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第二回:nico&松井 - (2007/01/08 (月) 20:12:30) の編集履歴(バックアップ)


土場藩国では、ファンブルのことをヤガミハウスという。
言葉の由来はかつて摂政が中心となりチーム分けをする時、その場にいた
ほぼ全員が国歌にも残るほどの勢いでファンブルと出しまくり「ここの家の主はヤガミか!」
とツッコミを入れられたことが始まりである。
その後、時は流れファンブルを出す人、もしくはファンブルが多発する場所を「ヤガミハウス」と言うようになった。

さて、ファンブルハウスの主であるヤガミの語源であるが、
これは実に難しい。
諸説入り乱れており、かつてファンブルを出して国を滅ぼした藩王の魂の故郷が「矢上の里」であったからとか、
本当に「ヤガミ」という人物がファンブルを出しまくって国を傾けたとか、
憶測の域を出ない説が流布されている。
真実は誰にもわからないが、まあ土場藩国でファンブルといったら「ヤガミ」であった。

その「ヤガミ」が土場藩国にやってきた。
摂政であるしらいし裕が拾ってきた八神という少年だ。彼が国についたときそれはもう大騒ぎであった。
時の藩王が「矢上の里」を魂の故郷としているせいもあるが、元来祭り好きの国民である。
「ファンブルネ申キター」
「神降臨」
などと楽しい野次と共に国賓として暮らすことになった。
しかし、ここで噂が流れる。
藩王が八神少年の転売を画策しているというのである。
そこに立ちあがった2人の戦士がいた。nicoと松井。である。
歩くのもめんどくせ、と常に転がりながら移動している藩王を足で押さえつけて抗議する。

「ちゃんと世話するから!」
「散歩にも連れて行くから!!!」

この抗議、どう見ても捨て犬を拾った扱いなのだが、仕方ない。
八神少年は、犬っぽいというかミニチュアダックスっぽいというか、アホっぽ……いや。
まあそういう系統の顔立ちの子だ。

「え~じゃあ、一緒に散歩にいっといでよー」
とりあえず足どけてくれないと移動できないな、と思いつつ藩王がダルそうに答える。
ついでに、犬なら燃料掘って来てくれないかなーと思いつつ二人を送り出した。

そもそもコレが何かの間違いであったのだ。
とはいえ、彼らがトラブルに巻き込まれている間、
藩王はウマー棒片手に 「親御さんの連絡先は?」 「君の家金持ち?」と
なんで聞いてこなかったのかとしらいしを小一時間問い詰めていたのであるが。
それはまた別の話である。

彼女たち2人が、八神の散歩コースに選んだ裏山から「オズル」が現れたという連絡が入ったのは、
それから30分もたたないうちであった。

オズル―――
北欧の神の名を持つ兵器は、どこからきたのかわからない。
誰にも知られず、誰にも気づかれずにひたすら潜んでいたのであろう。
いつの間に国内に仕込まれていたのか、どうしてここにいるのか
そんなことは今考えても仕方ない。
また、交戦時はこれが何者であるかもわからなかった。
重要なのは今2名の命が危険に晒されているそれだけで十分であった。

この情報にもっとも早く反応したのは八神である。

第一報が届いたとき、彼は丁度しらいしたち藩の首脳陣から、
いかにショタ舞踏(炉吏魂舞踏含む)が危険な存在かのレクチャーを受けていた。
「幼児や幼女にお菓子をあげるたり、声をかけたりして逮捕されること300回
300回逮捕され、300回起訴され300回服役した人間が只者であるわけがない」
当たり前の話だ。只者じゃないというか病気である。
こんなバカな話が盛り上がっていたとき、息を切らした伝令が駆け込んでくる。
「裏山に謎の敵出現。
松井。氏 nico氏が交戦中。nico氏が非常に危険な状態です。」

情報を聞くと周囲に衝撃が走った。
交戦準備にとりかかるもの、葬式の手配に走るもの。
あたふたとする大人たちの中で八神は小さく頷くと口を開いた。
「僕が助けにいきます」
凛とした声で八神がそう告げる。
子供にそんな危ない目に合わせるわけにはいかないと、
必死で止めるしらいしたちを見て、彼は続ける。

「一度でも手を差し伸べてくれた人を見捨てるなんてできません。」

そういうと、彼は見たこともないアイドレスを身にまとい出撃していったのであった。
その結果はご存知のとおりであった。
彼は大きな傷を負いながらも、オズルを破壊。2人の尊い人命を救ったのであった。

出撃する彼を追いかけたしらいしは、その一部始終を目撃、
強く心を打たれて、八神の尻を追いかけてエースを目指すことになる。
なお、それに伴い彼は新しい称号【ショタ舞踏】を手に入れることになったのは言うまでもない。


ヤガミなる少年に藩王はあまり興味を示さなかった、
どころか売り飛ばしてやろうかと考えていたらしいが。
まぁ、藩王がどう考えようが保護してしまえばいい。
どうせ3日もたてば忘れていることだろう。

一方、国民nicoと松井。は、かの少年をいたく気に入った。
「ちゃんと世話するから!」
「散歩にも連れて行くから!!!」
いや、いくら自分のことを棄て犬と言っていたからといってそれはどうなのかと…
と思う部分もあるが、それはそれ、気に入っていることに違いは無い。

さて、保護されてきたばかりの八神少年を置いて、2人は散歩コースの下見に行ったのだが、
それほど時間の経たない後に、巨大な人型兵器に襲われたという報が入った。
ネ申聖メガネ帝国時代のものか、それ以前のものか、異世界のものか。
それは星見司に調査させるとして、防衛をどうするかだ。
いきなり地上の国内に現れたら、山脈に設置した防備施設も役に立たないなぁと思い悩んでいると、
八神少年が飛び立っていった。

追いかけることはできない。そんなことをしても危機は変わらないのだから。
救助部隊の編成と指示、仮に助けられなくとも都市への流入は防いでもらうよう、
進行ルートの誘導をしてもらわなければ。
そして、近隣の住人への避難指示。

藩王には期待できないが、しらいし摂政も側にいることだし早めに指示を
……っていない!?
もしかして追いかけてった?

仕方ないので勝手に指示を出す。
やれやれ……
まぁ、ある程度の信頼さえあれば、勝手にやってもお咎めがないのが
この国の(私にとって)良いところではある。


しばらくすると、nicoらが帰還した。
話を聞くと、八神少年が人型兵器を打ち倒したらしい。
そして、傷を負って姿を消したという報告も受ける。

その後、彼を探すべく捜索隊を派遣したが彼を見つけることはできなかった。
後に入ったニュースで、他国でも同じように巨大兵器が現れたこと、
死者が出たこと、そして町へと侵攻を開始したことを知った。

彼には感謝しないとね。
大場という国、舞踏子という女性、探せる範囲で探してみよう。
それに探しつづけていれば、もう一度彼と会うこともあるかもしれない。
我らの国では仇を忘れても、感謝は忘れない。
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