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 外を見ると、空が可怪しな色に染まっていた。
 あんまり可笑しかったものだから、けたけたと身体を揺らして笑ってみる。

 怖くはない。そもそも怖いとはなんだろう、一体どういう概念だったっけ?
 外からは今も時々大きな音や地響きが聞こえてくるけど、だから何ということもない。
 考えるのは無駄なことだ。わからないならわからないままでいい。それこそしあわせ、カミサマが教えてくれた無二の回答なのだから。

 わたしは十分頑張った。だからもう休んでいいし、何もしなくていいのだ。
 毎日のように響く怒鳴り声から、幼い弟を庇って傷つく必要もない。
 喧嘩ばかりのお父さんとお母さんも今はソファに並んで蕩けた声で仲良く愛を囁き合っている。
 弟の顔には青あざこそ残っていたけれど、ふたりの間で安心した顔で寝息を立てていた。
 その顔を見たらもう、わたしはこの世の誰にも、このしあわせを否定なんかさせるものかと心から思う。

 ありがとうカミサマ。あなたはきっととても優しい人。
 だってあなただけがわたしを、わたしの大好きだった家族を救けてくれた。

 過去? 未来? 全部全部忘れてしまおう。忘れてしまえばそれはないのと同じ。箱の中の猫はいつも丸くなって微睡んでいる。
 今ここにあるものだけがわたしのセカイ。ならその外側を想像して、勝手に不安になるのは不毛なことだ。
 無駄なことはしなくていい。あなたがそれを教えてくれたのだから、わたしはもう何も逆らわない。

 だらしなく足を投げ出して床に座り、お父さんが大事にしてた、いつか飲んでみたいと思ってたお酒を呷る。
 そういえば昔、ユイが大人になったら飲ませてやるって笑いながら頭を撫でてくれたっけ。
 あの頃はお父さんの会社も順調で、家の中にも笑顔が溢れてたなぁ。
 わたしたちはつらい現実に勝てなかったけど、だからこそ、降って湧いたこのしあわせが何より得難い宝物に思えるのだ。

 頭の中がふわふわして、身体全体がぽわぽわして、なんだかとっても気持ちいい。
 このまま空にだって飛んでいけそうだ。でもあのヘンな色の空はちょっと嫌かなって、口に出してまた笑った。
 箸が転んでもおかしいとはまさにこのこと。何気ないことのひとつひとつが嬉しくて面白くて堪らない。
 こんな時間がずぅっと続けばいいなと思いながら顔を上げて、少しだけ、びっくりした。

 ――目の前に、女の子が立っていた。

 長い黒髪にちいさな背丈。弟よりも少し高いくらいで、年は高学年になるかどうかってところだろうか。
 はじめまして、と言ってみた。どこから来たの、とも。呂律はあんまり回ってない。酔ってるからね。仕方ないね。
 すると女の子はくすりと笑って、まるで大人が子どもにそうするみたく、私に屈んで手を伸ばしてくる。

 なんだろうと思っていると、頭を撫でられた。
 髪を梳く細い指の感触がやけに気持ちいい。
 だけどわたしはもう高校生で、お姉さんなのにこんなことされるなんて恥ずかしいなぁと顔を熱くした。

「もう大丈夫ですよ。あなたは、今日までよくがんばりました」

 荒れ果てた家の中を見たから、そんな言葉をかけてくれたのだろうか。
 それとも、あちこち腫れたわたしの顔を見て、哀れんででもくれたのだろうか。
 どっちにしてもその優しさはわたしにとってすごく嬉しいもので、にへらと笑って、呂律の怪しい「ありがとう」を告げた。

「だから最後に、もうひとつだけがんばってください」

 ぷつり。
 少しだけ痛みがあって、それが最初。

「ぁ――ぇ、ぅ――?」

 人生で経験したことのない感覚が、おなかの中に広がっていく。
 わたしの中で、なにかがぐちぐちと蠢いているのが分かった。

「ぃ、あ……は、ぎゅ……?」

 痛い。苦しい。なのにそれを、ちっとも嫌だと思えないのはどうして?

「――――へ、は」

 あぁ、そっか、と思った。
 わたしは今、赤ちゃんができたのだ。
 この子はきっと天使さま。
 あるべきしあわせに辿り着いたわたしを祝福して、労って、新しい命を授けてくれたんだ。

「ぁは、っふふふふ、ふへ、は、あはははははは」

 なら笑おう。笑わなくちゃ生まれてくるこの子が可哀想。
 よく来てくれたね。ありがとう。わたしを選んでくれてとっても嬉しい。

 あ、今、肝臓がなくなった。
 食いしん坊さんなんだね。たんとお食べ。
 いっぱい食べなきゃおっきな子になれないものね。
 あなたは男の子? それとも女の子? どっちでもいいよあなたはわたしの大事な赤ちゃんなんだから。

