皆さん、揃いましたか?
アリウス・パシリカに来たようですね。
不安そうですか?私も同じです。
まず、一つ確認したいことがあります。
「黙示録」に記された声を、聞いたはずです。
聞いていない人がいれば遠慮なく仰ってください。
......いないようですね。
では、あの声は私たち全員に届いていた、と。
......ですが私は、あの声が「黙示録」そのものを意味するのかどうか、まだ確信を持てていません。
はっきり聞いた?「黙示録」の記述はあれだけではありません。
「またわたしが見ていると、一羽の鷲が中空を飛び、大きな声でこう言うのを聞いた
ああ、わざわいだ、わざわいだ、地に住む人々は、わざわいだ
なお三人の御使がラッパを吹き鳴らそうとしている」
......私が確信を持てない理由は、前半の部分――空を飛ぶ「鷲」のくだりです。
鷲どころか、鳥の姿すら私は見ていません。
鷲......あるいは鳥のようなものを見た、という方はいますか
こちらも、いないようですね。分かりました。
それと、もうひとつ。......ラッパの音は7回鳴り響くとされていますよね?
そして声によれば、すでにラッパの音は4回鳴り響いたことになっている。
......ですが、私は今まで一度もラッパの音を聞いていません。
皆さんは、どうですか?聞こえていた人と聞こえなかった人がいますね。
皆さん?これから行うのはただの確認ですので、お気にならさず。
ラッパの音が聞こえた方は左、聞こえなかった人は右へ分かれてください。
(......聞こえた側の人数が、明らかに少ないですね。
よく見ると、他にも共通点があるような......?)
それでは、現時点での結論をお話します。
「ポルタパシス」に向かい、今回の出来事の真相を調査すべきだ、と私は考えています。
皆さんの不安は分かっています。
ですが、「手がかり」があるとしたら......
少なくともアリウスの中では「ポルタパシス」をおいて他にないというのも、また事実です。
......あそこには、アリウスの歴史と、経典の様々な解釈が保管されているのですから。
「ポルタパシス」に入ったら?......そうですね。
資格なき者、信仰を持たぬ者、信仰を失った者が入れば――
その果てで己を見失い、アリウスを永遠に彷徨うことになる。
そう言われています。
それでも、私たちは向き合わなければなりません。
他でもない、私たちアリウスで起こっている現象に。
......人知の及ばぬことが起きる場所。それがアリウスですから。
ましてや......真実から目を背け、自分たちの罪を隠すために、私たちを「存在しなかった」にしようとした――
あの不道徳なトリニティと、同じ道を歩むわけにはいきません。
まだ仮説の域を出ませんが、黙示録内容が現実になったのは、トリニティと――シャーレの「先生」の影響かもしれません。
ええ、先生は良い方だと思います。それは、私も認めます。
......ですが善意がいつも良い結果を生むとは限りません。
それは、皆さんも良く知っているはずです。
どうあれ、救護騎士団は再び、アリウスの地に足を踏み入れました。
事実、黙示録が発現したのは、その直後です。
つまり、「トリニティ」を呼び込んだのが「先生」である以上――
今回の件の原因も、やはりトリニティ......ひいては先生にあると考えるのが自然でしょう。
この話している側はラッパが聞こえなかった方ですね。
あれはラッパが聞こえた側......?
まさか!?いえ......もう少し様子を見るべきですね......。
ところで皆さん。万が一、天使が7つのラッパをすべて吹いたとしたら......どうなると思いますか?
そう!アリウスが滅亡する!
ええ、経典の記述が正しいのなら、世界が滅び始めるはずです。アリウスは、その始まりを告げる場所に過ぎない。
記述通りに進むのであれば......次は、7人の天使が鉢を地に向ける番でしょうか。
アリウスを浄化しないといけませんね!先生やスクワッドを追い出さないといけないようです。
はい......だから私は、この状況下で皆さんの意見を聞きたかったんです。
なので、長らく使われていなかったアリウス・バシリカの扉を開けました。
ここは偽りの礼拝堂であり......マダムによって歪められた地でもありますが......
......それでもずっと、追放された者たちの礼拝堂だった場所です。
全部「浄化」しましょう!
何?トリニティや先生のせいじゃない?......続きを話していただけますか?マイア。
黙示録に書かれいていることがそのまま起きる確証はない?
なんという冒涜!どうして、そう思うんですか?
何?鷲を見ていない?災厄の気配がない......?
怒っている!アリウスの生徒が怒っています!
アリウスから逃げたんです!あのアリウススクワッドは!
何?今と違う道を歩むことが出来る?
先生が私が知らないことを知っているらしい?
そんなわけないんだよ!
トリニティがアリウスをこんな風にしたんだとアリウスの生徒は言うんです!
その事?それは......。
す、少し、時間をください。
証明
証明
証明証明証明
証明証明証明証明
証明証明証明証明証明
違う?一つだけ聞いてもいいですか?
ラッパの音は聞こえましたか?聞こえたようですね......
......ごめんなさい。
「先輩!ごめんなさい!二度としません!
もう何も言いません!言われたこと、ちゃんと守ります!
何かやりたいとか、授業とか勉強とか、もう絶対言いません!
ごめんなさい!私、外に出たせいでおかしな考えに染まっちゃっただけなんです!
だから......もう一度......!やり直します......から......!」
皆さん。マイアさんを、バシリカの外へ。......二度と、この場所に戻れないように。私も同行します。
「先輩!!!
ごめんなさい!全部、私が悪いんです!先輩の言うとおりです!
私、全部、全部、間違っていたんです!
だから、お願い――」
皆さん。もう大丈夫です。先に戻っていてください。
「私を――見捨てないでください!」
......!
「先輩!先輩!先輩っっっっ!!!」
くっ......ううっ......。
ああっ、あああああっ......!
うわああああああああああああああっ......!
......。
まさか スバルの眼の光が消える事に
このような真相が あったとは......。
こうなると 分かっておれば
あの時 アリウスを見捨てなければ
良かったのに。
おっさん、いつのまに!
しかし スバルとは
なんとも無情な 少女だったんじゃな。
マイアの思いがスバルに
少しでも通じておれば あのCGを
見る事は なかったろうに。
見せられるのは これで全部だ。
次来たときは
別のことを占ってやろう。