スコールとリノアが逃走してから暫くの間、
ザックスは床に寝そべって天井を見ていた。
よく見ると天井や壁の岩肌はぼんやりと光っている。
暗いことに変わりはないが、視界がある程度保てるのはそのおかげだろう。
「…とまぁ、そんなことを今になって気付いている、ワケ、だが」
ザックスは独り言を呟いてから、ひょいと身を起こした。
激しくやるせない気分で一杯なのだが、何時までもここで腐っているわけにもいかない。
生きるためにやるべきことを済ませておくのが一級のソルジャーというものだ。
バスタードソードを拾い上げると、背中に収めると。
「さて、と。洞窟内の探索をさくっとやっちゃいますか」
ザックスは洞窟の奥へと歩き出した。
またまた暫くして。
あまりの人の気配のなさにザックスは溜息をついた。
洞窟に女の子と二人きりならいい。女の子が可愛かったらむしろ万々歳だ。
なのに現実は女の子どころか人っ子一人いないのである。
「なんか寂しくなってきた。何やってんだ俺は」
そう言えば、ここに来てから女の子と何人か出会ったが、
一番最初のフィールドで最初に会った子は相手持ち。
その次は黒尽くめの騎士に襲われている最中に出会って、うち一人はドラゴンに変身した。
ここで出会ったあの子は彼氏持ちの上、その彼氏はゲームに乗っている。
「何つーか…幾ら頑張っても、ステキな出会いなんてありえない気がしてきたなぁ、おい!」
誰に言うともなく声を張り上げる。声は洞窟内に響いて、すぐに消えた。
激しく虚しくなり、ザックスは壁にもたれかかって座り込もうとして…
「ワン!!」
「だひゃぁ!!」
声を上げてから思った、前にもこんな事あったなぁ、と。
視線を向けると、尻尾を盛んにふる犬がいる。見たことがある。
「お前、前の
旅の扉のトコにいた…」
わん、と小さく吼える。そうだと言いたいらしい、頭のよい犬だ。
「って、ことはだ」
立ち上がり、耳を澄ます。微かな足音。それが段々と近付いてくる。
そして、闇の中からその男は現れた。
「久しいな。以前は面と向かわなかったが」
「ああ。なんつーか妙なめぐり合わせがあるようだな、おっさんとは」
こうして、
パパスはザックスとあっさり出会うことができた。
パパスの足元で、功労者の
トーマスがくるくる回る。パパスはトーマスの頭を撫でて功を労った。
それから、パパスとザックスは簡単に情報交換を行った。
以前のステージで一瞬だけ双子とであったが、不可思議なトラブルが発生してすぐに別れてしまったこと。
「その、
バッツって奴は一緒にいたな。後二人ほど女の子がいたけど」
「母親ではないだろうな。その時点ではまだ親と再会できていなかったか」
攻撃を仕掛けてきたスコールを素手で叩きのめしたこと。
「暫くは悪さできぬようにしておいた。外ならとにかく、洞窟内にいれば命に別状はあるまい」
「…どっかイカレてるとは思ってたけど、おっさんに襲い掛かるとは本気でトんでる奴だったんだな」
などなど。一通り話を終えるとパパスは一つうなずく。
「そうか、人の気配はないか…ならば、今日の探索はこれまでにしておくか」
「ああ、そうしときなよ。虚しいだけだ」
「君も少し休んでおいたほうがいい。もうじき、日が暮れる。そうなれば、ここも煩くなるやもしれん」
「?…なんで?」
「夜になれば外の気温は急激に下がる。下手に出歩くと凍死するほどにな。
だから、日が落ちるまでに雨風の防げる場所を確保しようとするだろう」
「なるほどね、洞窟内にいれば少なくとも凍死する
可能性は減るもんな。
そっか、じゃあ俺も休むか」
ザックスはあらためて座りなおすと、目を閉じた。数秒数えるころには規則的な吐息が聞こえてくる。
(この青年、何かの訓練を受けているな…暗殺者、ではないと思うが)
パパスはザックスのいる位置から少し離れた程よい場所を見つけると、そこに座り込む。
すぐ側に控えるトーマスに、何かあったら知らせてくれというと、パパスも休息を取ることにした。
【ザックス 所持品:
バスターソード
第一行動方針:体力回復
第二行動方針:エアリス・ティファの捜索
基本行動方針:非好戦的、女性に優しく。】
【トーマス 所持品:
薬草×10 鉄の爪 手紙 碁石(20個くらい)
第一行動方針:パパスについていこうと思っている
基本行動方針:生き残る
最終行動方針:トム爺さんの息子に一言伝える】
【パパス 所持品:
アイスブランド
第一行動方針:体力回復
第二行動方針:バッツと双子を捜す。
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【現在位置:ロンダルキアの洞窟3F(休憩中)】
※三者とも寝ています。誰かが近寄ってくるだけで起きますが、
何もなければ、朝まで起きません。
最終更新:2011年07月17日 16:21