 さぁさ両手でおなかを抱いて、ハッピーバースデーを歌いましょう。
 家族がおかしくなってからも、両親は誕生日にだけは必ず豪華なケーキを用意してくれた。
 ならあの人達の子であるわたしも、命が生まれてきた記念日には、ありったけの祝福を贈りたい。

「はっぴー……ばーすでー……とぅー、ゆー……♪」

 生きたまま食べられていくのはのたうち回りたいほど痛いけれど、カミサマのおかげで怖くない。

「はっぴー、ばーすでー、とぅー、ゆー……♪」

 カミサマ、ありがとう。
 天使さま、ありがとう。

「はっぴーばーすでー、でぃあ――――」

 わたしは、うまれてきて、しあわせでした。
 この子も、うんとしあわせになれるといいな。

 なれるよね。きっと。
 だって世界はこんなに優しい。
 お腹が破けて、中身が出てくる。
 顔を出した愛しいわが子へ、たった今つけた名前を呼んであげながら。


「ごめんなさい、ナシロさん」


 わたしは、わたしの天使さまの、泣き笑うような声を聞いた。



◇◇



「おいおい……マジで凄まじすぎるなこりゃ」

 広がっていく地獄絵図を手近なビルの屋上から眺めながら、ノクト・サムスタンプは思わず呟いた。

 無数の蝿が舞っている。生まれた蝿はまた獲物を探して飛び回り、夢見心地の獲物たちに卵を産み付ける。
 その繰り返しで、悪魔の眷属はネズミ算式に増殖していく。
 本来であれば一週間か二週間はかけて行う母子のプロセスが、誇張でなく数分単位で進んでゆくのだから圧巻だった。

 命を張った大勝負に勝ち、ノクト・サムスタンプは琴峯ナシロとそのサーヴァントを手に入れた。
 手に入れた、というのは身柄だけの話ではない。彼女達の文字通り生殺与奪までもが、契約の大義名分の下に彼の手に握られている。
 ナシロ自体に然程の価値はないものの、彼女が連れていたサーヴァント・アサシンは別だ。
 真贋不明の蝿の王。宿り蝿のベルゼブブを掌握して幾らも経たない内に、ノクトは自分がとんでもない打ち出の小槌を手に入れたことを確信した。

 ヤドリバエの子もまた、当然の如くヤドリバエ。
 アサシンが能動的に産み付けられる卵の数こそ限られているが、産まれた子が勝手に"励む"分には反動は来ない。
 悪魔らしい悪辣な過小広告だ。彼女の宝具は一度でも悪意を持って使用されれば、誰かがすべての子を殺すまで止まらない。
 産卵のための魔力消費がどれほど大きかろうと、一定の個体数さえ確保できたなら、後は放っておけば勝手に厄災が拡大していく。
 これまではナシロの手前使えなかっただけ。倫理の縛りを解かれた昆虫の殺害者は、その調停を随意に崩せる。

 現在の眷属数はたった数分で五十弱。
 月女神の救済で腑抜けと化したNPCは騒ぎも暴れもしないし、固有結界とFWで二重の隔離が成されているから、駆除に励める者の数も限られている。
 渋谷はヤドリバエにとって最高の狩場で、蛇腔は最高の養殖場だ。

(蛇絡みの抗争がどれだけ長引くかは知らねえが、この調子なら結界内のNPCを大半"持ち腹"に変えられるんじゃねえか?
 アサシンが消滅しても眷属が残り続けるのかは要確認として、上手く行けば数百単位の戦力を得られる可能性がある……!)

 ナシロの価値は人質と人柱。今後のことを考えるなら、彼女には蛇を中核とする一連の抗争で脱落して貰った方が話が早い。
 アサシン・ベルゼブブは当初ロミオを使い潰した場合のスペアとして検討していたが、実験も兼ねて行った"狩り"の結果を鑑み、彼女だけはなんとしても保持するべきと認識を改めた。

 ナシロと交わした契約の恩恵により、ノクトは本来母なる蝿王にしか従わない眷属達の指揮権を一部獲得している。
 つまり産まれた蝿達はすべて彼の兵隊も同然。人間のようにすぐ壊れず、放しておくだけで数が増える、理想の戦力だ。

(とはいえ、最大の問題をどうにかしないことには只の皮算用だ。あの蛇野郎、俺の想像を完全に超えてやがったからな)

 だがそれも、神寂縁を退陣させることが出来たならばの話。
 蛇は倒錯者であり、重度の偏執狂だ。あれは誰であれ、自分の真実を知る者を決して逃しはしないだろう。
 恐らくノクトも例外ではない。諸々の雑務が終わった暁には、報酬もなしにあっさり首を切られる未来が見えている。

 蛇の介入を待つ択を取ると決めた時、その実力を直接拝めることを僥倖と思った。
 しかし蓋を開けてみれば、パンドラの箱に詰まっていたのは想像を凌駕する極大の絶望。
 暗殺や契約で蹴落とすのはまず不可能だ。前者は言わずもがなだし、後者も制約を力ずくで破られてお終いに違いない。

