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書き手ロワ第二十九話

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匿名ユーザー

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 これは、地球上における日本の占める陸地面積の割合である。
 陸地面積の僅か1%にも満たない国土でありながら、経済大国と呼ばれ他の大国と肩を並べる国、日本。その極東の小さな島国が世界に誇るものが二つある。
 一つは、国外でジャパニメーションと呼ばれ世の東西を問わずに高い評価を受けるアニメーション技術。
 そしてもう一つは、ロボット工学である。
 日本最初のアニメである鉄腕アトムや、世にロボットアニメというジャンルを打ち立てたマジンガーZ。
 綿密な時代背景を伴い、ロボット同士の戦争をリアルに描いた機動戦士ガンダム。
 幼き日、瞳を輝かせて魅入ったテレビの中で縦横無尽に活躍するそんなロボット達に憧れ、そしてその誰もが思った『何時の日か、自分の手でこんなロボットを』。
 そんな夢物語を何時までも抱え続けたまま成長した子供のような大人、あるいは、大人のような子供達が、今の日本という国の技術力を担っているのだ。
 そして、この殺し合いの場に一人たたずむ黒いスーツ姿の人物もまた、そんな科学者の一人であった。

「ふむ」

 スーツ姿の人物が、くぐもった声でつぶやく。
 この人物の名は教授。かつてスパロワにおいて良作と名高い「The Game Must Go on」を書き上げた人物、通称イングラム死亡の人である。

「……因果なものだな」

 教授とスパロワの出会いは、全くの偶然であった。
 幼き日に見たロボットアニメの影響を受け科学者の道を歩んだ教授は、大人になった今でさえロボットアニメ鑑賞やロボットゲームのプレイを趣味とし続けている。
 そんな教授が日課としていたのは、仕事の合間を縫ってのロボットゲー板閲覧だった。
 その日も僅かな暇を利用してロボゲ板を訪れ、そしてスパロボキャラバトルロワイアルスレに出会ったのだ。
 折りしも立ったばかりのそのスレに、教授は瞬く間に魅了された。
 アニメに出てくるようなロボットを作りたいと科学者になった教授であったが、現実と理想の壁は余りにも高く、厚かった。
 いかに最先端を行く日本の技術力とはいえ、教授の憧れである巨大ロボットなど、今の技術ではまだ実現には程遠いものだった。
 だから教授は書き手の一人として名乗りを上げた。現実では実現出来なかった夢をせめて空想の中だけでも手に入れようと筆を執ったのだ。
 しかし。

「まさか、このような事に巻き込まれるとは」

 ため息混じりに教授は呟き、首を振る。
 最近は仕事が忙しくなり、スパロワとも疎遠になっていた。正直に言ってあのスレのことは忘れかけていたのだ。
 それがいきなりこのような場所に集められ、そして殺し合いをしろ、などと無茶な要求を吹っかけられることになるとは、全く持って迷惑以外のなにものでもない。

「まぁ……仕方あるまい」

 眼鏡のズレを直すように顎の部分にかかる金属に手をかけて、踵を返す。
 こんな事態に巻き込まれるのは甚だ不本意ではあるが、そのことに不平を述べたところで現状が変わるわけでもない。
 抱く夢こそ空想の中でしか成し得ない産物だが、教授自身はリアリストでもある。
 すでに賽は投げられてしまったのだ。ならば、自分に出来ることを成す以外に道などあろうはずもない。
 幸い、自分は科学の造詣に長けている。設備とサンプルさえあれば、首輪の解析もできるはずだ。
 そう考えた教授は、見知らぬ光景を眺めながら足を踏み出し、歩き出した。


(まずは解析が出来そうな設備を探そう。首輪は……後回しにするしかないだろうな)

 パロロワに携わる人間である以上、首輪を入手するために必要なことは理解している。理解しているからこそ、教授はそれを保留した。
 ともかく、まずは設備を見つける。それに、出来れば仲間も欲しい。
 何せ自分は科学者だ。パソコンと睨めっこばかりしていた身では、少し腕に覚えのある人間に襲われればひとたまりもないだろう。

「ム……?」

 そうして当面の方針を定めた教授は、不意に右手の後方にある茂みから音が聞こえたような気がして立ち止まった。
 目を凝らすと、僅かだが茂みが揺れているのがわかる。

(他の参加者、か?)

