「…先ほどの輩。おそらく屋上に行って演説をしていた女性を殺したようじゃな。」
モニカはガタガタと震えていた。
「急ぐぞ。先ほどの男が襲い掛かってこないとも限らないからな。」
「…は、はい。」
「腕っ節の強い輩相手だと我々じゃ太刀打ちできぬ。…運がよかったが次はこうだとは思えん。
ここは島のようじゃ。自由に動ける広いところに移動するぞ。」
ナジミの塔の地下への階段を下りる。
階段の途中で何者かと目が合う。
グレーテは一瞬で判断した。
「逃げよ!モニカ!」
「えっ!」
モニカを通路のほうに突き飛ばす。
階段を爆発が襲う。イオナズンだ。洞窟が崩壊しそうなほど揺れる。
「グレーテ姫!」
「ええい、何をしておる。早く逃げよ!」
階段付近の柱の陰に隠れたグレーテがモニカに逃げるよう促す。
「で、でも!」
「…わらわが一緒にいられるのはここまでのようじゃ。このままいるとおぬしも危険じゃ。あんな呪文食らったらひとたまりもないぞ。」
モニカは頷いてレーベの村方面の通路に走った。
「…よい。それでよいのじゃ…」
モニカを見送ったグレーテ姫は落ち着いていた。
「…別れの挨拶は済んだか?」
「わらわの様な小物にそのような派手なことをしてると息切れするぞ?」
「ご心配なく。私の魔法力は簡単なことでは息切れは起こさないからな。」
相手は誰じゃ?どうやらアリアハン方面の地下通路からイオナズンが放たれたようじゃが…
顔を出す。目の前にメラゾーマの巨大な火炎が彼女を襲う。彼女は再び柱の陰に隠れた。
「やれやれ…派手にやってくれてるようじゃな…」
相手を確認はできた。確か自分の前に出発した
参加者。魔僧・
エビルプリーストだ。
「食らうがよい!」
反撃のために柱から飛び出す。先ほどまでいた柱にエビルプリーストのイオナズンが直撃する。激しい音を立てて柱が崩壊する。
グレーテは
裁きの杖を振りかざし真空の刃をエビルプリーストに襲わせる。狙いは過たないはずだ。
「…やれやれ、あまり効いていないようじゃな。」
「そのとおり。この程度の呪文なぞ痛くも痒くもないわ。」
「じゃがな。当たらないイオナズンより当たるメラのほうが上じゃぞ?」
「ご心配なく。次でとどめをさしてくれようぞ。」
柱から次の柱へ移ろうとしたとき。足に激しく痛みが走った。…しまった。
グレーテは移動をあきらめ柱の影にいることを余儀なくされた。
その柱にイオナズンが直撃する。
柱が崩壊し、爆風がグレーテを襲う。入れ違いに再び真空の刃がエビルプリーストを襲う。思いもよらぬ反撃に彼の手に軽い切り傷を負わせた。
「ふん…死んだか。」
エビルプリーストは埃の舞う中階段へと足を向けた。
「…ははは、わらわはまだ生きておるぞ。この呪文でとどめをさすのではなかったのではなかったのではないか?おぬしの呪文力もたいしたことがないよのう…」
埃の中からグレーテの声が聞こえる。柱の影にいたためダメージを最小限に食いとどめれたのだ。
とはいえ、もう満身創痍。彼女のドレスはボロボロ。腹部には自分の血が染み付いている。裁きの杖を支えにして立っているのがやっとだ。
ふらふらになりながらも次の柱の影に向かう。
埃はまだ舞っている。グレーテはエビルプリーストの影を確認した。おそらく相手も知っているだろう。
(…どうしようかの…)
辺りには塔の内壁の欠片が散乱していた。
自分自身ここまでやれるとは思ってもいなかった。
エビルプリーストは不愉快極まりなかった。
勇者や手練れの戦士、ピサロほどの実力者ならともかくただの人間にここまでに梃子摺っている自分にいらいらしていた。
埃はまだおさまらない。だが相手の影は確認した。次動いたときが貴様の最後だ。
柱の影から影が飛び出す。…終わったな。
イオナズンは狙いを過たずに影を直撃する。何度かの揺れが塔を襲う。
エビルプリーストは確認に向かう。
「…しまった…!」
それはグレーテの等身大ほどの壁の破片であった。自分の失策を再び悔いた。
あの挑発はわざと怒らせるための策略であったことを。
グレーテの姿は気づいたときには岬の洞窟方面の階段方面にあった。信じられないほどに速かった。
エビルプリーストは再びイオナズンを放つ。だが、もう手遅れだった。
グレーテはすばやく階段を駆け上り爆風を避ける。
エビルプリーストは舌打ちをした。追撃はやめた。あの傷では助かるまい。そう思ったのだ。
【グレーテ(瀕死 腹部に怪我 足を負傷 右腕に火傷) 所持品:裁きの杖
第一行動方針:逃げる
基本行動方針:説得重視】
【現在位置:ナジミの塔の地下→岬の洞窟】
【モニカ(パニック状態) 所持品:
ブロードソード
第一行動方針:逃げる】
【現在位置:ナジミの塔の地下→レーベの村】
【エビルプリースト 所持品:
危ない水着
第一行動方針:塔を上る】
【現在位置:ナジミの塔地下】
最終更新:2011年07月18日 07:36