『…………あー……あー、ただいま、マイクのテスト中……』
少女はそこまで言って、言葉に詰まる。
言う事を決めないままの見切り発車だったので、当たり前といえば当たり前だ。
しかし、スイッチを入れてしまった以上、言葉を考えている暇などない。
言葉を選んでいる間にマーダーが来て殺されてしまっては、拡声器所持者としての面子が立たない。
せめて、それらしいことを言わないと。
言う事を決めないままの見切り発車だったので、当たり前といえば当たり前だ。
しかし、スイッチを入れてしまった以上、言葉を考えている暇などない。
言葉を選んでいる間にマーダーが来て殺されてしまっては、拡声器所持者としての面子が立たない。
せめて、それらしいことを言わないと。
……そう焦った彼女は、そこで咄嗟に自分が書いたSS内での少年の演説を思い出す。
そうだ、どうせ何も言う事を決めていないのなら、あれでいいのではないのか?
よくよく考えてみれば、あれは自分が考えて文章にしたものなのだから。
そして彼女は意を決して、閉ざしていた口を開く。
よくよく考えてみれば、あれは自分が考えて文章にしたものなのだから。
そして彼女は意を決して、閉ざしていた口を開く。
『……私は、この殺し合いに、断固として乗らないことを誓います。
どうか、あの言うことを信じたりしないで下さい。
……あれ? そういえば、これって優勝したら何か賞品とかあったっけ……?
――と、そ、それはともかく! もし人を傷つけたり、殺したりしたら、私達のいるスレの住人達は
きっと悲しむだろうから……だから、絶対にあいつの言ったことを真に受けちゃいけない、と思う』
どうか、あの言うことを信じたりしないで下さい。
……あれ? そういえば、これって優勝したら何か賞品とかあったっけ……?
――と、そ、それはともかく! もし人を傷つけたり、殺したりしたら、私達のいるスレの住人達は
きっと悲しむだろうから……だから、絶対にあいつの言ったことを真に受けちゃいけない、と思う』
SS中の台詞を思い出しながら、彼女は思う。
自分がSS内で描いたあの眼鏡の少年は、こんな大それたことを言っていたのか、と。
対主催――パロロワでそう言われるだろう立場に立つことをあの時の少年は――そして今の自分は宣言してるのだ。
よりにもよって拡声器を使って。
自分がSS内で描いたあの眼鏡の少年は、こんな大それたことを言っていたのか、と。
対主催――パロロワでそう言われるだろう立場に立つことをあの時の少年は――そして今の自分は宣言してるのだ。
よりにもよって拡声器を使って。
『パロロワwikiで決まってるんだ、私たち書き手には義務もあるけど、権利がある!(あれ? あったっけ……?)
こんな風にムリヤリ拉致して、殺し合いを強いることなんて、どんなスレ建ての主でもやっちゃいけないよ。
……殺し合いなんて、絶対にしちゃいけない。
何とかして、この世界を脱出して、もとの世界に帰る方法を……』
こんな風にムリヤリ拉致して、殺し合いを強いることなんて、どんなスレ建ての主でもやっちゃいけないよ。
……殺し合いなんて、絶対にしちゃいけない。
何とかして、この世界を脱出して、もとの世界に帰る方法を……』
そして、そこまで言ったところで、彼女はふと近づいてくる足音があることに気付く。
どうやら、早々に声を聞きつけた誰かがやってきたようだった。
(あぁ、もう来ちゃったんだ……)
少女は拡声器で喋るのを止め、自分の身の行く末を悟る。
自分があの少年と同じように演説をしてしまった以上、その末路も恐らく同じ。
演説を聴きつけた誰によって――――
(殺されるんだ私。……こんな訳の分からない場所で)
それは、拡声器を手にしたときから決まっていた事項。
拡声器を支給され、使うことで濃厚な死亡フラグが立つ――――それが、この世界での基本ルール。
そんなこと分かりきっている。
だから、覚悟はしているはずだった。
……だが現実には、足音が近づくたびに自分の足の震えが強まってゆく。
(やだ…………死にたくない! 殺されたくなんか……ない!)
