ビルからの脱出

<<神羅ビル60階>>

「あ、ここのドアは大丈夫みたいッスよ」
ティーダは後ろから階段を下りてくるエアリスにそう言うと、
ドアの横に据え付けられたコンピューター・パネルの黒い半透明の薄いプラスチック板に蓋をされたスイッチを押した。
するとパネルは軽い電子音の後に、ソコについていたランプがにい光を灯した。
すると自動ドアは正面に立っていたティーダを感知し、軽い駆動音と共にそのドアを開いた。
「よかった。このままビルの中に閉じ込められる事にならなくて」
エアリスは軽く安堵の表情を浮かべていた。

神羅社。
この世界を支える唯一無二の大企業。
その中枢にあたるこの新羅ビルには最先端の技術が使われている。
その一つがカードキーを用いた鍵の開錠システム。
この森羅ビルの60階から上の扉は全てこのシステムによって支配されているのだ。
ただ、防災上の事情からか、『機能的に内側』にあたる部分にこういった
コンピューター・パネルが付けられていたのだ。
社長室を荒らしまわってもカードキーを見つけられなかったティーダ達三人は
その機能を使ってこの階段部屋まで来たのだ。
もちろん、他の各階の扉には付いていなかったため入れなかったのだが。

「あとはこのエレベーターで下の階にいけるわ」
エアリスはそう言うとエレベーターのスイッチを押した。
エレベーターは69階に止まっていたのか、程なくしてベルの音を鳴らし、
両開きの扉を開いた。
「キャッ」
モニカはその扉の向こうの景色に軽い悲鳴を上げた。
「高所恐怖症ッスか?」
ティーダはそのガラス張りのエレベーターから見える景色を見てモニカに言った。
「いえ…。ただこんな高い所に来た事なんて無かったものですから…」
「大丈夫よ。落ちたりしないから」
エアリスはモニカを安心させる為、軽く笑って見せたが…。
(なかなかいい性格みたいね)
モニカの瞳が未知の文化に対する期待に輝いているのを見て、エアリスは彼女の評価を改めた。
「とりあえず一つ下の階にいこ。流石に直接一階に行くのは無用心だし」
急に下降を始めたエレベーターに、モニカは楽しそうな悲鳴をあげた。


<<神羅ビル59階>>

「ここからは外の非常階段を使おうと思ってたけど…」
緑の電灯の灯る扉を開けたエアリスはソコを使うという考えを改めようと思った。
もちろんこの非常階段が使えないという理由ではないのだが、
それでも選択肢から外さなくてはいけない理由があった。

しっかりしているが簡素な作りの鉄製の階段は慎重に踏んでもある程度音を出してしまう
し、地表までずっと身を隠す壁も無いため誰かに発見される可能性も、襲われる可能性も高い。
そしてなにより―――
夜からずっと歩き詰めだったため正直疲れていたのだ。

「こっちから行くよりエレベーターを使った方が危険度は低いと思うんだけど、
 なにか意義のある人は…」
ティーダとモニカはそろって首を横に振った。
「それじゃあ、決定ね♪」
そして三人はエレベーターに乗り、1と書かれたボタンを押した。

【ティーダ 所持品:いかづちの杖 参加者リスト 吹雪の剣
 第一行動方針:ビルを降りてエアリスの家へ
 第二行動方針:アーロンを探す
 最終行動方針:何らかの方法でサバイバルを中止、ゾーマを倒す】
【モニカ 所持品:エドガーのメモ(ボロ)
 第一行動方針:ビルを降りてエアリスの家へ
 第二行動方針:アーロンを探す
 最終行動方針:ゲームから抜ける】
【エアリス 所持品:癒しの杖 エドガーのメモ マジャスティスのメモ
 第一行動方針:ビルを降りてエアリスの家へ
 第二行動方針:アーロン、クラウドを探す
 最終行動方針:このゲームから抜ける】
【現在位置:神羅ビル・59階(エレベーター)】


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最終更新:2011年07月17日 15:10
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