「……神寂、ね。となるとまさかそういうコトか?」

 時を同じくして、傭兵も〈脱出王〉と同じ結論に辿り着く。但し彼の場合は流石と言うべきか、状況証拠からの類推だけでそれを導き出した。

(まあ、だからどうしたって話ではある。
 ジャリ共をぶつけてワンチャンス狙うのはギャンブル過ぎるし、そもそも英霊殺しの固有結界が終わってやがる。
 老獪で凶悪な怪物を人間だけで倒すなんざ普通にやってちゃまず不可能。予想通り"概念系"だとしても、やはり牙城を崩す一手が要るな)

 推測。蛇・神寂縁は現人神・神寂祓葉と同種の性質を持つ。
 恐らくは、敵が誰であろうと一手分飛び越える絶対の理不尽。
 ノクトは端から自分の手での打倒を諦めていたが、これで完全に挑む気を捨てた。

 その上、元々あった問題も何も変わっていない。
 確かに概念武装は脅威だ。しかしそれ以前に、『水子界・支配の蛇』による英霊弱体化が鬼門すぎる。
 祓葉でさえ挑戦自体は受け入れてくれるところを、あの老獪な蛇は勝てる相手にしか尋常な勝負をさせないのだ。
 新宿で赤騎士を奪えなかったことが此処に来て悔やまれる。結局のところ、規格外に対抗する手段はふたつしかないからだ。

 月女神に対して取ったように、対処を他人へ丸投げして一切関わらない。
 もしくは、その規格外性を何らかの手段で剥奪なり弱体化なりさせる。
 蛇腔へ取り込まれている以上蛇に一つ目は適用できないため、必然的に取れる択は第二案となるわけだが。

(別な資格者でも紛れ込んでないもんかねぇ。連中なら、場合によっちゃ風穴をブチ開けてくれそうなんだが……)

 これも、現状ではどうにもアテがない。
 強いて言うなら蛇が執着を寄せるマスター、レミュリン・ウェルブレイシス・スタールだが、それもどこまで信用していいものか。

 経験上、無いものをアテにして練る策は劇物だ。
 よって結局、ノクトの選択は当面の現状維持。
 表面上神寂縁へ協力しつつヤドリバエの眷属を増やして、できる範疇で"遺族達"との共倒れをアシストする。
 そんなことを考えていると、ぴとり、と傍らの地面に小さなシルエットが着地した。

「おう、ご苦労だったな。予想以上の仕事ぶりで嬉し……、……」

 産卵を終えたヤドリバエが帰投したものと見て視線を向け、一瞬言葉を失う。
 そこにいた彼女の姿は、最初に見た時と比べて些か以上に変貌していた。

「なんだよ。イメチェンか?」
「まあ、そんなとこです」

 当初腰丈程度だった髪の毛は、地面を這うほどに長くなり。
 背中の羽根も大きく伸長して、肌と瞳の色はそれぞれ病的な白色と真紅の赤色、アルビノを思わす色調だ。
 何より、漂わす気配が明確に先ほどまでのと趣を異にしている。

 ノクトでさえ一瞬忘我の境に立たされかけた、あの凶悪な威圧。
 その片鱗とでも呼ぶべき不吉で剣呑なオーラを、体臭のように常時発散しているのだ。
 要約すると、随分と悪魔らしい出で立ちになった。
 人に化けた悪魔というのはきっと、こんなナリと雰囲気になるのではないか。

「あと十分もあれば百体までは行けそうですけど、どのくらいまで増やせばいいです?」
「あー……そうだな。〈蝗害〉みたいな制御不能の混沌を演出したいわけでもねえ。
 五百――いや、三百で一旦止めといてくれ。補充したくなったらまた指示を出す」
「りょ、です」

 心境の変化か。予想は付くが、ノクトにとってはどうでもいいことだった。
 大事なのは使えるか使えないか。その点、ヤドリバエは明確に前者だ。

「ナシロは最上階の仮眠室で休ませてる。身体より心の疲労がデカいみたいだな。心配だったら会いに行ってやんな」
「あは。よくいけしゃあしゃあと言えますね」
「汗水流して稼いだ人質だ。簡単に潰れられたら困るんだよ」

 やはり欲しい。口ではああ言ったが、彼女の力は第二の〈蝗害〉になり得る。
 ただ、同時にノクトは若干の不気味さも感じていた。
 その態度だ。自分が昏倒している間にマスターを略取され、自分も使い走りに堕したなど、英霊にしてみれば憤死モノの屈辱だろう。
 にも関わらずヤドリバエは己の隣でくすくすと上品に笑っており、まるで少し浮足立った良いとこの子どものようだ。

「一応釘刺しとくが、変な気を起こしても無駄だぜ。
 ナシロだけじゃなくお前も俺の契約で縛られてんだ。流石に令呪並みとは行かないが、こっちも伊達に契約(これ)で飯食ってねえ」

