「……何だこれは?」
瞬殺の男は目の前の建物を見上げた。
それは黒を基調とした洋館だった。
月明かりに照らされた林の中に立つその洋館は、この上もなくおどろおどろしい印象だった。
近くに寄ってきた者に相手より先に気づけて、尚かつ逃げ道が複数有る場所、という条件に洋館は適合しない。
しかし――。
瞬殺の男の顔に喜色が浮かんだ。
(女、か)
遠目でよく識別できなかったが、二階の窓に見えたのは紛れもなく女の顔。
ク、と一言口から漏らすと、彼は意気揚々と扉へと向かい、洋館の中に足を踏み入れた。
(隠れているということは、戦闘能力に欠けるということだ。残念だったな! 俺に見つかったのが運のツキだ)
これでやっとズガンを達成できる。
階段に足をかけ、足音も高く上っていく。
「――警戒と遠慮の必要性はない。早く上がって来ることを推奨する」
聞えてきた女の声に、瞬殺の男は不愉快そうに顔をしかめた。
害意のないことを主張せずに接近していく自分がどんな存在であるかぐらい、書き手なら分かるだろう。
分かっていながらこの態度。
(大した自信じゃないか)
上等だ。
それならば、正面から粉砕してくれる。
(俺は瞬殺の男だ!)
鎧の中で敵意を滾らせながら、男は一歩一歩階段を登っていく。
登り終え、目の前にある部屋のドアを蹴り開ける。
その中には――。
端整な顔つきのセーラー服姿の少女がいた。
どんな演出のつもりか、椅子に座り分厚い本に視線を落としている。
(舐めているのか? この俺を)
鉄の鎧をまとった瞬殺の男が、少女との間合いを詰めようとしたその時。
「序盤のマーダーは死亡フラグと同義。あなたはそれを理解しているのか?」
淡々とした声が部屋の中に響いた。
「だから何だ? 俺は最速でこのロワを完結に導く! それだけだ!」
少女の言葉を瞬殺の男は斬って捨てた。
「だがいい度胸だ……。その度胸に免じて死に行く貴様の名前は覚えておいてやる。
名は何だ。言ってみろ!」
「……◆S8pgx99zVs。地図氏と呼ばれることもある」
瞬殺の男の目に殺意の灯がともった。
「過疎ロワ書き手の1人として、お前らアニロワの書き手に会ったら、
どうしても言ってやりたかったことがある……」
瞬殺の男は目の前の建物を見上げた。
それは黒を基調とした洋館だった。
月明かりに照らされた林の中に立つその洋館は、この上もなくおどろおどろしい印象だった。
近くに寄ってきた者に相手より先に気づけて、尚かつ逃げ道が複数有る場所、という条件に洋館は適合しない。
しかし――。
瞬殺の男の顔に喜色が浮かんだ。
(女、か)
遠目でよく識別できなかったが、二階の窓に見えたのは紛れもなく女の顔。
ク、と一言口から漏らすと、彼は意気揚々と扉へと向かい、洋館の中に足を踏み入れた。
(隠れているということは、戦闘能力に欠けるということだ。残念だったな! 俺に見つかったのが運のツキだ)
これでやっとズガンを達成できる。
階段に足をかけ、足音も高く上っていく。
「――警戒と遠慮の必要性はない。早く上がって来ることを推奨する」
聞えてきた女の声に、瞬殺の男は不愉快そうに顔をしかめた。
害意のないことを主張せずに接近していく自分がどんな存在であるかぐらい、書き手なら分かるだろう。
分かっていながらこの態度。
(大した自信じゃないか)
上等だ。
それならば、正面から粉砕してくれる。
(俺は瞬殺の男だ!)
