第百二話:(宝探し)
あれから私達はそびえ立つ鎬山を登っていた。
鎬山に近づくとすぐに雪が降り始め、十分もしない内に一面雪景色に変わってしまった。
鎬山を登り始めて大分経つが、変わり映えのない景色に飽きてきた。
進んでいるのか振り返って確かめてみても進んでいる気がしない。
それに何より、雪の冷たさで足が痛かった。
人間なら靴を履くとかそうゆう事で少しは和らげる事が出来るが、
イーブイは素足だ。毛も意味がない。
肉球に感じられる感覚は既に痛みしかない。
一歩踏み出すたび足の下に何かあってそれを踏み付けているような感じがする。
E「あと・・・、どの位登れば良いんですか・・・?」
ギ「オレに聞くな」
歩「ねえ、リズ?」
リ「ワタシに聞いても無駄だよ。登るも何も、ワタシはこの山にお宝があるとしか聞いてないからね」
ギ「なんだと?じゃあ知らないのか?そのお宝ってのがどこにあるのか」
リ「知ってるとは一言も言ってないよ。この山のどこかにあると噂で聞いた」
E「じゃあ、どうゆう風になっているかなんて事は・・・」
リ「わからないね。山のどこかに落ちてるのか、頂上に置かれているのか、もしかしたら山の中に埋まってるなんて事もありうる」
ギ「猶予は二日だ。二日探して見つからなかったら下山、見つからなかったらその時はお仕置きだ」
リ「大丈夫さ、見つける」
その自信はどこから来るやら。
私はもうひとつ質問した。
歩「その宝って、どんなものなの?」
リ「聞いた話によると、何でも人間の拳ぐらいの大きさの宝玉らしい」
E「大きいですね」
リ「その宝玉は青く脈打ち、世界に一つしかないって噂だ。その宝玉は“覇王の心臓”なんて呼ばれてる」
ギ「えらく直球な名だな」
リ「ここからは昔話になるが、遥か昔、世を力で治めようとした奴がいて、そいつは覇王と呼ばれた。その覇王が持っていたとされるのが“覇王の心臓”。この昔話が名前の由来なんだが、覇王の心臓を奪われた覇王はたちどころに力を失い討ち滅ぼされたそうだ」
歩「心臓が無くちゃ生きていけないものね。それだけ大事だったって訳ね」
リ「それまで美しいなら是非とも手に入れたい。ワタシのコレクションに相応しい品のはずさ」
ギ「女って奴はなぁ・・・(小声)」
リ「何か言ったか?」
ギ「いや」
リ「ぼさっと突っ立ってないで探すんだよ。鎬山はノダチ地方最大の山だぞ?」
ギ「はいはいはいはい・・・」
正直雪が深すぎてまともに動けない。
私とEVは雪の中から抜け出そうと藻掻いているだけだった。
ようやく抜け出した時には宝探しなんて気分ではなくなっていたので、
EVと一緒に雪だるまを作っていた。
ギ「何やってんだよお前等・・・」
歩「見ればわかるでしょ、雪だるま作ってるの」
ギ「お前等宝探す気は・・・」
歩「無い、今の所」
ギ「・・・大体、その雪だるまは何だ?鬼か?」
歩「鬼ってあんたねぇ・・・。ピカチュウよ。これ耳、これ尻尾」
ギ「下手くそ」
歩「そんな事言うならあんたやってみなさいよ」
ギャラルはそう言われると雪を固めて爪で削り、わずか五分で雪だるまを完成させた。
ピチュー、ピカチュウ、ライチュウが本物と見まごうばかりの精巧さで作り上げられている。
ギ「何か言いたい事は?」
歩「・・・まいった」
E「凄いですね~・・・」
リ「遊ぶな!」
全員(ギャラルも)リズから頭を殴られて宝探しを再開した。
リ「まったく・・・、緊張感ってもんが足りないんじゃないか?もしかしたらお宝を狙う連中を追い払う為の罠なんかが張り巡らされてるかもしれないんだよ?」
ギ「罠がどうした、怖か無いね」
歩「罠か・・・」
E「?」
今私の脳内で何かが煌めいた。
歩「よーし!テンション上がってきた!」
私は雪をかき分けて全ての行動を身体にゆだねた。
感じたままに体は動き、私はあるものを見つけた。
歩「怪しい扉はっけーん!」
みんなが駆け寄ってきた。
リ「どうしてここだってわかった?」
歩「第六感よ、シックスセンス」
ギ「じゃあちゃっちゃと終わらせようぜ」
ギャラルが扉に一歩近寄った時にはもうリズが扉の前にいた。
リ「ん・・・」
E「どうしました?」
リ「変な鍵がかかってる・・・」
歩「え~、入れないの?」
ギ「退け」
ギャラルはリズを押しのけると、拳を振りかぶった。
ギ「開かねえならぶっ壊す」
ガン!!
鈍い音がした。
扉は壊れる気配すら見せない。
ギ「ッツ・・・、なんて硬さだ・・・」
リ「何とか開けないとな・・・」
私は近寄って扉の鍵とやらを見た。
歩「何だ、鍵ってこんな鍵な訳?」
全「?」
歩「んと・・・、ギャラル、手が届かないから手伝って」
ギ「あ?あぁ・・・」
私は手早くパネルを移動させた。
パネルを動かし終えるとパネルの中の管に液体が流れ込み、端と端を繋いだ。
その途端、扉は音を立てながら地面に沈み込み、奥へと通じる道が出来た。
歩「さ、行きましょ」
みんなが呆気にとられてボーッとしているので少し待ってから私は中に入った。
最終更新:2009年02月01日 15:29