時は夕方、辺りに人影はなく静かに夜が広がっていく、
生徒会との戦いに向けて、私は中庭を歩いていた。
生徒会と
部長会がなぜ争うのか詳しい事情はわからない、きっと意図的に隠ぺいされているのだろう、奇常ちゃんは“
転校生”が絡んでいると言っていた、この争いの中に“転校生”が……それにこんな事を仕組んだ悪が、何処かにいるはずだ、私はそれを倒せればそれでいい。
せっかくの臨海学校が台無しになってしまった、一刻も早く普通の学園生活になるよう動かなくてはいけない、これから激戦になるだろう、部長会と生徒会を繋ぐ渡り廊下へと私は足を急ぐ。
「こんばんわ」
瞬間、私は後ろを見ずに走った、声の主を知っていたからではない、体が勝手に“逃げ出していた”のだ。
校舎の入り口に向かって駆ける、その時、何かを踏んだ感触がした。
そう思った瞬間には私は空中を舞っていた、踏んだ何かが破裂し飛ばされたのだ、そう理解したときには、体は地面に叩きつけられていた。
中庭の草地の叩きつけられた衝撃と突然の事により受け身が出来なかったのもあって、呼吸が出来ない、全身が痛い、足が熱い、破裂した何かの性で私の右足は真っ赤に出血している、これでは走るどころか歩く事さえままならない。
「あら、“あの時”はちゃんと挨拶をしてくれたのに」
「しょうがないわよ姉さん、朱桃ちゃんは多感なお年頃だから」
衝撃の痛みが引き辛うじて呼吸をする、痛む足を庇うように上半身を起こし、声のする方を向いた。
夕日に照らされて虹色に輝く髪と目が印象的な美人が薄く笑い立っていた、蝶を彷彿とさせる服を着ていて、まるで海外のファッションショーを見てるような、そんな魅力のある女性に見えた、“普通”ならば。
私は目を見開き、全身が震えた。
「あぁ……ああ……」
情けない声を上げてしまう、でも仕方のない事だった、目の前の女性には見覚えがないが、しかし声には聞き覚えがあった、いや女性が纏う雰囲気にも覚えが、いや違う、心が全身が前に立ってるのが“アイツ”だと“覚えていた”。
右腕が痛み出す、二年前の冬の日に折られた右腕が傷も無いのに痛み出す。
右手の薬指に激痛が走る、切断され、あの状態から治せたのは奇跡とも言われた薬指が、自分の意志とは関係なくあの日の痛みを再現する。
「驚かしすぎてしまったみたい、感動の再開とはいかないものね弓」
「でも時間は掛けれないわよ姉さん、渡り廊下でもうすぐ始まるみたい」
誰かと喋ってる様で一人で喋っている姿に体の震えが止まらなかった、情けない、目の前にいるのはお父さんの仇で私達の住んでいた町を滅ぼし、私が魔人に覚醒するキッカケを作った、正真正銘の『悪』だと言うのに、心臓の鼓動が早くなっていく、寒気と痛みが止まらない。
そうか、私は“アイツ”が“怖い”んだ、そう理解した時。
「うああああああああああああああああ!」
私は叫んだ、正義に燃えての雄叫びじゃない、悲鳴だ。
それと同時に私の『ハンドレッドハンド』も発動していた、一本の赤い半透明の拳が伸びていく、仇を討とうとする勇ましい一撃でない、恐怖を振り払おうとする足掻きだ。
しかしその一撃は届かなかった、“アイツ”の前には大きな壁が出てきたからだ。
「さすが『正義』の朱桃ちゃん、すごい攻撃」
「だから私たちのとっておきを出してあげるわ」
壁が動いた、いや壁じゃなかった。
3メートルはあるだろう大きな赤い物体、考えたくもなかったがソレは肉の塊で出来ていた、動物なのか人なのかわからないが、血で赤く染まった臓器や筋肉がいくつもの集合体となって、ソレの手や足になり形を作っていた、翼や角に見えるシルエット、その姿はまるで悪魔の様で、目に見える邪悪そのものだった。
「『正義』の朱桃ちゃんの為に『悪』魔を用意したの素敵でしょう?」
「私たちはもう行くけど、その子でも綺麗にバラしてくれるから安心してね」
