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お祭り用 - (2008/07/24 (木) 21:37:48) の編集履歴(バックアップ)


お祭り用


売り子ワルツ君

「ぴぴ? ぴー」
 土場藩国の屋台の前でもくもくとリンゴを売るロボットがいた。
ファーマーワルツと名付けられたそれは、このあいだ工場から配達されたばかりの
新品であった。
その横に転がるあやしい缶が1つ。
「あいすは?」
 きょろきょろと周囲を見まわす。最近土場藩国では移動式のアイス屋が
人気を集めており、公園に出没すると子供たちが行列を作るので有名であった。
※移動アイス屋さん初登場はこのログを参照。
http://www40.atwiki.jp/blueblack/pages/138.html
てっきり、今回もアイス屋さんを出店するとおもったら以外にもりんご即売会である。
 缶は周囲にあの目立つアイスの移動販売車と例の音楽がないのにがっくりと肩を落とした。
 ころり、と転がる缶を、不器用なツメがつまみあげた。
 缶はちょっとびっくりしたような顔でファーマーワルツを見上げる。
「あう!今日はロボさんの日ですか」
「ぴぴー」
「りんごくれるですか!」
「ぴっ!」
 試食用に小さく切ったリンゴを缶に手渡す。しゃくしゃくと音を立ててリンゴをかじった。
「りんごおいしいです!」
「ぴー!」
 ロボットはどこか嬉しそうに音を鳴らすと、周囲の人にすすめはじめる。
「あ、いぬかいじゅーさんだ!」

展示ブース

 てきぱきと働く横に、誰かが犬怪獣のオブジェを置いた。最近湖の底から発見されたという
古代の戦士の像、らしい。どうやら生きているとか、動くのを見たといういわくつきの像であるが
藩国の民はそんなことまったく気にしていない。
「おいでませ土場温泉」などというたすきを掛けられている。
 今回は、藩国でできた温泉の宣伝も兼ねているのだろう。
 りんごの味が気に入ったら温泉で本場の味を!とかやたら温泉をプッシュしている。
 とりあえず缶は犬怪獣の上に登ると、りんごの宣伝を始めることにした。
「りんごー、おいしいよー」
「ピー、ピッぷー」
 その客引きは、祭りが終わるまで続き、土場藩国のブースでは謎の犬のオブジェの前で、
ロボットと缶がりんごを売るという異様な光景が見られたという。
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