ホンの僅かな突起に指を掛け、そしてその指で全体重を支える。
その繰り返しで、
フリオニールはスルスルと地上に向かい降りて行く。
月光が照らす塔の壁面に張り付く彼の姿は、まるで昆虫。
人間が持ち得る最小限の慈悲の心すら、最早残ってはいない……。
昆虫は自分より弱い者を捕食し、生き長らえる。
そして己も、より強い昆虫にいつか捕食される。ヒエラルキー……。
塔の外壁に張り付いているフリオニールの耳に、僅かな風切り音が聞こえた。
彼は戦闘者の直感で、本能的に右側の突起物に右手を掛け、身体をスグさま右にずらした。
ドスッ……。
一瞬間前には、自分の頭があったところ……今は左手の甲……
そこに、刀身が濡れているかのように美しく輝く刀が突き立っている。
鮮血が噴水のようにほどばしっていた。
その状況を認知して、初めて彼は左手に激痛が走っていることを知った。
刀が飛んできた方向を振り向く。
塔を取り巻く流れの向こう側、平原に銀髪の男が立っている。
(まさか……あそこからコレを投げたというのか……)
ここから移動しなくては。そう思い、右手で刀を抜こうともがく。
「クッソ…………抜けん!!」
彼がユックリと近づいてくる……。
アルテマがフリオニールの真下、地面に向けて放たれた。
凄まじい轟音、アリアハンまで届く振動……濛々と土埃が舞い上がり、塔全体を包み込む。
土埃が晴れ、塔の外壁が再びあらわになった時、
そこには一本の
日本刀と、それに張り付けられた左腕だけがあった。
【フリオニール(左腕喪失)
所持品:
ブレイズガン、
モーニングスター、お鍋の蓋、アルテマの書(1回)
第一行動方針:一旦身を隠す
基本行動方針:ゲームに乗る】
【現在位置:?】
【
セフィロス 所持品:へんげの杖
最終行動方針:皆殺し】
【現在位置:ナジミの塔を囲む川の北側】
最終更新:2011年07月17日 16:34