 茂みを見つめたまま、教授は思案する。
 ただの犬や猫であれば、それでいい。だが、もし参加者であれば、どうするべきか。
 もしそうであるならば、うかつに接触するべきではない。もし相手が殺し合いに乗っているのならば、自分など瞬く間に殺されてしまうだろう。

(しかし……)

 そこで、教授は周囲を見渡した。あの茂みからここまで、あたりに遮蔽物はない。
 向こうの位置からすれば、こちらなど丸見えのはずだ。
 相手が殺し合いに賛同した参加者だったというのなら、既に自分の命など無くなっていてもおかしくはない。
 ならば、あの参加者もこちらと同じく殺し合いを否定し、仲間を探しているのではないだろうか。
 接触を避けているのは、こちらが殺し合いに乗っているかどうか探っているとすれば筋は通る。

(……接触してみるか)

 そうであるならば、こちらが敵意を見せなければとりあえず話すことだけは出来るはずだ。
 もちろん、この憶測がまるで的外れである可能性も否定できないし、もしかしたら殺し合いに乗った上でこちらを利用しようとしている手合いである可能性もある。
 その辺りは、自分の目で見極めるしかあるまい。
 意を決し茂みに向かって歩き出したところで、教授は茂みの中で何かが光るのを見たような気がした。
 その光の正体がなんであるか。それを考える時間も確かめる時間も無いままに、教授は眉間に強い衝撃を受けて倒れ伏した。


「ぁ……」

 硝煙のたなびく拳銃を握り締め、◆X7WwwzkoUUは声とも呻きともつかない音を喉から搾り出した。
 何が起こったのだろう。
 生い茂る葉の向こうに除く視界には、黒いスーツを着た人間が倒れている。
 いったい、何が起こったのだろう。
 わけも分からないうちにこの場に連れてこられ、そして殺し合いの宣告を受けた彼は、殺し合いが始まるなり渡された支給品を胸に抱きすぐ近くにあった茂みに逃げ込んだ。
 そんなバカな。冗談だろう。これは夢だ。誰かうそだと言ってくれ。
 全身を震わせ、ガチガチと音を立てる顎をもてあましながら、彼の頭の中をそんな言葉がぐるぐると駆け巡っていた。
 どれだけの時間をそうしていたのか。やがて彼の視界に映り込んだ人影に、◆X7WwwzkoUUは息を飲んだ。
 自らの身を隠す茂みのすぐ向こう。距離にして10Mも無いような距離を、黒いスーツを身にまとった一人の人物が歩いている。
 なんだ、あれは。
 その姿を彼の脳が認識すると同時に、全身へとけたたましく警鐘が鳴らされる。
 あれはだめだ。あれに近づいてはいけない。あれは俺の預かり知る場所に居て良いものではない――!!
 全身から汗が噴出すのを◆X7WwwzkoUUは感じた。だが、不快感はない。あるのは、純然たる恐怖だけ。
 見開いた目が食い入るように黒いスーツの人影を追う。瞬きをすることすら忘れたように見開かれたその目じりに涙が浮かんだ。
 たとえ瞬きほどの間であろうと、一瞬でも目を離せばその瞬間にあの黒スーツが自分の目の前に現れるような気がして、◆X7WwwzkoUUの瞳はただただその姿を追い続ける。
 このまま歩み去ってくれることを願う◆X7WwwzkoUUが、自らの震えによって茂みが揺れていることに気付いたのは黒スーツの人物がようやくこちらに背を向けた頃だった。
 まずい。
 慌てて自らを掻き抱くようにして無理やりに震えを鎮める。汗を吸い込んだシャツがぬるりと肌の上を滑った。その一瞬、彼は黒スーツの人物から、視線を外してしまったのだ。
 鎮めようと思えば思うほど、震えはどんどんと強くなっていった。ガサガサと音を立てる葉が酷く耳障りだ。
 大丈夫。だって、あいつはもうこっちに背を向けていた。
 だから、大丈夫。きっとあいつは、俺の事なんか気付かないでもう何処かに行ってしまった。
 自身の中の願望を事実と摩り替え、◆X7WwwzkoUUは必死に落ち着きを取り戻そうともがいた。
 後は、顔を上げるだけ。そうすれば、もうあの黒スーツはどこにもいない。
 都合のいい望みに縋りながら恐る恐る顔を上げる。
 そうして顔を上げた◆X7WwwzkoUUは、先ほどの場所で立ち止まってじっとこちらを見つめる黒スーツの人物を認め、自らの脊髄が氷に変わったかのような錯覚を覚えた。

