クラ谷 雲霞
■キャラクター名:クラ谷 雲霞
■ヨミ:クラタニ ウンカ
■性別:女性
■武器:線香と電子タバコ
特殊能力『偏差する自由香炉』
身体に触れた気体とエアロゾル、その周辺の同状態の同一物質を抽出して異空間で保存できる。
要するに身体に触れたガスと煙を吸い込んで特殊な空間へ収納する能力。
一度保存した煙とガスは再び雲霞の身体の好きな場所から放出することができる。
保存容量には特に制限がなく、別個に保存したガスや煙が混ざり合うことも異空間内で変質することも無い。
空気を吸い込めば真空を作ることもできるし、大量の空気を噴射して推進力を生むこともできる。非常に応用性のある魔人能力と言えよう。
設定
クラ谷(旧姓:山ノ端)一人の娘。
母を亡くして転校生となったのは15歳の夏。
彼女の母親は『山ノ端一人』の背負う運命を信じていた。その名前を持った女性は炭鉱のカナリアのように災厄の兆しに倒れるものなのだと信じて疑わなかった。
あるいは悲劇やスプラッタを前にして閉じられる観客の瞼。
それが自分達『山ノ端一人』の役割なのだとも母親は語った。
カタストロフの最中に勝者や敗者が生まれたとしても、そこに興味を持つことのない人々の代表者として生まれついたのだと。
それは果たして偶然だったのかどうか、しかし大事件の前には必ず『山ノ端一人』の死があったことには間違いがなく、種々の記録も残されている。
雲霞の母は自らの名に絶望し、学生の内から身を持ち崩し、幾人もの男と関係を持って誰の子かもしれない子供を身ごもり、親からは勘当された。
糊口をしのぐために手を出した仕事の中で、クラ谷という男に見初められて家庭に入ることになる。
名字が変わったことでクラ谷一人の精神はやっと平穏を迎えることができた。
クラ谷雲霞に物心がつき母親から『山ノ端一人』に怯えていた過去を語られるのは、馬鹿らしい昔のエピソードとしてである。
しかし幼い雲霞も、母親は名字が変わったから怯える必要がなくなっただけで『山ノ端一人』の運命を信じ続けていたことは薄々理解していた。
クラ谷一人はある平和な陽気な午後にその息を引き取る。
原因は換気不足による一酸化炭素中毒で事件性は無かった。
雲霞はその時中学生で、報せを聞いたのは放課後の自習中のことだ。
受験を控えてそれまで家事など気にしていなかった家庭では父親と二人きりとなり、母親の代わりを出来ない雲霞を父は酷く責めた。
腹や腕に燃える煙草を押し付けられ、水を溜めた浴槽に顔を無理やり浸けられた。
仏壇の前、母の遺影と向き合って線香をあげる時間が彼女に残された平穏だった。
間を置かず街はにわかに物騒さを増し、一般人の殺し合いについてよく話されるようになる。
クラ谷雲霞は母の戯言を信じることにした。
運命は実在する。
山ノ端一人は運命を証明する。
ならば山ノ端一人の娘は何のために存在するのか。運命の道具がわざわざ子供をもうけたのであれば、きっとその生にも意味がある。
その確信は山ノ端一人を魔人に、そして同時に転校生へと変えた。
転校生に与えられた義務を知り、彼女は進むべき道を決める。
母の死が引き起こした、あるいは予見したハルマゲドンに自らが決着を着ける。
そして何度でも、作られた世界で母が死ねばその度にそれを繰り返す。
運命の予言者から生まれたからには運命を決着させ続ける者として生きると、クラ谷雲霞はそう決めた。
最終更新:2022年04月02日 19:09