そう、やはり本当は死にたくなんてない。
フラグがあるから、という理由だけで理不尽に殺されたくない。
死ぬ覚悟など、そう易々と出来るわけがないのだ。
どうやら、早々に声を聞きつけた誰かがやってきたようだった。
(あぁ、もう来ちゃったんだ……)
少女は拡声器で喋るのを止め、自分の身の行く末を悟る。
自分があの少年と同じように演説をしてしまった以上、その末路も恐らく同じ。
演説を聴きつけた誰によって――――
(殺されるんだ私。……こんな訳の分からない場所で)
それは、拡声器を手にしたときから決まっていた事項。
拡声器を支給され、使うことで濃厚な死亡フラグが立つ――――それが、この世界での基本ルール。
そんなこと分かりきっている。
だから、覚悟はしているはずだった。
……だが現実には、足音が近づくたびに自分の足の震えが強まってゆく。
(やだ…………死にたくない! 殺されたくなんか……ない!)
そう、やはり本当は死にたくなんてない。
フラグがあるから、という理由だけで理不尽に殺されたくない。
死ぬ覚悟など、そう易々と出来るわけがないのだ。
だが、足音は無情にも刻一刻と近づいてくる。
一方の少女はといえば、足の震えのせいで動けないまま。
そして、そうこうしているうちに二人の距離は近づいてゆき――――――――
一方の少女はといえば、足の震えのせいで動けないまま。
そして、そうこうしているうちに二人の距離は近づいてゆき――――――――
「おぉ~、マジで拡声器使ってるところ初めて見たわ俺……」
接近した参加者がまず発したのは、そんな言葉だった。
少女がその声に、振り向くとそこに立っていたのは、どこにでもいそうな……特徴らしい特徴のない青年だった。
「拡声器が死亡フラグって分かっててよく使う気になったな、あんたも」
「………………」
「というか、何で全裸なんだ? あんた、ハカロワとか葱ロワの書き手?」
「――!!!」
少女はそう言われて、ようやく自分の現在の格好に気付き、慌てて前を隠してしゃがむ。
すると、青年は慌てたように目を逸らしながら弁明を始める。
「き、気にするな! てか、俺にはそういう気はない! いや、あったとしてもここは年齢制限とかなさそうだしな!」
そして、青年は目を逸らしたまま、少女へ向けて何かを差し出す。
「こ、これ、良かったら使えよ。……いや、使ってくれ、倫理的に」
差し出されたものを手に取る少女。
それは、メイド服であった……。
接近した参加者がまず発したのは、そんな言葉だった。
少女がその声に、振り向くとそこに立っていたのは、どこにでもいそうな……特徴らしい特徴のない青年だった。
「拡声器が死亡フラグって分かっててよく使う気になったな、あんたも」
「………………」
「というか、何で全裸なんだ? あんた、ハカロワとか葱ロワの書き手?」
「――!!!」
少女はそう言われて、ようやく自分の現在の格好に気付き、慌てて前を隠してしゃがむ。
すると、青年は慌てたように目を逸らしながら弁明を始める。
「き、気にするな! てか、俺にはそういう気はない! いや、あったとしてもここは年齢制限とかなさそうだしな!」
そして、青年は目を逸らしたまま、少女へ向けて何かを差し出す。
「こ、これ、良かったら使えよ。……いや、使ってくれ、倫理的に」
差し出されたものを手に取る少女。
それは、メイド服であった……。
「ふぅむ…………やっぱりメイド服ってのは日本の文化だねぇ」
「あまりジロジロ見ないで下さい……」
メイド服を着こんだ少女は困惑したような表情を浮かべて、青年を見る。
「でもいいんですか?」
「何がだ?」
「だって、私拡声器持ちですよ? 死亡フラグの塊ですよ? 殺す気がないなら、ここにいたら危険なんですよ? 同じ書き手のあなたなら分かるでしょう」
「あ、いや。死亡フラグってのは分かってるんだけどよ、俺はちょっと違うんだよな」
男は鼻っ面を掻きながら、恥ずかしげに言う。
「……違う? どういうことですか?」
「俺は書き手じゃないんだよ。絵師でもなければ、特定のロワに大きく貢献したわけでもない。……いわゆる名無しってやつなんだ」
「あまりジロジロ見ないで下さい……」
