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怒鳴る

「コレじゃ結局俺がただのマヌケじゃないか…くそっ、ハーゴンのおっさんに笑われるぜ」
デッシュは呑気にぼやきながら。スクラップの山を後にした。

結局、収穫は完全にゼロだった。
鍵文字…つまりは、鍵となる呪印。ソレがデッシュの出した結論だった。
簡単に言えば、パスワードだ。管理のために首輪を制御するパスワード。違うのは、ワードを探すのではなく“ねじ込む”という一点だ。
複数のセキュリティの内何か1つでもを解いたとたん爆発してしまうと言う仕組みなら、セキュリティの全ては関連づけられているはずだ。
魔法ならば呪印。機械制御なら、多分“ぷろぐらむ”と言う言語を鍵文字に関連付けられている。
あとは、その鍵文字を書き変えてしまえばいい。例えば、1つセキュリティを解除したら、他のも同時に無効化する、と言うように。

そこまでは分かった。だが、そこまでだ。魔法的な、もしくは機械的な検索装置を作って鍵文字を探そうとしたのだが。
「スクラップが古くさすぎるんだよなぁ…ったく」
そう、材料が足りない。文化があまりに違いすぎ、手も足も出ない。
結局は…ハーゴンにもう一度相談するしかないのだった。

そして、神殿の一室、スクラップの部屋の出てからしばらくして。
二つの死体と、二人の半死人を見つけた。

最初に見つけたのは、炭人形だった。
顔も服装も、男か女かさえ判別出来ない炭の塊。
デッシュは眉をしかめ…結局ソレは無視した。
恐らくは、導師辺りがやったのだろう。身を守るためならしょうがあるまい。

しかししばらく歩いてから見つけた1つと2人を見たときには、そうは思えなかった。
何しろ死んでいるのが当の導師本人で、見知らぬ男2人がそこに座っていたので。

「…誰?」
「こっちこそ聞きたいな。コレは…どういう事だよっ!」
2人の内の1人…クーパーに問いかけられて、デッシュは叫んだ。
同時に動こうとしたバッツをけん制するように、右腕を2人に向ける。
「動くなよ…俺の魔法ならお前ら2人を一瞬で消し炭に出来るぜ?」
デッシュは堂々と大嘘を付く。だが、こうでもしなければ斬り殺される。コイツラは半死人だが、強い。自分は、弱い。
「説明してもらおうか?コレは誰がやったんだ?」
「…俺だよ。そこに転がってるのは両方俺だ。奥にいた爺さんは勝手に死んだよ」
デッシュの脅しに屈したか、元々隠す気もないのか…後者の理由で、バッツは答えた。
正確には、ジタンはクーパーが殺し、導師にトドメを刺したのはカインだが、きっかけは全てバッツの行動に、ある。
「てめぇ…!何で!」
「誤解だよ。俺のせいで、誤解が始まったんだ」
激怒するデッシュに対してバッツは淡々と…言葉の裏に後悔を詰めて、言った。
「殺し合った結果がコレだよ。因果応報だな」
「誤解ってのは…何だ?何なんだ?」
デッシュが問う。戸惑いながら問う。コイツが導師を殺したって?くそ、もう少し凶悪な奴だったら…
…凶悪な奴だったら、怒りをぶつけられるのに。
「俺が誤解でエリアを殺した。だから、ソイツが俺を殺そうとした」
何でコイツはこんなに落ち着いて、こんなに後悔しているんだ?

