90整備

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

整備


作戦

◆ダンボールは土木用の機能面が強く、土木作業機は現地作業員でもある程度整備できなければならないために整備も簡易である
◆ダンボールは土木用の機能面が強く、土木作業機は簡易で頑健な設計であるため、重大な欠損は起こりにくい
 (土木用作業機械の主な定期点検は1年とされております)
◆主和は独自I=Dを作成するほどの技術者であり、I=Dの機構には習熟している
◆主和は現在開発中の新型独自I=D(エンジェリック=フェザー)の開発のため、他国開発のI=Dの機構には注目している

SS1

ラインだらけのメモ用紙を取り出した。
そこには小さな字でダンボールの整備のコツが列挙してある。
主和はこのメモを作った整備見習の少女を思い出した。
パイロットの幼馴染がいるとか、フェザーの装甲を紙と言った少女だが
彼女のダンボールの見立てはどうか。
ずいぶん装甲に手を入れて強度を保ちつつ、少しでも軽く動けるように
セッティングする方法が書いてあった。
「…さぁて、仕事の時間か」
自分が教えたことと、彼女なりに工夫したポイントそれらが混在している。
ざっと目を通してその内容を確認する。ダンボールの整備がまとめられている。
国を出る前に彼女が押し付けてきた紙切れは、どうやらなかなかの優れモノらしい。
「これはボーナスもの、かな」
スパナを片手に各装備の整備を行う。
丁寧に揃えられたメモが、彼女の性格を物語っている。
ちょっと厳しいところはあるが、基本はかわいい女性だ。
そういえば彼女は最初にダンボールを見た時、
「装甲が重すぎます。動く棺桶か何かですか!」と言っていたなぁと思いだす。
その彼女がダンボールを動かすために仕事をしている。
それはきっと、いいことなのだろう。
ただあれでは、パイロットの幼馴染も楽ではないだろうなと、ホンの少しだけ
同情した。たくまで一瞬だけ。
ふ、と触って各所のデータをチェックする。
主和は設計図を見た時に理解した。「兵士を家に帰すための機体」このI=Dに
込められた製作者の祈り確かに受け取った。
トモエのように、危険極まりない行動で兵士を危険にさらすことはない。
I=Dの事故で師匠ともいうべき男を失った自分だからこと言える話だ。
あの時の自分は無力だった。破損したI=Dの破片1つ手に入れることができず、
事故の原因すら究明することを許されなかった。
おりしも帝国は粛清のあらしが吹き荒れ、一介のパイロットの死など
誰も気には留めなかったのだ。悔しかった。
だから今は整備士をやっている。二度とあんな思いを誰かにさせるのはごめんだ。
そのために整備士は、力の限りを尽くす。
「データ、オールグリーン」
 その瞳に計器の数値を映して、I=Dのデータを再度チェックする。
おかしい音はないか、耳を澄まし力の限り整備する。
ボルトをしめなおし、各所の摩耗具合をたしかめていく。
今日初めて動かす機体は、ずいぶんとくたびれていているようだ。
国帰ってら本格的に整備だな、そう呟くと主和は機体をひと撫でした。
そして、最後のボルトをしめなおす。
全部が終わると、ダンボールの足に軽く手を当てる。
大きなともにシュワは整備終了の声を投げた。
「もう少しだがんばれ!」
撫で上げるとI=Dは喜んだかのように駆動音を響かせ始めるのだった。

(あさぎ)

SS2

 主和は伏見藩国が開発したダンボールの前で腕を組み静かに眺めていた。
 重厚なフレーム。
 頑健な装甲。
 確かな安定性。
 そこまでは自身が開発したフェザーワルツと共通する事が多い。
 ケントと共に現在開発中のエンジェリックフェザーの参考にしようと密かに考えていたのであった。

 しかし・・・
 この機体の特徴とも言える土木用の機能に目を引かれる。
 主和はI=D技術者になる前は様々な職業を転々としてきた若者である。
 しかし、先代との出会いにより運命を(強引に)捻じ曲げられ、何の因果か土場藩国に仕えることになったのであった。
 その主和が過去に働いていた場所には土木作業も含まれていた。
 主和は実際に仕事として土木作業に従事してきた者としてダンボールを眺めていたのである。

 センサー性能:I=Dとしては凡庸だが重機としては破格のものである。
 機動性:I=Dとしては優れたものとは言えないが、重機には不要のものである。
 パワー:文句なし
 etc,etc

 と、分析しながら「あぁ、粉塵舞い飛ぶ土木現場でもちゃんと動くこの整備性の良さは流石だな、戦闘用だけのI=Dだとこうは行かないだろう」などと考えていた。
 トモエリバーの特徴が機動性である様に。
 ケントの特徴が汎用性の高さである様に。
 フェザーワルツの特徴が戦闘力を代償に消費が大きい様に。
 ダンボールの特徴はこの土木用能力だと主和なりに理解をした。
 なにもこの機体に戦闘力を求める事はない。
 確かにこの機体でなければ行えない戦闘域は存在するだろうが、その時はこの機体でなければ行えない戦闘方法を取ればいいだけの事だと思った。

 主和は慣れた手でダンボールのチェックを一通り終えると、
 「さすがに建設用機械みたいに1年間はメンテナンスフリーとはいかないがI=Dとは思えない頑健さだな」
 と、実際に土木の現場で働いてきた者なりの感想を抱き、少し微笑むと腰袋から整備用具を取り出してダンボールに近づいた。
 「さすがに土木用機械ではないのだから乗り手でも整備できるというわけにはいかないか。
  まぁ、こうした日常的な点検・整備こそが安定性には欠かせないのだから決して手は抜く事ができない。
  しかも、これから行く場所は光源も確かではない地下遺跡だという、目を瞑っても整備出来る様じゃなければ話にならないな
  ・・・フェザーワルツでそれやるよりはマシか・・・」
 などと、気を引き締めながら整備に取り掛かったのである。


 土場の精鋭(?)達が羅幻王国の地下へと向かう前日の事であった。

(1018字:主和)


イラスト


RP

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー