例え1人になっても

柔和な顔立ちの女性が不安気に横に立つ赤い髪を高く結い上げた少女の顔を覗き込んでいる。
小さな少女はがくがくと震え、虚ろな瞳で死亡した仲間の名前を呟きつづけていた。
ハッサン、うそでしょ…」
隣に立つ女性は何も言わずただ、少女を見つめる。
自分も仲間が死亡したときの辛さは嫌というほど知っているからだ。


レナとバーバラはなんとか旅の扉の前まで辿り着いていた。
シーフの能力を使い、敵との遭遇を避けることができたのだ。
しかしバーバラの仲間の一人だというハッサンの死亡報告を聞いた後からずっとこの状態なのだ。

「どうする?行く?」
レナは思いきって声をかけた。
目の前に渦巻く旅の扉。
バーバラはそれを死んだ魚のような瞳で呆然と見つめ、やはりまだ仲間の名前を繰り返していた。
レナはバーバラの頬を軽く何度か叩くと、もう一度問い詰めた。
「ねえ、ここで立っていても仕方がないわ。誰かが来たら私達も殺されてしまうかもしれない。行く?行かない?」
(たとえこの子を置いてでも私は行かなくちゃ…姉さんが生きている限り…)
そんな考えがよぎり自分が嫌になる。
しかし、実際時間がくればたとえ一人になろうとこの扉へ飛び込むことだろう。
そしてきっぱりと言い放つ。
「私は行くわよ。…たとえあなたが行かないと言ったとしても」

そこにきて初めてバーバラは隣に立つ女性の顔を見上げた。
その瞳には強い意志が宿っている。
「あなたの仲間は一人じゃないでしょう?まだ生きている人がのでしょう?
その人達にも会えなくなっていいの?」
そして今度こそしっかりとレナの目を見て口を開いた。
「…行く。あたしも、まだ、諦めない…」
少女は強く頷いた。
「決まりね」
レナはバーバラに手を差し出す。
2人は手を繋ぐと旅の扉へと飛び込んだ。
「姉さん、必ず会いに行くわ…」
「ハッサン…みんな…」
水の渦に飲み込まれ2人の姿はその場から消えていった。


【レナ@シーフ 所持品:メイジマッシャー
 第一行動方針:姉の捜索】
【バーバラ 所持品:果物ナイフ
 第一行動方針:仲間の捜索】
【現在位置:新フィールドへ】


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最終更新:2011年07月17日 00:47
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