バッツと、それを補足する形でクーパーが『誤解』の内容を語る。
デッシュはソレを聞いていた。黙って、聞いていた。
なまじ力が在れば、話も聞かずに2人を殺していただろう。だが、デッシュに力はない。
だから聞いて、聞き終わってから…泣いた。

「何だよそれ…出来すぎじゃねぇか!笑い話じゃないんだぞ?!」
デッシュが怒鳴る。信じたくない。バッツとクーパーの言葉が真実だなんて。
だが、本当だとしたら。誰を憎めばいい?
エリアか?バッツか?クーパーか?導師か?ハーゴンか?それとも…ゾーマか?
「出来すぎだと思うよ。でも嘘は言ってないつもりだ」
「ふざけるなッ!んな事が本当でたまるかよッ!」
怒鳴り、憎しみの方向を固定する。バッツに向けて。ココにいるのはコイツラだけだ。

「止めろぉっ!」

クーパーの叫びが、バッツに殴りかかろうとしたデッシュの身体を押しとどめる。
クーパーが立ち上がる。痛む身体を引きずって。
「バッツ兄ちゃんの言った事は本当だよ…僕のせいだよ。バッツ兄ちゃんのせいだよ。エリアの、アイツラの…」
クーパーの声は段々掠れて、聞き取りにくくなって…聞こえなくなる言葉の代わりに、きっとデッシュを睨め付ける。

「でも、僕もバッツ兄ちゃんもまだ死ねない。死んでたまるもんか。だから…」

クーパーが珊瑚の剣を構える。震える両手で。

「僕が相手になってやる…こんなのイヤだけど…相手になってやる!」

クーパーの気迫にデッシュが気圧される。
バッツが呆然とクーパーを見る。
そんな状態が数分間続いて…デッシュから、動いた。ただし、攻撃にではなく。
「殺したくて殺したんじゃない…んだな。お前らは…」
「「当たり前だ」よ」
2人が同時に言う。ソレと一緒に、デッシュが肩を下ろした。
分かってしまった気がする。憎むべき相手はココにはいないと思った。
何を憎めばいいか、結局分からない。恐らくは、運命だろう、憎むべきは。

デッシュは導師の遺体を抱き上げた。埋葬しなければ。
「…そこの部屋に、爺さんが言ってた呪術の道具がある」
「そうか」
デッシュは落ち着いた声でそう言って、ハーゴンの部屋へ入っていく。

デッシュは、ハーゴンの呪術用具一式を纏め、出ていく。
バッツは彼に導師の持っていた裁きの杖を放ってやり、言った。
「その子に謝っておいてくれ」
「……謝るくらいじゃ許しゃしない」
「分かってる。いずれ報いは受けるさ」

バッツ達を許した訳じゃない。だが、信用はした。
少なくとも、敵じゃないとは思った。

「クーパー…」
バッツがクーパーに問いかけた。何を?何かを。
「バッツ兄ちゃん。僕、怪我を治してる間、ずっと…自分で考えてみた。
 僕、今は、バッツ兄ちゃんを信じるから、だから…さっきは、ごめん」
何故か分からないけど、さっきまでバッツがどこか傷ついているのが分かった。
考えたらすぐに思い当たった。「お父さんなら」…クーパーはあの時言った。だから、信用されてないと思ってしまったのかも知れない。
ソレは悲しい事だ。そんな事で喧嘩なんかしたくない。誤解なんかしたくない。だから、謝った。
言い出すタイミングがつかめなかったけど、今なら言えた。彼の、デッシュのおかげだ。
「いや、ありがとう。信じて、くれてさ…」
バッツとクーパーが、お互いに笑顔を向けた。仲直りの、印。
2人は再び怪我の治療を始めた。

【バッツ@魔法剣士(アビリティ:白魔法)(重傷)
 所持品:ブレイブブレイド グレネード五個
 第一行動方針:傷の手当て
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬらパパスを捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【クーパー(後遺症あり) 所持品:珊瑚の剣 天空の盾 天空の兜
 第一行動方針:傷の手当て
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
(2時間ほど傷の治療に専念すれば、動けるようにはなります)
【現在位置:ハーゴンの自室の前】

【デッシュ 所持品:首輪 裁きの杖 ハーゴンの呪術用具一式
 第一行動方針:導師の埋葬
 第二行動方針:首輪を調べる
 第三行動方針:エドガーに会う
 最終行動方針:首輪の解除】
【現在位置:ハーゴンの神殿の外へ】


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最終更新:2011年07月16日 21:44
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