「うああーーーーーーあついーーーーーー」

ほんとそれ……とける……。

「うっうっ、もはやこれまでか…………あっ、ああー!?」

どうした!

「あっあんなところにアイス屋さんが!」

な、なんだってー!
……まあ、いつも通る道ですけど。

「えへへ、テンション上げたくて」

アゲてかないとやってらんないよね。
さ、行こっか。

「おー!」


◇ ◇ ◇


笹垣なんにするん?

「イーラって呼んでって言ってるでしょ。んー、オレンジとクッキーバニラとグレープ!」

なにそれ、味まざりそう。

「美味しいからいいの! で、どれにするの?」

チョコミントトリプル。安定だね。

「チョコミントは虫歯予防にはならないんだよ?」

うるさいうるさい。さあ食べよーってあれっ。

「子どもが泣いてる……」

うん、どうしたんだろ。

「アイス落としちゃったっぽい」

ほんとだ。かわいそう――

「あららー落としちゃったかぁ。お姉さんの食べる?」

――こういうとき、この愛すべき友人は素直に素敵だと思う。
困っている子によどみなく手を差し伸べることのできる人が、世の中にどれだけいるだろう。
哀れみもまごつきもなく、一番喜びそうなことができる。
研究の才能も大事だけど、これも立派な才能だ。

「いえそんなお礼なんて……そうだ、一緒に写真撮ってもらえませんか?」
「今日の思い出ってことで!」
「いくよー、はいチーズ!」

……まだ、はいチーズって現役なの?


◇ ◇ ◇


「えへへ……」

まだ写真見てるの?
顔が気持ち悪いよ。

「ひどくない!?」

事実だし。
もー、いつか捕まるよ?

「大丈夫だよ、捕まるようなことがしたいわけじゃないし……」

はいはい。
ま、自分のためでも人のためになるならいっか。

「なにが?」

なんでもない。
……ねえ、まだ眺めてるん?

「だって外まだ太陽ギンギンだし……もうちょっとだらだらしようよ。ね?」

はいはい。まだぜんぜんおしゃべりしてないもんね。


おわり
最終更新:2017年08月10日 17:37