 サムスタンプの魔術師が扱う契約には、幾つかのランクが存在する。
 書面の契約でもノートの切れ端と正式なフォーマットの契約書では格が違うように、用いる媒体によって効力が左右される。
 良い道具を使って交わした契約なら効き目も跳ね上がるし、それ以外にも契約の形態などで、制約の強度は万華鏡のように変化していく。

 今回琴峯ナシロに使ったのは、ノクトの手持ちの中でも最上級の証文礼装だ。
 五代前の当主が〈夜の女王〉との交渉で獲得した、幻想種の涙を用い百夜かけて灌がれた十枚綴の羊皮紙。
 父を抹殺したついでに奪い取った品物で、残り枚数はわずかに二枚。今回使ったのを除けば残り一枚。

 ノクトが用意できる限り最上級の媒体で作った契約書の文面には、更にナシロとヤドリバエの身分関係を明確に定義するという仕掛けが施してある。
 主人以上に、その従僕であるサーヴァントに対して強い束縛を齎す――聖杯戦争でこの手を使うにあたり、前々から考案していた罠だ。
 対魔力を持たないアサシンクラスのサーヴァントであれば、まず間違いなく抗うことは叶うまい。

「なんですか? 藪から棒に。もしかして今になって怖くなっちゃいました? ノクト・サムスタンプさん」
「かもな。傭兵の世界じゃ小心者ほど重宝されるんでな、職業病ってやつだよ」
「はぁ。不便ですね」
「あと、俺のことはマスターと呼びな。追々そうなるんだ、事前に練習くらいはさせてやる」

 脅してみても特に気分を害した様子を見せないヤドリバエに、ノクトは肩を竦める。
 が、確かにあまり小心していても仕方がない。
 それに、彼女とは話してみたいこともあったのだ。

「なあ。お前、神寂縁を殺せるか?」

 ノクトのサーヴァントはアレなので、建設的な議論などとてもじゃないが期待できない。
 まともに話せる英霊というのは、この傭兵が唯一持ち得ない道具だった。

「妙なことを聞きますね。お仲間なんじゃないんですか」
「質問してるのはこっちだ。で、どうなんだよ」

 更に言うとこのサーヴァントは、赤騎士亡き今の針音都市でも屈指の異質さを誇っている。
 ベルゼブブの真名を持ちながら、それにしてはあまりにも性能の心許ない謎の英霊。
 順当に考えれば"無辜の怪物"で蝿王の寓話を貼り付けられたただの虫螻なのだろうが、そう片付けるのも尚早に思えた。

 何しろあの蛇が、見下しとは違った怪訝な反応を見せていたのだ。
 彼女には何かがある。そこに期待しての質問だったが、しかし結果は――

「わたしが殺せるのか、って話なら、ノーですね」
「……だよな。はぁ」
「毒の結界が厄介です。多分あれは、人間じゃないと倒せないと思いますよ」

 期待外れ。ノクトも知っている答えが返ってきただけだ。
 やはりそううまい話はないらしい。
 となるとやはり遺族達の奮闘か、未知の不確定要素に委ねるしかないのか――と、思ったところで。

「――ふふっ、くふ、くふふふふ……」
「……何が可笑しい?」

 ベルゼブブの噴き出すような笑い声に眉根を寄せた。
 純粋に怪訝に感じたのもあるが、半分は先にも触れた、奇妙な不気味さに心を揺さぶられてのことだ。

「や、ごめんなさい。ちょっと、どうしても面白くって」

 この少女は、こんな風に嗤う存在(サーヴァント)だったろうか。
 先の戦いではむしろ知性を感じさせない、未熟丸出しの物言いが目立つ手合いではなかったか。
 なのに今の彼女は、やはりどこか違っている。
 一皮剥けたというような。もしくは、何か、吹っ切れてしまったような。

「みんな、あの虫がそんなに怖いんですねぇ」

 くすくす。けたけた。
 蝿の悪魔が、嗤っている。

「支配の蛇だなんて大きく出ておいて、やってることは食べ盛りの芋虫と何も変わらない。
 その証拠に未だ、世界ひとつさえ支配できてない。
 人間なんてちっぽけな生き物の頭の中に消えない恐怖を植え付けて、恐ろしさの象徴になることもできてない――そんな虫さんをそこまで怖がるなんて、なんか、可愛いなぁって」

 ぶぶぶぶぶ。ぶぶぶぶぶ。
 あの音がする。虫の羽音が。これは幻聴だろうか。それとも? 判別が付かない。

「確かにわたしはアレを殺せないでしょう。でもね、さっき触ってみて、確信しました」
「何をだ」
「あれは隙だらけです。
 自分が最強の生き物だと信じてるから、自分を穿てるものがあるなんて想像もしてない。
 天敵なんているわけがないと高を括って葉っぱを貪る、あは、飽きるほど見てきた餌の顔ですよ」

