わたしが生まれた一秒後には、わたしの将来は決まっていた。
 いや、むしろ、生まれる前から決まっていた、よ方が正しいかもしれない。
 こんにちは世界。サンキューハッピーバースデー。
 魔術の家系なんて、生まれた時点でランニングの中間地点みたいなもんだ。始まりでも終わりでもない。ただ中間地点を走り続け、バトンを渡すだけの仲介人。
 『君が人生で目的にするものは絶対に到達することはないけど、とりあえず全力で走ってね』なんて言われているようなもの。
 グッバイさよなら、『安寧の世界』。
 こんにちは『魔術の世界』、サンキューワールド、くそったれ。




○ ○ ○


 黒の頭髪に、藍色のインナーカラー。混ぜ込むように左で で束ねて、落ち着いた雰囲気に。藍色と黒を混ぜたサイドテール、好きな髪型だ。
 アンジェリカ・アルロニカ。それがわたしの名前だ。
 わたしは目つきが少し悪いらしく、こうして雰囲気を変えている。時計塔まで来て見た目で判断するような馬鹿は───まあいるのだが、ただのオシャレも兼ねて。
 魔術刻印を移植した頃に、頭髪の一部の毛色が変わった。鮮やかな黄色。メッシュのように額の右側に入った黄色に、どうも未だに慣れない。
 刻印を移植され、この程度で済んだだけまだマシなのだろう。この世界には刻印と付き合っていく為に薬を飲まないといけない者もいると聞く。
 オシャレの範疇で済んでいるわたしは随分と幸運なのだろう───と。

 相手の瞳に映った自分を見てふと、そう考えた。

 迫る拳。過去の魔術師は肉体を鍛えることは滅多になかったが、今は護身術も兼ねて学ぶものも少なくない。
 時計塔の、身体を動かすためのスペース。肉体強化を学ぶためのこの場所で、わたしは肉弾戦の真っ只中。
 何故神代の魔術師たちは肉体を鍛えなかったのか。そんなもの簡単だ。少し魔術を行使するだけであらゆることが可能だった時代、わざわざ『肉体を鍛える』なんて非効率なことをする必要がなかったのだ。
 その考えは未だに引き継がれている箇所もあり、テクノロジーを嫌う魔術師はその系統に多い。『魔術でできるものを機械に頼るなぞ、自らの無能を証明している様なものだ、と。

 首を傾け、拳を躱す。顔面のすぐ隣を鍛えられた腕が通過していく。

 最近の時計塔でもこの様に、肉体を鍛えるカリキュラムも存在する。『わたしみたいなタイプ』にこういったものは必要ないが、まあたまには身体を動かすことも悪くはないだろうと、そういうことだ。
 わたしの魔術刻印はこの通り。

 渾身の一撃を躱したところで、相手が勢い余ってそのまま転げてしまう。
 そこでようやく、審判の笛が鳴った。

 ───わっ、と。
 静かだった空間に、歓声が帰ってくる。時間の流れが戻る。さきほどまで、拳の一撃の間にいくらでも可能だった思考が、通常の速度に引き戻される。
 『加速思考』。脳内の電気信号を更に加速させ、常人の何倍もの速度で思考する結果、周りが鈍く見える魔術

(…これが、何の役に立つんだか)

 先程まで拳を交わしていた相手と握手し、ペットボトルの先くわえ、水分補給。
 ───くだらない。
 そんな感想を浮かべながら、また作り笑顔を浮かべる私だった。





○ ○ ○



「我らが神が降り立つ前に、其方は地上の荒ぶる神を駆逐せよ」
「…御意に」

 そんな命を貰ってなお、私の心は浮かばない。
 ただ無感情に。ただ道具として。天照大御神の意を汲み取り、更に他の神が話し合い、そして降った命を遂行するだけ。
 そうしてある日、地上に降り立った。
 誰かが気を利かせたのか。目の前には、荒ぶる神が一匹。獣の如き様相で、暴れ廻っている。

「…悪く思うな」

 手に持った弓を引き絞る。四足歩行の神獣は両の瞳で私を捉えた。

 瞬間。獣の姿が掻き消える。
 視界の外に回ったのだと気づいた時には、私の身体が宙に舞っていた。たっぷりと滞空十秒。獣とて神。神とて獣。獣はいつだって臆病で狡猾だ。
 よって、獣の姿が消えた瞬間、私も合わせる様に地を跳ねた。先程まで私が立ち尽くしていた地面が抉られる。あくまで死角を狙う、獣の常套手段。
 ならば私も獣となろう。死角を狙う矢の先。荒ぶる神獣の姿は、見ている此方すら苦痛を覚えるほど。
 弓を引き絞る。狙うは頭頂。天から地へと放つその矢。

