第11章 次元を超えた絆
「赤いゾビッポン…」AZA本部には赤いゾビッポンが現れていた。ミキが声をかける。「もしかして、君は僕がタクミだと思ってるの?残念だけど、僕は似ているだけの別人だよ。」その時、始めて赤いゾビッポンが口を開いた。「そんなことは分かっている…だが俺もまたお前が思っている赤いゾビッポン…Quickeningではない。まあ本人と言っても差支えはないがな…」「それでは君は…」「俺は元のQuickeningが異空間で生み出したコピーのようなものだ。俺のことを知っているなら、Quickeningが異空間をさまよう直前タクミから『WOLF』というホログラフマシンを渡されていたのも知っているだろう。Quickeningは異空間をさいながら、自身と同じ身体性能・記憶を受け継ぐ赤いゾビッポンの因子を作った。ゾビッポンが存在する世界を見つけ、その世界のゾビッポンに取りついて赤いゾビッポンとなるという仕掛けだ。だから自分にもタクミとの思い出はあるし、因子を作った記憶がある。殆ど本人と言っていいというのはそういうことだ。」
ミキが問いかけた。「あっちの君はゾビッポン帝国には反抗してたと聞いてるけど。」「ああ。反抗した方が面白そうだったからな。だが、今のお前からはタクミほどの面白さを感じない。」「・・・」ミキは黙っていた。「お前を見つけた時、こちらの世界にもいるのかと驚いたものだ。だが、こちらの世界のお前は自分の知るタクミとは違っていた。それが次元を超えるということ…俺は実感した。そして判断した。ゾビッポン帝国に味方した方が面白そうだと。」「そんな…」「もし、俺に味方をして欲しいというのなら、俺にお前がタクミと同等に面白いやつだと示して見せろ…」そういうと赤いゾビッポンは潜っていってしまった。
ミキはその後を追いかけた。「WOLF起動!」赤いゾビッポンは手にした何かを起動、氷の中に白い球が入ったような謎の物体を召喚した。その物体はミキに襲い掛かる。「この装置がWOLFなのか…」
「どうかな…?これは異世界のお前つまりタクミが作った生命体。『凍り付いたゼロもどき』だ。まずはこいつを倒して見せろ。」そこに他の4人のAZA隊員も駆け付けた。「なんだこいつ!」すしが言った。ミキが答える。「赤いゾビッポンがWOLF」で生み出した生命体。でも、今は手を出さないでください!これは僕と赤いゾビッポンの戦いです!」4人はその2人の間に誰も入りこめないものを感じ取り、帰還することにした。
ミキと赤いゾビッポンの戦いは長らく続いた。WOLFには多種多様な生命体のデータが刻まれていた。ミキはそれら一つ一つに確実に対処していった。そして赤いゾビッポンが口を開く「俺の炎が燃える時…全ての悪が胎動する。俺と闘え!」赤いゾビッポンの雰囲気が一変した。ミキもそれに合わせるようにリュウを憑依させ、龍の戦士となった。赤いゾビッポンは自在に炎を操り戦う。
ゾビッポン帝国でもその戦いを感知していた。「あの赤いやつはさっきから何をしているんだ…」ゾビマジーラが言った。「なんでもいいだろ。それよりこっちだ。」ゾビアーチャが言う。どうやら赤いゾビッポンの正体までは認識していないようだ。他のゾビッポン帝国の面々が見ているのは隊長Kの戦いの記録映像。エンペゾビラーが非常に興味を示したのだ。「顔は見えないが…この技は間違いない…!やつらの隊長、Kと名乗っているあいつの正体は…!」
その隊長Kも赤いゾビッポンも何もいない世界では異次元への旅行が始まろうとしていたのだが…「ついに我らゾビッポンの名は次元を超えて轟くのだ!」こちらの世界のエンペゾビラーが声高く宣言したが、その時!突如ゾビッポンの一体がディメンションホールメーカーに攻撃を始めた。ディメンションホールメーカーは非常に精密な機械。多少の衝撃でも狂ってしまう。突如ディメンションホールメーカーの挙動が狂い始めた。
ミキと赤いゾビッポンの戦いに決着がついた。いや、つかなかったというべきか。二人は共倒れに終わった。赤いゾビッポンが言う。「フッ…お前もタクミほどじゃねえが、面白いやつだな…」「それじゃあ…」ミキが答えた。「ああ。だがしばらくはゾビッポン帝国にいさせてくれ。可能な限り情報を握ってお前たちが乗り込んで来た時に助けてやる…」そういった赤いゾビッポンは背を向けて去っていった。
~第11章完~
次回予告! 「エンペゾビラー様の友人!?」「その時は近い…」「AZAも終わりだな…」 次回!「
絡み合う過去と未来」
最終更新:2020年12月23日 23:30