第13章 ゾビートラップの脅威
「相次ぐ被害に警察も対応を急がれています。」連日のように報道されている一つの事件があった。その性質上、表沙汰になったのは最近だが調べなおしてみるともっと前からいくつか起こっていたことも判明。ある一人の女性に関わったものが次から次へとこの世から消えてしまったかのように行方不明となっているのだ。AZAもゾビッポン絡みと疑って捜査を進めていたが、相手は一向に証拠を掴ませない。捜査は難航していた。

ゾビッポン帝国では赤いゾビッポンがゾビリーダに訪ねている「さっき大量の人間が気力を失って倒れているのをあちらで見かけた。一体あれはなんだ?」
ゾビリーダが答える「そうか、お前は知らなかったな。我々は始めから送りこんでいたのだ…人間界に潜むゾビッポンを!」

AZAも黙ってはおらず、ついに一つの思い切った作戦に乗り出した。すしが駅の改札を抜けてしばし探すと一人の緑髪の女性に声をかけた。「もしかしてあなたがアルラさん?」
そう、すしが正体を隠して自ら問題の存在に接触する作戦である。「ひゃぁ…!!ははははいっ!!!わたたた私がアルラですっ!こここ寿さんですねっ?今日はよろしくお願いしますっ!」
会話をする中ですしは(噂に聞いていた性格とはだいぶ違う・・・相手によって演じ分けているのか?)と勘づいていた。一方相手、アルラを名乗る少女もあがり気味を演じながら(ふーん、なんか怪しいと思ったらこいつAZAのメンバーね。上手く気づいてないふりしてこいつもゾビッポンにしちゃうんだからっ)
見抜かれる可能性も考え、ゆびと桃ぽよが変装した上で追跡していた。ゆびが言う「なんかあいつ普通に楽しんでないか?」桃ぽよも同調して「このまま裏切ったりしそう」と続ける。

その頃デビとミキはアルラがよく訪れているという通りに来ていた。「普通の人には分からないかもしれないけど・・・ここには何か不穏な気が満ちている!」ミキが言った。デビも超能力によってその気が集まるところを探知「あっちの路地裏だ!」二人は路地裏に急行した。
路地裏には何もなかったかに見えたが龍の力と超能力によってその裏が暴かれ巨大な穴が出現した。その奥にはゾビッポン帝国と思しき景色が見える。「なるほどね!アルラはここに人を連れ込んで帝国に送っていたのか!」
すると声が聞こえた「ご名答。君たちなら突き止めるだろうと思って待っていたよ。実験に付き合ってもらいたい。」そこに現れたのは人間だった。その顔を見た二人は思わず叫ぶ。「あなたはまさか・・・!?」

ほぼ同時にすしたちもその通りに着いていた。例の路地裏に連れ込まれる前にそこでは戦いが勃発していた。2VS2のバトルが繰り広げられている。すしゆび桃ぽよもその敵の後ろで指揮している人間を見て口を揃えた。「クムト・デュー!?」

クムト・デュー、かつてゾビッポン研究の第一人者として名を挙げた。ライバルとしていた一人の研究者と競い合うようにゾビッポンの研究を重ねて多くの成果を残していた。しかし、ゾービの悲劇の少し前に突然ライバルと共に姿を消した。
そのクムトがなぜデビやミキと戦っているのか。

アルラが口を開く「クムト!なぜここにいるの?そしてそいつは誰!?」アルラはクムトが使役しているもう一人の人間を指さした。機械パーツがいくつか見え、ただの人間ではなさそうだ。
クムトは冷たい口調で「フッ…まだゾビッポンの手の者にバレるわけにはいかなかったが、しょうがない」クムトがボタンを押すとアルラの様子がおかしくなった。莫大なエネルギーが注ぎ込まれている。「君は知らないかも知れないが、ゾビッポンに過ぎなかった君に人間への擬態能力を与えたのは私だ。そしてその時に私はもう一つの機能を仕込んでおいた。」

あたりが光に包まれ、その光が引いたとき目の前には異形の怪物がいた。「行け!ニャルラトゾビポ!」怪物は本能のままに辺りの地形を壊し始めた。クムトはもう一人を連れ離脱。
桃ぽよが地形編集で辺りの建物を元に戻しながら「あいつの弱点が見えない!」すしはユニットを呼び出すと「ぶん殴って確かめてやるぞー!!」

刺身型のユニットが宙を舞い、攻撃を重ねるが通用している気配がない。他の攻撃も効いていないようだ。

ミキが言う「こいつには何も通用しないのか!?」ゆびも「こいつにダメージを与える未来は見えない!」戦況は絶望的だった。
そこに颯爽と隊長Kが現れて杖からビームを放つ。このビームだけは通用しているようだった。隊長Kは言った「まさかあいつら・・・NZ計画まで完成させていたというのか!?」

すし「NZ計画!?それは一体?」K「話は後だ、今こいつを止められるのは自分しかいない!他のメンバーは避難誘導をしてくれ!」
Kは一人で異形の怪物に挑む。攻撃をかわしながらビームをさらに照射。「こいつ…まだ未完成みたいだな!!それなら一気に決める!ウェーブビームブラスト!」
極太ビームの連射を前に異形の怪物は沈んでいき、再び少女の姿に戻る。「くっ・・・今の力はなんだったの…」
そこにクムトが再び例の機械人間をつれて現れた「NK。こいつを始末しろ。」無言でうなづいたNKと呼ばれる存在は鉛筆を取り出してイガの生えた球体を描いた。すると、その球体は実体化。空高く放り投げる。
軌道は山なりだが、弱ったアルラには回避できない。追い打ちをかけるようにNKは墓の絵を描いた。「R.I.P. アルラ」と書かれている。実体化した巨大な墓に潰されたアルラはそのまま消滅。

そこに他のメンバーが戻ってくる。ゆびが「避難誘導完了!」と報告。デビが「一体何があったんですか!?」Kに尋ねる。Kの代わりにクムトが答えた。「使えない上に秘密を知られたからね。始末しただけだ。そんなことよりもっと面白いことを教えてやる。」

「まさかクムト…!」Kが止めようとするが、もう遅い。「あんたらの隊長をしているそいつ。Kを名乗っているようだが、その正体はぁ…!」

全員がハッとしたその時答えが告げられた。「かつての我がライバル、きねだあああああああああああ!フハハハハハ!!!」

〜13章完〜

次回予告! 「どこかで見たと思ったら…」「なんで人とゾビッポンが戦わなくちゃいけないんだ!」「未来ある命のためには…やむを得ない!」 次回!「紐解かれるベール
最終更新:2021年07月24日 09:54