ピピンと
エーコは、西の砂漠にある旅の扉へやってきていた。
「……
ジタン達、どこ行ったんだろ」
「とんぬら様や
フローラ様にも会えずじまいかぁ……ああ、やっぱり
ピエールさんと一緒に行けばよかったのかなぁ」
二人は同時に
ため息をつき、また辺りの風景に目をやる。
放送と殆ど同時に
旅の扉を見つけて、かれこれ三十分。
ここで待っていれば、知り合いの一人も来るかもしれない……と、淡い期待を抱いていたのだが。
空は晴天、ここは砂漠。あまりの暑さに、エーコの体力も限界に来ていた。
「もうダメ、我慢できないわ!」
そう言って、旅の扉に入ろうとした時、ピピンが人影を見つけた。
「あ、誰か来るよ! ……金髪の、若い男……何だろう、あの服……格闘家か盗賊かな?」
エーコは足を止める。ピピンが言った特徴は、愛しのジタンとぴったり一致していた。
彼女はおもむろに振り返ると、全速力で走り出した。
「ジタンーーーーーーvv」
「!!??」
立ちすくむ若者に、彼女は思いっきり抱きつく。
「……あれ? ジタンじゃない?」
彼女が人違いに気付いた時には、もう遅い。
若者=ゼルは、あまりに唐突で理解不能な事態に、すっかり固まっていた。
硬直から立ち直り、話を聞いたゼルは、首を横に振った。
「まぁ、だいたいの事情はわかったけどさ……あんたらの言うような連中は、1人も見かけなかったぜ」
がっくりと肩を落とす、エーコとピピン。
……実を言えば、ゼルは1つウソをついていた。
エーコが聞いてきたのは、ジタン、ビビ、
フライヤ、
ガーネット、そして……
サラマンダーのこと。
彼女の言った特徴で、ゼルはすぐにあの赤髪の男のことだと気がついた。
――だが、どうして言うことができよう? サラマンダーを殺したのは、他ならぬ自分達だというのに。
「……それよりさ、俺も人を探してるんだ。友達っつーか、仲間とその親戚だけど」
ゼルは深く追求されないうちに、話題を切り替えることにした。
「眉間に傷のある黒い服をきた男と、水色のワンピースを着た黒髪の女。年齢は俺と同じ位、
名前は
スコールと
リノア。……それと、こんな長い髪の、水色の上着を着たおっさん。名前は
ラグナってんだけど…」
「ちょっと見てないな…すいません」「エーコも知らないよ…ごめんね」
やはりというか何というか、予想通りの答えだった。
「そっか……悪かったな。じゃあ、俺は先に行くぜ」
「気をつけてね……友達、会えるといいね」
エーコの言葉に、胸の奥がちくりと痛む。その痛みを振り払うように、ゼルは旅の扉へと飛び込んだ。
――そして数分後、ピピンとエーコも旅の扉へ入っていった。
【ゼル 所持品:イオの書×3(テラからルート)
第一行動方針:スコール達を探す】
【現在位置:新フィールドへ】
【ピピン 所持品:大鋏
第一行動方針:ジタンを探す、できれば他の仲間にも会う】
【エーコ 所持品:なし
第一行動方針:ジタンを探す、できれば他の仲間にも会う】
【現在位置:新フィールドへ】
最終更新:2011年07月17日 17:36