 ノクトは仕事を完璧にこなした。
 アプローチ。立ち回り。商談を持ちかけるタイミングも、呑ませた条件もすべてが最上。
 だからこそ数百体の眷属の獲得が確約されているわけで、そこに陥穽などあろう筈もない。彼が誰よりそれを分かっている。

 なのにこの時、ノクト・サムスタンプが抱いた感情はひとつ。
 "自分はひょっとして、何かとんでもないミスをやらかしたのではないか"。
 そんな、輪郭のない不安だった。

「殺せるんです。斃せるんですよ、ノクト・サムスタンプさん。あれは無敵なんかじゃない」
「――――待て。お前」

 その不安の正体を、ノクトは些細な言動から看破する。


「俺の契約に、縛られてねえのか?」


 震える声で紡いだ問いに、少女はぴたりと動きを止めて。
 隣に立つ魔術師の顔を見上げて、にたぁ、と、嗤った。



◇◇



「――ッ!」

 小さな手がぬるりと伸びてきて、死を覚悟しながら飛び退く。
 令呪使用の準備を整えながら、ノクトは無害化したと信じていた悪魔の矮躯を睥睨した。

 ――アサシン・ベルゼブブは、本当に自分の支配下にあるのか。

 戻ってきた彼女の不気味な言動を見て、彼も当然その疑念は抱いた。
 考え難い話と思ったが、万全を期すに越したことはない。
 何せ相手は底知れない何かを秘めた、未だ正確な素性の知れない英霊。
 だから平静を装いながら、会話の中に嘘発見器(ポリグラフ)を仕込んだのだ。

『あと、俺のことはマスターと呼びな。追々そうなるんだ、事前に練習くらいはさせてやる』

 何気ない、一見すると挑発のような科白。
 だが彼女が契約の制約を受けているならば、この命令に逆らうことは出来ない筈。
 なのに直近のやり取りの中で、このサーヴァントは自分のことを『ノクト・サムスタンプ』と呼んだ。

 確定だ。アサシン・ベルゼブブは、契約に縛られていない。
 今に至るまで在るべき制約を無視しながら、従順な走狗を装っていた……!

「――動くな!」

 令呪の刻まれた腕を何があろうと守れるように構えつつ、戦慄を押し殺しながら声を張り上げる。

「ナシロとの契約は生きてる。もし俺と敵対すれば、直ちに命令を出して、あのガキを自殺させるぞ……!」

 サーヴァントが横紙破りをやっていたとしても、マスターであるナシロまでそうではない筈だ。
 彼女があの場で見せた動揺と、高乃河二に向けた声の震えは間違いなく真実のもの。
 ならばナシロの生殺与奪は今も己の手の中。切るには惜しいが、今確信した。このサーヴァントは、首輪なしで飼うには危険すぎる。
 もしこの忠告を無視して敵対的行動を取り続けるならナシロを自害させ、強引にでも悪魔の命脈を断ち切るまで。

 冷や汗を伝わせながら牽制するノクトに、宿り蝿のベルゼブブは――直前までの態度が嘘のように、ひらひらと両手を振ってみせた。

「冗談ですよ。もしかして馬鹿だと思われてます? わたしだってそのくらいは分かってますって」
「……、……テメェ」
「お察しの通り、わたしはナシロさんをとても大切に思っています。
 あの人の命が握られている以上、あなたに刃向かう選択肢はありません。よかったですね、ちゃんと思い通りですよ」

 ノクト・サムスタンプが果たした仕事は百点満点。 
 だがその成果は、幼気な悪魔にきっかけを与えてしまった。
 一皮剥けた悪魔は、前よりも少しだけ悪魔らしいことができる。
 悪魔と商売をしてはならないだなんて、サムスタンプ家では小学校にあがる前に習うことだ。

「……そうか、悪いな。こっちから騒いどいて何だが、話を戻していいか」

 しかしノクトも、腰を抜かして怯えるような無様は晒さない。
 身体に込めた力を抜き、笑みを戻して悪魔と相対する。

「さっきの口振りからするに、お前――あの蛇野郎に何かしたな?」
「さあ、どうでしょう」
「この期に及んでとぼけンなよ。お前が奴に触れたのは俺も見てた」

 カマをかけているのではなく、実際にノクトはそれを見ていた。
 蛇に制圧された彼女は、無数の触腕に絡め取られながら、無駄な抵抗を繰り返していたのだ。
 手足をばたつかせて何度も叩く。誰がどう見ても無駄としか言い様のない行動だが、しかし。

「はぁ。バレてるんだったら、ネタバラシしちゃいましょっか。
 見たところあなたも、あの虫に潰れてほしい側の人間みたいですし。あ、死ぬほどムカつくので全部終わったら殺しますけどね」

 ――もしもその行動に、何か先を見越した意図があったとしたら?