鎧の中で敵意を滾らせながら、男は一歩一歩階段を登っていく。
登り終え、目の前にある部屋のドアを蹴り開ける。
その中には――。
端整な顔つきのセーラー服姿の少女がいた。
どんな演出のつもりか、椅子に座り分厚い本に視線を落としている。
(舐めているのか? この俺を)
鉄の鎧をまとった瞬殺の男が、少女との間合いを詰めようとしたその時。
「序盤のマーダーは死亡フラグと同義。あなたはそれを理解しているのか?」
淡々とした声が部屋の中に響いた。
「だから何だ? 俺は最速でこのロワを完結に導く! それだけだ!」
少女の言葉を瞬殺の男は斬って捨てた。
「だがいい度胸だ……。その度胸に免じて死に行く貴様の名前は覚えておいてやる。
名は何だ。言ってみろ!」
「……◆S8pgx99zVs。地図氏と呼ばれることもある」
瞬殺の男の目に殺意の灯がともった。
「過疎ロワ書き手の1人として、お前らアニロワの書き手に会ったら、
どうしても言ってやりたかったことがある……」
336 :名無し?ズガンしてやんよ:2007/05/23(水) 13:19:48 ID:GqrOnaRA0
瞬殺の男は息を吸い込んだ。
「アニロワ調子乗ってんなっ!!」
咆哮が部屋に響き渡った。
瞬殺の男が一歩を踏み出そうとする。
少女が口を開いた。
「私が調子に乗っているかどうかは第三者の判断に委ねられるから答えられない。
今の私にできるのは提案することだけ」
「……提案だと?」
「そう。私と組むことはあなたにとっても利益になる。だから私と組むことを提案する」
少女は続けた。
「集められた参加者はみな書き手。書き手はロワのルールを熟知している。
当然、首輪の解除に積極的に動くものもいるだろう。主催者はそれを見越した上で対策を練っているはず。
これではあまりにも分が悪すぎる。よって優勝を目指した方が生き残れる確立が高いと私は判断した。
けれど私の力だけでは優勝できる可能性は低い。
だから初期段階からマーダーを選択できる力をもった参加者と同盟を組むことを選択した」
「……お前と組むことが俺の利益になるという理由は?」
瞬殺の男は少女を見やった。
「あなたも書き手なら、首輪探知機を持つ者の優位性は知っているはず」
「持っているのか!?」
「持っていない。けれど、それに似たことが私にはできる」
少女は腕を振った。
すると、何もない空間に9つの升目が現れた。
その9つの升目の中で光点がいくつか点滅している。
「ひょっとしてこの光点が?」
「黄色い点が参加者。中央の升目の黒点が私。赤い光点は死者を示している」
「なるほどな……。あんたの仕事の速さはこの能力のおかげだったというわけか」
少女は頷いた。
「私の能力は伝えた。次はあなたの番」
瞬殺の男は胸を張った。
「俺の能力は――」
瞬殺の男は息を吸い込んだ。
「アニロワ調子乗ってんなっ!!」
咆哮が部屋に響き渡った。
瞬殺の男が一歩を踏み出そうとする。
少女が口を開いた。
「私が調子に乗っているかどうかは第三者の判断に委ねられるから答えられない。
今の私にできるのは提案することだけ」
「……提案だと?」
「そう。私と組むことはあなたにとっても利益になる。だから私と組むことを提案する」
少女は続けた。
「集められた参加者はみな書き手。書き手はロワのルールを熟知している。
当然、首輪の解除に積極的に動くものもいるだろう。主催者はそれを見越した上で対策を練っているはず。
これではあまりにも分が悪すぎる。よって優勝を目指した方が生き残れる確立が高いと私は判断した。
けれど私の力だけでは優勝できる可能性は低い。
だから初期段階からマーダーを選択できる力をもった参加者と同盟を組むことを選択した」
「……お前と組むことが俺の利益になるという理由は?」
瞬殺の男は少女を見やった。
「あなたも書き手なら、首輪探知機を持つ者の優位性は知っているはず」
「持っているのか!?」
「持っていない。けれど、それに似たことが私にはできる」
少女は腕を振った。
すると、何もない空間に9つの升目が現れた。
その9つの升目の中で光点がいくつか点滅している。
「ひょっとしてこの光点が?」
「黄色い点が参加者。中央の升目の黒点が私。赤い光点は死者を示している」
「なるほどな……。あんたの仕事の速さはこの能力のおかげだったというわけか」
少女は頷いた。
「私の能力は伝えた。次はあなたの番」
瞬殺の男は胸を張った。
「俺の能力は――」
◆ ◆ ◆ ◆
「なるほど。あなたの能力はとてもユニーク。そして私の能力と相性もいい。
これはお互い運があったというべき」
「ああ。拠点を移しながらお前の能力で敵を探し、俺が遠隔操作でそいつらを襲う……。確かに悪くない」
「拠点に入ってきた人間の不意をついてあなたの鎧で攻撃するという手もある。