「それじゃあ、“また”『ね』朱桃ちゃん」
そう言うと“アイツ”の気配が消えた、このまま夢だとも思いたかったが、目の前の悪魔と全身の痛みと震えは消えない、情けない、本当に情けない。
あの日の事は一度だって忘れていない、忘れるわけがない、この世に悪が多いと知り、私に正義を教えてくれたお父さんの形見であるメガネを頭に掛けるようになったあの日からの二年間、私は自分の正義を磨いてきた、悪を倒す為に自分の能力を理解し、技をだって手に入れた。
近所の強盗を捕まえた事もある、ナイフに向かい怯んだ事も無かった、悪い魔人との対決だって勝った事だってある、私はずっと悪に対して正義をしてきたはずだ。
なのに、なのに! 本当に倒したかった『悪』を目の前にしてこのザマである、自分が許せない。
悪魔がこちらに近づいて来る、このままでは殺される、何もできずに。
悪魔が目の前に来た、近くで見ると潰れた臓器や筋肉の繊維がよく見える、吐き気がこみ上がる。
悪魔が腕を振り上げた、これが降ろされたら私は死ぬ、そんなの嫌だ、だけどお父さんが死んだ時のフラッシュバックが私を縛り付ける、嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ怖い嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ怖い嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ動け動け動け動け動け怖い動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け怖い動け動け動け動け動け!!!!!
そして、悪魔の腕は無情に振り下ろされ
「オラァ! 面ァ貸せ!」
悪魔の振り下ろした腕は私の右に逸れて中庭の草地をへこました。
「チッ! ごめん思ったより重たい! 引っ張り切れなかった」
「うん大丈夫、コッチでフォローするから……やぁ!」
その声と共に何かが勢い良く悪魔に当たる、これには堪らないのか悪魔も後退した、その下に転がっているのは……ピンポン玉?
声の主を確かめようと顔を向ける、そこにいたのは部長会の石姫電(いしひめいなずま)と氷谷巡(ひたにめぐる)だった、石姫は何かを引っ張る様なポーズをし周りで光が弾ける、一方氷谷は卓球のラケットを握りピンポン玉を構えている、二人が私を助けてくれたのは明白だった。
「朱桃ちゃん!」
そう声を上げて走って来たのは奇常ちゃんだった、心配そうに私を抱える。
「なんで……」
奇常ちゃんたちは前哨戦を終えて待機中だったはず、なのになんで中庭なんかに。
「朱桃ちゃんの悲鳴が聞こえたから」
そんなに大きな声で叫んでいたのか“アイツ”はアレを正義の叫びと勘違いしてたみたいだけど、やはり幼馴染には悲鳴と分かるみたいだ、それがなんか恥ずかしい。
「でも、もう大丈夫だよ、“みんな”来てくれたから」
「え」
見ると奇常ちゃんの後ろには人影があった、おさげが特徴的な女の子、その手には二つの斧、斧田アッコだ。
「待ってました! 斧が活躍するこの場面! 全ての斧に活躍を、世界の斧に栄光を、斧ス……カリバー!!」
大きな二つの斧を振り下ろし、光輝く衝撃波が悪魔の左腕を吹き飛ばす。
「やったよ、アッコちゃん!」
「いやダメだ、急所を外した」
悪魔は体勢を整え、腕が吹っ飛ばされたのも気にしてる様子もなく、近づいてくる。
その悪魔の首や腕、胴に巻き付くピンク色の紐があった、いや紐じゃない、触手だ。
「おお! なんという醜い姿でしょう! あなたも神の存在に手を伸ばした者でしょうか! しかしなんという神でしょう? あまりの醜さに反吐が出そうでございます! やはり私達の信仰する神こそが至高! つまり神の力をお借りしている今の私こそ至高の存在! さぁもっと見なさい! そして信仰を! そして教徒を増やすのです! 神はきっと喜んでくださる! 今ならクーポンが付きますよ!」
