もうどれくらい雨に打たれているのだろう・・・?
洞窟の中で黒髪の剣士を見失って以来、
セシルはひたすら標的を求め豪雨の中をさまよっていた
地図を見るともう島の西端に近い、いつのまにか島を横断してたらしい
「
夜明けまでにはまだ時間があるな・・・・・」
音を立てないようにそっと林の中を進んでいくと岩山が姿を現す
目を凝らすとそこに男が銃を構えて立っているのが見える
屈強な体格の男だったが、銃を構える姿は正直あまり様になっていなかった
扱いに慣れていないのだろう。
男の背後の洞窟に灯りが見える、どうやら他に何人かいるようだ
セシルの手には道すがら作った弓がある・・・・セシルの腕前なら充分に命中させられる距離だ
しかし、仕留めたのはいいが騒がれてしまっては元も子もない
もう少し手前におびき寄せなければ・・・・・
セシルはがさがさと手もとの草をわざと揺らして音を立てる
何度かそれを繰り返すと、男は恐る恐るながらも林の中へ向かって来る。
がさがさがさ、何か音がする
ホフマンは銃をかまえなおすと、そろそろと音の方向へと足を進める
メルビンたちを起こそうか、と思ったがやめた
皆疲れている・・・・それにこのメンバーの中で1番働いていないのが自分だという
妙な引け目もあった。
「ちょっと様子を見るだけ、大丈夫」
自分に言い聞かせるように呟くとホフマンはそのまま林の中に入っていった。
「おかしいな・・・・」
音の場所は確かこのへんのはず・・そう思いあたりを見まわすホフマンだったが
その時足元に妙な抵抗を感じる
「・・・・?」
ホフマンが足元の糸に気がついた瞬間、その首筋は暗闇から放たれた弓矢によって射抜かれていた
「・・・・っ!・・・っ!」
ホフマンは必死で叫ぼうとするが、首をやられているために声が出ない
視界が血潮で真っ赤に染まる。
それでも、もがきながら仲間の元に戻ろうとするホフマンだったが
その時、暗闇から躍り出たセシルがもがくホフマンの心臓に深々と
ブラッドソードを突き立てた。
(やっぱり・・・・皆起こしておけばよかった・・・)
だが、後悔してももう遅い。
金魚のようにぱくぱくと口を動かしながら、ホフマンは息絶えた。
セシルはホフマンの死を確認すると、その手に握られていた銃を奪い取る
これから先、多対一の戦いが多くなるだろう
正直、剣だけでは心もとない だがこれで何とか戦える
ホフマンの死体を林の奥に隠すと、セシルは改めて地図を見る
「マランダの街か・・・・・」
ここからなら夜明けまでに充分たどりつける、それに近辺にめぼしい拠点も見当たらない以上
扉もおそらくここに出現するだろう、向かって損は無い
ここで戦うよりも先を急ぐべきだ、そう判断したセシルは洞窟の中にいるであろう
参加者を
捨て置き、南へと走り去った。
【ホフマン 死亡】
【残り 67人】
最終更新:2011年07月18日 01:11