東京の夜の街はあらゆる犯罪に満ちている。その中でも最も卑劣な犯罪が女子高生をターゲットにしたものである。ドラッグ・売春・強姦・その他数々の魔の手が日々女子高生を追い詰める。
だが、そんな犯罪を取り締まる存在も居る。そう、魔人警察だ。その中の一人ブルマニアンがこの物語の主人公なのである!
ブルマニアンプロローグss『奴のキメ台詞は正義執行(ジャスティス)』
「ウェーヒヒヒ、そこの女子高生ども待つのだー!」
「逃げろ一人(ひとり)ー!」
「逃げるなら一緒だよ!」
虎の着ぐるみを着た男が女子高生二人を追い回していた。彼の名はチャトラン・ユリスキー。百合に挟まれたい変質者である。
ユリスキーは元々は最強を目指す格闘家だったのだか、ゴミ捨て場で拾った虎の着ぐるみを身に着けた事がきっかけで魔人能力『百合に挟まれタイガー』に覚醒。この魔人能力は、女子高生のレズという無駄に洗練された無駄にだだ漏れなエネルギーを吸収して強くなるという何ともうらやまけしからんものだった。この能力がきっかけでユリスキーは百合の力に溺れ暗黒面に落ちたのだった。
「ヒヒヒ、追い詰めたぜ!俺は百合に挟まれる度に強くなるだけでなく、百合に挟まれるチャンスにも一時的に強くなるのだ!二人で仲良く逃げた事が仇になったなあ!」
恐るべし、チャトラン・ユリスキー!彼はレズカップル(とユリスキーが認識した二人組)相手には強いのだ!路地裏に追い詰められた女子高生にユリスキーの魔の手が迫る!おおブッダ!救いは無いんですか!
「お待ひなひゃい!」
おおブッダ!救いはあったのですね!路地裏で経営しているカレー屋の扉が開き、体操服にブルマ姿の美人がボークカレーを食べながらユリスキーと女子高生達の間に立ち裸った!
「ひひゃりある所に影がありゅ、悪が動けばモグモグ正義も動く。ハフッハフ、ごちそうさま」
「530円です」
「誰が呼んだかブルマニアン、会計終わってただいま参上!私が来たからには今日も現場はセーフティー!」
店長から受け取ったお釣りをブルマの中にしまい込みポーズを取ったブルマの美女、彼女の名前はブルマニアン!設定年齢17歳のおとり捜査官、つまり女子高生の味方で、ユリスキーの敵である。
「ヒヒヒ、お前がブルマニアンか。噂に聞いてるぜ。金髪アホ毛の魔人警官が最近性犯罪者を襲っているってな。そこをどけ、俺は年増とソロの女には興味ねえんだ」
「失礼ね。私は十七歳よ」
「嘘つけ!日本の法律では警察官になれるのは十八以上なんだよ!」
「あら、バカみたいな格好してるのに、意外に法律に詳しいのね」
「うるせえ死ね!くらえ、タイガーショット!」
ドゴォ!
ユリスキーくんのタイガーショット!
ブルマニアンくんゴミ箱に向かう!
ブルマニアンくんぶっとばされた!
ゴミ箱はこぼれ珠になった〜!
「ああ~ん、イッターイ」
ユリスキーが蹴り上げたゴミ箱が直撃し、ブルマニアンはM字開脚で倒れる。女性にしてはかなり大きな盛り上がりをした股間がユリスキーの視界に入るが、女子高生の百合にしか興味の無い彼はそれを気にせず女子高生達の方に向かう。
「さーて、邪魔が入ったがお楽しみタイムだぜ」
「ま、待ちなさい…」
「あんたもしつこいなあ!」
ブルマニアンが立ち上がり再度道を塞ぐ。
「無理するなよ変態婦警さん。俺は戦闘型魔人でしかも強化が入っている。大人しく見てるなら殺さねえ」
「それは出来ない相談だわ。貴方は逮捕されるの。さっきの一撃で私を倒せなかった事を後悔しながらね」
「面白え、やってみろよ」
ユリスキーは挑発に乗り、ブルマニアンが何かをするのを待った。これが原因で負けて逮捕されたら確かに後悔するだろうが、彼の性根は未だ格闘家だった。自分より強いかもしれない相手との勝負をする事こそが本分であり、変態と化したのは手段でしかない。
「いくわよ!」
ブルマニアンはブルマの中に手を入れて股間を弄ると硬い棒がボロンと現れた。そう、警察官の必須アイテム警棒だ。
「さあ、貴方の罪を数えるわ!器物損壊!傷害!女子高生へのつきまとい!」
ブルマニアンが警棒を構えユリスキーの罪状を一つ言う度に彼女のアホ毛が一本また一本と立っていく。
「そして最後に公務執行妨害!合計四犯の罪、その重みを知りなさい!」
ブルマニアンのアホ毛がカウントした罪の数だけ増え、一本から五本になった!
