第一回戦第四試合 小宅麗智奈

名前 魔人能力
熊野ミーコ 隠れクマノミーコ
池松叢雲 統一躯
小宅麗智奈 リアライズフォトグラフ

採用する幕間SS
なし

試合内容

眠らない町。今にもTOKIOの「Mr.Traveling Man」が流れだしそうな歓楽街。
ここにプリンの暗黒面に落ちた女神様によって、トーナメントの敗者達が集められていた。
熊野ミーコ、池松叢雲、小宅麗智奈の三名である。

そしてその街の一角では鳥の面の男、池松叢雲と燃えるような炎髪の少女小宅麗智奈が対峙していた。
すでにそこでは幾度かの戦闘行為が行われたのかナイフ等の残骸が散乱している。
再び両者が動き出そうとしたその時――――

突如ビルの影から伸びて対峙する二人に迫る触手。
その動きに気付き、退避行動をとる二人。
「よけられちゃったネ、ヰ・ソノ君」
「てけり・り」
建物の影から姿を現す異形の怪物とオレンジ色のジャージ姿の少女。
大宇宙イソギンチャクのヰ・ソノ君と熊野ミーコであった。
「でも、ざんねン。逃げられないヨ」
「いあー!いあー!」
上空へ逃げた麗智奈と風俗店の看板に立つ池松を触手が追う。
写真から日本刀を取り出す麗智奈。
それを振りおろし迫り来る触手を切断する。
「つくづく俺は怪物と縁があるようだ」
笑みを浮かべる池松。
「フッ!(foot:「足」という意味の英語)」
池松が放った蹴りはヰ・ソノ君の触手を吹き飛ばす。
だが、触手は無数にある。
その触手の一つに捕えられる池松。
「捕まえたヨ」
「てけり・り」
「男を触手攻めしても面白くないネ。だから、このまま絞め殺しちゃうヨ。ヰ・ソノ君」
「いあー♪」
だが、動きを封じられた池松はあわてる様子もない。
「甘いな(a minor:「甘い」という意味の英語)」
そう流暢な発音でいうと、自分を絞めつけてる触手を引きちぎり、別の触手をつかむとそのままハンマー投げのように振り回そうとする。
「無駄だヨ。ヰ・ソノ君の重量は2.1t。いくら魔人でも簡単には持ち上げられなイ」
「そうか――」
一呼吸を置き、池松が言う。
「だが、問題ない(moon-die-night:「問題ない」という意味の英語)」
池松から発せられた流暢な英語とともに、ヰ・ソノ君の巨体が動き始める。
これぞ鍛え上げた英語検定40段の完全熟達者(オーバー・アデプト)池松である。
「まずイ。ヰ・ソノ君!」
「いあー!いあー!」
麗智奈の方を襲っていた触手を池松の方に向かわせようとするミーコ
が時にすでに遅く、ヰ・ソノ君の身体は宙を舞っていた。
「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁッ!」
断末魔の声とともに中のミーコごと投げ飛ばされるヰ・ソノ君。
そのまま大きな音を立てて背後の雑居ビルに激突し、周囲に粉塵が巻き起こった。
ピクピクと痙攣するヰ・ソノ君。中にいたミーコも無事ではないだろう。

「さて、続きと行こうか」
麗智奈のほうに振り返り再び対峙する池松。
二人は同時に動き出す。接近しようとするい池松に対し具現化した4本のナイフを投げつける麗智奈。
池松は地面をけり後方へ回避する。
ナイフを回避したさらにダーツが池松に迫る
「なら、これならどう」
そういった麗智奈の手には手榴弾が握られていた。以前軍隊を取材したときに撮影したものである。
当然、爆弾の使用法の知識などないが、彼女の能力リアライズフォトグラフはその使用法も同時に理解することができる。
ゆえに未知の兵器であっても問題はない。

