのようだな ァ…!!(汗が頬を伝い、鍔迫り合いをしているジゼルを睨みつける) 」


ラング「ええい!リズ、お前はお姉ちゃんだろ!!キャロルに一体何をし たんだ、何があったんだ!答えてくれ! ああッ、血が!!血が出てますよぉぉぉぉぉぉー っ!!(走り去っていくその背中に吼えた) 」

龍司「……おや、病人さんか……?(ニオの吐血を見て) 」


リズ「ああ、どうやら定期的に餌をやらないと植えるらしい……主人の格が 問われる事態だなぁこれは(近接戦にもつれ込むジゼル達を他所に館の方向へ駆けて行くコ ンミリオ達に横目をやり)ここまでは想定通りだ、あくまで––––(そしてその場に集った 全員を、一人一人目に焼き付けるように瞳に収め)シスター、野良マフィア、一匹狼、挙句 は正義の味方か……。 “早過ぎたな” 再三同じことを言わせるな、”今の”お前達に話し たところで私にも、キャロルにとっても、何も吉にも凶にも足りえん。力なき正義などお呼 びでは無い 」

ジゼル「ギ…ギギ……(口を閉ざしたまま刀を受け止めるが、徐々に押され 始め靴底が僅かに浮いて後ずさり) タ ァ ン ッ (バッグステップを踏んで空中で縦に1 回転し後方に着地)……(そして両腕を広げ、イナを含む全員へ深々と優雅に一礼し目を伏 せたまま)–––––お嬢様、急ぎ撤退を。 お客様のお相手私が御引き受けいたします故 」

ラング「俺のこの想いは、"正義"じゃない!"友情"だ!!友達であるキ ャロルに何があったのか、どうしてそうなったのか......知りたいと思うのは、当然だ ろ!! 」

華峰「あらまぁ、とんだ猟犬ですこと。――――しかし、どこかで見たこと のあるお方ですね。(ジゼルを見て) 」


ラング「俺のこの想いは、"正義"じゃない!"友情"だ!!友達であるキ ャロルに何があったのか、どうしてそうなったのか……知りたいと思うのは、当然だろ!! 」

龍司「おうよ、よろず屋さんよ…この辺が焼かれてたから何が起こったの かと思ったら…とんでもねえことになってるみてえだな……(ラングに)力なき正義ねぇ……そ れがお呼びでないかどうか…それはあんたが判断することじゃねえさ(リズに)……礼儀正し い従属さんだねぇ……(ジゼルを見ながら) 」

リズ「(隣に並び立つジゼル、前方の敵を見据え余裕を湛えた笑みは消 え)–––––生憎だがアポイントメントのない面会は秘書でも許せん、荷馬車と奴らの距離を 離すだけでいい 友情……(トンと米神に筋張った指を強く当て)なら尚更、教えたところ で意味はなさない。そのガラス細工の友情とやらと正義、お前はそれらを天秤にかける。た だそれだけの事に過ぎん さて……(無重力状態になり、月光をバックに夜を巻い……) 」

イナ「ヒュ ヒュンッ!(鍔迫り合いから脱出され、空を払い構え直す) (キ ャロルのあの姿……もうプレゼントどころじゃねぇ。どういう意図か知りゃしねぇが、とにかくアイツらとリズの横っ面ぶん殴って、目ェ覚まさせてやる…!)(舞うリズを見上げ) 」

リズ「ご機嫌よう、一夜の悪夢は日の出と共に費える運命。 (スカート の両端を掴み両腕を広げ一礼し)また相見える時あろうものならそれは夢幻ならざ る"死"と思え。(足元から伸び出る薔薇の形をした影に自らの姿を溶け込ませ、跡形もな く消え去る) 」

ラング「―――――ッ……!(リズが消えたのを見て目を見開く)……なぁアン タ、名前は?(イナに向き直って) 」


イナ「…… …… ……。(消えていったリズがいた場所をじっと見つめ) …風間イナ。(声をかけられ、ラングと向き合う)さっきから声が聞こえてた、考えてることは 大体同じみたいだな 」


