○プロローグ チル・コールド・ウィンターの大誤算
転校生だけが使えるポータルを信用してしまった。チル・コールド・ウィンターのあやまちはこれに尽きる。
彼女は無限の力を持っていたが、その前提はとうに壊れている。あるべき地球はなく、彼女の身は宇宙空間に投げ出された。
「は?」
声は、声にならず。
彼女がいかに無限の防御力を持つ転校生であっても、耐えることはできない。
転校生は無敵ではない。
無限の攻防力を持つが、
毒で死ぬ。
病気で死ぬ。
無呼吸で死ぬ。
まじないで死ぬ。
空間の断絶で死ぬ。
転校生は死ぬ。
裁定の余地なき絶対により死ぬ。
身ひとつで宇宙遊泳すれば死ぬ。
当たり前だ。
○ 不振賽
今回、本戦SSはない。
物語は一戦目、二戦目を読んでほしい。
もう終わっている。完全に。
もし、
もし仮に、
もし仮に、神が。
もし仮に、神がダイスを振ったのなら。
運命、星の定めは揺り動かされただろうが。
だが賽は投げられず、
運命は捨て置かれた。
神はその終わりを見てよしとされた。
逢合死星の擁する、死ねない山乃端一人であれば、レギュレーションに沿い続けるだろう。
だからもういい。
山乃端一人はこれで助かったということだろう。
……エーデルワイスは、高山地域では伝統的な葬儀花であり、花言葉は『天の導き』『約束された死』とされている。
山乃端一人が死ぬべきでないと願ったのは、誰だろうか。
○ エピローグ
238億年後。
チル・コールド・ウィンターは全宇宙凍結を成した。
彼女は宇宙空間に投げ出されて、確実な死を回避するため、自らを凍結保存した。
『エンドレスE W』
あらゆるものを凍らせる能力。
絶対の零度は彼女のみならず、少しずつ、少しずつ周囲を凍らせ、宇宙をセイシさせた。
『時間さえかければ』、彼女は、あらゆるを留め置くことができる。
時間がかかってしまったが。
さて。
凍結した宇宙においても、あなたは山乃端一人の声が聞こえるだろうか?
「たすけて」
共闘者は死に、地球は滅び、転校生たち並行世界からの干渉という筋も凍えた。
星も人も、なんら働きかけようがない。
山乃端一人が訴える相手など、
今はあなたしか残っていない。
「たすけて」
終わってる物語をいくら続けても、
空々しく虚しい余韻が残るだけだ。
あなたは次の物語を取るだろう。
「たすけて」
山乃端一人は創世を望んでいる。
ペニス・キリストたるあなたに、世界の創造を。
開闢のビックバンを!
最終更新:2022年04月23日 20:15