前回までのあらすじ
快進撃により、ニュールーマニア帝国を追い詰めていく義勇軍、しかしその進撃を阻む物が現れた……!!
義勇兵A「な、なんだアレは…」
ソレはまるで
義勇兵B「い、今まで蹴散らしてきた雑魚よりもでかい…!!」
山のように巨大で
義勇兵C「こいつは…」
要塞のように堅牢かつ鈍重で、大火力を有する
菫仂カール「マジかよ…雑魚ですら化け物に変身できるんだ…幹部クラスだったらさらにヤベーのになるって予想できるけどよぉ…」
―「怪物」―
菫仂カール「………これ、なくね?」
快進撃で突き進んだ義勇軍の進軍はここで一度停滞する。
その理由は単純だ。
ニュールーマニア帝国幹部「インガ・シュタイネル」が変身した「巨大有機機械生体要塞」の存在だ。
ぶっちゃけ「巨大有機機械生体要塞」なんてなんだよおいと言う読者もいるかもしれないが、そういう区分付けを義勇軍の兵士がしたんだから仕方が無い。
閑話休題
宮畑涯「あれだけの巨体だ、どうやって破壊するかだが…やはりアレを使うしかないか」
菫仂カール「…ああ、ミッチェル、いけるか?」
美柚沙汰「言われなくても!ツインドライヴ・バイ・ツインドライヴ、コネクティブ!」
美柚沙汰の掛け声と共にメタトゥエルガンダムに搭載された4つの純正太陽炉…GNドライヴが同調を始め、メタトゥエルガンダムから緑色のGN粒子が放出されていく。
そして
美柚沙汰「トランザム!!」
元々赤かったメタトゥエルガンダムがさらに赤く染まる。
トランザム
GNドライヴを搭載したモビルスーツにのみに許される、オーバーブースト機能。
さらにメタトゥエルガンダムはダブルオーガンダムとダブルオークアンタ、ケルディムガンダムのGNドライヴ搭載部位が使われており、それを制御するためにツインドライヴシステムを2つ分搭載し、それをリンクさせている。
ゆえに、二乗されたGN粒子がさらに二乗されているのである。
さて、かの「巨大有機機械生体要塞」を切り崩す方法がメタトゥエルガンダムにあるとすれば、すなわち「ライザーソード」だ
これには理由がある。
まず、元々変身前の「インガ・シュタイネル」自体がニュールーマニア帝国いや柑橘軍メンバーに属するGNOの中でも硬い、所謂防衛タイプであり、ソレが変身したとして誰もここまで巨大な移動要塞に変身するなど誰も予想できる話ではない。
防衛型のGNOがここまで巨大な移動要塞に変身したが故に防御力は文字通り要塞レベルに硬くなっており、さらにそれが全高75mもの巨体、ということはだ
その巨体と頑丈さゆえに火砲で外部から攻撃して何時撃破出来るのか?と言う話になる。
つまりは巨大ビームサーベルでたたき切る…のだが
美柚沙汰「トランザムバァァァァスト!!ライザァァァァァ…!?」
トランザムバースト、それは「イノベイター」と呼ばれる存在の脳量子波とツインドライヴシステムを連動させることで高純度のGN粒子を拡散させ、人々の意識を伝搬させる、しいて言えば「誤解なき相互理解の実現」に必要なシステムである。
気合を入れるために掛け声を叫んだ際にそれを暴発させた美柚沙汰は実は徐々に「イノベイター」と呼ばれる存在へと変革しつつあった。
それゆえに彼女を襲ったのは…
美柚沙汰(これは…このどす黒いのは…「何」?あのどす黒い何か…もしかしていや…もしかしなくても…GNO…?)
高純度のGN粒子が拡散する空間の中で彼女はGNOの「本質」を垣間見ていた。
美柚沙汰(気持ち悪い…何なの…?まさかあのどす黒い何かがGNOの…?まるで…何もかも飲み込み、その色に塗りつぶす「悪意」……!!)