華峰「つれない方ですねぇ、いいでしょう。殺気を向けられている以上、 神の教えなど紙くずにも等しい。では、教えを刃にのせて・・・・いえ、これでは宗派は違 いますが言うなれば"釈迦に説法"、でしょうか。(スラリと裾口から銃剣を二刀) 」

ジゼル「ヒュンッ(サーベルを斜めに振り払い、視線を向けた華峰に死途のよ うに冷徹な横目を向け)"人違い"でしょう……大方検討は付きますが既にそのような者、こ の現世にはおりませぬ故 さて–––––(前方に構える面々を見据えて刃を立てて構え)数え る程もない罪を背負った、ただ重いだけの漕ぎに等しき刃。見切るに容易い…… 時間稼ぎ をと仰せになられましたが、今この場で(残像を残しながらゆっくりと腕を上げて背に回し 状態を反らせ)汚物は消毒。例外なく職務に取り掛かります(感情を有さない仮面の下に忍 ばせた殺気に満ちた瞳を向ける) 」

ラング「あぁ、やることは一つだ(一瞬目を伏せ、すぐにジゼルへと目を 向ける)まずは……道を切り拓かないとな。そうだろ?ジゼル(そう言って両手に拳を作り 構える) 」


龍司「…風間、イナ…(イナの方を向く)なるほど、あんたが風間イナ、 か…俺は大宮龍司だ。君のことは勝美から少しは聞いてる(突然イナに) 」

イナ「ゾク…ッ…(ジゼルの殺気で背筋に冷たいものが走り、決して小さくな い恐怖がイナの心に生まれる) …? アンタは一体―――あぁ…勝美の知り合いなのか。(納 得したように龍司に) ……――――――。(ラングや華峰が構えたのを見て、自身も竹刀を構え る) 」

VS 【グラナートファミリエ構成員 ジゼル】


龍司「…あぁ、友達だ。勝美がいつも世話になってるな。…まぁ若干変なと こはあるが、これからも仲良くしてやってくれな…(父親のような発言)(イナに)……さて、勝負か(レーザーガンを2つ掌に発生させる) 」

ラング「あっ(そうだ、という感じで呟き)俺はラング・ブレイズ。悪 い、名乗るのが遅れちゃったな(こんな時でも人懐こい笑顔でイナに) 」

ジゼル「(ラングの声がけに対し直接の返答はなく肩をすくめ) あなた 方には神も、道も、守るべき者も……ない。進む事も、祈る事も、抱きしめる事もなく…… (その言葉を終えた刹那、フラッシュバッグのように見えるか見えないかの一瞬にジゼルが ナイフを投擲したかのような像が書い見えたかと思えば)キィィィ…ン(背に回した腕を”既 に”広げて振り払っており、彼女の頭上には今さにラング、イナ、華峰、竜司へ襲い掛から んとする無数のナイフが浮遊しており)お嬢様の目に入らぬよう ––––––––– 死 ね   (それらは 雨のように、戦地に降り注いだ) 」

イナ「あぁ、別にいいよ。それよりお前、余所見なんか余裕だな。…さっ き妙な感じがした。油断すんなよ(ラング、そして皆にも忠告する) あ、あぁ…こちらこ そ。(なんか勝美の父さんみたいな人だなぁ…) ん、な――――――(ジゼルのよって一瞬で 張り巡らされたナイフを見て目を見開く)―――クソ!障壁展開!!(付近にいる人たちも守 るように、薄い障壁をドーム状に展開する) 」

