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16-331 名前:以下、名無しにかわりましてカールがお送りします[] 投稿日:2005/11/06(日) 02:16:48 ID:3oU5JsS0O

『大雨、時々、晴れ』を読むにあたって注意事項>
以前、朝倉×さよの感動系(?)SS『西の花畑』を書きましたが、今回はそれと比べてより一段と「行間を読め」です。
なので、以前『西の花畑』を読んで、気に入らなかった人には、今回のSSをスルーすることをお奨めします。恐らく、読んでも退屈以上に意味不明です。

今回のSSを読んでいる途中で、意味がわからなくなることがあるかもしれません。
その時は、そこを何度も読み直すのではなく、そのまま読み進めて、SSの最後まで読みきった後に、SSの最初から読み直すことをお奨めします。

正直言うと、このようなタイプのSSが、このスレで受け入れられるかどうか心配です。場違いかもしれません。スレ汚しかもしれません。でも投下しちゃいます

「意味不明だ」レスが多かったら、ヒントみたいなの出すかも…

16-332 名前:以下、名無しにかわりましてカールがお送りします[] 投稿日:2005/11/06(日) 02:19:13 ID:3oU5JsS0O
『大雨、時々、晴れ(1)茶々丸』

暗雲が喉を鳴らし、稲妻が地面を叩く。泣きじゃくった空は、大粒の涙を巻き散らす。車のライトは空間を色で染め、街灯に跳ねる雨は火花のよう。
私、絡繰茶々丸は、藍色の傘をさして学園内の商店街を歩いています。今日の夕食になる様々な食べ物を包んだ袋片手に、家に帰るところです。
え、夕食?クリームシチューです。マスターが…
「今晩の夕食は何だ?え…、何?コロッケだと?ダメだ。コロッケはダメだ…
…そうだ、シチューだ…クリームシチューにしよう!クリームシチューだ、茶々丸!今晩はクリームシチューにするぞ!」
…なんて子供みたいなわがままを言い出したせいで、私は大雨の中、買い出しです。
機械でもストレスは溜ります。ハァ…動けない姉さんが少し羨ましい。

ハッとしました。

気付けば、雨が止んでいました。そんな…ついさっきまでザアザア降っていたのに…。
掌を返して雨雲にかざし確かめます。傘からポツリと一粒の雨水が手に垂れました。雨雲は頭上でのみ途切れ、夕時らしからぬ明るい空が見えます。
大いなる自然は、人工の心をも魅了するものなのですね。
画像ファイルに保存しました。これで何度でも見れます。歯車のきしむ音が溜め息に変わる、すばらしい光景を、何度でも、何度でも。
16-333 名前:以下、名無しにかわりましてカールがお送りします[] 投稿日:2005/11/06(日) 02:21:30 ID:3oU5JsS0O
『大雨、時々、晴れ(2)相坂さよ』

わぁ!……きゃーっ!

雨は大降り。雷も…ほら!また光った!…きゃーっ!
何十年この世にいても、雷の音には慣れません。だって、怖いじゃないですか。まず、ピカッ!って光って、それから間をおいて…きゃーっ!
幽霊の体は雨が降っても濡れないし、雷も私に落ちないけれど、怖いものは怖いんです!それなのに、朝倉さんったら…

さよ「わ…また光りましたよ…きゃーっ!」
朝倉「ちょっと、さよちゃん?怖いなら怖いで構わないけど、一々叫ばないでよね。さっきから私の部屋がまるで、お化け屋敷みたいだよ」
さよ「そんなこと言われましても…わ、きゃーっ!」
朝倉「あ〜、もうー、雷の度に叫ぶんなら、部屋から出てって!集中して記事書けないじゃない!」
さよ「雷怖がってるのに追い出すんですか?」
朝倉「部屋の中でも怖がってるんだから、中も外も同じ!」

…と、部屋から追い出されてしまいました。もう今日はしょんぼりです。
とりあえず何処に行きましょうか…。やっぱりコンビニですかね。
と、思ってコンビニに着いたら、今度は雷が止んじゃいました。まだゴロゴロ鳴ってますけど…これなら部屋を出なくてもよかったんじゃないですか?
朝倉さんの部屋に帰ろうかどうしようか悩んでいると、建物隔てた向こう側の空に、雨雲が途切れて晴れてる場所が見えました。
なんだか綺麗です。そこだけ雲が雪のように真っ白で、他の雲に染まらず太陽を浴びています。
あの雲の切れ目の中心まで行ってみましょう。空を飛べるのは幽霊の特権ですね。こういう時は便利、便利。
わーっ!空から見下ろすと、街中の水溜まりが反射して輝いて見えます。この眺め、朝倉さんにも見せてあげたいな。
16-334 名前:以下、名無しにかわりましてカールがお送りします[] 投稿日:2005/11/06(日) 02:23:36 ID:3oU5JsS0O
『大雨、時々、晴れ(3)桜咲刹那』