「……」

 決着はあっという間だった。倒れ伏した獣から血液が吹き出し、赤い雨が降る。ふわりと地に降り立った私を、鉄の匂いで染める。
 その雨に濡れながら。私はあと、何度これを繰り返せばいい。
 なあ、私は。私は、穀物の恵みを与えるものだったはずだ。
 それが、何故血に濡れている。あと何匹殺せば、終わるのか。

「…?」

 すっ、と。雨が止んだ。不自然だった。
 雨の止み方ではない。血の止まり方ではない。
 それは。誰かが、傘で遮ってくれたような。

「…あまり濡れると、御身とは言え風邪を引きますよ」
「───あ」

 それは。太陽の如き微笑みにて。
 私は地上にて、初めて。
 誰かに、恋をした。


○ ○ ○



 魔術師とは、愚かにも時を逆行する生き物だ。
 既に地上から消え失せた神秘を追い続け、心のどこかで根源になど辿り着けぬと理解している。
 今回こそは、と。
 今度こそは、と。
 当代でこそ、と。
 理解してなお、魔術師は根源という存在に惹かれて止まない。そういう生き物なのだ。

(…だってのに。言われると怒るんだよね、みんな)

 ニットの長袖にデニムのホットパンツ、ブーツをで身をクールに纏めながらの、時計塔から我が家への帰り道。レンガでできた歩道を歩き、きらきらと光を変えていく店たちを眺めながら、思う。
 ふと、昔、口にしたことがある。『根源なんて届きっこないよね』、なんて。
 結果は決闘だ。普段で言う『時計塔の決闘』とは相手の研究内容を知る為に行う、言わば調査の様なものだが、その時は違った。
 殺す気でこられたし、わたしもそうせざるを得なかった。
 簡単な話だ。『君の人生では目標も夢も叶わないし次の世代に託すしかないし、受け継いできた夢はそれでも叶うことは絶対にないけどどうする?』なんて聞かれたら、誰だって怒る。
 魔術師にとっては、そう言われたも同義なのだ。
 無論決闘には勝った。勝ったが、倒れ伏した友人を見るのは、心苦しかった覚えがある。
 叶いっこないのだ。無理なんだ。無駄なんだ。そんなことに人生を使うなら、もっと大切なことがあるだろう。
 わたしは、多分。思想が魔術師ではないのだろう。
 良いところで魔術使い。何なら、関わりたくもないとさえ思う。

 そんなことを考えていると、いつの間にか我が家の前だった。レンガ作りの、昔ながらの古臭い家。
 両親は何を思ってこれを作ったのだろうか。聞きたくもないし、もう聞く手段もないけれど。
 ドアには小包がぶら下がっていた。何か通販でも頼んだっけ、と軽い気持ちで持ち上げる。
 家に入り、鞄を投げ、小包を机の上に置く。
 魔力を通し、簡単な構造を把握する。魔術らしき細工はなし。

「…何これ。時計? しかも古いし」

 小包を開けると、そこには木箱に入った古臭い懐中時計と。手紙が、一枚。

アンジェリカ・アルロニカへ。
 聖杯に、何を希う』
「聖杯…? 聖杯ってあの聖杯…いや、現代魔術科の方で極東の儀式にそういうのがあったって聞いた様な…」

 聖杯に、何を希う。まるで、願いを叶えてやらんとでも言いたげな文章にわたしは鼻で笑う。
 魔術の類の細工はなかった。魔力を通したところ、爆弾や自宅である工房を破壊するようなものでもない。ならば悪戯か。
 子供じみている。十八の女にする悪戯か、これが。

「…まあ、でも。叶えたい願いがないと言えば」

 それは、嘘になる。
 この世界。この在り方。それが変えられないのなら。
 わたしの方だけでも、少しだけ。
 しかし、その少しが、『奇跡』のような遠さで───

 瞬間。わたしの姿は、小包と手紙を残して、何処かへと消えた。




○ ○ ○



「ふむ。ふむふむふむふむ。そうして起きたらこの場に居て、この私と巡り会ったと! 是が非でも叶えたい夢のために!」
「いや、夢の下りは違うけど…まあいいや。説明すんのも飽きたし。で…あんたがわたしのサーヴァントで…アーチャーだっけ?」
「そう、アーチャーだ!」
「明らか偽名でしょ」
「んー…なんというものか…偽るつもりはないのだ。 与えられた仮の役職というか…」

