地下道の中で男と女が向かい合って座っている。
男はランプをかざし、女の顔を照らしているように見える、女はランプの光を追うように
顔を動かしている。
と、そこで男はランプを消した。
「わかるわ、今、ランプが消えた」
アリーナの声に
カインは満足げに頷く。
「光の明暗を感じることが出来るのなら、網膜や視神経は大丈夫だ、運がよかったな」
そういって、カインはアリーナの片目に薬草を貼りつけ、眼帯を巻きつける。
「医術か白魔法に長けた者なら、お前の目を治すことができるかもしれん」
ちなみに
クラウドはそんな2人の傍らで寝息を立てている、先ほどの狂乱が嘘のようだ。
「さて、そろそろ時間だな」
カインは立ちあがると、そのまま地下道の先へと進もうとする。
「ちょっと、どこへいくのよ」
「放送を聞きに行くだけだ、すぐ戻る」
「だからって!…あなたも血がいっぱい出て大変だったのに」
「動けるのが俺しかいないのだから、仕方ないだろう、それに鍛えてある、大丈夫だ」
確かに今動けるのはカインだけだ、彼が行く以外、選択肢は存在しないのだ。
「
エッジのことなら気に病む必要はない、アイツがくたばるはずがない」
確かにエッジは、疑うことを知らない、がさつでいいかげんな男だが、
しぶとさでは仲間の中で1番だとカインは思っていた。
たとえ
セフィロス相手でも、何とかやりぬけられるはず。
もしアイツがやられるとしたら…。
カインは脳裏に1人の男の姿を思い浮かべる、それは親友にして倒すべき敵の姿。
が、カインは頭を振って、男の幻影を追い払う、それは今考えるべきことではない、
「放送を聞いたらすぐに戻る」
エッジ手書きの地下道マップをアリーナから受け取ると、
ふらつく足取りでカインは地下道の闇へと消えていった、ちなみに彼は知らなかったが、
もうすでに放送は終了していた。
眠りつづけるクラウドと2人、地下道に残されたアリーナ、といきなり眼前の風景が
まるで月夜のように明るくなる。
「?」
アリーナはいぶかしげに天井を見上げて息を呑む、天井はまるで星空だった。
光苔の一種が自生しているのだろう。
そんな中、眠りつづけるクラウドの寝顔を眺めながら、アリーナはある風景を頭の中で思い描く。
満天の星空の下、お互いの姿を求め、さまよう恋人たち、やがて彼らはそれぞれの相手とめぐり合い、
光り輝く街の中へと消えていく。
残っているのは自分1人だけ…不安げに周囲を見まわすアリーナ、と、そこに息を弾ませて、
金髪の青年、そう、クラウドが駆けこんでくる、信じられないような、まるで夢が叶ったような表情でアリーナは
クラウドの胸の中に飛びこもうとするアリーナ、だがクラウドは彼女を無視して、
いつの間にか彼女の背後に立っていた黒髪の少女、テイファを抱きしめる。
大きな胸をより一層誇らしげに揺らしながら、その少女は自分へと勝ち誇るようなように唇を薄く歪め
アリーナの前から消えていく。
後に残されたのは、冷たい地面に接吻したままの自分だけ…そこで妄想は終わりを告げた。
膝をかかえ、呆然と天井を眺めるアリーナ、妄想の中ですら絶望的な恋…どうすればいいのか。
「泣いてばかりだな…あたし」
涙で揺れた瞳に入る天井のきらめきは、うるさいくらいにまぶしくってたまらない。
そんな満天の星空の下、クラウドの胸の中に抱かれ、
どんな顔で「キレイね」と
ティファは言うのだろう?
そしてどんな顔でクラウドは「そうだな」と答えるのだろうか?
行動を共にしたのはほんのわずかな時間だけど、アリーナはティファに友情を感じていたし
それを考えると、自分は本当に恥知らず以外の何者でもない。
こんな愚かなことで悩む自分が本当に悔しくてならなかった。
しかしそれよりも2人がとてもお似合いだということが、もっと悔しくてならなかった。
「先に出会ったのが私なら…絶対負けない自信はあるのに…でも」
そこでアリーナは無理に微笑みを浮かべ、クラウドの唇を指で辿る。
「唇は多分私の方が先…」
【カイン 所持品:
ビーナスゴスペル&
マテリア(回復) 天空の兜
第一行動方針:地上に出て放送を確認
第二行動方針:
セシルを止める
基本行動方針:戦闘は避けたいが、自衛なら戦う】
【現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
(セフィロスへの苦手意識あり)
(体力は幾分回復、かなり無理すれば戦闘可能)
【アリーナ(重傷、無論戦闘不能・片目失明)
所持品:イオの書×3
リフレクトリング ピンクのレオタード
第一行動方針:?
第二行動方針:ソロを止める(倒してでも)
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【クラウド(睡眠中、重傷、戦闘不能、ただし錯乱状態からは回復)
所持品:
ガンブレード
第一行動方針:
エアリスorティファを探す
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明】
【現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
最終更新:2011年07月17日 15:59