「……ぅ……ぁ……ぁ、あ……!!」

 全身の汗が一瞬で消えうせ、氷と変わった脊髄から解けた冷水が血液の中をめぐっていくような寒気に背を押されるように、◆X7WwwzkoUUはほとんど意識しないままに傍らにおいてあったザックへと手を突っ込んだ。
 指先に当たった硬質な何かを手繰り寄せるように引き抜いて、構える。
 シグ・ザウエルP226。その自動拳銃が、彼へと渡された支給品だった。
 照星の向こうで、黒スーツの男はいまだこちらを見つめ続けていた。
 大丈夫。向こうからこっちのことは見えていない。
 だから、大丈夫。きっとあいつは、俺の事なんか気付いていない。
 頭の中でひたすらに大丈夫を繰り返す。そうでもしていなければ、直ぐにでも見えない何かに押しつぶされてしまいそうだった。
 しかし、こちらを見つめる物言わぬ四つの瞳が、彼の縋りつく僅かな希望すらも音を立てずに削り取っていく。

「ぁ……あぁ、あ……!! あぅ……ぁぁあ……!!!」

 不意に、男が足を踏み出した。まるで手術をする前の医者のように両手を掲げ、こちらへと歩み寄ってくる。
 それが、限界だった。
 あいつは、俺に気付いている。もうだめだ、これ以上ここには居られない。
 全身を支配する恐怖に突き動かされるように、彼は逃げ出そうとして。 



 それは、起こった。


 例えるなら、風船の割れたような音。
 重厚さも、派手さもなにもない。あっけない乾いた破裂音。少なくとも、彼の耳にはそう聞こえた。
 その音が響き渡ったと思った次の瞬間、こちらへと歩み寄っていた黒スーツの人物が地面へと倒れ伏したのだ。 

「ぁ……」

 硝煙のたなびく拳銃を握り締めたまま、◆X7WwwzkoUUは声とも呻きともつかない音を喉から搾り出した。
 何が起こったのだろう。
 目の前には倒れた黒スーツ。そして、自分の手には銃口から煙を上げる拳銃。
 違う、俺じゃない。俺は撃ってなんかいない。
 俺は撃つつもりなんか欠片もなかった。ただ、何かに縋っていたかったから銃を握っていただけ。
 俺じゃない。俺じゃない。俺は撃ってなんか……。
             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 自らの握り締める拳銃を、その指で目いっぱいに引き金の引かれた拳銃を見下ろしながら、それが何を意味するか理解するまでの間彼は心の中で呟き続け、

「う……あぁ……ああ、あ……! あああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

 その意味を脳が理解したとき、彼は喉が壊れるほどの絶叫をあげその場から駆け出した。
 どこからだ。どこから狂っていた。
 あの黒スーツを見つけたときか。この殺し合いに巻き込まれたときか。それとも、スクロワで話を書き始めた時点でもう狂ってしまっていたのか。
 俺の人生の歯車は、いったいどこから狂っていたというんだ。
 走る。走る。走る。
 胸を突き刺す痛みを忘れようと、人を撃ってしまった、殺してしまった痛みを忘れようと、ただただ走り続ける。
 そうすれば、その痛みは消えるのか。それすらもわからないでただ衝動のままに走り続け、

「う……っああ!?」

 ◆X7WwwzkoUUは茂みを抜けた先にあった崖に気付かず、そのまま切り立った断崖を転げ落ちていった。


「……ぅ」
「目が覚めたかね」

 全身のあちこちが訴える鈍痛におぼろげな意識を取り戻した◆X7WwwzkoUUは、自身に向けられたその言葉で覚醒した。
 うっすらと目を開き、

「う、うおおおぉぁあああ!?」

 その視界にこちらを見下ろす黒スーツの人物が映ると同時、手と足をわさわさと蠢かせて全力で後退する。

「っつ!」

 飛び退ったところで右ひじを地面に擦ってしまい、◆X7WwwzkoUUは思わず声を上げた。
 僅かに触れただけにもかかわらず鋭い痛みを訴えた肘に目を向けてみると、じわりと血の滲む擦り傷が出来ている事に気付く。