 そして。彼女…アンジェリカは聖杯戦争の舞台に降り立った。
 『アンジェリカの家』なのだろう。レンガ作りでかなりにているが、何処か違う。慣れ親しんだはずなのに、今日引っ越ししてきたような違和感。
 簡易的な工房の構築だけ済ませて、この家をアンジェリカは拠点と定めた。
 目の前で木製の椅子に座り、頭を抱え、うんうんと唸っているのは『アーチャー』と名乗った存在。
 サーヴァント。聖杯戦争。時計塔のロードの話を知っていなければ、彼女は今ごろパニックだっただろう。
 エルメロイ家の事件。現代魔術科のロード。噂を聞かない日はないその彼らが、極東の儀式に参加したというのは本当だったのか───までは不明だが、彼らの存在でこの現実を素直に受け止められた。
 サーヴァント。英雄がこの世に呼ばれ、現界したもの。目の前に存在する、和風の白の衣を纏った───少年? 少女?───どちらとも取れるような弓兵が、そうらしい。

「ところで。そう言えば、聞いていなかったな。其方の『願い』とは何なのだ? 結局、そこの部分は煙に巻かれたままだ」

 弓兵が首を傾げると、髪を後ろで結った髪型も連動して動く。

「隠してるわけじゃないけど…なんか、恥ずかしい」
「世界滅亡とかではないのだろう?」
「んなわけないでしょ。大魔王かわたしは」

 コロコロとした瞳でそう問いかける弓兵に、少し赤くなった顔を背ける少女。
 しばしの沈黙。その沈黙に耐えきれなくなったアンジェリカから、口を開く。

「…魔術師。知ってるでしょ」
「んむ? んー…私の時代にもいたにはいたぞ。だが、同じものかは知らぬ」
「そ。 魔術師はね、生まれた時から魔術師なのよ。生まれは変えられない。魔術師の家系に生まれたものは、根源なんてものに到達するなんて無理なんて知っていても、次世代に繋ぐしかないとしか知っていても、魔術に生きるしかないの。
 ───生まれた頃から線路が引かれていて。そこに価値を見出せないヤツは無理矢理、人生と時間を無駄に過ごすしかないの」
「……」

 アーチャーの言葉が止まる。さすがにどう返していいか、わからなかったのだろう。

「わたしはそれが嫌だ。オシャレもしたいし、友達とも遊びたい。魔術に人生を使うなんて、一族の重みなんて知りたくない。
 ───願うことなら。わたしは、綺麗さっぱり魔術と縁を切りたいのよ」

 魔術刻印なんてものを受け継がされてしまった以上、魔術と無関係ではいられない。
 魔術を知ってしまった以上、知られてしまった以上、普通には戻れない。
 ならば。『生まれた頃から、一族から魔術との関わりがないように』してもらえば。

「わたしは、わたしの人生をわたしで歩みたい。
 魔術なんて、やってられっかって話」

 それが結論。持って生まれた者。側から見れば幸運な存在なのだろう。贅沢な悩みなのだろう。
 だとしても。才を持って生まれた者が、望んだ才を授けられているとは限らない。
 弓兵はうむ、うむとその言葉をしっかりと噛み砕き、脳内でしっかりと理解した後。

「───いい願いだ。自らの道を自らで歩く、それを願えるのは苦難の道を自ら選ぶ得難い精神よ。私は応援するぞ」
「…そ、そう。じゃああんたの願いはなんなのよ」
「わたしか? わたしは…そうだな。
 もう一度、妻と静かに暮らしてみたい。冥土でも現世でも構わぬ、ただ暮らせればそれで良い」
「あんた男だったの!?」
「ふふ、どっちであろうな?」
「何でそこで自信たっぷりなのよ…」

 まあどちらでもよかろう、と話を打ち切られ、釈然としないアンジェリカ。
 真正面から応援すると宣言され、照れ隠しに問い返したところ更なる謎が生まれてしまった。
 弓兵は結った髪をゆらゆらと揺らしながら、言う。

