マージの実験

痛い・・・・・闇の中少女は自分の全身を襲う痛みに悶えていた
特に脇腹と背中が痛い、まるでそこにだけ力が集中しているようだ
と、その時、肉が弾け脇腹と背中から何かがずるりと生えてくる・・・・脇腹からは足が
足といっても人間の足ではない蜘蛛の足だ、さらに背中からは巨大な蝙蝠の翼が覗いている

「あ・・・・あたし・・あたし」
少女は自分の身体の変化に恐怖の喘ぎをもらす
痛みは未だに続いていたが、それよりも身体が熱いまるで溶けてしまいそうだ
見ると自分の両腕が溶けて、鉤爪状のものへと形が変わっていきつつある
さらにその腹も溶けて、蟲としか形容できないおぞましい生物のそれへと姿を変えて行く
そのとき不意に闇が開ける、そこに立っていたのは------自分
おぞましい蟲の身体に自分の顔が乗っているのを見て、少女---リュックは悲鳴をあげた。
そしてまた暗転、おそるおそる瞳を開くと、そこは草原だった。
「あれ?」
リュックは不思議そうに周囲を見渡す、先程のあれは何だったんだろうか?

私・・・たしかあの男に斬られて・・・・・でもなんか大丈夫みたいだし
それに何だかいつもより身体が軽いや
そういえばなんだか嫌な夢を見てたようだけど、思い出せない、なんだろ?まぁいいや
アーロンとはどうやらはぐれてしまったようだ、それにティーダも探さないと
リュックは少しだけ自分の状況を怪しんでみたが、やがてそんなことは忘れて平原の中へと
消えていった。

それを密かに見送る影がある、エビルマージ
彼が下半身をセフィロスに寸断され、虫の息だったリュックを施術によって回復させたのだ
だが、どうして?

彼の長年の研究である、あらゆる魔物の長所を集め究極の魔物を生み出す-----
それは魔王バラモスの骸とアルテマウェポンを基本ベースとすることでほぼ完成の域に近づいていた。
だが、それでも今のところそいつは培養槽の中で蠢く肉塊でしかなかった
あまりにもハイブリッドが進みすぎた結果、肉体の異常進化・増殖を抑制する方法がなかったのである
それさえ解決すれば、精神のコントロール方法についてはすでにある程度の目処がたっているだけに
エビルマージの野望----------ゾーマを玉座から追い落とし、自らが新たなる大魔王として君臨する-------
ことも夢物語ではなくなるのだが・・・・・・・

そう、リュックに施した施術こそ
彼女の身体にそいつの肉体の一部を植えつけた事に他ならなかった。
その繁殖・復元力はわずかな時間で彼女の下半身を完全に復元した事でも充分に窺い知れる
果たしてその行きつく果てはいかなる事になるものか・・・・・・
まさにエビルマージにとってリュックは興味深い実験材料であった。

そして今まさに自分の肉体が少しずつ魔性の物へと変化しつつあることもしらず
リュックは元気に平原を駆けていた。

【リュック(基本身体能力UP 超回復能力あり) 所持品:なし
 第一行動方針:仲間を探す
 基本行動方針:仲間と合流したい】
【現在位置:マランダの街北の平原】


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最終更新:2011年07月18日 08:05
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