天気予報通りの天気。なのに何故、私は傘を持たなかったのだろう…。でも、その不思議な偶然の結果、嬉しいことに雨宿りをしています。
雨宿りが嬉しい?それは少し理解され難いかもしれません。確かに、ただの雨宿りなら、私も憂鬱な気分に浸ることしかできなかったでしょう。
このちゃん。雨に濡れた黒髪は艶やかな塗りで、額(ひたい)を流れています。かじかんだ両手を白い息の温もりに晒しながら、桜色の笑顔を投げ掛けてくれる。
このちゃん。白い制服は透けて肌の色に染まり、華奢な姿の輪郭を確かにして。雨露滴る袖を絞りながら、他愛のない言葉を投げ掛けてくれる。
このちゃん。そう呼べる今が、当たり前になってしまったけれど。ふたりきりの雨宿りは、当たり前とは少し違います。
木乃香「せっちゃん、びしょ濡れやな」
雨音に遮られた密室に、このちゃんの無邪気な笑いが響く。この笑いは、今は、私だけのもの。まさに、ふたりだけの空間にいるのですから。
私はその笑いに身を委ね、心地良い幼心を呼び戻し、精一杯の日常で答える。
刹那「このちゃんも」

本当は、もう、お嬢様なんて呼びたくない。

この雨が永遠に降り続けてくれたなら……いいえ、そんなことを考えても仕方ありませんね。でも、少しでも長く降っていてくれたら、それはとても素敵なことです。
木乃香「あ!せっちゃん!向こう、見える?黒い雲が途切れて、日の光が射してるとこや。綺麗やなぁ…あそこまで行かん?」
眼を輝かせたこのちゃんに手を惹かれ、私は光に近付ける。このちゃんとなら、私は光に近付ける。
16-335 名前:以下、名無しにかわりましてカールがお送りします[] 投稿日:2005/11/06(日) 02:25:22 ID:3oU5JsS0O
『大雨、時々、晴れ(4)朝倉和美』

部屋の壁も越えて響く雨。暗くなりつつある夕空を、音を後に従えたフラッシュが白昼に戻す。
私のカメラも似たようなもの。夜を、暗がりを、闇を、仮初の白昼にする。
でも、雷も私も目にできるものは、白昼のそれと同じ。本当に見たいものは、見てるだけじゃわからない。心が泣いてても、笑って見せてくれる人はいるから。
私は何をしてしまったんだろう。
集中して記事が書けない?さよちゃんを追い出しても、原稿用紙は白紙のままじゃない!私は言い訳をしたいだけの理由で、友人に罪を擦り付けた。
雨に濡れないからって…
雷に当たらないからって…
彼女を責めたことが他の人にはわからないからって…

全部、さよちゃんの不幸を笑っただけじゃない!

今もきっと、地響きのようなシャッター音に、何処かで、さよちゃんが怯えてる。
外を見る。雨だ。雨が降ってる。さよちゃんを透かす雨が降ってる。
気が付いた時、私は傘を持って走ってた。ひとつは開いて右手に、もうひとつは閉じて左手に。
16-336 名前:以下、名無しにかわりましてカールがお送りします[] 投稿日:2005/11/06(日) 02:29:47 ID:3oU5JsS0O
『大雨、時々、晴れ(5)近衛木乃香』

せっちゃんの手を引っ張って、雲裂く晴れ間へ向かって駆けて行く。でも、走れば走れば走るほど、晴れ間は遠ざかってしまうように感じる…。
刹那「お嬢様、失礼します」
凛とした声。そして、せっちゃんはうちを抱えて、建物の2階、3階を跳び越えた。
木乃香抱「ほわぁ…高いなぁ〜」
途端に、街がミニチュアのようになる。小雨の粒を霧のように浴びながら、うちとせっちゃんは屋根伝いに晴れ間を目指した。
せっちゃんの鼓動が伝わる。せっちゃんが、こんな近くにいる。
せっちゃんの顔を下から見てると、不意にせっちゃんがこっちを向く。うちが笑うと、せっちゃんも笑ってくれた。
ぐんぐんと晴れ間が近付く。もう少し、もう少しで、あの晴れ間の真下に着く。
でも、次第に雨が強くなってきて、あっと言う間にまた大雨になってしもた。目の前の白い雲は今にも流れて、黒い雨雲に呑み込まれていく…。
刹那「消えてしまいましたね…」
大雨でびしょ濡れのせっちゃんが、悲しい顔をする。
木乃香「しゃーないよ、自然は人の勝手にならんし。でも、うち楽しかったえ。せっちゃんの顔、あんな近くで見れた」
刹那「ぉ…お嬢さ……このちゃん」
木乃香「あ!あれ、朝倉違うん?どないしたんやろ?傘持ってるのに、左肩がびっしょりや」
せっちゃんが手を振って朝倉を呼ぶ。それに気付いた朝倉が、空気に向かって何か話しながらこっちまで来た。
朝倉「二人とも、傘持ってないの?」
刹那「はい。天気予報は見ていたのですが…」
朝倉「早く帰って着替えないと、風邪ひくよ?…あ、ひとつ傘が余ってるから貸すよ。私"達"はひとつで足りるから」
そう言って、朝倉は余った傘を貸してくれた。でも、なんであんなに左に寄って傘さしてるんやろか…。
刹那「はい、お嬢様」
木乃香「まるで愛々傘やなぁ…」
うちが傘に入ると、頬を染めたせっちゃんの顔がまた近くなった。また、うちが笑うと、また、せっちゃんも笑ってくれた。
16-337 名前:以下、名無しにかわりましてカールがお送りします[投下したんで寝ます。オヤスzzz...] 投稿日:2005/11/06(日) 02:33:10 ID:3oU5JsS0O
『大雨、時々、晴れ(6-最後)エヴァ』