と高らかに修道着から両手両足の代わりに触手を伸ばし悪魔を縛り付けているのは管野魅紅(かんのみく)だ、いつもは宗教への勧誘で触手を使う事が多いが、こう相手に向けて使ってるのを見ると頼もしい。
だが触手は断ち切られた、悪魔も肉塊を同じく触手の様に伸ばしていた、先端は尖り管野の触手とは違い殺傷するための触手だった、管野は触手を切られ地面を転がっていた、管野の触手は借り物らしいので切られても管野にダメージは無いらしい、それでも元に戻るのにはそれなりに時間が掛かるらしいが、近くの石姫達が助けに入るのが見える。
悪魔は私たちに向けて触手を伸ばして来た、どうするべきか、そう考えている時間はなかった。
「ドッカーン!」
ドッカーン!
周囲が悪魔の触手を巻き込み爆発した、そして目の前に立っているの、いや、そんなはずがない、だって彼女は
「四散ちゃん!」
奇常ちゃんが名前を呼んだ、そうだ、彼女は火薬原四散(かやはらしさん)生徒会の人間じゃないか。
「なんで生徒会が」
「私が呼んだの、もう私達は渡り廊下の戦いには参加できないから」
いやそうじゃない、なんで戦ってきた相手が
「友達に頼まれちゃしょうがないよな、今回だけだぜ田貫」
こちらを向いて火薬原が言った、友達だから? 友達だから来ただけなのか?
そう思っていると、いきなり悪魔が膝をついた。
「あ、そこにいると危険ですよ」
悪魔の後ろから来たのは、紫の髪をした女の子毒霧薫子(どくきりかおるこ)、悪魔の下には毒々しい色のした水たまりが出来ていた。
悪魔はそこから逃れようとする動きをしてる様に見える、見えると言うのは、もがくようにして全くそこから動かないからだ。
「なーはっはっはっは! 我が『Todesmarsch』の範囲内で後退など許すものか!」
また後ろから誰かが来た、今度は軍服のように制服を改造した死河真剣子(ですがわ まじこ)右目に眼帯をし、背筋を伸ばし威風堂々と声を上げた。
「薫子ちゃん能力を止めて、それ以上は薫子ちゃんにも影響がでちゃうから後は私にまかせて」
そう毒霧に優しく声を掛けるのはチー子、注射器を取り出し、悪魔目がけて投げる。
悪魔の右腕に刺さった注射器から、何かが投与されみるみると腐ったように変色していく、下を見ると毒の水たまりは消えていた、能力を解除したのだろう。
私は夢でも見ているのだろうか、部長会と生徒会の人間が、争っていた者同士が、こうして一緒に戦うなんて、話が出来過ぎている。
悪魔の腕はもうすぐ肩まで変色しようとしている、足も紫に変色して動けない様だ、勝てるのか? 本当にアレだけ恐怖した悪魔がこんなにも、私が正義を行わなくても倒せてしまうのか。
そんな期待を抱いた矢先、悪魔は自分の腕と足を切り離した、まるでロケットのブースターだ、悪魔の体からは湧き出る様に新たな肉塊が噴き出し、胴だけとなった自分を包み込む、それは段々を大きくなって……。
「嘘だろ……」
誰かが言った、悪魔はさっきの大きさとは比ではないほど巨大化していた、どれだけの肉塊がアレに詰まっていたわからないが、状況は一変して最悪だ、私は堪らず目を逸らしてしまった、もう終わりなのか。
「朱桃ちゃん! 手伝って!」
「え?」
奇常ちゃんに突然言われ、また間抜けな声を上げてしまう。
こうしてる間も悪魔の巨大化は止まっていない。
「多分アレには指令を出してる脳があるから、私が『ジャンボリージャンボ』で巨大化するから、朱桃ちゃんは『ハンドレッドハンド』でそこを殴って欲しいの」
「い、いや待って、なんで脳があるなんて」
「わざわざ毒とウイルスを切り離して巨大化しだしたんだよ、それは中に中心となる場所があるのと私達で余裕がなくなって巨大化してるって事は、それぐらいは考える頭があるって事だよ」
