眠りこけている
リディアを見ながら、これからどうすべきか
バッツは思案に暮れていた。
彼女が幼児化したことも驚きであったが、今はそれよりも考えるべきことがある。
これからどこに行くか、だ。
さすがに戻るわけにはいかない。
バッツは、躊躇なくリディアに剣を向けた男のことを考えた。
あの男とこの少女は、どうやら知り合いのようだったが――男は、やる気だった。
バッツは彼が恐怖に駆られて狂気に走ったとはなかなか思えなかった。
たしかにあの瞳は普通ではなかったかもしれない。
だが、狂気のそれとはまた違う気がした。
彼は、確固たる理性のうえで行動しているようにみえた。
ただ、少しばかり歪んだ理性のうえで――
もっとも、歪んだ理性の行き着く先など決まってはいるが。
今となっては彼はもう元の道には戻れないように思えた。少なくとも、バッツには。
(いや、もしくは・・・)
バッツはリディアを一瞥すると、すぐにまた視線を戻した。
とりあえず、バッツは次の行く場所を決めるために地図を見た。
「ここから一番近いところは、アルブルクの町・・・かな」
パパスと
アリーナに合流する必要がある。
そのためには、どこか町にいくのが一番いい。
それに、もしかしたら・・・いるかもしれない。大切な仲間が。
ふと、思った。
自分は、彼女らに会ってどうするつもりなんだろう。
思えば、なんの考えもなしにここまできた。
不可能を可能にする、そんな大それたことを考えながら、
その具体的な方法などまったく思いつきもしなかったのだから。
――ゲームを止める・・・本当に、そんなことができるのだろうか。
ゲームから逃げ出すことは、まず無理だろう。
どうもここは、自分たちがいた世界とは別の世界のようであったし、前の舞台も同じであった。
いや、それより・・・
――この舞台は、いったいどうなっているんだろう。
あの
ゾーマとかいう奴が作ったのだろうか。
いや、大陸を作るなど、それこそ不可能だ。消すことはできても、作り出すことはできない・・・。
ならば、いったい・・・
はたとバッツは我に返った。
そんなこと、考えてもしようのないことだった。
どうもさっきから考えていることがどんどん飛躍していくな、
そう苦笑しながら、彼は
クーパーを
呼びかけた。
「次の目的地が決まったぞ。アルブルクの町だ。もうすぐ
雨が降るとゾーマがいっていたからな、
砂漠を抜けて草原からいく。雨の中の砂漠は厳しいからな。」
「うん・・・このこは?」
「そうだな・・・俺がおんぶでもするよ。もしも急に敵が現れたら、
俺は手をすぐには放せなくなるけど・・・。ま、そのときは頼むぜ。」
「う、うん・・・」
クーパーはやや不安げながら、しかししっかりとロングソードを握りしめた。
歩き出した後も、バッツは考えていた。
自分が本当にするべきことを。
なんとかなるではない、具体的ななにかを。
【バッツ@魔法剣士(アビリティ:時魔法、魔力消耗)
所持品:
ブレイブブレイド
第一行動方針:パパス、アリーナ、
アニーとの合流
第二行動方針:レナとファリスを探す
基本行動方針:非好戦的だが、自衛はする
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【クーパー 所持品:
天空の盾、ロングソード
第一行動方針:両親、アニーとの合流】
【リディア(幼児化、睡眠) 所持品:なし
第一行動方針:???】
【現在位置:封魔壁監視所前の砂漠北側→アルブルクの町へ】
最終更新:2011年07月16日 21:15