「さて、と。真面目な話をしようではないか」
「あたしはここまで真面目だったんだけど」
「マスター。主は、どこまでの犠牲なら許せるか?」

 それは。戦における、重要事項。
 どこまで巻き込むか。それは、己の願いのために何人ならば殺せるか。
 否。『見捨てて良いか』と、聞いているのだ。

「戦とは当人同士で解決する者ではない。私の矢も、常人に当たれば弾け飛ぶ。
 私は町一つ程度なら仕方ないと思っている。古今東西、様々な時代から英雄が集まるのだ。周囲を気遣って戦うとなれば、それだけ難易度は上がる。
 命を選べ、軽んじろというわけではない。最終的に、失うとして」
「そんなの決まってるでしょ」

 覚悟を問うた弓兵の言葉を、両断する。
 アンジェリカは胸を張りながら。

「最小限。以上」

 譲る気はないとでも言うように、断言した。
 神秘の秘匿もあるだろう。魔術師として考えれば、秘匿さえされていれば一般人を利用しても構わないのだろう。
 しかし。その上で、アンジェリカは言い切った。

「勿論ゼロにはできない。わかってる。
 でも、魔術と縁を切りたいって人間が『願いのためならいくらでも切り捨てて良い』なんて、それこそ虫の良すぎる話よ」

 普通の人としての人生を歩みたいのなら。
 普通の人としての善性も持つべきだと。
 アンジェリカは、そう言っているのだ。

「…うむ。そうか。それは、また難儀な」

 在り方をしている、と。弓兵は最後を口にしなかった。
 恐らく、この善性があるからこそ、彼女は魔術師になりきれなかったのだろう、と。
 願いのためにいくらでも切り捨てる。それは楽だろう。何も守るものがないものは強い。
 しかし、それは時として『守る強さがないもの』とも言える。守るべきものを持たずして、なにが強さか。
 弓兵の運命は、妻に出会ったことで変わっていった。
 アンジェリカの運命は、これから変わっていくのだ。

「あともう一つ。その…マスターっていうのやめて。むず痒い」
「じゃあ主のことはなんと…?」
「…アンでもアンジェでも。アルでも、色々あんじゃん」
「あ…あー…あんジェ?」
「それじゃイントネーションが違うでしょ。アンジェ」
「あんじぇ…アンじぇ…アンジェ。 アンジェ。 良し! 言えたぞ!」
「そ。 で、わたしも教えたんだから教えてよ。 本当の名前、あるんでしょ」

 弓兵は少しの間アンジェリカと話し合い、理解したことがあった。
 この少女は基本、人付き合いが苦手なのだ。だからあえて素っ気ない態度が前に出る。
 苦手だから。失敗しないように。
 苦手だから。踏み込まないように。
 苦手だから。最初から諦めて。
 臆病に。慎重に。
 ならば、こちらから踏み込むのも先達の務めか。

「─── 天若日子
 あめわかでもあめひこでも、好きに呼ぶと良い」

 いや、人前ではアーチャーでなくては困るぞ、と一言付け加え。
 少女と弓兵は、少しだけ、笑った。



 少し周囲を見てくる、と弓兵が魔力探知に集中するため、アーチャーの姿が見えなくなった頃。

 アンジェリカは、自らの手首に浮かぶ魔術刻印を見ながら、少し目を細める。

 魔術師を辞めるということは、今までの家系の夢を捨てるということだ。
 そんな願いのために魔術を利用するということは、裏切りに他ならない。

「ごめんね。 お父さん、お母さん」

 それでも。『魔術師だから』と、諦めることはしたくない。
 もう、届かない使命のために人生を使うのは、嫌だから。

「理想の子じゃなくてごめん───産む子を、間違えたね」

 アンジェリカに両親はもういない。魔術刻印を移植ししばらく経ってから、なんてこともない、普通の病気でこの世から旅立った。
 故に、これは誰に向けてでもない、誰にも届かない、己を責めるだけの言葉。