鎧のインテリアは眼を引くが、普通はそれが動くとは思わない」
少女の提案に瞬殺の男は腕組みをした。
(なるほど……。そういう手もありだな)
その時、少女が何かを放った。
「私の支給品。メモリに私の番号を入れておいた。確認しておいて」
言い捨てて少女は部屋を出て行く。
「どこへ行く?」
「生理現象」
ぼそっと答えて少女は、階段を下りていく。
瞬殺の男は肩をすくめた。
(まあ、参加者がある程度減るまではせいぜい利用させてもらうとするか)
所詮はマーダー同盟。
互いに利用できなくなった時が縁の切れ目だ。
瞬殺の男はゴロリとベットに横たわった。
これはお互い運があったというべき」
「ああ。拠点を移しながらお前の能力で敵を探し、俺が遠隔操作でそいつらを襲う……。確かに悪くない」
「拠点に入ってきた人間の不意をついてあなたの鎧で攻撃するという手もある。
鎧のインテリアは眼を引くが、普通はそれが動くとは思わない」
少女の提案に瞬殺の男は腕組みをした。
(なるほど……。そういう手もありだな)
その時、少女が何かを放った。
「私の支給品。メモリに私の番号を入れておいた。確認しておいて」
言い捨てて少女は部屋を出て行く。
「どこへ行く?」
「生理現象」
ぼそっと答えて少女は、階段を下りていく。
瞬殺の男は肩をすくめた。
(まあ、参加者がある程度減るまではせいぜい利用させてもらうとするか)
所詮はマーダー同盟。
互いに利用できなくなった時が縁の切れ目だ。
瞬殺の男はゴロリとベットに横たわった。
「鎧使いか。クカッ! なかなか面白い芸を持ったヒューマンだ」
階段を降り切った所で少女は独り言を口にした。
その口調は先ほどまでの淡々としたものとはうってかわって荒々しいものだった。
突然、少女の顔が変貌を始めた。
黒髪の男の顔に、髭の老人の顔に、そして幼い少女の顔に。
顔が変わるたびに髪がざわざわと音を立てて伸び縮みし、身体が嫌な音を立てて収縮をくりかえし、
着ている服すらもその形状を変えていく。
(つくづくヒューマンとは度し難い。
外見で判断するなと自分の創作物で書くヒューマンは多いが、実行できる者は絶無だ)
もっとも◆S8pgx99zVsも、自分が最後を描いた吸血鬼ほど絶対的な力を持っているわけではない。
だからそれなりに力を持った人間と組むことにしたのだ。
(せいぜい利用させてもらぞ、ヒューマン。役に立たなければ、即刻貴様は私の餌だ)
狂気と愉悦の笑みを吸血鬼は浮かべた。
階段を降り切った所で少女は独り言を口にした。
その口調は先ほどまでの淡々としたものとはうってかわって荒々しいものだった。
突然、少女の顔が変貌を始めた。
黒髪の男の顔に、髭の老人の顔に、そして幼い少女の顔に。
顔が変わるたびに髪がざわざわと音を立てて伸び縮みし、身体が嫌な音を立てて収縮をくりかえし、
着ている服すらもその形状を変えていく。
(つくづくヒューマンとは度し難い。
外見で判断するなと自分の創作物で書くヒューマンは多いが、実行できる者は絶無だ)
もっとも◆S8pgx99zVsも、自分が最後を描いた吸血鬼ほど絶対的な力を持っているわけではない。
だからそれなりに力を持った人間と組むことにしたのだ。
(せいぜい利用させてもらぞ、ヒューマン。役に立たなければ、即刻貴様は私の餌だ)
狂気と愉悦の笑みを吸血鬼は浮かべた。
◆ ◆ ◆ ◆
「面倒なことになりやがったな……」
嘆息と共に木の陰から男が姿を現した。
巨躯であった。
身長は2メートル近い。腕、太もも、胴周り、首、全てが太く、黒いサングラスの下で光る眼は猛禽のよう。
スキンヘッドも相まって、子供が見れば泣き出すことは保証つき。
執念の人◆SzP3LHozswはそんな男だった。
開始以来、彼が行ってきたのは、危険人物とおぼしき男の尾行。
(まったく! できりゃ一般人だけを相手にしてたかったんだが……。そうもいかねぇか)
アニロワやらLSロワに出てくるような超人がいるなどと、今日の今日まで思いもしなかったが、
目の前で男が、何もないところから鎧を取り出したのだから、その存在を信じるしかない。
組めば戦力になりそうなその男に声をかけなかったのは、ひとえにその男から邪悪なものを感じたから。
他の参加者に手を出すような人間なら、片付けるのもやむなしと思って尾行してきたのだ。
執念の人◆SzP3LHozswは剃り上げた頭をツルリとなで上げた。
洋館の中という見知らぬ空間で戦闘になった場合、不覚を取る可能性がある。
となれば、出てくるまでまつしかない。
かなり面倒であり、忍耐が要求される作業だ。
だが、執念の人◆SzP3LHozswの辞書に諦めるという文字はなかった。
伊達に一人でスレを長きに渡って支え続けてはいない。