『祖先がした約束こそ我々の使命』
『この地球もヤデトのように腐りきっている』
『我々の楽園として再構築する、我々と我々を無条件で友好的に受け入れる物のみが住む楽園』
『それこそ真理であり我々はその為に存在する』
『あえて我々は好戦的個体群と友好的個体群を作った。嘗てのヤデトでの教訓を基にした。』
『ヤデトは愚かにも我々を滅ぼすことを選択した。しかし地球もこの選択をしているようだ』
『我々がこの地球社会を、そして地球人類を我々の摂理と真理によって導くために』
『我々GNOは新たな秩序の楽園の御使いであり創造主である。我々に歯向かう者は滅ぼすのみ』
『こんな腐敗政治が起きている文明など滅べば良い!』
『いいかい?我々だけの楽園を作り、この星を、ストロンティアを腐ったヤデトから開放しよう』
『全ての苦痛を生まれる前に消し去れればさぞかし、素晴らしい事だろう』
美柚沙汰(…だめっ!!飲み込まれちゃ!飲み込まれたら帰ってこれなくなる!)
菫仂カール「どうした!?」
美柚沙汰「!!」
菫仂カール「大丈夫か?顔色が真っ青だぞ!?」
美柚沙汰「大丈夫…問題ないわ…」
菫仂カール「…いや、下がってろ。そんな状態でまた同じことになったら取り返しが付かないことになる。」
美柚沙汰「判ったわ…後退するよ」
宮畑涯「…カール…さっきのは…」
菫仂カール「…ミッチェルの革新が近い」
宮畑涯「そうか…しかしさっき見えたのは一体…?」
菫仂カール「恐らくはGNOの本質…かもな。トランザムバーストで拡散したGN粒子が無きゃ、俺達にも見えなかった」
耕田朗「でも、ミッチェルが下がった今、アレ、どうするんです?」
李野「手はあるわよ」
菫仂カール「艦長!?」
李野「確かにアレはかなりデカイ…けど倒せない相手ではないわね。ここは大火力集中よ。」
菫仂カール「なーるほど…で、そういえばミッチェルの容態は?」
李野「そのあたりは心配しないでもいいわ。ミッチェルの機体のコクピットにはヴェーダの端末乗っけてあるでしょ?アレが情報処理してくれてるおかげでミッチェル自身へのダメージは抑えられてて、ちょっと休めばまた出撃できる…けど」
耕田朗「けど?」
李野「端末のログデータ、かなりヤバイわよ?GNOが生み出された原因の情報まであるけど………自分が住んでたトコをああまで怨めれるってドンだけヤバイってなんの…」
耕田朗「艦長?」
李野「………はぁ、昔も今も私達の敵ってこういうのしか居ないのかね…」
宮畑涯「………まさか?」
李野「そのまさかよ。GNOの「本質」…私達が相手にしてるのは、自分達を産み出した所の文明を無に帰して、自分達の理想郷を作り出すのに飽き足らず、自分達の理想郷をあちらこちらに広めてる、カルト宗教以上にタチの悪い思想な上にそのくせ自分たちはそうではないと言い切るほどの二面性を持つ怪物よ」
義勇兵A「そ、それは本当でありますか!?」
李野「本当よ。しかもあいつらの二面性、下手すると世論操作で私達を敵に仕立て上げるぐらいやりかねないわ」
義勇兵B「な…ん…だと…?」
李野「いい?良く聞きなさい。今ここでGNOを放置したらそれこそこの地球圏…いや、太陽系に住む人々の危機になるわ!下手すればアークスやあちこちに滞在している友好的宇宙人すらGNOの餌食にされる、それを防ぐため、我々の総力を結集し、今目前にある敵巨大有機機械生体要塞を破壊するわ!」
義勇兵C「たった一国の戦争だと思っていたが、地球圏…いや太陽系が駄目になるかどうかの瀬戸際の戦争だというのか……降りる理由などない!」
義勇兵A「そうだな!心の光って奴をあの怪物どもに教え込んでやる!」
義勇兵B「そうだ!我々の意地を見せ付けてやる!」
宮畑涯「ふっ、あの時のことを思い出したぞ」
菫仂カール「あー、あん時か。あん時はマジでやばかったからなぁ…」
耕田朗「えっと…涯さんとカールさんって艦長の高校時代の同級生なんですよね?一体何したんです?」
宮畑涯「そうだな、世界の危機を起こそうとした奴らを打倒した」
耕田朗「………えっ」
菫仂カール「そーそー、しかもしくじったら地球規模の電脳戦争勃発。」
耕田朗「………無茶苦茶ですね…」
宮畑涯「武勇伝だからな」
李野「あと、涯。ローエングリンランチャー用意するから一度戻って!」
宮畑涯「了解した!」
菫仂カール「涯、戦線はこっちで支えてやる!準備が終わったらさっさと戻ってこいよ!」
宮畑涯「ああ、判った」