エヴァ「雨、一層強くなったな…」
独り言…か。
ゼロは別室、この部屋には私一人。茶々丸には夕食の材料を買いに行かせた。孤独に浸りたいときもあるのさ。特に、涙も誤魔化せる大雨の日には…。
これだけ生きてれば、悲しみに暮れる材料には事欠かない。今のこの部屋でなら、私は思う存分、泣くことができる。
私がここに住み始めて15年になる。実に単調な15年だった。私の人生の中で、最も退屈な15年だ。
「光に生きてみろ」奴はそう言った。しかし、どうだ?この15年に光など?

大雨に晒された薔薇の庭が気になって、窓を通して外を眺める。雨水に歪んだ木々に、人影が混ざる。帰って来たか…。
茶々丸「マスター、ただいま帰りました」
玄関で藍色の傘を畳んでいる茶々丸に、階段から返事をする。
エヴァ「勝手言って済まなかったな」
茶々丸「いいえ、マスター。それより、美しい光景を目にしたので画像を保存しました」
エヴァ「美しい?フン、お前が美しいと感じる光景か…興味あるな」
茶々丸「少しお待ちください。今からお見せします」
ハイテクなPCの画面に画像が映る。ほう、なかなかじゃないか……ん?なんだ、これは?
エヴァ「光の中心に何か見えるな…大きく見えるようにしてくれ」
茶々丸「はい、マスター」
…これは、相坂さよ?楽しそうな顔してるじゃないか…

フフフフフ…なるほどな。15年の退屈も、こいつと比べればまだ短いのか…。
エヴァ「茶々丸、この空を見たとき、どう感じた?」
茶々丸「はい、ですから…美しい、と」
エヴァ「…そうか。美しい、か」
雨はまだ降り続けている。退屈な雨だ。だから、晴れるのが待ち遠しいよ。なぁ?…ナギ。
16-345 名前:以下、名無しにかわりましてカールがお送りしました(過去形)[] 投稿日:2005/11/06(日) 09:38:42 ID:3oU5JsS0O


自分の文を自分で解説するのもイタイけど、用意してたのに書き込まないのはもったいない気がするので、保守も兼ねて以下を追加w

『大雨、時々、晴れ』意味的解釈付録>

茶々丸:下僕。主観を持たない永遠の客観。
エヴァ:孤独。闇に身を寄せる不幸。
相坂さよ:存在を確かめられずにいる真実。
朝倉和美:(真実が手元にないから)真実を求める記者。
桜咲刹那:消極的。保守的。不幸。
近衛木乃香:積極的。前進的。幸せ。

雨、水:涙。悲観。
晴れ、晴れの光:幸せ。希望。
雷の光:強制的な(身勝手な)光。
雷の音:恐怖。
…など。

例えばパート3の刹那の語りにある「桜色の笑顔」の「桜」は、桜咲刹那の名字にある「桜」で、「刹那に染まった色の笑顔(刹那あっての笑顔)」の意。
また、パート6でエヴァが薔薇の庭を心配するが、桜は薔薇の一種であり、そこから「雨に晒されて散るかもしれないと心配される薔薇」
つまり「悲しみで消えてしまうかもしれない儚い笑顔」の意でもあり、薔薇=桜の刹那を当てはめれば「幸せ(木乃香)無しでは散ってしまう刹那」にもなる。

…と、このような連想ゲーム的遊びもあったりw

16-348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/11/06(日) 10:20:22 ID:3oU5JsS0O
更に加えれば、パート3と5を繋げると…

パート3で、刹那は今の状況で満足しようとしているが、木乃香に導かれる。
パート5で、木乃香は一方的に刹那を引っ張るが、晴れ間(幸せ、希望)に近付けない。しかし、木乃香の影響を受けた刹那が積極的になると、晴れ間はぐんぐんと近付く。

とか、言い出したらキリがないなw

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最終更新:2007年07月29日 02:33