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第四十二話:FIRST・・・

第四十二話:(FIRST・・・)


掘れ掘れ掘れ・・・。
後ろ足は見えてきた。でもまだ急がないと・・・。

掘れ掘れ掘れ・・・。
胴も出てきた。でも私の足が限界に近い。

掘れ掘れ掘れ・・・。
あとちょっと・・・、あとちょっと・・・。

E「よいしょ、進さん!」
進「・・・・・」

進さんを引っ張って平らな所へ。
進さんはグッタリして全く動かない。

E「進さん!!進さん!!」
進「・・・・・」

いくら呼びかけても進さんは反応しなかった。

E「進さん!!起きて下さい!!」(ユサユサ)
進「・・・・・」

揺すっても起きない。

E「進さん!!進さん!!」(ユサユサ)
進「・・・・・」

起きない・・・、進さんが起きない・・・。

E「起きて・・・、進さん起きて下さいよ・・・」
進「・・・・・」
E「目を覚まして・・・、お願いですから・・・」
進「・・・・・」
E「進さん・・・、どうして・・・、どうして起きてくれないんですか!進さぁん!!」(ガシッ)

進さんに抱きついた。しかし暖かさが微かに伝わってくるぐらいで鼓動もわからない。
アルデさんから昔聞いた事がある。
炎タイプのポケモンが体温が下がった状態でいると死亡する事があるらしい。
それに加え、進さんは生き埋めになっていて呼吸出来なかったんだから本当に危険だ。
心臓が動いているのも確認出来ないから本当に進さんは・・・。
ダメ!!諦めちゃダメ!!諦めちゃ本当に進さんが死んでしまう!!
希望はまだある!!諦めない!!諦めちゃいけないんだ!!

E「えっと、いつかアルデさんが心肺蘇生法の仕方を・・・」

あの時ちゃんと聞いておいてよかった。
種類によってやり方は違うけどあの時は動物系のポケモンのやり方を習ったはずだ。
アルデさんには色々お世話になってきたけれど今ほど感謝した事はなかった。
ええと、呼吸の確認・・・。

E「・・・呼吸がない・・・。えっと、人工呼吸をして・・・」


シュー・・・


E「呼気の排泄の確認・・・。もう一度鼓動を確認して・・・、無かったら心臓マッサージ・・・」

1・2・3・・・、動物系のポケモンのほとんどは人間より鼓動が速いので心臓マッサージも速めに。
もう一度鼓動がないか確認して、無かったらまた人工呼吸・・・。
そして心臓マッサージを繰り返す。
何度も繰り返し、進さんの回復を待った。
しかし回復する気配はない。

E「・・・諦めちゃダメ・・・、諦めちゃ・・・」

声がかすれて最期の方は自分でも聞き取れなかった。

E「嫌だ・・・、嫌だぁ!!進さぁん!!嫌ですよぉ!!死んじゃ嫌です!!死んじゃやだ!!やだぁ・・・」(ガシッ)

また進さんに抱きついた。
もうダメ・・・、進さんは死んでしまった・・・。
諦めるしかない、奇跡は起こらなかった・・・。
神様は・・・、進さんを助けてはくれなかった・・・。
進さんの身体はさっきよりも冷たい。
もう望みなんて無いの?このまま進さんの亡骸を背負ってみんなの所に行けって言うの?
やだ。絶対にやだ。でもそれしかできる事がない・・・。
歩美さんや未歩さんには大切なお兄さんだったのに・・・。
私が進さんの遺体を持ってみんなの所に行ってもみんなが悲しむだけ、
私の寿命が縮んでも、いっそのことなら死んでもかまわない。
進さんを生き返らせたい。私はどうなってもかまわない。
進さんの元気な姿を見る事が出来ればそれで良い。
だって私は・・・、私は・・・。