「あまり無理をしないほうがいい。大した高さではないとはいえ、あそこから転げ落ちたのだからな」

 手ごろな大きさの岩に腰掛けたまま、黒スーツが右手を指差した。見れば、3Mほどの高さの崖がある。自分はあそこから転げ落ちたのか。

「あぁ。それとすまんが、銃は没収させてもらったよ。流石に二度も撃たれるのはごめんなのでね」

 呆然と崖を見上げるこちらにかまいもせず、黒スーツは自分に支給されたシグ・ザウエルの銃身を指でつまんでブラブラと弄んでいる。
 崖と目の前の黒スーツを呆けたように交互に見比べ、いまだ正常な思考回路が復帰していない◆X7WwwzkoUUは、わけのわからないこの状況に戸惑うばかりだ。

「あ、あんた、さっき俺が撃……死んで……!? え、あれ、死者スレ? え!?」
「……まだ混乱しているのかね? もう少し落ち着きたまえ。ハイ、しんこきゅー。吸ってー。吐いてー」

 大きく手を広げて息を吸うジェスチャーをする黒スーツにつられて、◆X7WwwzkoUUも大きく息を吸う。
 何度かそれを繰り返すうち、昂ぶっていた感情が落ち着いていくのを◆X7WwwzkoUUは感じた。

「ふむ、落ち着いたようだね」

 土がむき出しの地面に座り込んで俯いている◆X7WwwzkoUUの気持ちが完全に落ち着くのを待って、黒スーツの人物、教授が声をかける。
 それに反応して、◆X7WwwzkoUUが顔を上げた。先ほど心を支配した恐怖は、完全に無くならないまでも目の前の人物と話をさせてもいいと思わせるほどになりを潜めている。
 少なくとも、こちらに害意のある相手ではないとわかったのが大きかった。

「あ、あの……貴方、俺に……その、撃たれた……はず、じゃぁ……?」

 恐る恐ると言った様子で、◆X7WwwzkoUUが問いかけた。

「あぁ、危ないところだった。ヘルメットが無ければ死んでいたな」

 さらりとシャアの台詞を吐いて、教授はくつくつと肩を震わせる。怪訝そうに眉をひそめる◆X7WwwzkoUUに向き直り、続けた。

「安心したまえ、私はこんな殺し合いなど乗っていないよ。見たところ、君もそのようだな。私を撃ったのは、私を殺し合いに乗った殺人者と勘違いでもしたというわけかね」
「あ、その……すいませんでした。謝ってすむ問題じゃないでしょうけど……その、すいません」
「なに、気にしなくていい。こうして生きているのだからな。全く、人間の感情も1か0かで判断しようとするのは私の悪い癖だ。
少し考えれば、君のようにどっちつかずで怯えてしまっている参加者がいることにも気がついたというに」

「は、はぁ……」

 教授が何を言っているのかイマイチ理解できなった◆X7WwwzkoUUは曖昧に頷く。なんとなくけなされているような気もしたが、口には出さなかった。
 そんな◆X7WwwzkoUUの様子を微塵も意に介さず、教授は腕を振ってさらに続ける。


「ともかく、まずは自己紹介から始めようか。私は教授。科学者としてロボット工学の研究をしている。君は?」
「教授……って、まさか!? あのイングラム死亡の作者……!?」

 黒スーツの名乗った名前に、◆X7WwwzkoUUは思わず立ち上がった。突如立ち上がった◆X7WwwzkoUUの尋常ではない様子に、教授が気圧されたように身を竦める。

「確かに、あの話を書いたのも私だが……何故君がそれを?」
「何故って……あんだけ交流所で話題にもされりゃ、そりゃ知ってるに決まってるじゃないですか! イングラム死亡って言えば、パロロワ関係者の殆どに知れ渡ってる作品ですよ!?」
「……交流所? パロロワ?」