ラング「あ、そっか。やばいやばい(ジゼルに再び向き直り)……ってうお っ!……うおぉっ!?(降り注ぐナイフに驚き、イナが張った障壁に驚く) 」 

龍司「……っと、来たか……!(降り注ぐナイフをレーザーで撃ち落そうとし たが、イナの障壁を見て射撃を止める)……ほほぅ、あんたは盾がが使えるのか…… 」

イナ「はは、驚いたか?(どうだと言わんばかりの表情でラングに) あ ぁ、あんまり好きじゃねぇチカラだが…(龍司に) 」

華峰「(シールドに守られながら一人、ポツリとつぶやく)――――――"血染 めのジル" 」

ラング「凄いぞこれは!ほら、これ展開したままジゼルに近づいていけば 良いんじゃないか?ノーリスクで近付けるぞ! 」

ジゼル「障壁…… それに……(イナの障壁、そしてクリスタルを見)……そ う、あなたも"持っている"のね (先ほどまでの無表情を気取っていた化粧が微かに滲 み、一歩前へ踏み出す) –––可能性は無限大である。世界は、道とは、時とは無数に折り 重なって存在し……今現在という過程しか体感しえない。 だがしかし(二歩踏み出すと同 時に、サーベルは鞘へ、障壁に弾かれたナイフは彼女の手元へ一瞬で戻り)"結果"だけ だ。選択肢も、過去も、未来も、迷いも必要無い(再び構え直し攻撃に転じようと動き出す が)––––(血染めのジルの名を聞き、足を止め)……その名で呼んでいいのはあのお方だ け…..もう、 殺 す 」

––––双眼を見開いたジゼルはおもむろにナイフを持った腕を左右に振り 払い、それらを跡形もなく消し去った。そして再びその過程すら見せずにサーベルに持ち替え… 『一歩の踏み込みで一瞬にして間合いに入った』

華峰「―――!!(瞬間移動!?いや、ちがう。もっと単純な・・・いとも たやすく行われたえげつないスキルッ!) 」

ジゼル「その名を口にした事を、聞いた事を後悔しろ、魔剣と化した【血 染めのジルを】くれてやるッ! ズ ァ オ ォッ ッ (刃が3本に増えたかのように見え る三つの斬撃が、風車のように渦を巻いて同時に繰り出され…..) 」


イナ「――――(速い!?竹刀で防いで――駄目だ、それ"ごと"持っていかれる!――なら選択肢は1つ。オレが前に出ないと、勇気を振り絞らないと。どうか、間に合って―――)―――― ド フ ッ ! ! (歯を食いしばって一歩前へと踏み出し、ジゼルの凄まじい斬撃へ水晶が宿った手を翳す―――) 」


  ガ  ギ  ィ  イ  ィ  ン  ッ  !  !  !  (瞬間、劈くような金属音が響き渡る)   」


華峰「防いだ・・・・だが、その次ッ。彼女はしのげるかしら。 」

ジゼル「–––––!?(それぞれ全く異なる角度、軌道で繰り出される三重の斬撃、それにかざされる手に宿った水晶に目を奪われ、瞳が縮小していく)(この、水晶……まさかこいつ、この…"力"は–––––ッ) 」

––––––ヒュンッ……・・・ ・  ・    ト  ッ  (月光に晒される風切音と、舞う閃光。 ダイヤモンドよりも硬質なそれに弾かれたそれは宙を舞い、1回転2回転しながら折れたサーベルの切っ先となって地に突き刺さる) 」

*


イナ「………ニィ。(大粒の汗を浮かべ、苦しいながらも不敵に笑んで見せる。彼女が翳した手に握られていたのは……)……――――よォ、後悔するのはどっちだって? (――――喚楯【煌戦姫】"イージス・サマナー" 。)(息を呑むほどに美しい純白の大盾を携え、ジゼルと対峙する) 」

華峰「なんと・・・・あの盾、彼女はシールダーだったのですか・・・・。これならあるいは・・・・ッ! 」

ラング「―――――……(イナの"イージス・サマナー" の力と美しさに戦闘の最中であることも一瞬忘れて見惚れる)凄い……こんな力が……! 」

ジゼル「––––––––…………。(一瞬、何が起きたのか視界で認識しても理解が追いついていないかのように、折れたサーベルを振り抜き切ったままの体勢で硬直し)……ッッ!!!(言葉にすらできないほどのどす黒い、苦痛や恥辱にも似た感情で縮小した瞳が震え、唇を強く噛み締めた)––––––ええ、後悔以上に……"屈辱ね"  ッタァァン(あくまで常人のスピードでバックステップを踏み、距離を置きながらナイフをしまってある懐に手を伸ばそうとする "能力は使わない") –––––– 攻撃……(いや、"だめだ")……この……ッ!!(華峰やラング、竜司などその場に集まった人間全員に視線を送り表情が焦りで強張る) 」

