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第八十八話:執着の炎

第八十八話:(執着の炎)


サ「・・・え?」

グリードの言った言葉の意味を理解出来ない。

グ「俺についてこい。その眼の輝きの美しさ、なんであるのか確かめたい」
サ「・・・・」

つ、つまり・・・?

サ「ど、どうしてあたしが欲しい訳?」
グ「・・・・」

グリードは一瞬キョトンとした顔をすると真顔で話し始めた。

グ「サラ、美とはなんだ?」
サ「は?」
グ「・・・ん?」
サ「・・・形が整ってるとか?」
グ「フム、確かにそれも美である事に間違いないだろう。だが、俺が求めているのは、そんな外面的なものじゃない」
サ「?」
グ「外面的美ならば、その辺りにいくらでもある。そんな物に興味はない。俺が求めている、それはもっと物が内に秘めているもの」

グリードは何かに酔っているようにあたしの耳元でささやいた。

グ「それを見分ける事は難しい、実に。俺はそれを求めている。手に入れたい、そう思っていた時だ、あの男とキミが俺の縄張りにいた」

またグリードはあたしの瞳を覗き込む。

グ「最初は単純に、邪魔な奴を消そうとしていた。その時だ。キミの眼の中、輝いていた、俺はそれを見た時思ったんだよ。心がささやいた。“あれこそ、俺が求めていたものだ”、と」

その顔にふざける所は何一つ無い。
真剣そのものだ。

グ「だから、俺はキミが欲しいんだよ。キミの眼の内にある美を、手に入れたい、確かめたい。・・・わかってもらえたかな?」
サ「・・・つまり、興味があるのはあたしじゃない訳?」
グ「厳密にはそうなる。だが・・・」
サ「・・・・」
グ「キミがいなくては話にならない。わかるだろう?」
サ「・・・なんであたしなのよ!あたしじゃなくても良いじゃない!」
グ「・・・・」

グリードはしばらく目を瞑った。

グ「もう俺は、来る所まで来た。戻る事は出来ない。今更もう遅いんだよ。今、目の前に舞い込んできた絶好の機会。逃してしまってはもう、俺の前に求める物が来るように思えない」
サ「?」
グ「俺は・・・、美を求めすぎたが、もう後戻りは出来んという事だ。美を見るためならばなんでもやってきたからな」
サ「・・・何やったの?」
グ「例えばだ」(スッ)


チュッ


サ「!!!」

グリードはいきなりあたしにキスをした。
驚いたあたしはグリードの鼻面を張り飛ばした。

グ「フフフ・・・」
サ「な、何するのよ!!」
グ「いや・・・、一番手っ取り早そうだったんでな。恋する女は美しいと言うだろう?どんなものか見てみたくてキスする事もあった」
サ「あんたサイテーよ!!」(ガブッ!)
グ「ぅあっ!」

さっきから視線を自分と合わせるためにあたしのあごに添えてあった前足に思い切り噛み付いた。
グリードは噛まれた所を舐めつつこっちを眺めた。

サ「あたしはあんたとなんか一緒にいられないわ!絶対にごめんよ!」

あたしは進の所に行くとまた首をくわえてみんな所へ行こうとした。

グ「待て」
サ「嫌よ」
グ「・・・忘れたか?キミの命は俺が握っている。生かすも殺すも俺次第。生き延びたいなら俺の言う事に従って貰おうか」
サ「・・・・」

グリードの眼には炎が映っていた。
美に執着する貪欲な炎だ。

サ「・・・あたしは、みんなの所に行かなきゃいけないの!あんたなんかと一緒になんかいられない!みんな大切な仲間なの!友達なの!みんなのいる場所が私の場所よ!!」
グ「それは違うな。キミは俺といなければならない、そうゆう運命だ」
サ「あたしをみんなから引き離そうって言うの?上等じゃない!」

進をそばに置くとグリードの所へ大股で近寄る。

サ「あんたなんかといるぐらいなら、戦って死んでやるわ!」
グ「・・・・」

グリードは面食らった様子だ。

グ「・・・わかった、なら、行けばいい」
サ「フン!腰抜け!」

グリードは何か言おうとしたが結局何も言わなかった。
あたしは急いでみんなの所へ向かった。


最終更新:2009年01月25日 21:40
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