「ごめん」

 魔術師からの卒業への、第一歩。


【CLASS】
アーチャー

【真名】
天若日子(あめのわかひこ)@日本神話

【ステータス】
筋力 B 耐久 B 敏捷 A 魔力 C 幸運 C 宝具 A

【属性】
中立・善

【クラススキル】

対魔力:A
 A以下の魔術は全てキャンセル。
 事実上、現代の魔術師ではアーチャーに傷をつけられない。

【保有スキル】
神の選抜:A
 神に選ばれた神。戦乱の中、国を治めるために地上を平定する任にふさわしいと判断され、選ばれた神。
 しかしその任を放棄し、高木神にて討たれたため、神性のランクが落ちサーヴァントの召喚可能範囲内となった。
 このスキルは高ランクのカリスマ・肉弾戦スキルとして発揮され、対人交渉・平和的交渉において大きくプラス補正がかかる。

千里眼:A
 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
 透視、未来視さえも可能とする。

神々、鏖殺:C
『凶暴な悪い神を倒した(と、ここでは判断する)』『神々の使いを撃ち抜いた』、その逸話が再現されたもの。
 その弓矢は目の前を血に染める。神性に対しての有利判定。

愛を知る:B
 「───凶暴な神を撃ち倒し、平定せよ」。
 命じられた任務を受け、地上に降り立ったアーチャーは、多くの国神の娘を娶り、八年の間報告に戻らなかったという。
 神であり、争いの為に降りてきたアーチャーには、初めての感情であった。
 しかし色々な思惑が交錯し、アーチャーは高木神に『害の心を持って矢を射ったなら、この矢が害を起こすだろう。正しき心を持って射ったなら、何も起きない』と矢を投げ返され、その矢を胸に受けて死亡する。
 正しき心を持ち、正しき道を歩んでいる時、彼の道にアクシデントはない。
 しかし、害ある邪な心で何かを成したならば、彼に不幸が降り注ぐ。
 (狙撃や闇撃ちは弓兵において大事な戦法なのでOK。問題は、『これは己の許した道ではない』などの心の問題である)

【宝具】
『天界弓・天之麻迦古弓(てんかいきゅう・あめのまかこゆみ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:? 最大捕捉:?
 てんかいきゅう・
 高天原から遣わされた時に所持していた弓。
 神の遣いを撃ち抜き、高天原まで矢を届かせたという剛弓。天若日子の軽快な動きから放たれるとてつもない威力の弓は、相手の虚を突く。
 また、高天原まで届かせたという飛距離、威力から凄まじい強度を誇っている。
 これそのものが神性に対して特攻を持っている。

『害滅一矢・天羽々矢(がいめついっし・あめのはばや)』
ランク:A 種別:対神宝具 レンジ:? 最大捕捉:?

 鳴女が大きな鳴き声で叫ぶ。すると、天佐具売は言った。
 『この鳥は鳴き声が不吉なので射殺してしまいなさい」』と、神の使徒へと矢をそそのかした───。
 神の使徒を撃ち抜き、高天原まで届いた矢を拾った高木神が「天若日子に害ある心でこれ(天羽々矢)を射ったならばこの矢は罰を与え、正しき心ならば何も起こらぬ」と投げた矢は天若日子の胸に突き刺さり、命を奪った。
 その逸話の再現、宝具である。
 己と敵対した害意あるものへと放つ、どこまでも飛んでいく剛の一射。その勢いは強く疾く神をも殺す一矢。
 地上から高天原まで届かせたその威力、その速さは凄まじく、矢の衝撃の余波で対軍宝具並みの威力を誇る。
 地上に残ることを選び、神に殺され存在と言えど、神の力の片鱗がここにある。

【weapon】
  • 基本は『天界弓・天之麻迦古弓』を主に使用する。
【人物背景】
身長156cm。少し小柄。
平安貴族風の直衣を纏っているが、動きやすいように多少改造しており、全体的に薄着かつ軽くなっている。烏帽子も邪魔故脱ぎ捨てたとのこと。
黒髪を後ろで結っている。
神話では男性とされていたが、召喚に応じ現れたのは性別不詳の美しき者。笑うさまは少女のようであり、戦うさまは勇敢なる戦士そのもの。
どちらかと聞かれればどちらでもよかろうと答える、細かいことは気にしない性格。
しかし『誰かを残して去る』ことに関しては何やら思うところがある様で…?
天孫降臨。神が葦原中国(言わば天界と冥界の間のようなもの。)を治める為に、荒ぶる神たちを平定する為に大国主命の元に派遣された神。弓を矢を持って、降り立った。
が、そこで出会ったのは大国主命の娘、下照比売(したてるひめ)。
戦いの為に遣わされた神は、戦いの舞台───地上で、恋をした。
そして下照比売と結ばれ、八年の時(一説には三年とも)が経過。
一向に連絡を送らない天若日子を不思議に思った神々は神の使い───雉の鳴女を遣わせたという。
天若日子の門の前。立派な楓の木の上に止まった雉を天佐具売(あめのさぐめ。表面に表れていない、真意や真実を探ることに長けた女神)は「あの雉の鳴き声は不吉。必ずや不幸を呼ぶ。射るのが得策でしょう」と唆し、雨若日子はそれを射ってしまった。
雉を射抜き天高く上り、神々にまで届いたその矢は、高木神により「害を持って射ったのなら罰を。正しきを持って射ったのなら不問に」と返された。
そしてその夜。眠っていた天若日子の胸に、矢が深々と突き刺さり、この世を去ったという。
戦いと愛に生き、唆されこの世を去った。思い残したのは、死してこの世に残す、思い人。