 首をかしげる。無駄に可愛らしい動作なのがなんだかすげぇムカついた。

「もしかして……知らないんですか、パロロワ交流所のこと?」
「む。ハハハ、何をバカな。私は知らないことなんか何もありはしないのだよ」

 頼もしそうな言葉とは裏腹に、教授はそそくさと目を逸らした。何より台詞が棒読みだ。

「へぇ……それじゃ、他のロワのこともご存知なんですよね?」
「む。もちろんしっているとも。あぁしっているとも」

 ついに台詞から漢字が消えた。次は句読点だろうか。

「じゃぁ、そのロワの名前、言ってみてくださいよ」

 びしりと教授が硬直する。きっかり五秒の時間をかけて逸らしていた目線をギギギと戻すと、蚊の鳴くような声で囁く。

「……は、葉鍵ロワ?」
「そうですね、三大ロワのひとつに数えられてる有名なロワです。じゃぁ他は?」
「え、まだあるの?」
「……………」
「……………」
「知らないんですね?」
「すいません、見栄張りました。知りませんです。ハイ」

 Winner ◆X7WwwzkoUU。


 その後、◆X7WwwzkoUUは教授に現在の状況を説明した。スパロワのほかにも多数のパロロワが存在し、今回の事件はそこの読み手の一人が暴走した結果であること、その他諸々。

「なるほど……まさか私の去った後にそんなものが出来ていたとは」

 ◆X7WwwzkoUUの説明を興味深そうに聞いていた教授が、頷きながら言った。

「いや、貴方の居たころから交流所はあったんですけど……しかし、本当に何も知らないんですね。スクールランブルバトルロワイアルスレも、知らないですか?」
「スクールランブル。ほほぅ。で、それにはどんなロボットが出るのかね」
「いませんよ、そんなモン」
「ぇー」

 ぇー、じゃねぇ。

「僕はそのスクランロワで書き手をやってたんです。あぁ、そういえばまだ名乗ってませんでした。僕は◆X7WwwzkoUUです」
「ほうほう。で、どんなロボットを支給したんだね」
「だから出してませんよ、そんなモン」
「工工エエエエエ(´Д`)エエエエエ工工」

 うぜぇ。
 変なのに捕まっちゃったなぁ、とこっそりため息をつく◆X7WwwzkoUUの肩を、ちょいちょいと教授がたたいた。今度はなんだ、と振り向いた◆X7WwwzkoUUに、今度は地面を指差してみせる。

「まぁ、とにかく状況は理解した。それで、君はこれからどうするつもりだね?」

 言いながら、教授は近くに落ちていた枝で地面に何かを書き始めた。

「どうって……そりゃ、生きて家に帰りたいですけど……」

 教授の言葉に答えながら、地面を覗き込む。そこにはこう書かれていた。

【おそらく、首輪には盗聴機能がついているはずだ。ここから先は主催者に聞かれたくない。質問があれば、君も筆談で頼む】

 首輪の盗聴を警戒しての筆談。パロロワではありふれた光景だが、まさか、それを自分が体験することになるとは思わなかった。
 なんだか不思議な気持ちで◆X7WwwzkoUUは教授が地面に綴る文章をじっと見下ろす。

【君を信用に足る人物だと判断してこの話をしよう。さっき言ったとおり、私は科学者だ。こう見えても機械には強い】

 嘘だぁ。
 思わず喉まで出掛かった言葉を飲み込んで、続きを読む。

「それは私もだ。だが恐らくこの殺し合いを生き残るには多くの苦難を伴うだろう。まだ明確な目的も定めては居ないのだが、どうだろう? 良ければ、私と行動を共にしないかね?」

 主催者に悟られないように言葉を続けながら、教授は器用に地面へと文章を綴っていく。


「とにかく、私はこんなところで死ぬつもりは無い。最近は仕事が忙しくて、録画しておいた今週のグレンラガンをまだ観ていないのだ。
先週にあれだけの死亡フラグを積み重ねた兄貴の安否を確認するまでは死んでも死に切れるものではないからな。後、ヨーコは私の嫁。
それに、コードギアスの第二期だって楽しみにしている。私の嫁であるカレンがどうなるかも気掛かりだ。
ほかにもゲゲゲの鬼太郎、っていうかネコ娘にだってハァハァし足りないし、Yes! プリキュア5の続きも気になる。あー、しっかし最近増子さんでねーなチキショー!!」

 うわぁ。
 だんだんとヒートアップしていく教授の独り言にでかい汗を額に貼り付けつつ、聞こえない振りをして◆X7WwwzkoUUは地面の文面に集中することにした。

【首輪のサンプルと設備さえあれば、恐らく首輪解析することが出来るはずだ。君にはそれを手伝ってもらいたい。さし当たっては、まず設備を探そうと思う。
出来ればサンプルも手に入れたいところだが……君も書き手だったというのなら、首輪を手に入れるという事がどういうことかはわかるだろう。
とにかく、首輪は後回しにするとして設備探しだけでも手伝ってくれると有難いのだが】

