財郷 はかり
■キャラクター名:財郷 はかり
■ヨミ:ざいごう はかり
■性別:女性
■武器:武器:真銀の長剣漆黒の処刑剣
特殊能力『理不尽を歪めし理不尽』
一言で言えば理不尽、すなわち魔人能力の対象を歪める能力。対象ははかりの意図次第だが基本的にはかりが有利になるように選ばれる。
起動条件は魔人能力がはかりを対象に含めるか、はかりが魔人を認識するかのどちらか片方でも満たした場合。
対象を自身に取る強化能力ならば代わりにはかりが強化され、
魔人能力で攻撃すればはかり以外のものを傷つけることになり、
魔人能力を無効化する能力はその能力そのものが無効化される。
また対象として無(null)を選ぶことも出来、誰を選んでも大した意味がないかろくでもない結果を生じさせるならそちらに回すこともある。
魔人能力でない普通の攻撃ならまだ理不尽ではないので通る。もっとも、魔人能力抜きで無限の防御力を貫く方法があるならば、だが。
親友である山乃端一人の死という理不尽から目覚めた能力。
なお能力が変わる際に武器も変質した。武骨な漆黒の処刑剣を両手で振るう。
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この力に目覚める前に持っていた魔人能力 |
特殊能力:因業果たされ報いに応ず
この能力で生成された剣と天秤を持っている間、対象の業(カルマ)に応じて対象への攻撃力と対象からの防御力が強化される常動型スキル。
右手に持った長剣を相手に向けると、左手の天秤が善業と悪業のバランスを示す。
悪側に傾けば傾くほど対象への攻撃力と対象の攻撃からの防御力が増す。
なお効果自体は剣と天秤を持っている限り発動し続けるのでどう見ても悪とわかっているならわざわざ剣を向ける必要はない。
人の身柄をどうとも思わぬような悪人であれば、剣を遠くから振るだけでその風切り刃で対象を斬り裂くことも出来る。
人の命など紙切れより軽いと思うような悪人であれば、いくら銃撃を受けようとも雨粒のごとく弾き返す。
なお善側に傾く相手であった場合特に攻撃力と防御力が変動することはなく、ただの金属の棒っきれ以上の威力は出ない。
幼い頃に命を狙われたときに目覚めた能力。
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設定
財郷財閥の令嬢、一人娘。14歳。金髪碧眼は母親譲り。背中の中ほどまで伸びた髪を束ねている。胸はフラット。
家が家なので育ちがよく、英才教育も受けていた。服はフォーマルなものが多いが、本人はもっと可愛い服がいいなと思っていた。
おっとりしてはいるが、物腰と言葉遣いだけであり、譲れないラインは頑として超えさせないタイプ。
命を狙われたことをきっかけに魔人能力に覚醒し、その後も返り討ちにしてきた。
山乃端一人とは小学校の頃から仲が良かった。
はかりが愚痴をこぼし、一人がそれを聞くというものであった。
一人はうんうん、と頷き、辛そうだと思ったときははかりをぎゅっと抱きしめた。
高ストレスにさらされてきたはかりにとって、一人は数少ない心を許せる相手でもあった。
だがある日、「財郷はかり一人で指定の場所まで来い。来なかったり二人以上できた場合は山乃端一人の命は保証しない」という手紙が彼女のもとに届く
つまるところ、山乃端一人が誘拐されたのだ。両親が止めるのも聞かず、はかりは指定された廃ビルに踏み込んだ。
いつものようにはかりは因業果たされ報いに応ずで作られた剣と天秤を持ち、某所廃ビルの一室に踏み込んだ。
そこには数人の男と、ぐるぐる巻きに縛られ、猿轡を噛まされた上で銃を突きつけられた山乃端一人がいた。
「ひとりん……!」
「おっと、動くなよ。怪しい素振りを見せたら引き金を引いちまうかもしれねぇ」
「……ぐっ、卑怯な!」
はかりの視線の先には涙を浮かべている山乃端一人。
下手に動けば銃弾が彼女の頭を貫くだろう。
「何とでも言え。まずはその手に持ってるものを手放してもらおうか」
山乃端一人はそれはダメだと言いたげに頭を震わせるが、頭に銃を突きつけなおされるとピタリと震えが止まった。
それを見てはかりは諦めたように両の手を広げ、得物を地面に落とした。剣と秤はがらんがらん、と大きな音を立てるとたちどころに光の粒となって消え失せた。
直後、後ろからの体当たりにはかりはなすすべなく地面に這いつくばらされ、腰に縄を掛けられる。
「がはっ」
「へぇ、無様なもんだ。今まで好き勝手やってたときとは大違いだ」
