『謎掛』
■キャラクター名:『謎掛』
■ヨミ:ナゾカケ
■性別:女性
■武器:一丸可詰丸……学生。休学中。
特殊能力『《謎図謎掛》』
メイズメイカー。
極めて高度な情報隠匿能力。
事物の姿形を真っ黒な『謎』で包み、「そこに何があるのか分からない」状態にしてしまう。
——それは『謎』。
全てを『謎』で包み込む。
答えを推測できれば、そこに何があるかは自ずと理解できる筈。ただし答えがわからなければ、何があるかは絶対に分からない。
外側から観察しても「何があるのか分からない」。
内側から観察しようものなら、観察者自身が「わからなく」なってしまう。五感を奪われる。
——彼女は飛び抜けてタチが悪い。
答えさせる気がない。
能力の応用として、『謎』を『謎』で包み込むことで、「『謎』であることすら分からない『秘密』」にしてしまえる。
『秘密』にされたものは認識すらできなくなり、万人の認知から外れる。
「これで事件は『迷宮入り』」——
要するに指定した範囲を認識不可能にして「分からない」状態にしてしまう能力。
分からないものは分からないので、もう何をしても認識できなくなる。認識出来ないため、指定された空間は真っ黒になる。
効果範囲と持続力と精密性がカンストしてるので死ぬほど厄介。
設定
■キャラクター名:〼虚迷言(クチナシ マヨイ)
■異名:『謎掛』
■ヨミ:ナゾカケ
■性別:女性
それは『謎』。
『謎』を掛け、仄めかし、暴く者。
別の世界 で、東京に蔓延る全ての殺人鬼を殺し、ただ一人の"殺尽輝"となった
可能性としての
『謎掛』。
(基本的な設定はキラキラ正史を優先しますが、特に事前知識が無いプレイヤーの方は好きに解釈していただいて良いと思います。流石にキャラが過去キャンペーンからの引用だと差が出てしまいますし)
元は存在自体が不確かだったが、『転校生』になることで確定した存在となった。
——『謎』は正しい道を辿れば答えへと至るが、彼女はしばしば答えられない『謎』も問いかける。
前髪を切りそろえた、黒髪長髪のメイド。
転校生の特権として自分専用の世界を与えられており、そこは拠点であるアンティーク喫茶『迷宮入り』以外の全てが真っ黒な『謎』に包まれた世界になっている。
一丸可詰丸という男に執着している。彼のことをご主人様と呼び、自身は彼に仕えるメイドとして振る舞う。
彼を病的に溺愛する一方で日常的に苛烈な暴力を加えており、肉体的にも精神的にも依存するよう仕向けるなど、不可解な行動をとる。
元いた世界の一丸可詰丸は彼女曰く「もういない」。
転校生として複数の世界を渡り歩く中で新しいご主人様(一丸可詰丸)を探し続けている。
というかほぼ転校生としての仕事そっちのけでそちらを優先する。
そんな彼女が山乃端一人を求める理由——
——今回の戦いでは多くの転校生たちが山乃端一人を求めているが、少なくとも彼女はその行為が意味する本質的な矛盾に気付いており、むしろそれがため全力で山乃端一人を求めている。
戦いの際は、その能力をフルに用いて「東京以外の全て」を『謎』に包んだ状態で文字通り世界を賭けた戦いを挑む。
一丸可詰丸を武器として使う。
これで事件は『迷宮入り』——
プロローグ
登場人物
〼虚 迷言……『謎掛』。
一丸可詰丸……学生。休学中。
◾️◾️◾️◾️……転校生。それは『秘密』。
目次
《whodunit》
《whatdunit》
《howdoit》
《whodunit》
どこからか虫の羽音が聞こえてくる。
もう聞こえるはずないと思っていた。
しかし、聞こえてしまったのならば仕方がない。
——ああ、安心した。
そう思った。
なぜ、この耳障りな音が、もう聞こえないと思ったのか。わからない。
なにか心地いい夢を見た気がする。
二人の女性と世界を破壊する夢を見た気がする。
あるいは、誰よりも殺人の宿命を背負わされた少女と、何よりも妖艶な女性だったかもしれない——
だけどそんなことはどうでもいい。
