それは世界樹と呼ばれていた。
墨田区にそびえたつ一本の鋼鉄の塔。
東京スカイツリー。
カードを集め、世界をめざす8人の愚者達がなぜここに集ったのか。
それはここが目指すべき場所、スカイツリーであるからだ。
故にここが世界樹と呼ばれるのにふさわしいことは疑う余地がないだろう。
これはスカイツリーをめぐる愛と感動の涙なしには見られない物語である(注・諸説あります)
★★★★
「えっ護衛だって?」
プロデューサーの武羽根が彼が担当するアイドル、ラナン・C・グロキシニアに唐突に告げたのは
「お前、宇宙人の件でなんか変なタロットカードに巻き込まれた訳だろ。事務所としても、お前に死んでもらうわけにはいかないからな」
「いや、別にいらないよ。私一人でどうにかできるさ」
「もう契約して呼んでるんだ!」
武羽根が指を鳴らすと天井から少女が下りてきた。華麗に着地!
「民間軍事会社「黒蟻」の遊葉天虎だぜ。スーパーアイドルにあえてとても光栄ですよ。ってもしかしてあんたカード持っていらっしゃいます?」
「あー、君ももしかしてタロットカードを?」
タロットカードの持ち主同士は相手がカードを持ってることを何となくわかるのです。
「ちょっと待ってくれないか。こいつと話があるから」
「わかったぜ」
ラナンは天虎にそういうと、武羽根に怒鳴りつけた。
「護衛にカード持ってるやつ呼んでどうするんだよ!!君はバカなのか!!」
「知らなかったんだよ」
「知って連れてきたんだったらもっとバカだよ!!」
ラナンが
「どうする?ここで戦うかい?」
「いや、護衛対象撃っちまったら、怒られちまうぜ。とりあえず他の参加者全滅させるまで、一時休戦ということで行きましょうぜ」
二人は和解した。
「よかったよかった。問題は解決だな」
「解決だなじゃないんだが」
まだ釈然としない様子のラナン。
「まあ気にするな。で、話は変わるが新しい仕事の話だ」
机の上に企画書が置いてある。
ラナンは武羽根が持ってきたその新しいTV番組の企画書に目を通した。
企画書には『特別番組 ラナン・C・グロキシニア探検隊』と書かれている。
「なになに七番目の七不思議?」
「『姫代学園』に伝わる『七番目の七不思議』、それを調査するのが今回の番組の趣旨だ」
姫代学園にはいっぱい七不思議があるらしく、それに興味を覚えた番組プロデューサーが思い付きで考えた企画がこれであった。
「で、いつから撮るんだい?」
「明日だ」
「いやいや、早すぎない?スケジュールはどうなってるのさ。ドラマの撮影予定だっただろ」
「なんか撮影予定だったドラマの共演者が大麻で使ったらしくてな。ちょうどスケジュールが空いたんだよ」
「空いたからって入れないだろ、普通!!」
滅茶苦茶なスケジュールに抗議しつつラナンが企画書に目を通す。
地下格闘技団体の九頭龍次郎、帆村探偵社の探偵帆村紗六等の名前が共演者として並んでいる。
皆さんもご存知の通りタロットカードの持ち主やその関係者ばかりですが、持ち主同士は惹かれあうのです。
なのでこれもとても自然なことです。
「まあいい。アイドルはファンにゆめを見せるものさ。だから、やるからには全力で取り組ませてもらうよ」
★★★★
次の日、さっそく撮影が始まった。
まずは姫代学園を取材。スタッフに何人かの死者を出したが、次の七不思議に関する情報を入手。
「夜の赤い靴公園で首吊りをすると理想が手に入る。」
赤い靴公園にいくしかあるまいということで。
真相を突き止めるため、さっそく北海道留寿都村にある赤い靴公園に飛んだ。
赤い靴公園では二人目の七不思議が襲ってきたが、ナントカ倒した。
その後もいろいろありたくさんの犠牲者が出たが、七番目の七不思議の七人目の情報を入手し、七番目の七不思議の七人目がいるというスカイツリーに向かった。
「君が七番目の七不思議……」
スカイツリーの展望台には七番目の七不思議の七人目が待っていた。
多くの犠牲を出してしまったが、ラナン・C・グロキシニア探検隊は七不思議の最後にたどり着いたのだ。
「やぁはじめまして、あたしは『姫代学園』に伝わる『七番目の七不思議』。」
そういうと、七番目の七不思議の七人目はスカイツリーと同化した。
七番目の七不思議の七人目のアルカナの『塔』の暗示がスカイツリーを意味していたのだ。
特殊能力に書かれている「よろこび」がスカイツリーを指していたことも疑う余地はないだろう。
七番目の七不思議の七人目がスカイツリーそのものでも何一つおかしなところはない。
「あたしはスカイツリーそのもの。あんたたちは死ぬって」
スカイツリーと化した七番目の七不思議の七人目が襲ってきた。
激しい戦いの末、多くの犠牲者を出したものの、最終的に七不思議の七人目は消滅し、スカイツリーは崩壊した。
崩壊したスカイツリーの前には帆村紗六とラナンが立っていた。
「戸村君の死は悲しいことだが、彼のおかげで僕はまた真実を知ることができた。感謝しているよ」
崩壊したスカイツリーの前で帆村紗六は、目をゆっくりと閉じる。
綺麗な月が空に浮かんでいた。
★★★★
「よう!闘争しようぜ」
翌日、スカイツリーの跡地に行くと我道蘭が襲ってきた。
ラナンは地球に来るまでのコピョミョュヒァ戦争でのピニニョメァ星人のハニュニョボビツァとの闘いの経験を生かして我道蘭を倒しました。
その後、なんかいろいろあってラナン以外のスカイツリーの参加者は全員死にました。とっぴんぱらりのぷう。
「ダンゲロススペシャル ラナン・C・グロキシニア探検隊 東京スカイツリーに七番目の七不思議の七人目は実在した!」完