第12章 絡み合う過去と未来

ゾビッポン帝国では隊長Kの技を見たエンペゾビラーが衝撃を受けていた。「間違いない!こいつは…やつらの隊長Kは!我がかつての友人!きねだ!」「エンペゾビラー様の友人!?」「ああ…忘れもしない…」

エンペゾビラーは語り出した。かつてエンペゾビラーがただのゾビッポンだった時、彼はゾビッポンの中でも特に優秀なゾビッポンとして注目されておりその研究の先端に立っていた存在こそ、きねとクムト・デューだった。時に競い合い時に協力してゾビッポンの研究をしていた二人は、特に優秀な後のエンペゾビラーとなるゾビッポンに注目。そのゾビッポンを一度外に出して様々な教育などを試してみたのだった。その間に気づけば研究者と研究対象の枠を超えた絆のようなものが芽生えていた。ところが、ある日突如二人は失踪。そこに残されていたのがエンペゾビラーに次いで優秀とされた6体のゾビッポン。後のゾビホウ・ゾビリーダ・ゾビッポン四天王となる存在であり、『ゾービの惨劇』より前から特にエンペゾビラーが親しかったゾビッポン達だったのだ。エンペゾビラーはその後しばらく今まで通り過ごしていたが、きねとクムト・デューとの思い出を思い出すうちにゾビッポンの現状を疑問に思い、『ゾービの惨劇』を起こしたのだった。

ゾビホウらはしっかりした自我を持つ前に合流したので、その詳しい韻末を知らなかった。「そのきねが何で今ゾビッポンの敵に?」

AZA本部では赤いゾビッポンとの戦いの結末が報告されていた。一応味方になったが、今は帝国に潜り込んでいる。彼と合流するためにもゾビッポン帝国にいずれは乗りこもうということで全員の意見が一致した。その時新たなゾッポン反応があった。

現場に向かうとその周辺は暗闇に包まれていた。「なんだ!?今はまだ昼だぞ!」目の前に現れたのは月の仮面を被ったゾッポン。「我が名はムーンゾッポン!月光と月影を司る者!」月の光に当てられた人の様子がおかしくなる。ゾビッポンになるかと思われたが、違った。何と人間の体を保ったままムーンゾッポンの支配下に置かれてしまった。

普段ゾビッポンは一般隊員に任せていた。ゾビッポンになった人間も攻撃を受けたら元に戻るためだ。しかし、今はどうだろう。人間のまま敵対されては手の出し様がない。ムーンゾッポンが口を開く「どうだ、攻撃できまい。AZAも終わりだな・・・」気づけば一般隊員も苦しみ始めている。防護服がオーバーより薄いため早くも影響を受け始めたようだ。

ゆびが言った「ここは一度退こう!」桃ぽよも続ける「対策を考えなきゃ」

ムーンゾッポンは操った人間を連れて帝国へ戻った。帝国ではゾビマッチョが他の四天王のトレーニングを受けていた。「ゾビマッチョ、短期間の修行でここまでになるとはね!」ゾビマジーラが感心していた。クムトが自慢げに言う「ゾビッポン研究の第一人者としてゾビッポンの最適な訓練プランくらい分かる。まあ四天王レベルになると変化が大きいだろうからあれだけどな。」ゾビリーダが言う「ゾビマッチョは確かに四天王にふさわしいかもしれないな・・・もう少し様子は見るが。」ムーンゾッポンは連れてきた人間をこちらでゾビッポンに変えていく。ゾビソルダが口を開いた。「なるほどな、こちらでゾビッポンにしてしまえば同化も速い。やつらもさぞ悔しかろう。」

1人になったクムトはきねと連絡していた。きねから一言「その時は近い…」クムトも返した「やはりか…」きね「こっちの準備は悪くないからそっちにかかってるよー」クムト「まあどうにかなるだろー」

連絡が終わるとほぼ同時に他の隊員が帰ってきた。桃ぽよが開口一番言い出した。「やつは月。つまりこっちは太陽が要る。」Kも言った。「ゾビッポンは強い光に弱いという研究は実際にあるしね。そういいだすと思ってちょっと設備は考えてたよ。」

Kに連れられて、ラボの地下に行くとマンボウ-Kがあった。ゆびがいう「これは隊長のAZAマシンでは?」K「その通り。これにスパークユニット・ビリビリバルブを差し込めばKスパークが使える。」デビが訊いた「これであの月を払えるんですか?」Kが返す。「知っての通りこれはオーバーのエネルギーを一点に集められる。君たちの力次第と言えるね。」

マンボウ-Kはスパークユニットを搭載して発進。夜に包まれた街に駆り出した。K「一点集中!Kスパーク!」ビリビリバルブにエネルギーが集中し、莫大な光エネルギーを放った。夜は去り、辺りの人々も元に戻っていく。

ゾビッポン帝国ではゾビリーダが言った。「そんなもの想定済みだ。やつは強大な光を受けたとき・・・」ムーンゾッポンは巨大化して言った。「ゾビリーダ様は我に強大な光を受けると巨大化し、日食デラゾッポンとなるようにしてくださっていたのだ!」光をエネルギー源に逆に力を増す日食デラゾッポン。他のAZAマシンも発進され、ミキは龍の力を全解放して巨大化。桃ぽよが言う「マンボウ-Kも合体できるように改造した。」龍の巨人に鎧のように纏われるAZAマシン、そこに変形して腕にはめる大砲の形を成したマンボウ-Kを装着!

すしが言う「光を食うなら、食いきれないほどくれてやらあ!」ビリビリバルブから一閃の光が放たれた。圧縮されているがそのエネルギーは莫大。日食デラゾッポンはその力を食いきれずに破裂した。

帰路につくAZAだが、ゆびの様子がおかしい。「未来が…ゾビッポンがゾビッポンに反乱している!」。Kが言った「太陽と月は時間を司る、とも言うからね。この戦いでそのエネルギーが乱れたことで元から予知夢を見がちだったゆびくんに変に作用したのかもしれない。」ミキが言った「予知夢?ゆびくんのいう崩壊した世界はまだ訪れてないですけど…」デビも言う「隊長何か知ってるんですか?」Kは「いや、それは訪れてはいないけどオーバーの力が強くなってから、定期的に見る夢なら偶然ではないと思っただけ。」とはぐらかす。皆は納得した様子だったがすしが言う「ゾビッポンがゾビッポンに反乱…あいつらも一枚岩ではないのか?」疑問は増えるものの今は帰還するAZAであった。

〜12章完〜

次回予告!
「始めから送りこんでいたのだ…」「行方不明事件!?」「全てある女性と交際関係にあったらしいが…」
次回!「ゾビートラップの脅威
最終更新:2021年03月16日 16:14