メイド服を着こんだ少女は困惑したような表情を浮かべて、青年を見る。
「でもいいんですか?」
「何がだ?」
「だって、私拡声器持ちですよ? 死亡フラグの塊ですよ? 殺す気がないなら、ここにいたら危険なんですよ? 同じ書き手のあなたなら分かるでしょう」
「あ、いや。死亡フラグってのは分かってるんだけどよ、俺はちょっと違うんだよな」
男は鼻っ面を掻きながら、恥ずかしげに言う。
「……違う? どういうことですか?」
「俺は書き手じゃないんだよ。絵師でもなければ、特定のロワに大きく貢献したわけでもない。……いわゆる名無しってやつなんだ」
◆
Classical名無しさん……。
それは、文字通りのどこにでもいるありふれた交流雑談所の名無し。
そんな彼が、何故この書き手主体のロワに参加させられたのかは分からない。
だが、そんなことを言っても後の祭りだ。
こうなったら、このパロロワを楽しむしかない。
それは、文字通りのどこにでもいるありふれた交流雑談所の名無し。
そんな彼が、何故この書き手主体のロワに参加させられたのかは分からない。
だが、そんなことを言っても後の祭りだ。
こうなったら、このパロロワを楽しむしかない。
ただし、楽しむといってもゲームに乗って、誰かを殺してゆくマーダーになるつもりはない。
自分はあくまでただのちょっとネットが好きな日本人男性であり、強力な武器もなしに人殺しを続けていくなどということは無謀そのもの。
支給品が、自分には全く似合いそうにないメイド服ならば尚更。
だが、だからといって対主催になって、首輪解除やらPKKをする気にもならない。
解除するスキルはないし、PKKをするほどの腕前もない。
それに何より、対主催なんて行為をしていたら、主催者に目を付けられかねないし、対主催を滅せんとするマーダーとの戦闘などという事態に陥る可能性もある。
故に、彼は選んだ。
マーダーにも対主催にもならない道を。
自分はあくまでただのちょっとネットが好きな日本人男性であり、強力な武器もなしに人殺しを続けていくなどということは無謀そのもの。
支給品が、自分には全く似合いそうにないメイド服ならば尚更。
だが、だからといって対主催になって、首輪解除やらPKKをする気にもならない。
解除するスキルはないし、PKKをするほどの腕前もない。
それに何より、対主催なんて行為をしていたら、主催者に目を付けられかねないし、対主催を滅せんとするマーダーとの戦闘などという事態に陥る可能性もある。
故に、彼は選んだ。
マーダーにも対主催にもならない道を。
いつも通り名無しとして、傍観者としてこのロワの行く末を見守ってゆこうと。
◆
「そうですか。あなたはマーダーでも対主催でも……」
「まぁな。だから、あんたを殺す気は毛頭ない。傍観者が手を下したらつまらないしよ」
名無しについて、話を聞いた少女は彼の飄々とした態度に納得がいった。
だが……。
「でも、それならばなおさらの事、私に近づいたのは間違いでは? 下手したら私と一緒に死んじゃいますよ?」
「ははは。まぁ、確かにな。だけど生拡声器声を聞いてたら、どんな奴がそんなことするのか気になってさ、つい――」
そこで名無しは言葉を切り、少女の顔を見る。
「それよりもお前こそ、いいのか? 拡声器の事知ってて、こんなことするなんて、フラグ祭りにも程があるぞ?」
「それは…………私がこれを手にした以上、使わないと拡声器所持者として恥ずかしいし……」
「ふぅん。ま、確かに出オチの支給品ほど悲しいものはないからなぁ。支給品ってのは使ってナンボだし」
名無しは少女の頭に手を乗せる。
「お前がそう言うなら、俺は止めないさ。思う存分フラグ立てまくれ」
「………………」
「あ、それとこれやるよ。一人で持ってても多すぎるから」
そう言うと、青年は少女の手にドラ焼きを乗せると、彼女に背を向ける。
「んじゃ、そろそろスタコラサッサするとしますか。流石にこれ以上いたら俺までフラグに巻き込まれちまう」
歩き出す青年。
だが、その歩みはすぐに止められる。
「――あ。そうだった。聞いてなかったけどよ、お前さん名前は?」