「欲しいのは私の身柄でしょう。あの子は解放しげひゅっ」
最後まで言い切ること無くはかりは背中を踏みつけられる。
「あのなぁ、アイツを解放したらテメェが遠慮なく暴れだすだろ」
その様子を見た山乃端一人は、なんとかしようと身を捩り暴れだす。
「あっ、テメェ暴れんなアブねぇだろコラあっ」
銃声。血飛沫。その瞬間、はかりの理性は吹き飛んだ。
爆発した感情は、はかりにとてつもない力を寄越した。床に掌底を打ち付けた反動で、彼女を抑えていた男を吹き飛ばして着地した。
「よくも、よくもひとりんを……!!」
虚空から取り出したるは裁きを司る銀の剣ではなく、その倍の長さはあろうかという漆黒の処刑剣。
両手でしかと握り、構える。
男たちは浮足立っていたが、天秤を持っていないことを見て、冷静さを取り戻す。
「なんだ、得物が違うじゃねぇか。あの天秤がないならワンチャンあるぞ!」
そう言った男の周囲に多数の銃火器が虚空から出現する。
「死ねぃ!『兎角速射』!!」
自律稼働する銃火器が一斉に弾を吐き出した。その男めがけて。
何故、と自問する間もなく男は肉片と化した。彼の呼び出した銃も何処かへと消え去った。
「ど、どういうことだ!? 縄を掛けたはずだろう!?」
はかりの腰に縄を掛けた男が動揺する。
彼の縄は当然通常の縄ではない。魔人能力『走狗屠る狡兎』によるもの。
縄を掛けた対象の魔人能力を封じるというものである。
「ならもう一本……出ない!? な、何でだ!?」
それが彼の最期の言葉となった。いつの間にか二人になったはかりのうちの片方が正中線を通すように真っ二つにぶった斬ったからである。
「何で俺じゃなくてあっちが分身してるんだよ!?」
二人になったはかりを見てうろたえている男の能力は『二兎追』。
全く等価の分身を作り出す上、片方が倒されてももう片方が本体となる能力。
もうひとりのはかりは胴を真一文字に斬り飛ばし、上半身と下半身を泣き別れさせた。
「ひっ」
残る男は一人。
「『脱兎術』!!」
そう言って男はどたどたと部屋から逃げ出そうとした。
当然はかりは逃がすつもりは毛頭ない。一瞬で部屋の出口に回り込む。
「嘘だ……嘘だ嘘だ! 俺の神速の能力に追いつけるはずが……!?」
「道理で身軽な気分になれたわけね。じゃ、その力返すわ」
はかりが言い終えるか終えないかのうちに、その能力の速さを載せた、全身全霊の体当たりをその男にぶちかました。
結果、壁のシミと成り果てたのであった。
「……!! ひとりん、ひとりん……!!」
無惨な死体が散乱する部屋の中で、はかりは既に事切れた一人をかき抱いていた。
「私のせいで無関係な貴女を巻き込んで……、あまつさえ死なせてしまうなんて……、……ぐすっ」
そんなときに謎の声が彼女に囁く。
「あなたの力があれば、山乃端一人を蘇らせることも可能です。しかしそれには代償を伴います」
その言葉に、はかりは誰何することも忘れ、一も二もなく飛びついた。
「私に出来ることなら何でもやります。本当に可能だというのなら、この命を捧げても構いません。だから、どうか、どうか……!!」
その先の話は傍目荒唐無稽としか思えないものだった。
はかりが魔人を越える力を持つ存在「転校生」となったこと、嘘の吐けない身になったこと、そもそも力の反動ではかりの身はそう長くは保たないこと。
そして、異世界の山乃端一人の死体を手に入れ、先程目覚めた新たなる能力で彼女の死という理不尽を歪めて蘇生させられるであろうこと。
はかりは考えた。もう長くない身ならば、命を燃やし尽くしてでもそれを実行するまで。
「覚悟はできた? 出来たなら異世界に送り込むけど。彼女の死体を手に入れたら先程教えた合言葉を唱えなさい。すぐ回収するわ」
「えぇ……出来ております」
こうして、財郷はかりは異世界の東京に旅立った。どのような道筋を辿ろうと結末が己の死と確定していても。
(お父様、お母様、先立つ不孝をお許しください。それでも、やらねばならぬことなのです……!)
山乃端一人の死体を必要とする理由:
この世界の山乃端一人の死体を触媒に、自身の理不尽を歪める能力で己の世界の山乃端一人を蘇生させようとしている。
この世界の山乃端一人は己の世界の山乃端一人では無いので殺すことに何ら躊躇いはない。
彼女に生きていて欲しかった。それを果たすためなら何でもする。異世界の山乃端一人を殺すことも、己の命を燃やし尽くすことも。
……だが、果たして本当にそんなことは可能なのだろうか?
最終更新:2022年04月02日 19:33