ジゼル「ただの……"人間"の分際で……–––– !!(攻撃、回避……いや、"間に合わない"。5秒の間ではどの選択肢を、時を選択しても間に合わない……!絶対に!!)チャキッ(一瞬の間で移動できる僅かな距離を置いて、ナイフをスローイングしようと身構えるが、素人のように隙が多い) 」

イナ「あぁ、仕方ねーから前は任せろよ。安全に戦えるよう、お前らのリスクを減らしてやる。(華峰とラングに片手を上げて応える) どうした、ビビっちまったのかよ?(有利であると感じ、煽りともとれる言葉をジゼルへ投げかける) 」

イナ「…!(さっきみたいなデタラメな速さじゃない…!今オレに出来ることは…せめて壁になって、視界を潰す。上手く合わせろよ、お前ら―――!) ダッ!(ジゼルが退くと同時に、その距離を埋めるように大盾を構えて接近する。正面の視界を潰し、大盾という『壁』によってプレッシャーを与える意図) 」

ジゼル「(許さない…許さないゆるさないユルサナイユルサナイユルサナ……)……––––!!(来るかカザマ!まずは、お前を––––)殺……––––(慣れた手つきでナイフ抜き取ったナイフを振り上げるが)なン…ッ(しま……ゼロ距離では"発動できない。 "クソ……!)––––(盾の向こう側、見えない外敵に対する警戒からか動作が固まり歯噛みしたまま硬直し攻撃する隙そのものになる) 」

華峰「・・・・――――――時流水境。イナさん、むやみに近づくのは得策ではありません! 」

華峰「(仕方ない・・・・・ここは、援護しますか)ふん!!(銃剣二本と黒鍵三本をジゼルに投擲) 」

ラング「ああ、女の子に護ってもらうってのも情けないけど……今は、そうするしかない!(イナの後ろにつき、同時に接近していく) (飛び出すタイミングが重要だ……!視界が潰れた時……!!そして…味方の援護があったとき!!)そこぉッ!!(勢いよく右方向に飛び出し、迅速に飛び蹴りをジゼルに放つ) 」

ジゼル「(くそ……こんな……–––– こんな理不尽が)こ……のッ!!(突き出された盾に蹴りを入れて距離を離し戦線離脱を図るが)  フッ  (ようやく視界が開け現状を認識できたかと思いきや、前方に刃が迫り)––––– っっアァァッッッッ!!(声をあ張り上げ上体をヒンルようにしてナイフを振るい銃剣二本を弾き黒鍵一本を交わすも、残りの二本が肩、腕を掠め)ッぐ…う…!よくも、よくもこんな……––––––)┣¨ゴォ!!(怯んだタイミングでラングの鋭い蹴りが繰り出され、なすすべもなくそれを腹部に暗い後方へ矢のように吹っ飛日、背後の焼け焦げた木に叩きつけられる)––––か……ハ……(こんな、あるはずもなかった理不尽を……!!) 」

イナ「(ドッ!)―――うっぐ…!!(盾に対する蹴りの衝撃で体勢が崩れ、後方へ押し戻される。)……へっ…!(しかし、2人の連携が上手くいったことを見て"してやった"ような表情をジゼルへと向ける) ……突発的だったとはいえ、上出来じゃねーの。(ラングと華峰の連携に対して。) おい!もう十分だろ、まさかまだやろうってんじゃねェだろうな!(ジゼルへ) 」

ラング「ザッ!(蹴りの反動をその場で後ろへ一回転することにより軽減し、着地して体勢を整える) あぁ、2人のおかげだ!俺だけじゃ、突っ込むことしかできないからな(そう言った後ジゼルを見る)(やったか……?入った、はずだ……!) 」