今となってはどうでもいいのだ。
それは重要ではない。
「別に、もうこの音は聞こえててもいい」
そう呟いた。
そう思えたことが重要だ。
彼女たちは——この場から去った。
——本当に、安心したよ。まだ息があるんだね。
朝灼けが夜闇を照らす。
鮮烈なまでに赤々とした血だまり。その只中に自分は仰向けに寝転がって、黒から赤へと急速に変わる空を見つめていた。
赤。赤。
赤い空と対応するように、冷たいアスファルトには赤い血飛沫と赤い血溜まり。
そこには、奇妙にも黒々と塗り潰された立方体や、黒い人型のような物が幾つも転がっている。
誰がやったのか——
自分がやったのだ——自分は自白した。
自分と、迷言さんが目の前の惨劇を作り出した。
手足は動かない。迷言さんが4本とも持って行ってしまったから。
まさに虫の息と言えるけど、それでも自分は、このまま虫の羽音の幻聴を聴きながら、自分自身が作り出した血の海に沈んで死んでいっても良いと思った。
間違いなくそう思った。
——まさか君一人が生き残るとは思っても見なかった。こういう世界もあり得たというわけだ。
——ここにいる連中は全部君がやったのかな?だとしたら大したものだ。いや本当におめでとう。
血で真っ赤に染まった視界を、突然現れた一人分の顔が遮る。
影で隠れてよく見えない。
その人はかがみ込むような姿勢で、ギリギリまで顔を近づけると、不意にそのシルエットの全貌が見えるくらいまで遠のいた。——いや、今の自分は仰向けに寝転んでいる。遠のいたのではなく、この人は単にかがみ込んだ姿勢から起き上がっただけだ。
ただ、それだけの動作だった。
だけど、その人の銀時計が目についた。
——はじめまして。
——私の名前は◾️◾️◾️◾️。
誰だ——?
よく聞き取れない——?
——転校生だよ。
転校生?
——正直言って、君一人が東京での戦いに勝ち残ると思ってなかったんだ。いやすまないね。これまで"そうじゃない世界"をずっと見てきたものだから、
——だから、とても嬉しいよ。
どういうことだ?
訳が——わからない。
この人の銀時計が気になる。
——とにかくだ。
——君も手伝ってくれないか?
自分は死ぬのではないのか?
——死なないよ。
——そう、納得がいかない顔だね。まあいい。その辺はおいおい説明させてもらうよ。
——だって、まずは治療が先だからね。
——おや、もう喋る気力もないかい?仕方ないね。
——すぐに君を————連れて行ってあげよう。
《whatdunit》
虫の羽音が聞こえてくる。
道端に死体が転がっていたって、驚きはすれど、おかしくは無い。
どこからか虫の羽音が聞こえる。
しかし、幾ら見渡せども、通りには虫一匹見当たらなかった。
ならば、そこには何も無いのだろう。
自分は、もう10分以上、店の扉を見つめ続けている。
実際はそこまで足しげく通ったわけではない————気もする。
だが、その洋館は——
清貧——優美、かつ大胆——豪壮————可憐。
派手さ以外の賛美を全て兼ね揃えた洋風の御殿だ。
アンティーク喫茶『迷宮入り』と、店の看板にはそう書かれていた。
聞こえる。
何処からか虫の羽音が聞こえる。
——この場所は、君には見慣れた場所なんじゃないかな?
——転校生には一人に一つ世界が与えられるんだ。
——とりあえず君の世界としてこの場所をあてがってみた。
銀時計の◾️◾️◾️◾️さんが言う。
誰だ?
この人は誰なんだ?
——君が安心してくれると思ってね。
——まあ、中でくつろいでくれるといいよ。
くつろげるのだろうか。
自分は、『迷宮入り』の中へ足を運ぶ。
——これで事件は『迷宮入り』——
聞きなれたような、——そうでもないような————
そんな幻聴が聞こえた気がした。
自分は、◾️◾️◾️◾️さんと洋館の中に入る。
——いや、いきなり手伝って欲しいなんて言って悪かったね。
——君には、山乃端一人を探すのを手伝ってほしいんだ。
山乃端一人?