「でも、この足じゃ……」
血で真っ赤な足を見る、これは言い訳だ、自分でもわかる、足何て使えなくても私の百本の手でどうにでもなる、だからこれは言い訳、こんな嘘なんて奇常ちゃんはすぐに見破るだろう。
「だったら余の出番だな」
突然現れたのはマカ=ベリーだった、私の足に手を添える。
「いつも余は遅れてきてばっかですまない、だからこれぐらいはさせてくれ」
そうマカが言うと、スッと足の痛みが消えた、傷口もなくなり綺麗な状態になる。
「こ、これは?」
「本当に余は人の上に立つ存在なのに、いつも変な所で失敗してしまう」
見るとマカの足が真っ赤になっていた、さっきまでの私の足と同じ状態になっていた。
「拳条朱桃、其方の事も良く知っているぞ、余は人の上に立つ存在だから学校の人間は全員知っている、さぁ拳条朱桃、これで“立つしかなくなったぞ”」
マカは痛みに耐えているのであろうが、汗をかき横になった姿でも気高い態度で言ってくる、まるで平気とした顔だ、そこまでされては本当に立つしかないじゃないか。
「朱桃ちゃん!」
「でも、奇常ちゃんごめん、私アレを見てたら震えが止まらなくて……あの日の事……」
奇常ちゃんに打ち明けてしまった、いつもだったら私が正義だと胸を張って言えるのに、いつも奇常ちゃんには心配ばかり掛けてきた、その自覚はあった、でも正義を止める事はできなかった、今ままでは、こんな姿を奇常ちゃんに見せたくなかった、私は少し泣きそうになる。
「見て震えるならさ」
奇常ちゃんは優しい声で私の頭に手を掛ける。
「ほら、こうしたら大丈夫でしょ?」
頭にある“ソレ”を顔へと滑らせてた。
「“手伝って”もらおう、だって朱桃ちゃんは」
私は涙を堪えた。
「正義なんだから!」
ぼやけて見えなかったが、奇常ちゃんは間違いなく笑顔で言った。
「おい、どんどん大きくなるぞ!」
気付けば悪魔は校舎を超えるほどの大きさになっていた、
「みんな! 援護お願い、朱桃ちゃんが決めてくれるから!」
周りから同意の声が上がる、それを聞き奇常ちゃんが巨大化する、悪魔と並びまるで怪獣映画、でもこれはフィクションなんかじゃない、命を懸けた現実なんだ。
悪魔の下でも援護が始まる、電撃が弾け、ピンポン玉が飛び、斬撃が放たれ、触手が踊り、爆発を響かせ、毒瓶が注射器が投擲される、それでも悪魔は“前に進む”奇常ちゃんの向かってくる。
奇常ちゃんの肩に立ち、いつもの様に腕を組む、風が強いのかマフラーがよくなびく、もうすぐで日も落ちそうだ、夜の闇の中、コイツを倒すのは困難だろう、これが最後のチャンスだ。
「行くよ、朱桃ちゃん!」
「行こう、奇常ちゃん!」
奇常ちゃんが悪魔の前に立つ、先に仕掛けたのは悪魔の方からだった、腕を大きく振りかぶり殴りにかかる、その先端は鋭利に尖っていた、だけどこれぐらいなら奇常ちゃんは容易に避けれるだろう、なぜなら百本の手からの攻撃すら避けれるのだから。
しかし奇常ちゃんは避けなかった、尖った腕が肩に刺さり、歯を食いしばっている。
「ぐっ!」
「奇常ちゃん!?」
そして間髪いれずにもう一方の腕が奇常ちゃんの肩に刺さる、それを確認してか悪魔の両手を掴み抑える。
「今!」
その言葉で全て理解する、本当に無茶をする、でもきっと奇常ちゃんは“普通”と言って笑うのだろう。
私は肩から飛び降り『ハンドレッドハンド』を発動する、最初から全力だ、百本全部出す。
私は倒すべき『悪』を見据える、恐怖が全く無くなったと言えば噓になる、でも今はこれだけで十分だった、奇常ちゃんが掛けてくれた“お父さんのメガネ”が私の視界を恐怖を和らげてくれていた、まるでお父さんが私に勇気をくれているみたいだ。
でもそれは錯覚だ、視界で自分を誤魔化してるだけだ、でもそれでいい、今はそれでいい、私は正義だ! 悪を倒せるなら! この拳が届くなら! それでいい! それが全てだ!
