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ハーゴン.

何だとッッ!
その時わしは耳を疑っていた、た…魂を奴に取られてしまうのかッ!
それではシドー様に生贄を奉げられないではないかッ!
勿論正統な儀式を行えばその魂は優先的にシドー様の物になるが、
この状況から考えれば……。
「ハーゴンッッ!」
突然の事態に混乱していた我はその呼びかけに思わず振り向いてしまっていた。
轟ッッ!!!!!!!
連続して襲い掛かる爆発と真空、その向うに立つ不死鳥を象った頭巾を着けた女……。
馬鹿な、ムーン王女は死んだ筈……。
「貴様…何故生きている?」
「貴方こそ何故生きているのッ!父様と母様の仇、今度こそ取らせて貰うわッ!」
「何を言い出すかと思えば、わしはシドー様の忠実な僕、シドー様ある限り、
わしもまたあるのだ。」
「シドーなら私達が倒したわよッ!」
…………倒された?シドー様が?
「馬鹿な………」

「馬鹿な………」
そんな事が有り得る筈がない、あのシドー様が敗れる筈など……だがこの状況は何だ?
もしシドー様が勝利なされたのなら、王女の魂はシドー様に喰われている筈だ、あの時
のシドー様は完全な状態での復活ではなかったからあの三人の魂を見逃す訳がない。
「そんな……嘘だ………」
完全な復活ではなかったからシドー様は敗れたのか?
わしは自ら我が主を破滅へ導いてしまったのか?
「………嘘だ………嘘だ………」
わしの300年は何だったのだ?シドー様に奉げ尽くしてきたわしの人生は?
「嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……」
わしは……わしは……
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だう」
「イオナズン!」
轟ッッッッ!!
あ……あ………体中が痛い、兎に角立たねば……何だ?この白い物は?
わしの体に突き刺さっている様だが、まあ良い、呪文を……
「ベギラ…グホッッゲホッッ!」
血が…口から血が溢れておる……いかん、これでは………
「これで止めよ!バギ!」

呪文を喰らったわしは先程捕らえた女の脇まで吹き飛ばされていた。
口からは血が溢れ、呪文も唱えられない…体も最早殆ど動かぬ…
遠くから詠唱が聞こえる……この距離ではこの女も巻き込んでしまうが、王女の視界には
映っていないらしい、復讐者には良くある事だが……うん?これは?
「イオナ…」
ドゥッッッッ!
「あうっ」
声からすると当ったらしい、わしは女の持っていた異界のカラクリーグロック17という名前らしいー
をもう一度引き絞った。
ドゥッッ
「うあっ」
ドゥッッ
「いや……こんな……」
ドウッッ
「母様……痛い……」
ドゥッッ
「あ………」
ドゥッッ
「……………」
ドゥッッ
ドゥッッ
…………カチッ
奇妙な踊りを踊っていた王女は糸が切れたかのように倒れ、わしの意識も闇に飲まれていった……

「…………!」
気が付いた時私の目に入って来たのは倒れた男女とまるで台風が通過した跡の様な森だった。
何が有ったかは判らない、確実なのはこの騒ぎで周囲のプレイヤーの注意を引いてしまった可能性
が高い事だけ。
「……!……!」
急がなくてはならない、私は最初の呪文を完成させ、穴だらけになって倒れている少女にかけた。
「ベホマ」
少女は……動かなかった……穴も塞がっていない……何故ッ!
「!!!!」
咄嗟に唇を噛んでいた、少し切れてしまった様だがそんな事を気にしている場合ではない、
今パニックを起こしたら……誰もこの状況から助からない、私は皆に会うまで死にたくない!
 次に少し離れている男に治療を試みてみた、幸い此方はまだ息がある……でも、念の為に…。
「ベホイミ」
「ム……ウ……」
今度は効いている……。
「何のつもりだ小娘?」
急がなくてはならない、私は先程から気になっていることを質問した。
「…………」
「異界のカラクリについては少々心得がある、この程度の物なら造作もない。」
「…………」
「正確には神官だが、魔術の研究もそれなりにはやった事がある。」
「…………」
「幾つか心当たりはあるが、そんな事を聞いてどうする?」
「………♪」
やはりこの男は知っていた!私は男に片手を差し出した
「…………!」
「手を組んで如何する?最後は殺し合うしかないのだぞ?」
「……!……!」
「ゲームを抜ける?…クッ……フハハハハハハ!」
その笑い声を聞いた時、私はボタンを掛け違えた様な違和感を覚えた。
だけど私は間違った選択はしていない……筈。
クッ……フハハハハハハ!」
笑いが止まらない、こんな笑い話が他にあるか?
わしは確かに異界のカラクリについても、普通の奴が知らない様な術についても知っておる、
だがこの状況を理解してるか?此処に倒れていた二人の内どちらかがお前を気絶させた可能性に思い至らないのか?
気絶している相手から勝手に武器を持ち出す奴を信用するのか?そもそも我々が何故争ったかについて聞かないのか?
まぁ大体予想は付いている、この女は不安で堪らないのだ、1人でいる事に、孤独になる事に。
 この様な輩を如何に上手に引きずり込めるかが教団の命運を左右するのだが……話がそれた。
「良いだろう、貴様に協力してやろう。」
「………♪」
「早急に此処を離れる必要が有るな、ワシはこいつの首と首輪を持っていく、お前はこいつの武
器を確かめろ。」
「………!」
「首輪が着いたままでは脱出できん、研究する必要がある、首は脱出する為に必要になる、詳し
い説明は後でする。」
「…………」
渋々従う女を横目で見ながら王女の首に素早く邪悪な紋章を書いておく、気絶していた時間はそ
れ程長くは無い様だからまだ効果が有る筈だが……
「…………?」
「ほう、これは良い物だ。」
わしは生きていたくはない、わしにとってシドー様のいない人生など何の意味もない。
だから、奴等には礼をしてやろう、折角のゲームをぶち壊しにする事で。
そして死ねた筈のわしを蘇らせた貴様は……じっくりと礼をしてやろう、ゆっくりと時間を
掛けて、丁寧に、心を壊す事で。
「名前を聞いていなかったな。」
「……」
「そうか、行くぞマゴット。」
王女の持っていたグレネードを2、3発見当違いの方向に投げると我々は素早くその場離れた。

ハーゴン(負傷)所持品:死神の鎌、グレネード複数(ムーン王女からルート)、ムーン王女の首と首輪
 第一行動方針:安全な場所で作戦会議】
【マゴット 所持品:グロック17
 最終行動方針;ゲームからの離脱】
【現在位置:島の中央部の森から東に移動中】

【ムーン王女 死亡】
【残り 99人】


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最終更新:2011年07月17日 20:18
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