「……………すっかり囲まれてるな…」
テムジン747Hのコクピットで三谷澤都築はレーダーに映る、自機を包囲するかのように出現した敵影を見てため息混じりにぼやいていた。
時は少しさかのぼる…
「よっし!ターゲット撃破!」
テムジン747Hのクラウド・スラップの狙撃により、NNCはわけも判らないまま物言わぬ骸へと成り果てた。
そして撃破認定としてNNCの顔写真に「DISPOSED」(始末済)と入力した。
そのときである!
「っ!!」
不意の攻撃ではあったが何とか反応し、攻撃を回避する。
出てきたのは戦車と武装列車。砲塔側面や車体正面にマイドリーム軍のエンブレムが付けられていた。
「ちっ、まずいな…」
マイドリーム軍はすでに指揮官がやられ、烏合の衆となっていたが、まだ戦力を隠していたのだろうか…
「……ちっ、747Aで出ればよかったぜ…」
テムジン747Aならば最悪、ブリッツ・セイバーで敵を斬って斬って斬り捨てればいい、だがテムジン747Hは砲撃戦仕様、いつ弾切れを起こすか判らないのだ。
さらに敵は武装列車に戦車、足を止めての砲撃戦となれば被弾面積の面で此方が不利、そうなれば…
「ボーっとしてるよりかは…動くべきだな!」
三谷澤はそう叫びながら、テムジン747Hを走らし、敵戦車の一台を蹴り飛ばして強引に道を作り、戦域から離れたエリアへの退避を始める。
しかし、マイドリーム軍の戦車と武装列車が追撃を始めていく…
そして時は今に至る…
「ここまでうまく行き過ぎてた…ってのは考えすぎか。」
三谷澤はそうぼやくと、移動経路マップを表示させる
「目標地点まで逃げ切れば、大空寺たちに支援爆撃を要請できるな…問題は…」
機体コンディション画面に目をやると脚部の関節や装甲はすでにレッドゾーンへの突入秒読み段階、それ以外に火器の残弾も少ない
「やれやれ、やっぱ…逃げるしか手がないってか」
再びレーダー画面を表示させ、包囲網の薄いところを探す。
「………さぁって、脱出劇の再開だな」
三谷澤のつぶやきとともにテムジン747Hが動き出し、包囲網の薄いところを突破し、そのまま突き進み始める。
目指すは友軍との合流地点、其処まで行けばいい。
「それまでもってくれよ…相棒…!」
END
最終更新:2018年07月29日 11:37