誰だ?それは?
——君は知らないのか。
——まあ私自身、彼女と知り合いというわけでもない。
聞くところによると、山乃端一人は「一人ではない」らしい。
複数の世界に山乃端一人が観測されており——それ自体は他の人間にもよくあることなのだそうだが——
彼女の場合、その死が「大規模な戦い」の呼び水となるのだそうだ。
——「彼女が死ぬから戦いが起きるのか」
——「戦いが起きたから彼女が死ぬのか」
——卵が先か、鶏が先か。
——それは分からないけどね。兎に角、多くの世界でそうなっている。
つまり、端的に言うと彼女はものすごく死にやすい体質ということなのだろうか。
——まあそうとも言えるね。
——「彼女が生きている世界が一つくらいあってもいいんじゃないか」と。
自分と◾️◾️◾️◾️さんは、通路を抜ける。
そこには——
そこには、広い空間と、幾つもの錆びついた鉄格子が整然と並んでいた。
何だ——
——「彼女が生きている世界が一つくらいあってもいいんじゃないか」と、
——そう考えた人がいる。
何も置いていない、不自然に片付いたラウンジ型の広間。
そこには錆びついた鉄格子が幾つも並んでいる。
虫の羽音が
虫の羽音が聞こえる。
何だ——
いくつかの鉄格子から、鉄格子を引っ掻く音が聞こえる。
その、左から四番目の鉄格子の中に——
中にいるのは——何だ
何で、自分が中にいるんだ。
——鏡介という転校生なんですけどもね。
——私じゃあないですよ。
何だ?
何が、これをやったのだ?
こんなことをするのは——人間じゃない。
鉄格子の中に、自分がいる。
自分がいる。僕がいる。私がいる。俺がいる。
それ以外の鉄格子——全員顔が真っ黒に塗り潰されている。
何人かは既に死んでいる。
何だ?
何がやったのだ。
——私ですよ、ご主人様。
——◾️◾️◾️◾️です。
見えないのだ。
◾️◾️◾️◾️さんの顔が見えない。
真っ黒に塗り潰されて見えない。
先ほどからずっと見えない。
最初から見えてなかった。
だからこの人は人間じゃない。
はじめから見えてなかったのだ。
はじめから——?
はじめ——とは——いつからだ?
自分は——誰だ?
——やはり、千尋ちゃんを説得するのも限界がありますね。
——無い記憶は作れないんですね。
——ああ、こっちの話です。
そういうと、◾️◾️◾️◾️さんは人差し指をその黒く塗り潰された顔に持っていき——
〼虚
迷言
さんが
現れた。
——誰だと思いましたか?私ですよ。一丸可詰丸様、ご主人様。
《howdoit》
——まあはっきりいって、私が転校生になれたのは、全くの偶然だったんですよ、ご主人様。
閉鎖された空間。広間にポツンと現れた椅子に縛り付けられた自分は——一丸可詰丸と言う名前らしい。
〼虚迷言さんの理解不能な説明を、もう何度も聞かされていた。
——転校生は自分だけの世界を与えられるって話はしましたよね?
——詳しい説明は省きますけど——転校生は、自分の世界に好きな人間を連れてこられるんですよ。
——私は自分の世界にご主人様以外必要としてません。だから、当然、最初はご主人様、一丸可詰丸様を連れてきました。
連れてきた?
