第六十話:(読み外れ)
事情を説明し、一応聞いた人達には口封じしたが、
そのすぐあとに、わたしの想像していなかったことが起こってしまった。
「キリク、おかえり」
未「!?」
そう言ったのは避難所にいた一人の子供。
そしてその子供のすぐ近くにキリクがいた。
キ「ああ、はい、ただいま」
「なんか今日は早くない?」
キ「あんまりその事を思い出したくないんですけど」
「まあ、そうゆう時もあるよね」
キ「そうゆう事で」
未「・・・・」
わたしはキリクから見えない所に移動した。
お互い出会ったら出会ったでかなり気まずい。
歩「・・・どうしたの?」
未「あの人」
歩「?」
未「・・・あの人だよ」
サ「?あの子?」
キリクの年齢はわたしと同じぐらいだろうか。
サ「あの子は・・・」
未「男だよ」
フ「人は見かけによらないものね」
歩・サ「同感」
みんなやっぱり女だと思っていたみたい。
だって、綺麗な長い毛をしてて小柄、
まつげも長いし声も高い。
どこからどう見ても女にしか見えない。
しかも一人称は“自分”。どっちとも取れる。
でもやはり男。
わたしは男の人と二人っきりで温泉に入ってしまった。
それがわたしの感覚で信じられない。
未「頼むからこっちに来ませんように・・・」
そんな願いは叶わなかった。
「わあ、たくさんポケモンがいる。これお姉ちゃん達の?」
花「え?ああ、そうよ」
進化神様、わたしはあなたのおっしゃった事は守りましたよ?
なんですかこの仕打ち?
「触っても良い?」
一「怒られない程度なら良いよ」
「やった」
その子はサラとかを撫でたりしている。
その近くにキリクがいる。
わたしは隠れていたが、そろそろ見つかりそうだ。
「あ、この子可愛い」
未「み、見つかった・・・(小声)」
わたしは物陰から引っ張り出され、抱き上げられた。
キ「・・・あ!」
未「・・・・」
一瞬キリクと目があったがお互いゆっくりと反らした。
「?」
未「・・・降ろして!」(ジタバタ)
「わわわ。降ろすから暴れないでよ」
降ろされはしたものの、逃げ出すなんて事思いつかなかった。
なのでその場に立っていた。
キ「・・・あの・・・」
未「・・・・」
歩「どうなるかしら?(小声)」
サ「さあ?(小声)」
フ「面白くなりそう(小声)」
キ「さっきはその・・・」
未「な、なんのこと?」
キ「え?」
未「さっきの事って何?」
キ「・・・・」
向こうが私の思惑通り動いてくれればいいが。
キ「・・・だから・・・、えっと・・・」
ダメか・・・。
進「お?どうした?未歩、知り合いだったのか?」
未「え?あ、いや・・・」
キ「誰ですか?」
進「こいつの兄だ」
キ「あ、そうですか」
お願い、お願いだから兄ちゃんには言わないで・・・。
キ「あの・・・、ちょっとお話ししたいことが・・・」
進「?」
ここまで来るとわたしはなんだかどうでもよくなってきた。
奥の方でキリクが兄ちゃんに説明している。
兄ちゃんは驚いた表情を保ったままその話を聞いている。
歩「・・・どうする?」
未「どうするもこうするも・・・、どうにも出来ないでしょ・・・」
歩「怒るかな?」
サ「未歩ちゃんに怒ってどうするのよ」
その後、兄ちゃんがこっちにゆっくりとやってきた。
進「・・・未歩」
未「はい・・・」
進「・・・何もされてないな?」
未「?うん」
進「キリクはずっとお前とは反対方向を見てたんだよな?」
未「うん」
進「・・・なら良い」
あれ?お咎め無し?
進「気をつけろよ?」
それを念を押されただけだった。
最終更新:2009年01月25日 20:08