トクン・・・トクン・・・


E「!?す、進さん・・・?」
進「・・・ぅ・・・」
E「進さん・・・」
進「うぅ・・・」
E「やった・・・、進さぁん!!」(グッ)
進「うっ・・・がはっ・・・」
E「よかった・・・、よかった・・・」
進「ぐっ・・・E、EV・・・放せ・・・」
E「え?あ、ああ・・・、すみません」
進「はぁはぁ・・・俺・・・生きてる・・・?」
E「はい、生きてます。進さんは・・・、生きてます・・・」(キラッ)
進「?EV・・・泣いてるのか・・・?」
E「はい・・・、嬉しくて・・・」
進「そ、そうか・・・でもどうして・・・俺・・・生きてるんだ・・・?」
E「私が心肺蘇生を・・・」
進「え?EVが・・・?」
E「はい」
進「だが・・・心肺蘇生って事は・・・俺・・・呼吸してなかったのか・・・?」
E「鼓動もありませんでした」
進「・・・って事は・・・人工呼吸も・・・?」
E「もちろんです」
進「・・・俺の初めての・・・」
E「?」
進「俺の初めてのキス・・・こんな感じでか・・・」
E「?き、キス?」


ポー!!!


進「E、EV!?」
E「キス・・・」(プシュゥゥゥ・・・)

EVが機関車みたいになってる・・・。
キスって言葉にここまで反応するか?
俺のファーストキス、人工呼吸かよ。でもいいや、EVとだし。
で・も!ファーストキスが土の味、甘くも酸っぱくもない。これが心残り。

進「EV・・・もういい加減・・・目を覚ませ・・・」
E「・・・・」(シュゥゥゥ・・・)

あ、ダメだ。完全にどっか別の世界に行ってる。
EV・・・、さっきから俺を見てる。
目がなんて言うかね、トロ~ンとしてるというかそんな感じ。
目が合った。顔がどんどん真っ赤になっていく。俺もEVも。
この感じ・・・、今チャンスか!?
行っちゃう?行っちゃいますか?ボロボロのこの状況なんてかっこいいんじゃない?逆にね。

進「・・・E、EV・・・」
E「・・・はい・・・」
進「あのな・・・俺・・・お前の事・・・」


ゴゴゴゴゴゴ・・・


進「!?この音は・・・イワークだ・・・!!」
E「・・・・」
進「EV!!・・・逃げろ・・・!!」
E「・・・・」
進「何やってんだ・・・!!・・・早く・・・逃げろ・・・!!」
E「・・・・」

EV!!クソ!!なんで逃げないんだよ!!ボーっとしてないで逃げろって!!
くっ!あのイワークこっちに来やがった!!
俺が何をどうした所で突っ込んで来るイワークを止められる訳無いけどEVを守らねえと!!

進「うっ・・・くそっ・・・」(ザッ)

来た・・・、せっかくEVに助けてもらったこの命、もう捨てる事になるのか・・・。
だがかまうか!!EVのためだ!!俺が死んでEVが助かるんなら何回でも死んでやる!!

「終わりじゃこのチビ!!」(ゴゴゴゴゴゴ!!!)
進「くっ・・・」

「ストップ!」

「!!旦那!?」(ズズズズズズ・・・)
進「?と、止まった・・・」

すぐそこにあった角の所から人間の男が飛び出してきた。
二十代ぐらいのライトのついたヘルメットをかぶったヒゲがわずかに生えた長身の男だ。

「こら!大きさが一メートル以下の奴は攻撃しちゃダメだって言っただろ!」
「す、すまねぇ旦那・・・、つい癖でな・・・」
進「・・・EV・・・EV!」
E「・・・え、あ、はい・・・」
「・・・君達は野生のポケモンかな?」
進「だったら・・・?」
「イーブイと見た事もないポケモンか・・・。野生なら・・・、行け!モンスターボール!」(ヒュッ!)
進「!!避けろEV!!」
E「あっ・・・」


バシッ!

シュゥゥゥ・・・


進「!!!EV!!!!」
「よし!行けるか・・・?」


プスッ・・・


「ゲット!!」
進「こらこのクソ野郎!!!」(バッ!!)
「!?うわっ!」(バタッ)

俺はその男の上に馬乗りになった。
そして人間の言葉で言った。

進「EVを出せ!!EVをあの小汚えちっぽけなボールから出せ!!!」
「な!?人間の言葉を・・・」
進「早く出せって言ってんだこのウジ野郎!!早く出せ!!!燃やされてえか!!!」(ボッ!ゴォォォォ!!!)