「お察しの通りです。わたしは、蛇に卵を産みました」
「……!」

 ヤドリバエ。その生き物は、生きた昆虫の体内に産卵する。
 孵った幼虫は宿主の肉を食いながら成長し、やがて身体を突き破って体外へ脱出する。
 惰弱で未熟な蝿王候補生が持つ、唯一無二にして、凶悪無比なる牙である。

「いや待て、それは流石に腑に落ちん。
 眷属を増やすにあたってお前には"産卵行動"スキルの説明をさせたが、サーヴァントと契約してるマスターには産み付けられないって話だった筈だ。
 まさかそこからして、俺を騙すための嘘だったのか?」
「ご心配なく。嘘は言ってないですよ。
 契約のパスか何かが悪さをするみたいで、マスターさんの体内じゃ卵が孵らないみたいなんです」

 神寂縁は化物だ。しかし、あくまでもマスターである。
 ベルゼブブの説明を信じるならば、使役しているサーヴァントが健在の限り、彼に産み付けた卵は徒花に終わる筈。
 よもや先に蛇が使役する英霊を退かす必要があるのかと思ったノクトだが、それも違うらしい。

「だから言ったじゃないですか、わたしにあの虫は殺せない。でも」

 開いた口の中。墨を垂らしたような闇が広がるそこで、上下の歯を透明な唾液の糸が繋いでいた。
 さながらそれは蜘蛛の糸。但し天国ではなく、もっと別な地獄へ導く羂索か。

「孔を穿つことならできる。だってあれの中には、可哀想な命の魂(なれはて)が、しこたま詰まってるでしょう?」

 神寂縁の力の根底にあるのは、彼が喰らってきた魂たちの存在だ。
 即ち4423体の子女の魂。蛇に喰われた被害者は死後へ導かれることなく、彼の体内で永劫に囚われ続ける。
 己の未来を奪った存在に、寄り添い生きさせ続けられている子どもたち。その一匹(ひとり)をあの時、ヤドリバエが標的にした。

 産卵は完了している。
 妖蛆は魂を喰って育つ。
 いずれは肉の檻を破り、外の世界へと翔び立つだろう。

 ――その時。絶対だった蛇の支配に、ひとつの綻びが生まれるのだ。
 形はどうあれ、永劫囚われているべき虜囚のひとりが、籠の隙間をすり抜けるのだから。

「タイミングはわたしが選びます。これは譲りません。その後は、皆さんの好きにしてください」

 蛇は絶対の支配者。
 故に、そこにこそ活路が存在する。
 一縷の望みを見たノクトは既に沈黙していた。
 恐らく既に、"その後"のプランを考え始めているのだろう。

 孔を空けた程度で、あれが早々に討伐可能になるわけではない。
 が、生まれた綻びを無数の抵抗で抉じ開けられれば、ともすると彼の陶酔する楽園を打ち砕けるかもしれない。

 立ち去る悪魔を、魔術師は止めなかった。
 眼下の街では今も、規定数に達するまでの狩猟と繁栄が続けられている。
 ある少女の幼年期の終わりを経て、閉ざされた領域(セカイ)の物語は、誰にも知られず動き出していた。



◇◇



 あのマキナとかいうおチビちゃんがアイデアをくれた。
 いけ好かないチビっ子だったけど、そこだけは感謝してやってもいい。
 『魔王』と『無辜の怪物』。わたしは与えられたスキルを使い、姿かたちをそれらしく変えた。

 形から入るのは大事だし、何よりわたし自身が許せない。
 ナシロさんの教会でわーきゃー楽しく過ごして、みんなで夕ごはんを一緒に食べる。
 そんな退屈だけど、たまにくすりと笑いたくなる日常を過ごしてたわたしは、もうどこにもいないのだ。

 人を殺した。卵を産み付けて子どもを増やした。
 今もわたしのせいで、どこかの誰かが死んでいる。
 ナシロさんの愛した善き人々の日常を、わたしがこの手で壊してる。

 だから姿を変えた。
 より怖く、より悪そうに、より悪魔らしく。
 こいつは親しみなんて覚えられないバケモノなんだって、誰の目から見ても分かるように。

「――ナシロさんっ。様子を見に来ましたよ、大丈夫ですか?」

 ナシロさんは、壁に凭れるようにして目を閉じていた。
 わたしの呼びかけに応じて、ゆっくり瞼が持ち上がる。
 前とは違うわたしの姿を見て、少しだけ驚いたようだった。

「ああ、アサシンか……。ん、とりあえず……大丈夫だ。ありがとな、心配してくれて」
「……心配なんかしてないですよ。
 まだ吠え面もかかせてない宿敵(ライバル)に、あんなクソ野郎どものせいでダメになられたらわたしが困るんです。
 わかったらさっさと元気になってください。いいですね」

 この人は馬鹿じゃない。いつも、考えなくていいようなことまでいっぱい考えてる。
 だから分からないわけもないだろう。此処に戻ってくる前に、わたしが一体どこで何をしてたのか。