「『ハンドレッドハンド』ぉぉぉぉぉ! “姫百合”ぃぃぃぃ!」
私は叫び! 百個の拳を悪魔に向けて伸ばした!
この能力『ハンドレッドハンド』を手に入れてから、一つ疑問に思ってた事がある。
なんで、“百本”なのだろうか、悪を倒す為には数が必要なのは理解している、そういう考えがこの能力を発現させた自覚もある、だがいつも“本当に百本で足りるのか”という疑問が付きまとっていた、いや今ならわかる。
二年前の冬“アイツ”と出会った時、私は悪を倒す力が欲しいと願った、そしてそれと同時に“助け”を願ったのだ、私が『正義』になると誓ったと同時に私以外の『正義』の存在を願ったのだ。
ならば百本の理由もわかった気がする、小学生に入学する前にお父さんによく聞かされた童謡、そう百本の意味とは
“友達百人できるかな”
『ハンドレッドハンド』は悪に倒す為の私の拳であり、正義に伸ばす私の手なのだ、私は正義なりたくて、それと同じくらい正義を求めたのだ、奇常ちゃんに手を差し出された時、自然に手を握ったのも今では理解できる、つまりそういう事なのだ。
「私“達”が正義だ!」
『正義』を前に『悪』は去った、これは絶対で、この世に必要で、どんなことよりも普通の事だ。
中庭の現状はまるで地獄絵図だった、いたるところに肉塊が飛び散り、血や腐った臭いが充満している、そこに倒れているのは私以外の十人。
「いやー本当に倒せるなんて、久しぶりにシビれたよ」と石姫電。
「当然だ、余の力があってこそ」とマカ=ベリー。
「ぴょーん……ぴょろろろろ…………」と氷谷巡。
「あとは任した、全員ブッ飛ばしてくれ斧もって行くか?」と斧田アッコ
「おお! あなたの正義! 神も見ている事でしょう!」と管野魅紅。
「生徒会は私達より強いの一杯いるよ負けないかならな!」と火薬原四散。
「なーはっはっは、その通り! 生徒会に敗北の文字はない」と死河真剣子。
「ごほっ! ごほっ! 毒使い過ぎたみたい」と毒霧薫子。
「大丈夫? だから言ったのに、後で見て上げるから」とチー子。
「朱桃ちゃん行って、私達無事だから、『悪い奴』全員倒してきて」と田貫奇常。
私は渡り廊下に向かって走った、この後に何があるのかはわからない、どんな争いになるのかも、どんな『悪』がいるのかも、でももう怖いモノなんてない、悪を倒す赤い拳があるから、救いを求める赤い手があるから、そしてその先に『正義』がある事をもう知っているから。
最終更新:2017年08月17日 23:28