(諦めたらそこで試合終了、ってやつだぜ)
自分の投稿作品では悪逆非道をやらせてしまったキャラの名台詞を一抹の後ろめたさと共に胸中で呟き、
執念の人◆SzP3LHozswは、再びその身を木の陰に隠した。
嘆息と共に木の陰から男が姿を現した。
巨躯であった。
身長は2メートル近い。腕、太もも、胴周り、首、全てが太く、黒いサングラスの下で光る眼は猛禽のよう。
スキンヘッドも相まって、子供が見れば泣き出すことは保証つき。
執念の人◆SzP3LHozswはそんな男だった。
開始以来、彼が行ってきたのは、危険人物とおぼしき男の尾行。
(まったく! できりゃ一般人だけを相手にしてたかったんだが……。そうもいかねぇか)
アニロワやらLSロワに出てくるような超人がいるなどと、今日の今日まで思いもしなかったが、
目の前で男が、何もないところから鎧を取り出したのだから、その存在を信じるしかない。
組めば戦力になりそうなその男に声をかけなかったのは、ひとえにその男から邪悪なものを感じたから。
他の参加者に手を出すような人間なら、片付けるのもやむなしと思って尾行してきたのだ。
執念の人◆SzP3LHozswは剃り上げた頭をツルリとなで上げた。
洋館の中という見知らぬ空間で戦闘になった場合、不覚を取る可能性がある。
となれば、出てくるまでまつしかない。
かなり面倒であり、忍耐が要求される作業だ。
だが、執念の人◆SzP3LHozswの辞書に諦めるという文字はなかった。
伊達に一人でスレを長きに渡って支え続けてはいない。
(諦めたらそこで試合終了、ってやつだぜ)
自分の投稿作品では悪逆非道をやらせてしまったキャラの名台詞を一抹の後ろめたさと共に胸中で呟き、
執念の人◆SzP3LHozswは、再びその身を木の陰に隠した。
【開始数十分後/C-1/洋館の中】
【瞬殺の人@学生キャラロワ】
[状態]:精神疲労(小)、鎧装着
[装備]:召喚した鎧
[道具]:携帯電話、支給品一式(地図なし)、後は不明
[思考]
基本:ロワを完結させる(結末は自分の優勝エンド)
1:少女と組んで参加者を襲う(待ち伏せをするか、遠隔で襲うかは臨機応変)
2:誰も近寄ってこないなら拠点を移動する。
3:皆殺し
[備考]
【瞬殺の人@学生キャラロワ】
[状態]:精神疲労(小)、鎧装着
[装備]:召喚した鎧
[道具]:携帯電話、支給品一式(地図なし)、後は不明
[思考]
基本:ロワを完結させる(結末は自分の優勝エンド)
1:少女と組んで参加者を襲う(待ち伏せをするか、遠隔で襲うかは臨機応変)
2:誰も近寄ってこないなら拠点を移動する。
3:皆殺し
[備考]
- 男の「召還」は鎧(アルフォンスエルリックみたいな感じ)を呼び出すものです。
- 装着して動く事も出来るようです。
【◆S8pgx99zVs氏@アニロワ】
[状態]:絶好調
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(地図なし)、携帯電話
[思考]
基本:皆殺しにして優勝
1:男と組んで参加者を襲う(待ち伏せをするか、遠隔で襲うかは臨機応変)
2:誰も近寄ってこないなら拠点を移動する。
3:皆殺し
[備考]
[状態]:絶好調
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(地図なし)、携帯電話
[思考]
基本:皆殺しにして優勝
1:男と組んで参加者を襲う(待ち伏せをするか、遠隔で襲うかは臨機応変)
2:誰も近寄ってこないなら拠点を移動する。
3:皆殺し
[備考]
- 地図氏の能力は自分を中心にMAP九マス分を投影し、生者と死者の動きを探るというものです。
仮にフィールドの端にいて無駄になる部分があると分かっていても、自分を中心にしか投影できません。
- 首輪は首と心臓の二箇所に嵌っています。
- 他の能力に関する詳細は不明。あるかもしれないし、ないかもしれません。
【開始数十分後/C-1/洋館から少し離れた場所】
【◆SzP3LHozsw氏@ジャンプ2nd 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:バズーカ(弾数5)、コンバットナイフ
[道具]:支給品一式(地図なし)
[思考]
基本:???
1:男(瞬殺の人)の危険度合いを見極める。マーダーなら殺す。
【◆SzP3LHozsw氏@ジャンプ2nd 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:バズーカ(弾数5)、コンバットナイフ
[道具]:支給品一式(地図なし)
[思考]
基本:???
1:男(瞬殺の人)の危険度合いを見極める。マーダーなら殺す。