 だけどナシロさんは、そんなわたしを怒ったりしなかった。
 すごく優しい顔で笑って、ありがとう、って言ってくるだけ。
 そのことがなんでだろう、今まで喰らったどのゲンコツよりも心に響く。

「大丈夫。どうせすぐ、コージさん辺りが助けに来ますよ。
 あの真面目くんが囚われの女の子をほっとくわけありません。
 だからナシロさんはどーんと構えて、クソ野郎共にどう仕返ししてやるか考えてればいいんです」
「……、……だな。そうするよ。そしたら、少しは気も紛れそうだ」

 ごめんなさい。ナシロさん。 
 わたし、あなたを守れませんでした。
 だけどあなたがわたしのせいで死んじゃうなんて絶対嫌で。
 だからわたし、あなたが一番悲しむことをしてしまいました。

 あなたはわたしに、いろんなことを教えてくれたけど。
 でも結局、どこまで言っても悪魔は悪魔なんです。
 人を傷付けるのが得意で、命を奪うのが大好きな、そういう捕食者(いきもの)なんですよ、わたし。

 いっそ罵ってくれないかなぁ。そしたらこっちだっていつもみたいに言い返せるのに。
 あぁでも、あなたはとっても優しい人だから。
 そんなこと、しないんでしょうね。本当に不便な人。そういうところ、だいっきらいです。

「ねぇ、ナシロさん」

 そんなだいっきらいなあなたを、わたしは、死なせたくないと思ってる。
 何を犠牲にしても。どれだけあなたを悲しませてでも。
 あなたが死んじゃうような未来は間違いだって、何度でもそう言えてしまう。

「わたし、あなたとは、ほんとの敵として会いたかったです」

 だって、もしそうだったなら、こんなに嫌な気持ちにならなくて済んだもの。

「……は。だったらお前なんかけちょんけちょんだよ、馬鹿」
「な、何をぉ!? 蝿王様パワー舐めたらひどいですよ!!」
「初対面から盛大に悪魔ムーブ失敗してた奴に吠えられてもな」
「きーーーっ!! 覚えてやがれですよ人間めぇ! 全部片付いたらその時は悪魔の恐ろしさ、嫌ってほど見せてやるんですからね!!」

 ぷいっ、と踵を返して、顔が見えなくなったのをいいことに演技をやめる。
 自分がどんな顔をしてるのかよくわからない。
 笑ってるのかな。怒ってるのかな。それとも、もっと違う顔?

 なんでもいいし、どうでもいい。
 わたしは、ナシロさんのために戦う。
 だってあなたは、わたしの最大の敵だから。
 それは今も昔も、これっぽっちも変わってないんですよ。

 今日のわたしたち、めっちゃ頑張ってきましたよね。
 目に見えない神さまに仕えるあなたと、目に見えない魔王さまに仕えるわたしとで。

 なんでもしましょう。あなたのために。
 罪を犯しましょう。わたしのために。
 そして全部終わったら、……ああ。わたし、あなたにどんな顔をすればいいのかな。今はまだ何も分からない。

