第8章 開く異次元、現る五人目

ゾビッポン帝国では、ゾビマジーラがゾビホウに報告していた。「あの異次元ゲートをさらに広げてみました。まだ次元を移動するほどではないですが、異次元の構成は分かってきました。」「ほう、私にも見せてみろ。」

ゾビマジーラはゾビホウを異次元の扉、すなわちミキに似ているという者の家に残された機械に案内した。「これが異次元・・・!」「はい。異次元は大きく二つに分かれていて、世界と世界を繋ぐ道と世界そのものがあるようです。そして!この世界の中にはなんと!ゾビッポンの支配が完全なものとなった世界があるのです。」「なんだと!?」「恐らくあの『ゾービの惨劇』と人間どもが呼んでいるあの戦いの際に世界を完全に支配したものと思われます。」「もし次元を移動してこの者たちの協力を仰ぐことができれば・・・」

その支配が完了された世界では・・・「宇宙技術の開発は確実に進んでおります。」こちらのゾビホウが報告していた。「我らゾビッポンが銀河をも掴む日も近いということか!ハッハッハッ!」こちらの世界では支配が完了しているからかエンペゾビラーが表に出ているようだった。「しかし・・・宇宙進出が間近になるほどやつを失ったことが痛手になってくるな・・・あのタクミという者・・・最後の最後までわれらに反抗しおって・・・」そこにゾビマジーラが登場。「やつが最後に使った次元超越装置の解析は未だに終わりません。」「クソッ・・・いつになったらやつを探すことができるんだ・・・」

Quickening・・・!」

AZA本部では、突然すしが提案した。「そうだ!ゾビッポン帝国直接ぶっ潰そうぜ!」「え?」全員が呆気にとられた。すしは続ける「今までなんで気づかなかったんだ!ゾビッポン帝国潰せば終わりやんけ!」隊長Kが部屋に入ってきて言った。「そんなことできたらとっくにやってるに決まってるでしょ。」「ですよねー」「ゾビッポンが意思を持って反逆したあの日『ゾービの惨劇』の時に滅ぼされた国がゾビッポン帝国となり、そしてその後ゾビッポン帝国は謎の結界に覆われ、場所すらも分からなくなってしまった。でもまあ仮にゾビッポン帝国に乗りこめたとしても、マンボウ-Kの全力攻撃でも四天王すら倒せなかったんだよ。まだエンペゾビラーを倒すには足りないでしょ。」「うーん・・・」

「ついに完成や!」制圧が終わっていない方のゾビッポン帝国ではあの人間が新たなゾビッポンを生み出していた。「四天王の欠員を埋めうる新たなゾビッポン、言わば五人目の四天王ゾビマッチョ!ゾビリンミラーマッチョの残骸とデータを組み込んで新たな力を手に入れたゾビッポンや!」「さっそく出撃させよ!」ゾビホウが言う。「残念ながらそれはまだやな。いくら強くても経験がなきゃなにもできん。やけんしばらくこいつはトレーニングや。練習相手として赤いやつも連れていってやろう。」「「・・・」」ゾビマッチョと赤いゾビッポンが同時に頷いた。「その二体はお前に任せたぞ。」ゾビホウが言う。「ならば私が!」ゾビマジーラが名乗り出た。「ほう。ゾビマジーラ、お前が出るか。」「異次元の力を少し杖に移植しました。まだ戦いに使えるほどではないですが、街中にゲートを開くくらいならできます。それの実験も兼ねて・・・」

「町の各地で謎の穴が確認されはじめた。何でも空間に開いたその穴はあらゆるものを吸い込んでしまうらしい。」隊長が言う。「近くにゾビッポン反応もあるね。」桃ぽよがモニターを見て言った。「穴の密度が高い場所にゾビッポン反応・・・何かありそうだな。」デビが言う。「AZA!出動せよ!」隊長の司令で隊員5人は出動した。「隊長は行かないんですか?」ゆびが尋ねた。「自分はこっちで謎の穴について調べてみる。先にいってて。」