俺の尻尾の炎が燃え上がった。

「うわ!アチチチチチ!!」
「チビ助!!旦那から離れやがれ!!」
進「黙れ石頭!!!【噴火】!!!」(ボン!!ゴォォォォ!!!!)
「ぐわぁ!あちゃちゃちゃちゃ!!」
進「出せ!!出せよ!!!EVを出せ!!!!」
「わ、わかった!わかったからそれ以上炎を大きくしないでくれ・・・。僕の服が燃える・・・」

その男はEVの入ったボールを取ってボタンを押した。
すると、青い光に包まれてEVが出てきた。

進「EV!!!」
E「進さん!!」
「はぁ・・・、せっかく捕まえたのに・・・」
進「黙れクソが・・・、俺の仲間を、友達を勝手に捕まえられてたまるか!!!」
「わ、わかった、わかったよ・・・」
E「捕まえられるのってあんな気分なんだ・・・」
進「EV、もうみんなの所に行こう。みんな心配してるだろう」
E「はい」
「おい、ちょっと君」
進「何だ?」
「どうして君は人間の言葉を話せるのかな?」
E「え?進さん話しちゃったんですか?」
進「ついな。お前が捕まったからカッとなって」
「そっちの方も喋れるんだ。え~っと、自己紹介でもしようか。僕は輝彰(てるあき)だ」
進「興味ない」
輝「そんな事言わずに、君の名前とか教えてくれよ」
進「・・・進だ」
E「私はEVです」
輝「ふ~ん・・・、じゃあなんで君が喋れるのか教えてくれるかな?」
進「何故?」
輝「特に理由は。でもあちこちにバラして君を解剖させる事ぐらいは出来るからね」
進「・・・チッ、大人ってのはやな生き物だな・・・」

仕方なく説明。
説明している時から身体が重くなってきた気がするが気のせいか?

輝「へぇ、人間なんだ」
進「驚かねえのか?」
輝「驚くなんて事してたらトレジャーハンターなんてやっていけないよ」
進「トレジャーハンターなのか?」
輝「そうさ、こんななりでもね」
E「宝物を探しているならどうしてこんな所に?」
輝「ここにお宝があるっていう噂があってね」
進「噂かよ」
輝「噂でも大事な情報さ、他の人達に先を越されないうちに見つけないと」
E「無かったらどうするんですか?噂は噂でしょう?」
輝「無かったらその時さ」
進「そんなもんか?」
輝「そうだよ。お宝なんて夢があるってだけでトレジャーハンターになる人も居るぐらいだからね」
進「ふ~ん・・・」
輝「実は僕もその一人なんだけどね」
進「確かに宝探しには夢があるな。うん、冒険の末宝を見つけそして億万長者か・・・、いいな、そうゆうの好きだ」
輝「君も男ならわかると思ってたよ!」
E「私は女なので理解しかねますが・・・」
進「・・・まあ・・・、そうだろうな。女にはわかるまい」
輝「ああ、そう言えば君達には仲間がいると言っていたね。戻らなくても良いのかい?」
進「ああそうだった。じゃあ戻るかEV」
E「はい」
輝「気を付けてね」
進「ああ・・・」(フラッ・・・)
輝「おいおい、大丈夫かい?」
進「大丈夫・・・、なんか身体が・・・重いだけ・・・うっ・・・」
E「進さん!?」
進「くっ・・・あれ?・・・EVが三人?・・・」
E「進さん!しっかりして下さい!」
輝「僕が診よう。一応医師免許は持ってる。ポケモンのもね」

「ムム・・・(ゲッ・・・、あっしが生き埋めにしたのがマズかったか・・・)」

輝「?イワーク、なんか言ったか?」
「い、いえいえ何も・・・」
輝「?えっと、EVちゃん、何かこんな事になるような事はなかったかい?毒を受けたとか」
E「えっと・・・、進さんはそこの壁で生き埋めになってました」
輝「何?イワーク、お前だな?」
「す、すまねぇ旦那!あまりにそいつが生意気だから・・・」
輝「晩飯抜き!うむむ・・・、生き埋めか・・・、だとしたらマズいかもしれないな」
E「え!?な、何がマズいんですか!?」
輝「属性拒絶反応かもしれない」
E「属性拒絶反応?」
輝「説明はあとでしよう。今はとりあえず君達を君達の仲間の所に送る事にする」
E「どうやって?ここからはかなり離れてます」
輝「イワークに乗ればすぐさ。行くぞイワーク!」
「へ、へい!」

私達は歩美さんの所に向かった・・・。


最終更新:2008年12月14日 17:19
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