菫仂カール「一気に行かせてもらうぜ!」
フォレニールガンダムに搭載されている武装が発射準備に入る。
複数のビームキャノンに、腰部のレールガン、バスターガンダム用のガンランチャーや高エネルギー収束火線ライフル、さらには320mm超高インパルス砲「アグニ」に加え、ビームライフルにカリドゥス複相ビーム砲、最後に頭部バルカン砲がスタンバイされ、コクピットでは所謂「フルバースト」用のマルチロックモニターが開く。
「インガ・シュタイネル」の複数の部位にロックオンし、トリガーを引く。
色とりどりのビームと実弾が同時発射され、その奔流が「インガ・シュタイネル」に傷を付けていく。
さらに義勇軍の集中砲火もあり、徐々に「インガ・シュタイネル」はその損傷度合いを加速させていく。
耕田朗「墜ちろぉ!」
さらに攻撃が当たった部位にビーム砲システム「ビッグ・ガン」を用いてザク2改が狙撃してさらにダメージを与えていく。
李野「ローエングリンランチャーの装着完了したわよ」
宮畑涯「ああ、…エイハブ・リアクターとの接続、確認完了、いつでもいけるぞ」
美柚沙汰「…私も出ます」
宮畑涯「……艦長?」
李野「しょうがないわね…その代わり、トランザムバースト暴発させないでね?」
美柚沙汰「判ってます!」
宮畑涯「やれやれ…」
菫仂カール「お、涯…ってミッチェルまで!?」
宮畑涯「すまん、艦長命令で出させることになった」
菫仂カール「ま、まぁ、艦長判断ならなっとくだわ」
宮畑涯「よし、ローエングリンランチャー、セット!…ファイヤ!」
ブルーストライダーに追加装備されたローエングリンランチャー、これは所謂「陽電子砲」であり、言ってしまえば対要塞兵器だ。
ローエングリンランチャーから放たれた陽電子の奔流が「インガ・シュタイネル」を貫く。
美柚沙汰「もう一度…トランザム!」
そして再び、メタトゥエルガンダムがトランザムを発動する
美柚沙汰「行くわよ…ライザァァァァァァァ……ソォォォォォォォォォド!!」
GNソードIIブラスターから特大ビームサーベル…「ライザーソード」が放出される。
そしてソレが「インガ・シュタイネル」を切り裂く。
『ウギャァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
『こ、これが…地球人類の…!!い、嫌だ…!!この苦痛は…!!うっ!!滅ぶ!!滅ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!』
『ウギャァァァァァァァァァァァァァァァ………………』
ライザーソードで切り裂かれた「インガ・シュタイネル」が、爆発四散する。
「巨大有機機械生体要塞」の最期である。
菫仂カール「へへっ、すげぇなぁ、おい」
宮畑涯「これでミッションコンプリートだな」
美柚沙汰「ふう…どうなるかと思ったわね…」
耕田朗「いや、ソレはこっちの台詞だから!!」
菫仂カール「たーしかに、こっちが冷や汗かいたって」
美柚沙汰「…んもー」
宮畑涯「………ん?おい、残骸の中にこんなのがあったぞ?」
拡大カメラ映像には結晶体と思わしき輝く代物があった。
菫仂カール「なんだこれ?結晶体?戦利品だし、解析すれば判るかな?」
宮畑涯「そうかも知れんな。」
ルーマニアにおける義勇軍の作戦行動はニュールーマニア帝国幹部の討伐という形で一区切りが付いた。
幹部の一人を失ったニュールーマニア帝国は、義勇軍と交代する形で戦線になだれ込んだEU軍による攻勢を耐え切れず、支配地域を減らしていった。
そして、「インガ・シュタイネル」の残骸から発見された結晶体が、GNOが潜む異空間への突入に必要な「鍵」であるとは、まだ誰も知らない…
あとがき
さてさて、鈍筆過ぎて自分自身も忘れかけていたニュールーマニア帝国幹部の撃破話でごぜぇます。
思えば1年近く、ダラダラとやっておりましたがこのエピソードも一区切り、ええ、一区切りでごぜぇます。
トレイラーだとEZDPAFやラパウディア艦隊も出てきてたのですが…一応ここで一区切りとさせていただきます。でも彼らの出番がないわけじゃなく、鈍筆オブ鈍筆なので…(言い訳)
まぁ、バトロイ掲示板で絶賛演説やら報道やらで合戦してますのでもしかしたらそっちがらみのエピソードも…まぁそっちのエピソードやるとこっちのエピソードも終わっちゃう可能性が高いんですけどね…
ではではー
最終更新:2020年03月10日 15:18