第九十三話:(白銀の戦士)
歩「ん・・ぅ・・・」
ギ「起きたか?」
歩「!ギャラル・・・!」
ギ「おい、無理するな。別にオレはなにしようって訳じゃない」
歩「・・・・」
ギャラルは私から少し離れた所に座っている。
ギャラルからは本当に敵意のようなものを感じない。
でも私は気を抜かなかった。
ギ「そう硬くなるな。オレはただ知りたいだけだ」
歩「?」
ギャラルは立ち上がり、私に少しずつ近づき言った。
ギ「お前のあの力、何なんだ?」
そんな事言われても私も知らない。
なので黙っていた。
ギ「・・・教えたくないか?」
歩「・・・・」
ギ「・・・まあ良い。いつか聞き出す」
ギャラルは何かを私の目の前に置くと振り向いて歩きながら言った。
ギ「食っとけ。オレはお前だけに時間費やしてらんないからな」
目の前に置かれているのはオレンの実が数個。
私はいぶかしげにそれを見てギャラルに言った。
歩「どこ行く気?どこかに行ってる間に私が逃げるわよ?」
ギ「別に。お前がどこに行こうが所詮イーブイ。行動範囲は限られる。体洗ってる間に逃げられてもせいぜい四、五百メートル。オマケにここは急勾配な地形、ろくに移動も出来ずにまたオレから捕まるだけだ」
憎たらしい奴。
体を洗うということはせいぜい十数分。
周りを見てもギャラルの言う通り急な坂道。
逃げることは出来ない。
仕方なくギャラルの言う通り、食べたくもないオレンの実を食べてギャラルが帰ってくるのを待った。
E「歩美さん」
歩「わっ!E、EV!?」
E「はい、私です」
歩「ど、どこから来たの?」
E「ギャラルさんの剣にしがみついて・・・」
歩「高所恐怖症じゃないの?」
E「こ、怖かったですけど、歩美さんがさらわれるのを黙って見てられなかったんで・・・」
歩「・・・ありがとう」
E「いえ、いいんです。早く逃げましょう」
歩「無理よ、さっきのギャラルの話聞いてた?」
E「ええ・・・。でも、何もしないよりは・・・」
ギ「残念、タイムアップ」
歩・E「!」
ギャラルが体を洗い終えて戻ってきていた。
ギャラルはさっきまでの赤い、血にまみれた姿から一変し、白く輝いていた。
もちろん元々赤い部分は赤いままだが、それでも毛の艶で光が反射し、白い所は銀色に見える。
ギ「まさか付いてきてる奴が居るとはな。気付かなかった」
E「何で歩美さんをさらったんですか?」
ギ「聞いてなかったのか?歩美が欲しかったからだ」
E「理由が不十分です」
ギャラルはめんどくさそうに首を振る。
ギ「歩美の持ってる強さ、それがなんなのか知りたかった。それだけだ」
E「たったそれだけですか?」
ギ「ああ」
E「はぁ・・・」
EVは拍子抜けしたようにため息を吐いた。
ギ「悪いか」
E「いえ。ただ、さらう理由としては・・・」
ギ「うるせぇ。大体お前はお呼びじゃない。ここで消えてもらっても良いんだぜ?」
歩「そんなこと絶対にさせないから」
私はEVの前に立った。
ギ「・・・はぁ・・・。まあ良い。歩美、生きながらえたいならついてこい。行くぞ」
歩「EVは?」
ギ「さっきも言ったろ、そいつはお呼びじゃないんだよ。置いていく」
歩「ならついていかない」
ギ「はぁ!?」
歩「EVも連れて行ってくれないなら絶対ついていかない」
ギ「・・・ホントめんどくさい奴だなお前・・・」
歩「そう、めんどくさいの。嫌なら私も置いて行きなさい」
ギ「・・・わかったよ!そいつも連れてけばいいんだろ!ったく!」
軽く神経を逆なでし、私を殺す訳にはいかないギャラルを言い負かした。
これで少しは安心出来る。
ギャラルが気を変えて私まで殺さなければだが。
最終更新:2009年01月25日 22:04