次動ギルロイ(じどう ぎるろい)
設定
安出堂ロメロの失踪と共に人間社会に下った上級ホスト達の一人。
かつて「魑魅魍魎」と肩を並べたという暴走族「首領腑暗(ドンファン)」の現ヘッドでもある。
特攻服にオールバックの銀髪の、いかにもな強面に見えるが、
殴り合いの喧嘩を好まず、抗争が発生すると真っ先に交戦範囲から逃走するチキンな性格。
しかし、その慎重さ故に敵の手の内を見極める術に長けているため、メンバーからの信頼は厚い。
敵の攻撃の射程外から観察し、じっくりと対応策を組み立てた上で攻撃を仕掛けるのが常套手段。
種族としての腕力と頑強さ以外にホストとしての特殊な技能は殆ど持たないものの、
代わりに弱点も少なく、日光下でも然程スペックを落とさず活動可能。
ただし、顔面を破壊されると極端に弱体化する欠点は、他のホストと同様である。
愛車は「スズキGT380」。長年の暴走行為で鍛え上げた運転技術も相まって、
人間が移動できる範囲の地形ならば、階段や荒地でも自在に走行できる。
(上級ホスト……並の人間を軽く上回る身体能力と、自己再生能力を誇る種族。
顔面を破壊されると著しく弱体化する。その血液は高級酒であるため、火炎や爆弾にも弱い)
「身体スキル」:【上級ホストLv.3】【喧嘩殺法Lv.3】
「知的スキル」:【警戒Lv.3】【チキンLv.-2】
「固有スキル」:【ギルロイ参上[魔]】【バイク技術Lv.4】
「オプション」:【スズキGT380 Lv.3】【ライターLv.2】
特殊能力『ギルロイ参上』
建造物の壁面や舗装された道路等、ある程度整った平面に接触する事で、
自分の肉体や所持品をその面に描かれた「絵画」に変化させる。
「絵画」と化した後も、「絵画」化前と同じ速度で、滑るようにその平面上を移動することができる。
(平面が連続していれば、床から壁、壁から天井といったような移動も可能)
ただし、「絵画」状態では立体の世界に干渉する事はできず、あくまで移動が可能なだけ。
「絵画」を物質ごと破壊されれば、対応する部位にもダメージを受けてしまう。
ここで言う所持品とは、本体が直接接触している物質を指す。
よって、生物すらも強く平面に押し込めば、その部位を「絵画」化して平面に閉じ込められる。
体が「絵画」化されてしまった場合、本体が解除しない限り、平面からの脱出は不可能。
プロローグ
「少なくとも一人は、脱落する奴が出ると踏んでたんだがな」
ユキノイベント内、選手控え室。
ソファにだらしなく座る特攻服の男が、ため息混じりにぼやく。
綺麗に撫で付けられた銀髪のオールバック。
元上級ホスト――次動ギルロイは身だしなみも常に完璧だ。
「残念でしたね、次動ギルロイ様」
備え付けの保温ポットを取り替えつつ柔らかに微笑む。
カチューシャの少女は運営スタッフの結昨日司だ。
「文句は言えねえさ。リザーバー扱いを希望したのは俺の方だしな……
狙いそのものは良かったと思ってるんだがな~~。
脱落者さえ出りゃあシードで割り込んで、消耗してる相手を潰せるんだ。
試合内容もここで見れるわけだから、手口だって事前に分かる」
「次動ギルロイ様の予想よりも、『勇気ある』参加者が多かったという事でしょう。
それよりも……
野試合の方の参加意志は、まだお変わりではないでしょうか」
「……。突然なんだ。ヤな予感がするな。
やるに決まってるだろ……って、今の言葉を聞く前なら言ったと思うぜ。
何しろ、少ないとはいえ一戦やるだけで賞金が出るんだ。
せっかく来たんだから、少しくらい何か貰わねぇとな」
そう答えてから、鋭い目で司を射抜く。
生まれついて高い能力を持つ上級ホストらしからぬ慎重さ。
その危機管理能力こそが、ロメロ失踪後の混乱期にあって、彼を生き残らせてきたと言ってもいい。
「何があった?」
「大した変更点ではございません。ただ、今回の野試合は『非公開』で行います。
次動ギルロイ様への賞金や、対戦相手に関して変更はございません」
「……」
考えの読めない司の瞳を見つめながら、次動はその頭脳を働かせる。
『非公開』。それだけならば、別段次動にとって不利な条件ではない。
否。敵対チームにこの能力が露見する可能性が減じたと考えれば、やや有利な展開ですらあった。
だが、次動はここで考えなしに条件を受けるホストではない。
『何か』が裏で動いたはずだ。試合内容の公開は、ユキノイベントにとっても貴重な収入源なのだから。
(非公開の試合で、俺を始末……いや、そんな事をする理由は考えられねぇ。
なら、スポンサーの意向で何かが起こったか……?)
「俺がこのイベントに参加した理由は、賞金の他にもう一つある。
将来的にホストクラブを立ち上げる時に備えて……俺の存在を広告するためだ。
太客候補のお偉い方にも、試合の映像は配信されるんだろ?」
「……確かに」
「だからいきなり非公開になったからって、はいそうですかって呑むわけにはいかねェな。
何か条件をつけたいところだ」
今ここで裏の事情を考えたとて、一介の参加者に過ぎない次動に計り知れるわけではない。
ならば可能な限り条件を引き出し、少なくとも試合を有利にすることが得策だと、次動は結論づける。
「例えば、俺のサポートに別のリザーバー候補をつける……」
「よろしいでしょう」
「……!」
「こちらで既に『2人』、次動ギルロイ様の他にリザーバー候補を確保しております。
3人で、今回の野試合に臨んでいただく、という事でよろしいでしょうか」
「あ、ああ……分かった」
3対1……? 増援が欲しいとは言ったが、それはサポート要員を1人、という程度の発言だった。
魔人能力者のリザーバー候補を2人……さすがに過剰ではないのか?
「……あんた達でも、まだ相手の正体は分からねぇのか?」
「ええ。彼の正体は分かりませんが……
接触した木村沃素様は、独自に彼と試合の契約を取り付けていたようです」
「ったく、そういうとこもやっぱり気に入らねえぜ……」
次動の対戦相手は、トーナメントの正規参加者ではない。
作成されたダンジョンに『紛れ込んだ人物』である――
「『図書館の男』……か」
最終更新:2011年12月03日 02:01