「むむむ……」
列車墓場に到着した
オルテガだったが、彼はまだそこにいた。
移動したいとは思っているのだが、入り組んで迷路のようになったそこから、なかなか抜け出す事ができない。
瓦礫が散らばって足場が不安定であるため、チョコボを頼るわけにもいかなかったし、
そもそも土地勘もないからどちらに行っていいかもわからないのだ。
「やれやれ、まいった」
顔を撫でる。生身の顔。もしも……もしも、あの状態ならば。
こんな所など強引に突っ切れるだろうに。そんな誘惑が絶え間なく襲う。
それでも我慢できたのは、あの覆面の反作用の大きさを憂いたからだ。
「それでも、最悪使わねばならんだろうが」
「クエ~」
チョコボが何と言ったのかはわからない。さっさと使えといったのか、その逆か。
結局わからないので、オルテガは気にしない事にした。
もう少し、歩き回ってみよう。何か見落としがあるかもしれない。
外は、もう夜に差し掛かっていた。
最終更新:2011年07月17日 21:23