ジゼル「––––…ザリッ(蹴りがクリーンヒットした腹部を押さえながらゆらりと音もなく立ち上がり)……この…間合いだ……ッ(今にも倒れそうなおぼつかない足取りでなんとか立ち続けながらも、口元から赤い筋を流した、決して小さくない肉体的苦痛を凌ぐ自尊心をキズ付けられたそれで歪んだ顔を上げ)確かに憶えた…… 次は仕留める、もはや戦う必要もない。 殺 し て や る 、それだけだ(従者と言う立場を超えた一人の人間としての殺意をむき出しにした目で睨みつける) 」

ジゼル「ス–––––– (コートのポケットから黒い液体の入った小瓶を徐ろにとりだ、後方へ後ろ指を向けし)お嬢様は……キャロル様はこの森を抜けた先にある……お前たち人間が、"悪魔城"と呼ぶ城へ輸送される……。 あのお方にワケを問いただすというのなら、来るといい。そこがお前たちの墓標だ–––––"私"が……今、そう決めた…ッ(手にした小瓶を床に叩きつけ、そこからジゼルを覆うように黒い揚羽蝶が舞う) 」

華峰「おや・・・まだ生きていましたか。これは倒すのに難儀しそうですね。 」

ラング「―――――ッ……(ジゼルの視線に冷や汗を流し硬直する) (あの目……今まで見てきたどんな目とも違う……きっとあれが、たぶん……"殺意"を込めた目なんだ……)待ってくれ、俺たちはただ…!キャロルを救いたいだけなんだ!いがみ合う必要なんて、どこにも……!(離れた場所にいるジゼルへ向け手を伸ばして訴える) 」

イナ「ゾッ……!(ジゼルの強大な殺意にさらされ、背筋に冷たいものが走る)お前…どうしてそこまでして―――(そこまで言いかけ、ばつが悪そうに口をつぐむ)(…自分のこと棚に上げて、何言ってんだか……ったく、クソ―――) ………悪魔城…(険しい顔をして口を閉ざし、ラングの訴えを聞きながら黒いアゲハ蝶に覆われるジゼルを見る) 」

ジゼル「理由……––––そうだな…お前たちがそうするというなら尚更、戦う理由は……(黒揚羽に包まれる中、ラングの言葉によって一瞬殺意が消え、消え入るような声で去り際に囁く)”私”には、有る。カザマ、貴様のその力も、ラングお前の想いも、シスター、お前達という存在そのもの全て、そうするに等しい––––(目を伏せ完全に黒揚羽に包まれて姿が見えなくなり、リズがそうしたように、その場かから僅かな血だまりを残して消え去る)……–––––– 」

ラング「……ジゼル……!(その言葉を聞き、消えたジゼルを見て無念そうに腕を下す)……なんでだよ……どうして、こんな風に…… 」

華峰「・・・こうする理由が。こうまでしないとならない理由があるのでしょうね。今は只管、彼女達に・・・・悪魔城に神の慈悲があらんことをお祈りするしかありませんわ(その言葉とは裏腹に口元はにやけ目は鋭く空を見ている) 」

イナ「………(ジゼルが消え去った跡に残った血だまりをしばし眺め、微かに震える唇を悟られないよう俯いて伏し目がちになる)………わからねぇよ。だから、ワケを問いただしに行くんだろ。(やがて顔を上げ、顎で奥の森を指し示して) …神様ねえ。はたして、神様とやらが悪魔に慈悲なんかかけるモンかね(自身の境遇もあり、神に対して否定的な発言) ……まぁいいや。…行くんだろ?(2人に問いかける) 」

ラング「……あぁ!(俯いていたが、イナに問われて前を向く)俺には、突き進むことしかできない……!待ってろよ、キャロル……リズ……!何があったのか、聞かせてもらうからな……! 」

華峰「ふふふ、主は、寛大であらせられますから・・・。(私の求める答えは・・・・この先にあるのでしょうか) 」

イナ「………(ラングと華峰に視線を送り、それから森へと歩き出す)……足手まといは御免だからな。(イージスサマナーを光の塵として消失させ、歩き出して2人に背を向けたままひらりと手を振る)(……すぐに迎えにいってやるからな、キャロル――――。)(森へ入ってフェードアウト) 」