「覚えてやがれ、ですよ。人間(むしけら)め」

 この胸にあるのはあなたへの執着と、もうひとつ。




「――――絶対、いい空気吸ったままでなんか、終わらせてやりませんからね」



 神寂縁。おまえの運命を、"わたしたち"が破壊してやる。
 そんな、燃え上がるような、決意(のろい)だけ。




◇◇



【月光夢幻神界〈渋谷〉・西部(製薬会社ビル)/二日目・午前】

【ノクト・サムスタンプ】
[状態]:疲労(中)、腹部にダメージ(大)、魔力消費(中)、魔術の出力向上中、複数の打撲傷(処置済)、右腕欠損、恋
[令呪]:残り二画
[装備]:『胎息木腕(右腕分のみ。古いもの)』
[道具]:、蛇杖堂邸で回収した幾らかの道具
[所持金]:莫大。少なくとも生活に困ることはない
[思考・状況]
基本方針:聖杯を取り、祓葉を我が物とする
0:神寂縁を中心とする抗争に介入する。目指す結末は関わった全員の共倒れ。
1:神寂縁に協力しつつ、奴が"追われる者達"と相討つように仕向けたい。そのために、蛇の計算を崩す不確定要素を蒐集する。
2:琴峯ナシロとそのサーヴァント(ベルゼブブ)を利用。特にベルゼブブの可能性には期待している。
3:煌星満天の能力の成長に期待。うまく行けば蛇杖堂寂句や神寂祓葉を出し抜ける可能性がある。
4:満天の悪魔化の詳細が分からない以上、急成長を促すのは危険と判断。まっとうなやり方でサポートするのが今は一番利口、か。
5:とはいえそれも満天が完成するまでだ。見通しが立ったなら、詐欺師野郎(ファウスト)はもう要らねえ。
6:何か違和感がある。何かを見落としている。
7:〈脱出王〉の危険度を格上げ。早急に排除しなければならない敵と認定。
8:祓葉。お前にも、まだ先があるんだろう?
9:渋谷の神は現状他人に任せる。アレは多分俺と相性が悪い。
10:アサシン(ベルゼブブ)の話が本当ならば――。
[備考]
※東京中に使い魔を放っている他、一般人を契約魔術と暗示で無意識の協力者として独自の情報ネットワークを形成しています。
※東京中のテレビ局のトップ陣を支配下に置いています。主に報道関係を支配しつつあります。
※煌星満天&ファウストの主従と協力体制を築き、ロミオを貸し出しました。
※蛇杖堂寂句から赤坂亜切・楪依里朱について彼が知る限りの情報を受け取りました。
※神寂縁から雪村鉄志、琴峯ナシロ、高乃河二、赤坂亜切の現在の動向について連絡を受けました。
※蛇杖堂邸で高乃家の礼装『胎息木腕』を回収しました。これが高乃河二の装備している物と同じ性能かどうかはおまかせします。
※山越風夏のサーヴァントの真名が「ハリー・フーディーニ」であろうことをうっすら察しました。
※ファウストから蝗害調査のデータファイルを受け取りました。中身は確認済みです。
※琴峯ナシロと契約を交わしました。
 ・高乃河二を救命する対価として、琴峯ナシロとサーヴァントの身柄を預かる。
 ・両者の指揮命令権もノクト・サムスタンプが持つものとする。
※月の御遣いと契約を交わしました。これにより、蛇腔及びFWが維持されている限り、ノクトは結界内の月勢力から攻撃を受けません。
※アサシン(ベルゼブブ)の指揮権を一部移譲されています。但しベルゼブブはノクトの契約を無視しているため、常に有効かは不明です。


【琴峯ナシロ】
[状態]:疲労(大)、精神疲労(大)、月の精神汚染(大)、魔力消費(中)、複数箇所に切り傷、ノクト・サムスタンプへの隷属
[令呪]:残り一画
[装備]:『杖』(3本)
[道具]:修道服、ロザリオ
[所持金]:あまり余裕はない
[思考・状況]
基本方針:教会と信者と自分を守る。
0:ごめんな、河二。我慢できなかったよ。
1:アサシン。ありがとな。
[備考]
※少なくとも高乃河二とは同級生のようです。
※琴峯教会は現在、白鷺教会から派遣されたシスターに代理を任せています。
※雪村鉄志から『赤坂亜切』、『蛇杖堂寂句』、『ホムンクルス36号』、『ノクト・サムスタンプ』並びに<一回目>に関する情報と推論を共有されています。
※ナシロの両親は聖堂教会の代行者です。雪村鉄志との会話によってそれを知りました。
※レミュリンから『イリス』に関する情報を得ました。
※レミュリンと"蛇杖堂絵里"の連絡先を得ました。
※ナシロの投影魔術は一般的なものと性質が異なるようです。
 黒鍵を原型とし、解析で読み取った属性をそこに混ぜ込むことができます。まだ先があるかもしれませんが、詳細は後にお任せします。
※レミュリンによる連絡を受け、蛇の本名を知りました。
※ノクト・サムスタンプと契約を交わしました。
 ・高乃河二を救命する対価として、自身とサーヴァントの身柄をノクト・サムスタンプへ委ねる。
 ・両者の指揮命令権もノクト・サムスタンプが持つものとする。
※雪村鉄志の信号弾を使用しました。


【アサシン(ベルゼブブ/Tachinidae)】
[状態]:スキルによる容姿変化、疲労(小)、全身にダメージ(大)、脇腹に刀傷、各所に弾丸の擦り傷、霊基の成長?
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:聖杯を手に入れ本物の蝿王様になる!
0:ナシロさん。わたしは、あなたのために戦います。
1:神寂縁を殺す。たとえ、どれだけ手を血に染めようとも。
[備考]
※渋谷区の公園に残された飛蝗の死骸にスキル(産卵行動)及び宝具(Lord of the Flies)を行使しました。
 少数ですが眷属を作り出すことに成功しています。 
※代々木公園での戦闘で眷属はほぼ全滅しました。今残っているのは離脱用に残しておいた一体だけです。
※"蠅の王"の力の片鱗を引き出しました。どの程度操れるのか、今後どのような影響を齎すのかは不明です。
 →渋谷の変貌を感じ取り、説明できない懐かしさを抱いています。

※蛇腔内のNPCを狩り、眷属を爆発的に増殖させています。現在百体前後。
※ノクト・サムスタンプの契約の影響を受けていません。これが彼女のいかなる性質によるものかは不明です。
※神寂縁の体内に存在する4423の魂、そのひとつに産卵しています。体外脱出のタイミングは彼女の任意。


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最終更新:2026年06月22日 01:21