【外見・性格】

身長156cm。少し小柄。
平安貴族風の直衣を纏っているが、動きやすいように多少改造しており、全体的に薄着かつ軽くなっている。
黒髪を後ろで結っている。
神話では男性とされていたが、召喚に応じ現れたのは性別不詳の美しき者。笑うさまは少女のようであり、戦うさまは勇敢なる戦士そのもの。
どちらかと聞かれればどちらでもよかろうと答える、細かいことは気にしない性格。
しかし『誰かを残して去る』ことに関しては何やら思うところがある様で…?

【身長・体重】
156cm、50㎏

【サーヴァントとしての願い】
サーヴァントとして、マスターの願いを叶える。
願うことならば…下照比売ともう一度、誰とも邪魔されず暮らしてみたい。


【マスター】
アンジェリカ・アルロニカ
【マスターとしての願い】
生き残る。
生き残って───何がしたい?
それを探す、物語。

【性別】

【年齢】
18歳
【属性】
中立・中庸

【外見・性格】
額の右側にイエローのメッシュ、インナーカラーを藍色に染めた少女。基本の髪色は黒。
目つきが悪く、少し気にしている。ニットの長袖にホットパンツ、皮のブーツに動きやすい服装を好む。
受動的。基本的に、受け身な性格。
しかし一方で必要な物事はキッパリと言う方で、諦観が底にあるせいで少し言葉がキツいが、魔術師としては珍しく常識人である。

諦観を底に。他人には期待せず、言葉がキツい。
しかし見て見ぬ振りができるほど悪人でもなく。
要するに、生きづらい性格。


【身長・体重】
165cm・55kg

【魔術回路・特性】
質:B 量:B
特性:雷光魔術

【魔術・異能】
雷光魔術
彼女の家に代々伝わる魔術であり、脳内の電気信号を加速させ思考を加速、根元に至ろうとする思想。
魔術としては発動している間の指先からの電撃や動体視力の向上・肉体活性などを有する。

魔術刻印『加速思考』
 彼女の脳内では一秒が引き延ばされ、思考が超加速し、超短時間での高速脳内思考が可能となる。
 また、刻印の通常機能として保有者を生きながらえさせようと普通なら命に関わる傷でも修復し生きながらえさせようとする。

【備考・設定】
アンジェリカは、魔術の家系の生まれであった。
幼い頃から魔術刻印を継ぎ、魔術の研鑽を進める。
魔術師とは、時代を逆行する生き物である。
自らの時代では根源など不可能と知りつつ、追い求めずにはいられない。
アンジェリカは、その点で言えば魔術師ではなかった。
叶わない夢を追いかけて何になる。見果てぬ夢に殉じ、次代に託し何になる。そこに何の価値がある
そして、そのために使い潰されるわたしの命こそ、何の価値があるのだ。
魔術師でありながら、否、「魔術師であるからこそ」の諦観を底に彼女は生きてきた。
そこに、転機のように懐中時計を手にしたのだ。
───これは。
彼女が、自分の人生を取り戻す物語。

両親と一族に謝罪を述べる彼女のほほをつたう、涙。
この行いに後悔はない。
故にきっと、これは離別を選んだ寂しさの涙で───。

【聖杯への願い】
『アンジェリカ・アルロニカの家系を魔術とは関係なかった世界にしてほしい』。
自分の人生を、新たに得るために。

【サーヴァントへの態度】
好奇心が旺盛なようで何より。
…だが、わたしより小さいアーチャーは強いのか?

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最終更新:2024年06月13日 23:49