  9人の罪人がいた 1人は母親だった
  娘である1番幼い囚人を庇い、その夫に殺され8人が残った

  8人の罪人がいた 1人が妻を殺した囚人に異議を唱えた
  その1人はデヴォンに出かけ、二度と戻らない。妻を殺した罪人は魔王だった 7人が残った

  7人の罪人がいた 1人が妻を殺した囚人を恐れ脱獄を図った
  1人が塀に張り付いたまま串刺しにされているのが見つかった 6人が残った

  6人の罪人がいた 1人は一番幼い囚人の折を見張った
  1人が昼食のパンを齧り死んだ 5人が残った

  5人の罪人がいた 1人は鍛冶屋で屍から槍を作っていた
  1人が鍛冶屋を殺してソレを奪い 4人が残った

  4人の罪人がいた 1人は魔王の右腕である使い魔だった
  その1人は槍で心臓を抜き取られ殺された 3人が残った

  3人の罪人がいた 3人は家族だった
  1人は父を十字に吊るし上げて殺し 2人が残った

  2人の罪人がいた 2人は姉妹だった
  姉は妹を鳥籠に入れ宝石のように大切に大切に束縛した



       ー悪魔城ー
    【Crimson Overture】



*

♪?    ––––某国墓所 森林地帯––––



ニオ「(木を媒介に魔法で生成した馬車に乗り、隣に鎮座するキャロルを閉じ込めた鳥かごに横目を向ける)3分と2秒……敗北はないとしても、そろそろ足止めも限界ね–––––(目を伏せて開いていた懐中時計を閉じ)ここでいいわ。面積も申し分ない……ここなら”描ける”(伏せていた目を開け、熱のない冷めた声色でコンキリオに伝え、鳥かごに手を置く) 」

コンキリオ「了解ッ、ストップだ!(手綱を引くように、グイッと首のない馬を操り、森の中で停止する)・・・魔法、か・・・俺は呪術以外てんでダメだからお手並み拝見だな。 」

ニオ「呪術の類もまぁ嫌いじゃないけどね。利便性を考えれば魔法の方が断然便利ってとこかしら(馬車の座に腰を下ろしたまま雑草一つない地面にチョークを三つ落とし)ガリガリガリガリガリ(それらが自律行動をして瞬く間に魔法陣を生成していく)やっぱり魔法って楽ね、美しいとか善悪とか……ややこしいことを抜きにすれば…… 」

コンキリオ「仕方ないんだよ・・・『呪術』とかその類の魔法のデメリットが無く使える代わりに、俺は殆どの魔法の適性を犠牲にしちまってる・・・選べないっつーのはほんと辛いね。(やれやれと、首をふる)しかしまぁ見事なもんだ、やっぱ呪術なんかより気楽に使えそうで羨ましい限りだね。(首のない馬を、適当に撫でてやる) 」

ニオ「選択の余地がないってかえって楽じゃない。何せ自分のやることはそれでいいって割り切れる分、思考に余裕ができていくらか人生が豊かになると思うんだけど–––––さて パチンッ(指を鳴らし、それが合図になったかのようにキャロルを覆った鳥かごが浮遊し、魔法陣の中心に降り立つ)あとは座標指定、演算をして飛ばせば……(言いかけたところで口をつぐみ、気だるげな無表情に影が落ちる)コンキリオ。時間稼ぎっていうのはそう長持ちしないものなのかしらね……––––––戦闘用意。 」

コンキリオ「割り切り・・・ねぇ、それで人間に目の敵にされて殺されかかるの辛いんだけど。(溜息をつく)―――あいよ、役割はタンクでOKだよな?俺あんま器用じゃないから・・・そこんとこヨロシク。(背中に背負った、湾曲したフランベルジュと黒い盾を手に、構える) 」













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最終更新:2020年09月27日 22:51