エドガーの演説を聞いて、
オルテガは深く感じ入ったようだった。
ゾーマという巨悪の前にそれでも立ち向かい、実行に移した彼らの知恵と勇気に。
自分とて、ゾーマを許せぬという思いはある。打倒せねばとは考えていた。
しかし現実は、方法が思いつかず覆面一つに右往左往して時間を無為にしてしまったのだ。
なんて無様。今も、こんな場所から抜け出せぬ。これでは勇者など勤まらない。
けれど――――その不始末を償う機会が、与えられた。
一刻も早く、ゾーマの城に行かなくては。
オルテガは手に持ったソレを睨みつける。
これをつければ、解決するかも知れない。しかし、元に戻れるか。
ただ荒くれる開放感と戻った後のリバウンドに、耐えられるのか。耐えられる……訳がないのだ。
それでも、オルテガはソレを持ち上げた。
怖れぬもの、引き下がらぬものを勇者というのなら。
――――オルテガは、間違いなく、勇者だった……
「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
響きわたる雄叫び。フヌッ、と隣にいるチョコボを見る。チョコボはビクっとする。
ウホッ、とチョコボを肩に乗せると、そのまま大ジャンプ。列車の天井に着地。
飛び乗ってきた大男とチョコボの重量で列車の天井は抜けかける。抜ける前に別の列車の天井に飛び移る。
後はその繰り返し。人知を超えた、というか、まあそんな方法で、オルテガは列車墓場を抜けた。
チョコボを降ろしてその背に乗る。クエ、とチョコボは応じると、
上を目指して駆け出した。
――――それから暫くして。
とんぬら、バッツ、
アーロン、クーパー、アニー、
リディア、
エーコ、そして
アイラの八人は、七番街スラムの駅にきていた。
話し合いの後、とにかく上に行ってみようということになり、移動を始めたからだ。
バッツの薬を飲み、しばらく安静にしていたおかげでアーロンは復調している。
しかし、アイラは
ゾンビ状態のままだった。
エドガーの放送後、まだ眠っていたクーパーを起こして解呪を依頼したのだが、
「この指輪、そんな呪いなんて掛かってないよ?」と、事なげに引き抜いてしまった。
呪いの掛かった武器を装備すると解呪するまで外せない、という現象は確かにある。
ライアンや
ルーキーたちの世界ではそちらの方が一般的だったし、
とんぬらは呪いについて左程詳しくないので二人の言う事を鵜呑みにしていた。
しかし、呪いの指輪はその類いではない。普通に抜けるのである。
唖然とする父親に、インパスでちゃんと調べなきゃ、とクーパーは得意げに言い、
胸をそらす息子に、とんぬらは苦笑したのだが、それは閑話休題。
ゾンビ状態から復帰したアイラだったが、それだけで体力を使い果たしてしまった。
回復呪文をかけてもらったが、多少楽になった程度で戦闘に挑めるほどではない。
状況と、片腕になってしまった自分の体調、ゾンビ化している自分の行動。
それらを知ったアイラはゾンビ状態になってとんぬらに従うべきだと判断した。
正気ではとんぬらを見ていられないとか、そういう感情もあったがそれも閑話休題。
駅についた彼らは線路を辿って上に行くことにした。
その途中、バッツは地面に見慣れた足跡があることに気付く。
「これ、チョコボか……?」
その足跡は自分たちが来た方向とは別の場所から来て、自分たちと同じように線路を辿ってどこかに向かっている。
足跡は真新しく、つい先ほど出来たもののようだった。つまり……
「俺たち以外の誰かが、上に向かった、ということか?」
【とんぬら 所持品:
さざなみの剣
第一行動方針:ゾーマの城へ、子供たちを守る
第二行動方針:
パパスとの合流】
【アニー 所持品:
マインゴーシュ
基本行動方針:とんぬらについていく】
【エーコ&モーグリ 所持品:なし
第一行動方針:ゾーマの城へ】
【アーロン 所持品:折れた鋼の剣
第一行動方針:ゾーマの城へ
第二行動方針:仲間を探す】
【バッツ@薬師(アビリティ:白魔法)
所持品:
ブレイブブレイド グレネード五個 レナのペンダント
第一行動方針:パパスを捜す
基本行動方針:クーパー達と共に行動する
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【リディア(魔法使用不可) 所持品:なし
第一行動方針:ゾーマの城へ、仲間を捜す?】
【クーパー 所持品:
珊瑚の剣 天空の盾 天空の兜
第一行動方針:とんぬらについていく
第二行動方針:パパスを捜す
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【アイラ(ゾンビ・左腕欠損、処置済み) 所持品:チェス板、駒
死者の指輪 ダイヤソード
第一行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらを探してついていく。死者の指輪が外れたら???】
【現在位置:七番街スラムの駅】
最終更新:2011年07月17日 21:23