そして手榴弾を池松のほうに投げつける麗智奈。
池松は地面をけり、それを回避する。
周囲に爆発がまきおこり、体勢を崩す池松。
そのすきにフライトユニットで接近した麗智奈が上空から日本刀を振り下ろす。
しかしはその攻撃を読んでいたのか、
「you still have lots more to work on...(「まだまだだね」という意味の英語)」
麗智奈が振り下ろした日本刀をつかんでいた。
「しまっ・・・!」
退避行動を取ろうとするが
「ハンッ!!(hand:「手」という意味の英語)」
驚くべき速度で麗智奈の身体に池松の拳が突き刺さり、くの字の体制で背後の壁に激突する。
「たしかにお前の能力は厄介だ」
池松が言う。
「だが、あの少年ほどではないな」
写真さえあれば無限に物品を取り出せるといっても、同時に扱えるものには限度があるし、驚異的な党的速度が出せるわけでもない。
200km/hで物体を飛ばす不動昭良と戦闘し、その能力に対峙した池松には対応は難しくはなかった。
「Good night!(「おやすみなさい」という意味の英語)」
鎮魂の言葉をかけ立ち去ろうとする池松。



「池松叢雲様はやはり圧倒的な強さを見せつけているようですね」

「おっと、全国スカートの中を公開した痴女の司さんも池松選手の勝利を確信したようです」

「いつまでそのネタを引っ張るんですか。というかあなたいなかったでしょう!?」

「報道部の情報力をナメないでください。しかし池松選手の勝利は揺らぎありそうにありませんね」

「うふふふ。それはどうかしら」
斎藤窒素がベールの奥に笑みを浮かべていう。
「仮にも報道部のライバルを名乗る方があの程度で終わるわけがないでしょう」



「私はまだ…眠ってなんてないわよ…か…勝手に終わらせないでよね…」
その窒素の言葉を具現化するかのように麗智奈は立ちあがっていた。

「そうか、その機械か」
池松の攻撃を受けた瞬間、フライトユニットを逆噴射することで勢いを殺したのだ。
「だが、no damageとは行くまい」
事実、麗智奈は肩で息をしているように見える。骨も何本か折れているだろう。
「そんなこと…関係…ない…わよ…」
写真部を代表して出てきたのだ。それなのに二回も負けるわけにはいかない。
「報道カメラマンを舐めないで…よね…」
「誇りか」
「ならば、俺も英検士の誇りをかけて相手をしよう」
再び二人の闘いが再開される。

麗智奈に接近するため地面をけりまっすぐ前に進む池松。
背後にあったホストクラブに入り込む麗智奈。
池松もそのあとを追い中へ飛びこむ。
中は騎士甲冑が飾られたよくある一般的なホストクラブであった。
この中のどこかに麗智奈が隠れているのか。
池松が奥からいくつかの筒状のものが投げつけられてくる。
投げつけられた筒からは大量の煙が吹き上げる。
発煙筒だ。
「視界を防げば俺に勝てると」
そう考えたのなら期待外れだと池松が考えた次の瞬間、
嘔吐感を覚え、マスクの内側に隠された眼からは涙がこぼれてくる。
(これは)
催涙剤の症状でさる。先ほど投げられた中に催涙弾が含まれていたのだろう。
麗智奈の英検士の武器である発声を奪うこと。発煙筒を投げつけたのは事前に対応されないためのダミー。
池松が統一躯で対応しようとしたその時。
すでに麗智奈が目の前に迫っていた。

「ウオオオオオオオーッ!!」
池松の顔面にに時速180kmで接近してきた麗智奈の拳が突き刺さる。
「――ぐおおおおおお……!」
そのまま池松の身体は背後に飾られた騎士甲冑に激突し崩れ落ちた。
「これで決まり…よね…」
これ以上はもはや打つ手がない。全速力で激突したため腕もボロボロである。

だが、池松が起き上がった。
麗智奈は再び身構えるが
「You are NO.1(「お前がナンバーワンだ」という意味の英語)」
その言葉とともに池松は再び眠りについた。

疲労と激痛のせいか麗智奈はその場に倒れこむ。
意識はあるがもう動けない。限界だった。
「か・・・勝ったのよね…」
麗智奈がつぶやいた。


最終更新:2011年10月28日 11:00