穴に吸い込まれぬよう装備を厳重にしてきたAZA隊員5人。そこにいたのは見慣れぬ帽子の杖を手にしたゾビッポン。「あいつはなんだ!」「ふっふっふーボクは腐食魔導士ゾビマジーラ。キミたちは僕がたおしちゃうよー。」「この穴もお前の魔法か!?」すしが問い詰める。「そうそう!異次元の力をちょーっと拝借してねー。面白いよー?キミたちも行ってみる?」「ふざけるな!」ミキも言った。「おーキミはキミはー本当にAZAになってたんだねー」「なんのことだ?」「ありゃーやっぱ覚えてないのかー。キミはあの『ゾービの惨劇』の時に僕たちに最後まで反逆したんだよー?」「そんなことが・・・」「ようやくキミを倒せると思ったのにキミは途中で消えちゃってさー?」「消えた?」「そうなんだよー、何か知らない?ミキくん?」「・・・」ミキは黙っていた。何か思いだしかけているようだ。そこにリュウが語りかける(ミキ、後で詳しく話してやる。今は戦いに集中するぞ!)「分かった!リュウ!」その声に合わせてミキは龍の戦士となった。

「うーん、何も知らないのかー使えないなー?・・・消えてもらう。ハァーッ!『ゾビファイア』!」ゾビマジーラの杖から炎が噴き出す。「セイッ!」覚醒したすしの刺身が防ぐ。「行くぞ!炙り寿司!!」焼かれた刺身とシャリのユニットが合体。炙り寿司となったエネルギーがゾビマジーラを貫かんとするが・・・「『ゾビリバレクション』!」紋章に弾かれる。ゾビマジーラの攻撃は緩まない。「ならば冷凍してやろう!『ゾビブリザード』!」次は吹雪だ。ゆびが素早く自信の雪に吸収させる。「いつまで耐えられるかな?『ゾビダイアクセル』!」吹雪の勢いが増し、ゆびが吹き飛ばされた。「まだまだ我が魔法はたっぷりと用意しているぞー?どれほど対応できるかな!?」杖から魔法弾を乱れ撃つ。「上ぇぇぇ。右ぃぃぃぃ。」ゆびの指示に合わせて桃ぽよのメガンとデビの爆弾が魔法弾を相殺していく。龍の戦士ミキは巨大な水の塊を操り、その隙をついていく。「水は時に金属さえも切り裂く・・・!」水が剣の形を成す。自身が持った炎の剣との二刀流で華麗にゾビマジーラを翻弄した。

「めんどくさいなあ。」ゾビマジーラの口調が戻っている。「まとめて消しちゃうよー!『ヘル・レイ』!」赤い光が辺りを覆うが、5人は上手くやりすごし、次に備えた。「うーんキミたち思ったよりやるねー。作戦ちゃんと考えなきゃだなー。じゃあねー。『ゾビポサイクロン』!」突風で5人を吹き飛ばし、その隙をついてゾビマジーラは逃げ出した。

穴は次々と塞がれていく。穴に吸収された人々も時間が立っていなかったためか全員無事に放出されたことも報告された。

ゾビマジーラに逃げられた5人はひとまず本部に帰還しようとしていた。そこに・・・ヒュー\ガンッ/
分厚い手帳が落ちてきてすしの頭に激突した「いった!」上を見るとちょうどゲートが閉じていく。恐らくゾビマジーラのゲートで異次元から流れ着いたのだろう。「なんだこれは。」桃ぽよが言った。デビが表紙を読み上げる。「ゾビッポン観察記録・・・?」

帝国ではゾビマジーラが実験の成果を報告していた。「この調子なら作戦の実行はそう遠い話ではないでしょう。」「期待しているぞ。」ゾビホウが言った。そこに・・・「久々だな。」剣を持ったゾビッポンが現れた。「その声は・・!?」

ゾビマッチョと赤いゾビッポンはあの人間に連れられて孤島に来ていた。「ここでお前らを立派な戦士にしたるで。今相手を呼んでやろう。『人工オーバーcode:NK』!来るのだ!」「・・・」そのNKと二体のゾビッポンは戦いを始めた。少し離れた場所でその人間は誰かと通信している。「想定よりも高いエネルギーが得られている。人工オーバーも順調だ。そっちなしでもこっちだけで"あの日"に間に合っちゃったーってなるかもしれん。そっちも頼みますよ。隊長K、いやきねさん。」

隊長Kは一人飼っている3匹の魚に呟いた。「人工オーバーも順調、だってさ。ぞびぽん、クムト・デューだけの手柄にさせないように、こっちも頑張らなきゃな。」一人マンボウ-Kの改良を続けていた。

~第8章完~

次回予告! 「今こそ真実を話そう・・・」「それじゃあミキくんは!」「あの夢が・・・強くなってる!」 次回!「滅びの分岐点
最終更新:2020年12月18日 23:27