早見 歩(はやみ あゆむ)
『現世への執着』
もう一度大地を思い切り駆け抜けたい
彼女にとって、走るとは、生を実感すること。
汗をかき、呼吸が乱れ、身体は熱を帯びる。
その瞬間こそ、生きている自分を実感できるのだ。
故に、疲労・空腹の無い地獄で走り続けることも、
生まれ変わった世界で新たに走り始めることも、
彼女の望むモノではない。
今の自分のまま、再び大地を駆けることが彼女の望みである。
キャラクター設定
元気爆発!
猪突猛進型の熱血バカ系女の子。
学園1年生。
やや小柄な体格ながらも、すらっと伸びた美脚が特徴。
耳が完全に隠れるくらいの長さのショートカットで、赤いジャージ(上着)を羽織る。
愛用のシューズと、お守りであるビーズのブレスレットは手放さない。
視力は良いが、目にゴミが入るからという理由で、眼鏡も携帯する。
走ることが大好きで、学園の陸上部に所属。期待のホープ。
その能力と無尽蔵なスタミナから、部活中は常に走っている。
というか、起きている時間は大体走っている。
「現状を打開するにはまず行動」が信条。
熱血バカだが、決して頭が悪いわけではない。
また、気さくな性格であり、誰にでも気軽に話しかける。
声が大きく、一々リアクションが大きい。
一言で言えば、騒がしいのだ。
能力とその性格から、「暴風娘」の愛称で親しまれ、学園でも有名な部類に入る。
その脚力と機動力は、今大会の参加者でもトップクラスである。
口癖は「~ッス」
一人称は「あたし」
「身体スキル」:【美脚】【元気一杯】
「知的スキル」:【熱血バカ】【気さく】
「固有スキル」:【クレイジートレイン[魔]】【無尽蔵のスタミナ】
「オプション」:【ジャージ(上着)】【メタルフレームの眼鏡】【シューズ】【ビーズのブレスレット】
特殊能力『クレイジートレイン』
どんな場所でも高速で走る事が出来る能力。
言い換えれば、どんな物質でも高速で蹴りだす事が出来る能力。
その脚は大地を蹴り、水面を蹴り、風を蹴る。
炎、電気のような形の無い物質ですら、『地面』として足場にする事が出来る。
また、能力によって向上した脚力は、大岩をも簡単に蹴り割る。
脚力と機動力、攻防に優れた能力と言えるだろう。
プロローグSS
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! その船! ストップ! ッス!」
男は我が目を疑った。
水飛沫を跳ね上げながら、高速で自分へと近づいてくる少女。
少女は、水面を走っていた。
「っと、こっち来い。よおし、そう、いいぞ……」
ふわふわと浮遊する鬼火に言い聞かせながら、男は咥えた煙草におもむろに火を点けた。
肺一杯に空気を吸い込み、勢い良く吹き出すと、紫煙が宙にゆらゆらと広がっていった。
動きに合わせ、鬼火もゆらゆらと紫煙の周りを廻りだす。
その光景がやけに可笑しかったので、もう一度煙を吹いてやる。
鬼火はまたもゆらゆらと紫煙の周りを廻りはじめ――――。
その光景をニヤニヤと眺めながら、男は船の縁に腰をかけた。
ここは、現世と地獄を繋ぐ境界線。
通称、「三途の川」と呼ばれている場所、それも現世側の岸だ。
周囲には一面、「賽の河原」が広がっており、地獄の鬼、奪衣婆の姿も見える。
男は、この三途の川で船守をしている。
何年、いや何十年、さもすれば何百年前から。
男がいつから船守をやっているかなど、すでにその記憶は薄れ、また、意味の無いものであった。
「さて……」
一際大きな紫煙を吐くと、すでに火の消えた煙草を咥えたまま、男は船を走らせた。
乗客は居ない。
それでも、決まった時間に船を走らせる辺りに、男の仕事への拘りめいたものが見えるだろう。
いつもと変わらぬ調子で、ゆっくりと船を漕ぐ。
四半刻程漕いだだろうか。
岸はすでに見えなくなっていた。
(……ぁぁ…………ぁぁ…………)
ふと、何かが聞こえた気がした。
辺りを見回してみたが、馬鹿馬鹿しい、何もありはしなかった。
(……ぁぁぁぁ……ぁぁぁぁ……)
否!
確実に、何か聞こえる。
しかも、さっきよりも大きく。
(…りゃぁぁぁぁ……ぁぁぁぁぁ…)
男が恐る恐る、振り返ると、
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! その船! ストップ! ッス!」
水飛沫を跳ね上げながら、音を立てて水面を走る少女の姿があった。
「おじさん!本当に、本当にありがとうございます! 助かったッス」
無事に船に乗れたことに対する謝礼だろうか。
少女、早見 歩は深々と頭を垂れた。
「ああ。これも仕事だから気にしなくていい」
そう言ったものの、まさか水面を走って船に追いついてくるなど想像だにしていなかったため、男は思わず笑みが漏れた。
その笑みの意味に気づかないのか、早見 歩はきょとんとした顔をしている。
「しかし……」
一呼吸置くと、男は早見 歩に尋ねた。
「わざわざ船を追ってこなくても、次の便まで待てば良かったんじゃないか?」
「!?…………」
早見 歩は、その手があったか!と言わんばかりの表情をしている。
ああ、そうか。
この娘、おバカなのか。
「あたし、生前は良く車に追いついてたりしてたし、それにあのまま待ちぼうけよりもまず行動して現状を打開した方が良いと思ったんスけど……。えへへ」
どちらからともなく笑みが零れた。
今まで男が運んできた客は、絶望し、感情を失くした亡者のような客ばかり。
そんな中、こんな風に笑い合える客は珍しい。
何時の間にか、二人は会話を弾ませていた。
「っと。着いたぞ」
気が付けば、船はすでに反対側の岸、地獄側へと辿り着いていた。
ここは地獄の一丁目。
ここから先は、数多の地獄が待ち受けていることだろう。
「おお!おじさん!ありがとうございます!」
これから待ち受ける地獄の厳しさなどさも知らんとばかりに、腰を上げ、誇りを払い落とす早見 歩。
聞けば、これから行われるトーナメントに参加するらしいが――――。
全く、能天気なのか、それともよほど自信があるのか。
男の心配を余所に、早見 歩は素っ頓狂な顔をしている。
「さて、それじゃそろそろ行くっス。また会えるといいっスね。」
そう言い残すと、土煙を巻き上げながら、早見 歩はあっという間に姿が小さくなっていった。
砂塵を起こし、風に乗り。
高く、高く跳躍する早見 歩。
その姿は、まるで空を泳いでいるかのようで――――。
――――まるで、彼女の背中に羽根が生えているように見えた――――
男は、ぐしぐし、と目を擦る。
再び目を見開くと、早見 歩の姿はすでに見えなくなっていた。
数分程、早見 歩の去った方角を見つめ続け、男は再び船を漕ぎ始めた。
地獄にはとうてい似つかわしくない、羽根の生えた天使の姿を思い出しながら。
MPおよびGKスタンス
キャラ |
能力 |
SS |
ボーナス |
増減 |
計 |
仕様 |
3 |
3 |
2 |
1 |
|
9 |
ゆとり |
最終更新:2012年05月29日 21:55