 そこまで書き終えると、教授は枝を放り投げて◆X7WwwzkoUUに向き直り、

「どうだろう、私と一緒に行ってくれるかね?」

 と、問いかけた。
 正直に言って、◆X7WwwzkoUUにとってこの提案は渡りに船だった。
 この黒スーツの人物が自分に敵意を持っていないことははっきりしたし、何より脱出フラグを握っている存在と早々に出会えたのは幸運と言える。
 なにも問題が無ければ、二つ返事で了承していただろう。
 そう、何も問題が無ければ、だ。

「あの……その前にひとつ、いいですか?」
「ん、なんだね?」

 この人物と行動を共にするというのなら、どうしても聞いておかねばならない問題がひとつあった。

「あ、いや、その……」

 言葉がにごる。どうしても聞いておかねばならないことだが、それを聞くのはどうにも憚られた。
 もしかしたら、あれはこの人物の意思でそうしているわけではないのかもしれないと思うと、尚更だ。

「どうしたというのだね? 聞きたいことがあるのなら遠慮することは無い、言ってみたまえ」

 煮え切らない様子の◆X7WwwzkoUUを、教授が促す。それで彼は意を決した。
 とにかく、これだけははっきりさせておかなければならない。この答え次第によっては、この人と一緒に行くわけにはいかないからだ。

「え、と……その……頭に被ってる変な仮面は、一体……?」
「あぁ、コレかね? フフ……」

 ようやく◆X7WwwzkoUUが喉から搾り出した質問に、教授はその四つの目を輝かせてサムズアップした親指を得意げに自分へ突きつけた。



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      / /ィスォj_!、_j j-ィテ∠ イ  }  j l llハヽ./ /  ! l
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     i i { ! ト `ヽ ′/, ̄‐ ´/  l lヽヽ ヽ////  `
     | ! l l ハヽ. l /    / _/ -_ ニ フ /ト、j ハ
     lヘヽヽj_ i ! V   i´  /- ' r‐', - ´ --ヽ | , イ7
      ハ l ! ll ハ l    lヽ | , -| / /イ ̄ /  _l_
,. - ― フ l ! | |' ト、l  /j ヽ く l j | j/ ノ / , - ´
     l  ハー' |  ヽゝ'ィ/  Yl / ! レ'l / /












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    /::i|::l::ト、ヽ::、:::ヽ:、::::::\::ヽ::::l::::ヽ::i:::i:::!
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   !ハ::|::::i::l:|心、:ヽ::\:ヽ_\、\:::ヽ:::|!::|:|i
    i、:!:|:、N{、ヒjヽゝ\ヾイ ヒj >、ヽi:、|!:|:l
     ヽ:!::トヽ ̄ l! `  ` ̄´ |::l::|:|j:,!:!  変態だこいつ
      ト、::! u         j |::/lj:::!リ
        ヾ、  丶 -    u リイ:|リ      早く逃げださないと……
        リヽ ‐、ー- 、_   /イ:::i
       rー'"ト:l゙、   ̄   ./  , |::!
      / ヘ ヾ ヽ、 _,. '   / |:'
【開始一時間弱/E-3】


【教授(イングラム死亡の人)@スパロワ】
[装備]:ユーゼスの仮面(自前)ロジャーの黒スーツ(自前)
[所持品]:支給品一式、ほか不明
[状態]:健康
[思考]
基本:首輪を解析して脱出した後、録画しておいたグレンラガンを観たい
1:首輪解析の為の施設を探す
2:戦闘がおきたとき頼りになる仲間を探す
3:どうにかして死人を出さずに首輪を手に入れたい
【備考】
  • 交流所の存在を知らない。他のパロロワの知識は殆どありません
  • グレンラガンのネタバレを警戒
  • CV:大友龍三郎

【◆X7WwwzkoUU@スクロワ】
[装備]:シグ・ザウエルP226(残弾15発)予備弾装二個
[所持品]:支給品一式、ほか不明
[状態]:全身に軽い擦り傷、打撲。泥だらけ。
[思考]
基本:死にたくない。家に帰りたい
1:それはひょっとしてギャグで言っているのか
2:どうにかして目の前の変態から逃げたい

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