それは自分のことでは無いのか。
——だけど、気づいたんですよ。
——人って死ぬんですよね。ソクラテスだって死ぬんです。
——死なない人間なんて、居ないんですよ。
ああ——
それはそうですね。
だから——
——そう、だから
——ご主人様が沢山いればいいかなって
成る程——
一応理屈らしきものには合いますね
——ええ。
——だからこうして、いろんな世界を渡り歩いて、一丸可詰丸様、ご主人様を探しては、連れてくるんですよ。
——だけど、転校生といっても無条件で好きな人を世界に連れ込めるわけでは、決して無いんですよ。
——これも詳しい説明は省きますけど。
では、自分は——
どうやって——
——「分からなくすれば」良いんです。
——まあ掻い摘むと世界に人を連れてくる際に検査みたいなのがあって。
——「分からない状態」で連れてくれば——そのあとひたすら担当者の子を説得する必要があるんですけど。
——必死に頑張って説得すれば、大目に見てくれるんです。
それは諦められてるだけでは。
——そうかもしれませんね。
要するに、自分は全く無関係の人だったけど、一丸可詰丸としてこの世界に連れてこられて——何かフィルターのようなものをとおして——自分自身、そのように認識させられていると言うことですかね。
いみがわからないので、適当に返事した。
——まあ、そんなところです。
そう言うと、迷言さんは向かって一番左端の鉄格子を指差した。
——一番最初は、あの人。ご主人様ではありません。
——私の元いた世界ではご主人様はいなくなってしまったので、この人を連れてきたのですが——二人目を連れてきた時点で死にました。
死んだ。
——二番目、三番目は、あの人たち。連れてきてからご主人様だと思い込ませようとしたのですが、うまくいかなくて。
死んだ。
——いえ、生きてますよ。世界というものは最低でも二人以上の人間がいないと成り立たないそうですからね。そういう縛りがあるらしいんですよ。
死んだ。
——だから死んでませんって。
——四番目、ほらあそこの鉄格子なんですけどもね。
——運良くちゃんとしたご主人様に会えたのですが、向こうの私が良く無いことをしたみたいですね。
——連れてきた時点で虫の息で、だけどこの世界に連れてくることで——良い感じに回復出来たみたいです。
そこには、自分がいた。
何故かメイド服を着せられている。
口元が微笑んでいた。
あの人も——
——ご主人様を沢山集めるんですよ。
——今のところ、2人のご主人様がいます。
——ご主人様、ご主人様の2人です。
——やっと2人です。
成る程——
自分を2人も集めて、何をするつもりですか。
まさかどちらの自分がただ一人の一丸可詰丸なのか——殺し合いでもさせようってハラじゃないでしょうね。
迷言さんは人差し指を口元に当てると、微笑んだ。
——大正解です。ご主人様は私の考えてることが手に取るようにわかるんですね。
——だから、山乃端一人が必要なんですよ。
ああ。
ああ。
成る程。成る程。
わかった。そこだけわかりましたよ。
ソクラテスは死ぬんですね。
自分がそう言うと、迷言さんは、
とっても嬉しそうに、笑った。
——ええ。本当にご主人様は私の考えてることがよく分かるんですね。
——そうなんですよ。人間は死ぬんです。絶対に死ぬんです。その死が戦いの端緒となる山乃端一人とて例外ではありません。
つまり。こういうことだ。
山乃端一人が死ねば、その世界で大きな戦いが起こる。らしい。
だけど、死なない人間はいない。
だから、山乃端一人が存在しているだけで、その世界は大きな戦いが起こることが、絶対に確定する。
——鏡介という転校生が「山乃端一人を救う」ことを考えているらしいんですけど。
——それを聞いて、思いついちゃいまして。
だけど、山乃端一人はどうやっても死ぬ。
絶対に死ぬ。
何十年先になるかは分からないが、絶対に死ぬ。
鏡介のやろうとしてるのは徒労だ。
山乃端一人をこの世界に連れてくる。
わかりました。
つまりはそういうことですね。
——ええ。
——それから、ご主人様を100人は集めたいですね。
成る程。
それから、山乃端一人には死んでもらう。
——そしたら、100人のご主人様が私の世界で全員殺し合ってくれるんです。ね、ご主人様。
——だからご主人様にもメイド服を着てもらって、私と同じ姿になってもらうんです。
——その方が面白そうなので。
自分は、少し考えてから頷いた。
わかりました。
——ええ、了解しました。ご主人様。
——楽しみですね。
そう答えた。
〼虚迷言……転校生。山乃端一人を自分の世界で殺害して一丸可詰丸ハルマゲドンを勃発させるのが願い。
一丸可詰丸A……転校生では無い。プロローグの序盤に出てきた方。過去の先頭で達磨になっている。〼虚迷言のコスプレをさせられている。
一丸可詰丸B……転校生ではない。〼虚迷言のコスプレをさせられる。
最終更新:2022年04月02日 19:01