平行世界

「世界には無限の可能性が存在する。故に、無限に近い異世界が存在する」
「……はあ?」
奇妙なことを言い出したゼニスに、デッシュは首をかしげた。
「可能性の分岐じゃよ。例えばサイコロを一度だけ振ったとしたら、どんな結果になるかね?」
「1から6の内、どれか一つだろ」
「うむ。では、その内もっとも出易い目は?」
「そんなもんがあるか。全部1/6だよ。どれが出てもおかしくない」

ゼニスは頷く。
「その通り。1が出る未来、2が出る未来、3が出る未来……どれがあってもおかしくない。
 それが可能性による分岐だ」
「おいおい、そんなのは詭弁だろ。幾ら可能性があっても選ばれる未来は一つなんだぜ」
「それは我等が時に縛られているからだな。可能性が複数あるなら、未来も同じだけしてもいい。
 ただ、我等は一つの未来しか見ることが出来ない」
デッシュは肩を竦めた。これ以上話しても平行線だと思ったからだ。
「……OK、その理屈は納得しよう。で、それがなんだってんだ?」

「幾つもの世界があって、そこにはそれぞれの人々が住んでいる。
 海も大地の形も違う場所で、それぞれの文化と歴史を築いて生きている。
 それを、寂しいと思う者がいた」
「……元は同じなのに、隣り合ってたのに、別々になってしまったから?」
リディアの言葉にゼニスは頷く。
「だから、願った。それぞれの世界の人たちの触れ合いを見たいと。
 そこにはきっと友情や愛情が出来て、一つの理想世界が現われるんじゃないかと夢想した」


「そんなこと、できるわけがない」
デッシュの呟きにゼニスは苦笑する。
「そう、できるわけがなかった。完全に異なる世界になってしまったが故、
 一つになればどうしても矛盾を内包してしまう。その矛盾により自壊する。
 それが理想世界の終焉じゃよ。そんなことが……何度も、何度も繰り返された」
「それは、今も?」
「きっと、続くのであろうな。これからも、ずっと。
 何かを為そうとする者は須く諦めが悪い。失敗に挫けることがない」
ゼニスは溜息をつく。

「故に、その強固な執念は闇に呑まれたのだ」


【デッシュ 所持品:アサシンダガー 加速装置 裁きの杖 首輪×5】
【リディア(魔法使用不可) 所持品:なし】
【ゼニス 所持品:アンブレラ 羽帽子?
 行動方針:待機、ゼニスの話を聞く】
※チョコボがいます


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最終更新:2011年07月14日 23:13
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