「えっと…………◆M42qaoJlNAです」
「◆M42…………あぁ、なるほど。道理で幼女で拡声器なわけだ」
青年は納得したように頷くと、再度歩き出した。
「じゃあな。今度の放送でお前のフラグがどうなったか楽しみにしとくよ」
腕を振りながら遠ざかる青年。
小さくなってゆく背中を見ながら、少女はその手にしたドラ焼きを口にする。
「まぁな。だから、あんたを殺す気は毛頭ない。傍観者が手を下したらつまらないしよ」
名無しについて、話を聞いた少女は彼の飄々とした態度に納得がいった。
だが……。
「でも、それならばなおさらの事、私に近づいたのは間違いでは? 下手したら私と一緒に死んじゃいますよ?」
「ははは。まぁ、確かにな。だけど生拡声器声を聞いてたら、どんな奴がそんなことするのか気になってさ、つい――」
そこで名無しは言葉を切り、少女の顔を見る。
「それよりもお前こそ、いいのか? 拡声器の事知ってて、こんなことするなんて、フラグ祭りにも程があるぞ?」
「それは…………私がこれを手にした以上、使わないと拡声器所持者として恥ずかしいし……」
「ふぅん。ま、確かに出オチの支給品ほど悲しいものはないからなぁ。支給品ってのは使ってナンボだし」
名無しは少女の頭に手を乗せる。
「お前がそう言うなら、俺は止めないさ。思う存分フラグ立てまくれ」
「………………」
「あ、それとこれやるよ。一人で持ってても多すぎるから」
そう言うと、青年は少女の手にドラ焼きを乗せると、彼女に背を向ける。
「んじゃ、そろそろスタコラサッサするとしますか。流石にこれ以上いたら俺までフラグに巻き込まれちまう」
歩き出す青年。
だが、その歩みはすぐに止められる。
「――あ。そうだった。聞いてなかったけどよ、お前さん名前は?」
「えっと…………◆M42qaoJlNAです」
「◆M42…………あぁ、なるほど。道理で幼女で拡声器なわけだ」
青年は納得したように頷くと、再度歩き出した。
「じゃあな。今度の放送でお前のフラグがどうなったか楽しみにしとくよ」
腕を振りながら遠ざかる青年。
小さくなってゆく背中を見ながら、少女はその手にしたドラ焼きを口にする。
「…………やっぱり、チーズ入りなんだ」
【開始数十分後/C-3/川の上に架かる橋の上】
【◆M42qaoJlNA@LSロワ】
[状態]:メイドロリ、死ぬことへの恐怖の芽生え、満腹
[武装]:拡声器、防弾仕様のメイド服@ハカロワ
[所持品]:支給品一式、魔女の媚薬500粒
[思考]:
基本:どうしよう……
1:拡声器フラグを完遂する?
2:死にたくないかも……?
[状態]:メイドロリ、死ぬことへの恐怖の芽生え、満腹
[武装]:拡声器、防弾仕様のメイド服@ハカロワ
[所持品]:支給品一式、魔女の媚薬500粒
[思考]:
基本:どうしよう……
1:拡声器フラグを完遂する?
2:死にたくないかも……?
【Classical名無しさん@パロロワ交流雑談所】
[状態]:健康、平常心
[武装]:なし
[所持品]:支給品一式、カマンベールチーズ入りドラ焼き×99@アニロワ
[思考]:
基本:とりあえず生きてロワを見届ける。
1:拡声器幼女から離れつつ、盛り上がりそうな場所を探す。
2:なるべく死亡フラグは立てないように。
3:ロワの空気は乱さないように。
4:◆M42qaoJlNAが次の放送で呼ばれるかどうかについて少しwktk
[備考]
※あくまで純粋な読み手であり、特別な能力は一切持っていません。
※その代わり、各ロワの内容や書き手については熟知しています。
[状態]:健康、平常心
[武装]:なし
[所持品]:支給品一式、カマンベールチーズ入りドラ焼き×99@アニロワ
[思考]:
基本:とりあえず生きてロワを見届ける。
1:拡声器幼女から離れつつ、盛り上がりそうな場所を探す。
2:なるべく死亡フラグは立てないように。
3:ロワの空気は乱さないように。
4:◆M42qaoJlNAが次の放送で呼ばれるかどうかについて少しwktk
[備考]
※あくまで純粋な読み手であり、特別な能力は一切持っていません。
※その代わり、各ロワの内容や書き手については熟知しています。