「ヒヒヒ、聞いたことがある。変態婦警は本気になるとアホ毛が増えるってな。だが、アホ毛が五本立ったから何だってんだよ!」
「簡単な事よ。アホ毛一本の時より五倍強くなったのよ。多分、今なら貴方より強いわ」
「だったら試してやるぜ!くたばれ!ネオタイガーショット!」
ドゴォ!
ユリスキーくんのネオタイガーショット!
ブルマニアンくんゴミ箱に向かう!
ブルマニアンくんゴミ箱をゲット!
「なにぃ!」
先程とは全く違う結果に驚愕するユリスキー。五倍かどうかは分からないが、確実に肉体強度も反射神経も劇的ビフォーアフターしている。
「それじゃあ、今度は私からいくわよ!キック力五倍シュート!」
ドドゴォ!
ブルマニアンくんの五倍シュート!
ユリスキーくんゴミ箱に向かう!
ユリスキーくんぶっとばされた!
一人くんぶっとばされた!
女子高生の二番ぶっとばされた!
決まった、ゴ〜〜〜ル!ブルマニアンくんの五倍シュートが敵とその先にいた者達を打倒した〜!
「あ、やっちゃった」
その後、応援のパトカーが来てユリスキーは逮捕され、ブルマニアンは被害を確認させた事で上司からお説教を受ける事になった。
「やっちまったねえ正不亭光巡査部長(せいふていひかり、ブルマニアンの本名だ。皆にはナイショだぞ)」
「も、申し訳ありませーん!」
「女子高生達は目の前に飛んできたゴミ箱に驚いて尻餅ついただけで怪我は無かったそうだよ。でも、明日きちんと謝りに行って、もしその時何か危険が迫ってたら今度はちゃんと守ってあげてね」
「それはもう!ブルマニアンは少女の味方で婦人警官ですから!」
「よし、本人の了承は取れた。連れて行け」
突如屈強な黒人魔人警官が現れ、ブルマニアンをロープで縛ってダンボールに押し込んだ。
「え?え?」
「喜べ、君は山乃端一人の護衛役に任命された。敵の数は転校生を含め推定三十人前後。現地にて他の護衛者と協力して目的を達成したまえ」
山乃端一人という少女が近々命を狙われ、それを護る為に魔人犯罪対策課が動いているのはブルマニアンも知っていた。だが、その少女が昨日助けた二人組の片方だとは知らなかったし、護衛役が自分になるとは夢にも思わなかった。
「待って下さい課長!私には無理です!」
「ええ〜?君、正義の味方なのに巨悪にビビって命乞いするの〜?」
「違います!私は夜の街の酔っ払いやチンピラの喧嘩対策は出来ますが、相手が殺しのプロでは私の能力は初動が遅いから不向きなんです!課長かビリーさんがやるべき案件ですよねコレは!」
「うるせえ!本来ウチの課は出動許可されないはずだったけど、お前が一人ちゃんに謝罪に向かったら偶然ヒットマンを見つけ対処した事になら出来るんだよ!」
課長もブルマニアンが経験不足なのは百も承知だった。しかし、上層部も色々あるのだと察したブルマニアンはそれ以上の抗議をやめ、大人しくダンボールに梱包されていった。
「ボス、ブルマニアンのダンボール詰め完了デース。ミス・ヤマノハの住所にいつでも届けられマース」
「ビリー君お疲れさん。では飛ばすか。ヌオリャー!必殺、飛燕脚便!」
ドゴォ!
課長くんの飛燕脚便!
「解説しマース!課長の魔人能力『飛燕脚便』は蹴り飛ばしたダンボールを宛先まで安全に届けるデース!」
ビリーの解説通り、ブルマニアン入りダンボールは警察署を飛び出した後、人や車をスイスイ避けながら目的地へと飛んでいった。
「やっぱ怖いぃぃぃぃ!!!お家帰るー!」
ダンボールに貼られた宛先に向かう中でブルマニアンは泣き叫んでいたが、その声を聞く者はいなかった。
そして、一仕事を終えた課長はブルマニアンが飛んでいった方を向き敬礼のポーズで叫んだ。
「正義執行(ジャスティス)!」
「オマエが言うんカーイ!」
次回『誤配送』絶対見てくれよな!